第3話 ゴブリンを倒した後に村へ泊まらないかと誘われた少女……
生き物を殺した罪悪感と、後悔に向き合って覚悟を決めた。そうして後ろを振り向くと、
「う、うおぉぉ!ご、ゴブリンの大群は、女神様がやっつけてくださったぞ!!」
「「「ウォォォォ!!」」」
大きな声が上がったのだった。
ちょっと言葉に疑問を持った少女は質問した。何故女神と呼ぶのかと。
「なんで女神様って呼ぶのかって?そりゃアレだよ!神の怒りだよ!あのゴロゴロ鳴ってピカッと光り、落ちた場所を焼き焦がすなんて、神様にしか出来ないよ!」
そう言われて少女は腑に落ちた。
ゲームばかりしていた前世の中世は確かに雷の事を神の怒りと読んでいた事に。
「ではこれで、お別れとしましょうか……皆さんありがt「お待ちください女神様!今晩は皆で全員が生き残った事を祝福する為に宴を開くのです。一晩だけでもお泊まり下さい!それに、日が暮れ来ておりますので……」…はぁ、仕方が無いか……良し、一晩だけでもお世話になります!」
少女は別れようとしたのだが、村の村長に呼び止められ、一晩だけ泊まる事にした。
ならば顔を隠すのは失礼だろうとフードを外したのだが……
「わぁ!女神様可愛い!!」
と、小さな子が言ったきり誰も喋らないでいた。それもそのはず、少女は顔もそうだが神秘的なその髪色と眼によって他の人の目にはその美貌が更に神々しく映っているのだ。
「そ、それで今日泊まれるお家はあるのでしょうか」
静まり返ったその空気に耐え切れなくなった少女は今日泊まれる場所を聞いた。
「なら私の家はどうです?最近息子が旅立ったばかりでして……」
と、言ったのは見覚えのある女性。それもそのはず、この世界の主人公の母親だからである。
そうしてなんやかんやあった内に部屋も決まり、宴の準備が終わった。
「ぇ?こ、これを食べるんですか?」
と言った少女の目の前にはうさぎを丸焼きにしたモノ。匂いに臭みは無い様なのだが、前世の記憶が拒絶しているのだ。
「えぇ、そうです。こんなにお肉が食べられるのは、宴や祭りの時だけなんですよ」
主人公の母親が言った。実際、こんな開拓村では野菜を育てている所は少なく、動物も野性的で開拓済みの所よりは強いのだ。だから安い野菜を買う内に肉が買える程の金額が残らず、残った金も野菜に使ってしまうのだった。
「え、えへへ。それじゃあ。ぃ、いただき、マス」
パクッと1口食べ、その味をもぐもぐと確かめると、パクパクパクと勢いよく食べ始めた。
それもそのはず、この兎料理には沢山の香辛料が使われているのだ。この森には香辛料が多く手に入り、それを肉や野菜に使っているのだ。
「お、美味し〜ぃ。何ですかこれ!めちゃくちゃ美味しですよ!」
「そうですか、これは野兎と森で取れる豊富な香辛料を使った料理でして、この村の1番の名物料理なのですよ。しかし、最近はお金が足りず、子供達を街の孤児院に預ける場合がありましてでの……。女神様や、どうかこの儂に女神様の知恵をお貸しください!」
気軽に褒めただけなのにお金の相談をされた少女。少女は疑問に思った事を口にした。
「この香辛料、売らないんですか?」
「いえ、売りたいのですが、なかなか買い手が付かず、売ってもお金になりません。」
「だったら実演すればいいじゃない。目の前で簡単に作れる料理を作って売るのよ!そしたら売れるわ」
「本当に上手くいくでしょうか?」
「絶対上手くいくわよ!でも匂いだけでお腹が空くような料理を作ってね!」
そう言って少女は気合いを入れて説明する。
「どんなに美味しい料理でも最初は匂いが美味しそうじゃないと全く誰も食べてくれないわ。嫌な匂いの料理や全く匂いのしない料理なんて興味を持ってくれないものね!」
「成程!確かにそうです!子供達も美味しい匂いのする物は初めてでも匂いがした瞬間その家まで飛び付く事もあったものですなぁ。」
「まぁ、売れるかどうかは売り手の腕次第でもあるけどね。間違っても商人に嵌められたりするんじゃないわよ!……それじゃあ寝るわねおやすみなさい」
「おお、ありがとうございました女神様。どうぞいい夢を」
そう言って少女は笑いながら主人公の母親の家へ帰り、残った者はどんちゃん騒ぎをしながら夜は深けて行った。
「やっぱり守れてよかった。次は、学園ね……」
もうそろそろ、糖分が、抜け…る……。