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もう一人の回収人1

 もう一人の回収人          アオチ


「人殺し……?」

 回収人と横に立つ男の顔を交互にゆっくり見た。

「お前、やっぱり鈍いな。あの眼鏡と正反対だ。こいつだよ、甲板に転がってる奴ら、全員を殺したのは」

「どういうことだ? 何でそんなことーー」

 人懐こい男の顔を覗き込む。そこからは波のように全ての表情がひいて、全く何を考えているのかわからない。そんな俺には構わず、そいつは回収人に向かって、無感動に言った。

「僕は決断が早いだけです」

 回収人が深く溜息をついて、男から手を離す。

 その時、オゼの声が響いた。

「アオチ、大丈夫か? そっちに行こうか?」

 梯子なんてなくても気合でこっちに来そうなほど前のめりだが、いよいよ来させるわけにはいかない。

なにせ、こっちには甲板に転がる三人を血まみれの死体にした張本人が乗っている。しかもそれが体育座りして波だけを見ている小柄な女かと思ったら、この背の高い男のほうだという。危険過ぎて呼べない。

「大丈夫だ! ちょっともめてるけど、直ぐそっちへ戻るから、オオミをーーそれからマモルくんとカオリさんの方を頼む」

 俺には見えないけど。でも女と子どもだろ。気持ちが強くても身体が弱々しいオオミに預けるのは不安だ。

「……わかった。早く戻れよ」

 しぶしぶでも納得してくれて良かった。さあ、今のうちにこの殺人者を縛り上げるか、それともどこかに閉じ込めるかしないと。

「おい、こいつどうする」

 何ならもう縄を探してきょろきょろしながら回収人に声をかけた。

「アオチって言ったな。お前、船の中に他に人がいないか探してこい。いや、お前じゃだめか。あの眼鏡をこっちに呼べ」


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