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わたしの文字2

 嫌がるローヌを連れて、俺たちの船に戻った。

 全員が外の倉庫の前に寝そべっているのを見た時は驚いた。

 こんな時に、何をリラックスしてるんだ。

 俺たちが梯子から甲板に降り立った音を聞いて、半身を起こしたのはオオミだけだ。回収人は寝たまま、手を振っている。

 下が真っ暗闇な梯子を渡るのに勇気がいたのは最初の一歩だけだった。後は落ちることなど想像から消えて、踊るようにローヌを振り返りながら、渡り切った。

「オゼさん、ローヌさん、良かった。こっちに来て、一緒に文字を見ましょう。さっき僕たちは手を繋いでいたから霧にも負けませんでした。今度も一緒にいれば大丈夫ですよ」

 チラリと意味深に俺を見て、オオミが続けた。

「オゼさんはアオチさんの隣、端っこに行ってください。ローヌさんは真ん中、回収人さんの隣です」

「ええっ」

 ローヌが若い女みたいな反応をするので面白くてしかたない。

 オオミは完全に解っているな、とさっきの目線で確信した。

 何も知らないのはこいつだけか、そう思いながら、仰向けに寝るアオチの横に座った。

「文字ってまさか、あれのことか?」

 横になりかけた俺の隣でアオチが呟いた。斜め上の暗い空を凝視している。

「どれ?」

 同じ方向に顔を向け目を凝らすが、海よりも深い空が見えるだけだ。

 ん? もしかしてあの小さい星の事か? 

 さっきまで星一つ無かったはずなのに、小さく金色に光るものがある。物凄く小さくて見落としていた。視力検査の一番下にある、もはや俺にとっては点にしか見えないあれみたいだ。

「あれ、字か? 何て書いてるんだ。俺も目が悪いんだよ」

 オオミと違ってコンタクトだから回収人に眼鏡呼ばわりはされていないけど。

「あれが神様の文字だ。黙って、いつも通りの心で見てろ」

 アオチの代わりに回収人が落ち着いた声で答えた。

 みんなすっと黙り込む。波の音がーーこの船に乗って初めてぷちゃんぷちゃんと優しい水の音がした。

 一瞬、回収人の膝の上にいたマモルと目が合う。波の音に合わせて首を傾げたまま笑っている。良かった、あの場所なら安心だ。

 再び空に目を向けると、波を伴奏に点だった光が徐々に大きくなってきている。

 なるほどな、あの光が空に文字を浮かび上がらせると言うわけか。漢字か? それともちょっとした文章でも作るつもりか?

「そんな単純なものじゃないぞ。お前たちに神様の字は読めないよ」

 小さかった光がはっきり認識出来るサイズになった。

 すると、突然それが勢いよく動き始めた。飛ぶ星の軌跡は消えず、空に巨大な何かを意志を持って描いている。

 暗い空に光の文字。

 英語の筆記体を縦書きにしたようなものが五行、現れた。


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