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幽霊船2

「――オゼくんは知っていると思ってた。今更何も変わらないけど。わたしとマモルくんにとっては」

 病気と事故だと思っていた。全然違う。俺にとっては。

「誰に、どうして殺されたんですか」

「それが、本当に思い出せない」

 おばさんが全く調子を変えずに答えるものだから、俺の方がおかしいのかと思えてくる。

「もしかしたら、この船に乗っている誰かに殺されて、その恨みを晴らすために蘇ってしまったのかもしれない……って大丈夫? 冗談のつもりで……ごめん」

「……いや、ちょっと本気にしてしまいました。馬鹿だな、俺は」

 三人とも同じ町に住んでいたからもしかしたら、と思ってしまった。

 良く考えろ、俺が中学生の頃、アオチは小学生だし、オオミに至っては小学校にもあがっていない。だが、待てよ。殺すつもりなんてなくて良いんだ。

 例えばマモルの飼っていた鳥がマモルの家の窓辺に居たとする。家の中で放し飼いにしていることも多かったからあり得る。たまたま窓が開いていて、通りかかったあいつらのどちらかが、鳥のかわいらしさに自分の方に呼び寄せる。それを見ていたマモルが慌てて道路に飛び出してーーとか。

 それとも親と入った喫茶店に、仕事の息抜きに来たおばさんがいたとする。親は友人と会話に夢中だ。そこで、暇を持て余した二人のうちどっちかが、おばさんの飲み物とか食べ物に、いたずら心で何かアレルギーになるような物を混ぜたとか。もしくはおばさんのアパートの裏のハチの巣を突いたとか。興奮したハチにアレルギーだったおばさんが刺されたというのはどうだ。……アレルギーにこだわり過ぎか。でも健康そうだったおばさんに病名が思いつかないのだ。

「あのさ、おばさん。じゃあ俺に『鳥を掴まえて』って言ったことは覚えていますか」


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