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はじまり

新人若輩者で、誤字脱字日本語の間違い多々あると思われます。どうかその際は指摘してくださいますようお願いいたします。残酷描写が含まれているシーンがございます。

 

 あれ、僕、なんでこんなところにいるんだ。

 さっき、襲われかけたはずなのに、今は小奇麗な室内にいる。

 

 話は、少し前にさかのぼる。

 

 目の前に、人がいた。

 真っ黒の服を着ているがスカートだから女性、しかも背丈と体つきからして相当若い。ひょっとしたら僕と同じくらいの──高校生。しかも背中に何か背負っている。

 その黒い人は、急に目の前に人が現れ──しかも女性──何が起こっているか理解が追い付いていないナイフを持っているオリジンの男の手の甲を素早く思い切り手刀ではたいてナイフを回収すると、こちらにやってきて、

 「後ろを向いて、目を閉じて、耳をふさいで。あと、ついでにこれ持っといてくれる? いざとなったら盾代わりにしてもらってていいから」

 といい、背負っていたものを放り投げてきた。どうやら楽器ケースのようだ。重い。


 言われたとおりにしゃがんで後ろを向き、目と耳を塞ぐ。


 あの黒い人はどうやら味方らしい。でもなぜ、ここに来たのだろうか、そもそもオリジンも立派な政府組織だ、そいつに攻撃しても大丈夫なのだろうか。うっかりしたら首都に連行されてしまうかもしれないのに。


 数分後。

……さっきから足に鈍い振動が伝わっているのだが。見た感じあの黒い人は弱くはなさそうだったけど、大丈夫なのだろうか、ていうか僕腐っても男なのに女性に助けられてる情けない、と思い始めた時、


「いつまでしゃがんでんの。終わったわよ」

 というセリフとともに無意識のうちに僕が抱き着いていた彼女の楽器ケースをひっぺはがされる。

 いつの間にかあの二人はいなくなっている。


 やれやれと言わんばかりの様子の黒い人がこちらの顔を覗き込み──あれ、と言った。


「時雨じゃん」

「は?」


 黒い人が、口元まで上げていた布を下げると、


「え? は? ……姿月?」


 鋭めの輪郭にふくっとした唇、漆黒の癖毛と瞳。

間違いない、中学校からの同級生にして現クラスメートの、姿月星衣(しづきせい)だ。

 彼女の名は、姿月星衣。クラスの中でも異色の人間。ほかの生徒が言うには、

 「何を考えてるかわからない」

 だそうだ。目つきは悪くはないのだが、どこか異次元を見ているような目線、らしい。

 それ以外は普通な、顔つきも美人ではないが言うほど不細工でもないし、ずば抜けて頭がいいわけでもないような、「中身が変」な人間。


 その「変人」が目の前にいる。


「し、姿月、お前、あのオリジンの奴は?」

「……知らないほうがいいと思う。立って。もうそろそろ危ないから」

 

 腕をひっつかまれてグイグイと立たされる。


「さっさと離れるから。なんでもない顔してついてきなさい」

 

 どうやら僕に拒否権はないらしい。


 歩くこと十数分。だいぶ前に路地に入ってから曲がったり階段を上ったりを繰り返している。

「姿月、もう僕一人で戻れないんだけど。」

「大丈夫。どうせ覚える羽目になるだろうし」

 何が大丈夫なのだろうか。


「ほら着いた」


 目の前にはその辺にある雑居ビルと何も変わらない建物で、見たところ人がいるとは思えない。

 にもかかわらず勝手知ったる様子で姿月が扉を開けて、今戻った、と言った。

「うーん、今日は皆出払ってるみたい。とりあえず上行くよ」

「勝手に入っていいのか?」

「失礼ね、私もここの一員だし」

 姿月の言う「ここ」が何を指すのかわからない。

 階段を上った先の小さめの応接間のような部屋に通された。蛍光灯の白い明かりの下で、姿月が言う。


「で、なんであんな所にいるわけ? 状況からして取引に混ざってる感じではなかったから助けたけど、見てて阿保くさかったし」

 ひどい言われようだがぐうの音も出ない。

 僕があったことを説明するとさらに呆れられた。

「あんた馬鹿じゃないの? オリジン関係は極力避けろっていうのが常識でしょうが馬鹿! そしてなによあの一方的にやられてた状況は、私がいなかったら今頃あんた肉片か監禁中のどちらかだからね! まさか時雨がこんな馬鹿だったなんて」

 馬鹿馬鹿言いすぎだと思うがこっちも聞きたいことがあるから丁重に聞いた。すみません。


「こっちも聞くけど、なんで姿月はすぐに助けられたんだ?」

「ん、」

 スッと姿月は立ち上がると、おもむろに質問してきた。

「さて、何か分かることは?」

 まじまじと彼女の姿を見てみる。

 あれ、と気づいた。

「お前、いつから国学生になったんだよ」


 黒のブレザーとスカート、ハイソックス、胸にはごてごてとした派手な紋章。

 そう、彼女はこの国で知らない人はいない国立政府一貫学校の制服を着ているのだ。


 

 つづく


 


遅くなりました。少しでも面白いと感じてくださった方はぜひいいね等よろしくお願いします。筆者の生きる糧になります。ではまた次回で。

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