四対四対一1
四対四対一 オオミ
アオチさんが訝し気に僕を見ている。無理もない。僕ががいきなり「僕たちは四対四対一なんです」なんて言ったからだ。
「何言ってんだよ」
やっぱりお人好しなアオチさんは気がついていない。
「ですから、僕たちは戦わなければならないんです。アオチさんと僕、無言ちゃんとウルウの四人、オゼさんとローヌさん、カオリさんとマモルくんの四人、回収人さんは中立です」
アオチさんが顔を押さえて頭を振る。
「俺、何時間寝てたんだ? 一体何があった」
発端はオゼさんだった。僕が温かいシャワーを浴び終え、ベッドに座りぼんやりしていると、ノックとほぼ同時にドアが開いた。
「ちょと、返事してから開けてくださいよ」
半裸で座っていた僕はあたふたして取りあえずベッドの上のタオルケットを肩から身体にまいた。
「だったら鍵をかけておけよ。そんなに恥ずかしがるな、こっちが気まずくなる」
オゼさんがつまらなさそうに僕から目を逸らして、正面の椅子に座った。
「何か用ですか」
「大事な話があるんだ」
「僕にだけですか?」
部屋にまで入ってくるくらいだ。内緒の話なのか。
「実は先にアオチの部屋にも行ったんだ。……ぐっすり眠っていたからこっちに来た。そう言えば、あいつの部屋も鍵がかかってなかった。お前ら揃って無防備過ぎるぞ」
座って下を向いたままオゼさんが言う。
「すみません」
反射的に謝って次の言葉を待つ。
「…………」
どうして何も話さないんだ、部屋にまで乗り込んできておいて。
「――オゼさん?」
「ごめん、言いにくいことなんだ。俺は明日、新しい世界に行くことが決まっている。アオチはここに残る。お前はまだ決まっていない」




