スーパーマーケットの死人1
スーパーマーケットの死人 オゼ
「鳥と目が合ったって、僕と同じじゃないですか」
オオミに言われ、アオチが気まずそうな顔をする。
「俺のは場合は顔のすぐ横を飛んでいたんだ」
何なんだ、こいつら。オオミも鳥と目が合ったことがあるのか?でも、そんな事より俺が今一番気になるのがーー
「その女、さっぱり系の美人だったか?」
二人が同時に俺の顔を何とも言えない表情で見た。
「オゼさん……甘い物の食べ過ぎで頭に砂糖が詰まりましたか」
こいつ大人しい顔して時々本当に毒舌だな。
「詰まってねえよ。その女が、その……さっき俺が見た死人かと思ったんだ。真冬に赤いワンピース、長い髪を一本に束ねてた。でも今の話の女と同一人物なら死人ではなくーー」
「鳥っていうことか」
アオチが真剣な顔で続きを引き取った。
「そうなるよな。それに、これは言おうかどうか迷っていたんだけけど、オオミの見た子ども連れの女の死人、それにも心当たりがあるんだよ」
途端に毒舌のオオミの目に怯えの色が広がった。オオミの保護者にでもなったのか、アオチが俺を責めるように見ている。おい、なんだよ、何も悪いことを言ってないのに理不尽だ。
「悪い、俺の思い違いだ。忘れてくれ」
「駄目です。忘れられません。心当りがあるって、どういう意味ですか」
めんどくせえ。
「わかった、話すよ。どうせ大した話じゃないぞ。取りあえずその泣きそうな顔、やめろよ」
「はい、すみません」
顔を両掌で引っ張るようにして気合を入れるオオミの横で、
「いいから、さっさと話せよ」
アオチが不機嫌そうに言った。
「あれは、そうだな、俺がまだ中学生だった時の事だよーー」




