スーパーマーケットの死人4
アオチとオオミが色々聞きたそうな顔で俺を見ている。
「な、大した話じゃなかったろ」
「……その二人は死人だった、てことですか」
まずオオミが乾燥した声を出した。
「それをこれから話そうと思ってたんだよ。その頃風邪をひいていたと言っただろ? おばさんは俺が寝込んだ最初の日に、マモルはスーパーマーケットで会ったその日に死んだと後から知ったんだ」
オオミの唇がやけに白くなり、アオチが俺を睨む。こいつらが話せと言ったから話したのに、何で俺が怖がらせたみたいになってるんだ。
「意外だったのは、元気そうに見えたおばさんが病死で、マモルが事故死だったってことだ。わからないものだな。俺自身はそれからしばらく、家族に夢遊病を疑われた」
訝し気な顔のアオチがやっと口を開いた。黙っていたせいか、こいつの声も乾いていた。
「鳥を掴まえろって、何のことかわかったのか?」
「全然わからなかったんだよ、何なら忘れかけてた。でも二日前にあの群れを作る黒い鳥を見た時、わかったんだたよ。あれが二人が俺に掴まえて欲しかった鳥だって」
アオチの表情が和らいだ気がした。
「その鳥、掴まえても良いけど、傷つけないでくれよ。俺を助けてくれた鳥かも知れない。直ぐに空に返してやってくれ。群れを作っているんだから尚更だ。仲間からはぐれたら可哀想だろ? オオミ、お前は何も心配しないで良いからな。お前は鳥に近づくな」
オオミが不安気に頷き、アオチがその手をポンポン叩いて優しく笑っている。本当の兄弟みたいで羨ましくなった。
マモルのことを思い出して、泣きそうになる気持ちを甘いコーヒー牛乳と一緒に呑み込んだちもりが、あいつが家に遊びにきた時にいつもこれを出してやっていたな、と思い余計に切なくなった。
ごくごく音を鳴らして飲むのが可愛らしかった。
「どうして、そのマモルくんとおばさんが僕の見た死人だと思ったんですか?」
「それなんだがな、俺たちってどこかでつながってないか?」




