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絆の行方 Kizuna Destination <魔砲少女ミハル最終譚>  作者: さば・ノーブ
零の慟哭 <少女人形篇> 第1章 不穏な足音
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Act8 お嬢様って呼ばないで

操手ドライバーでもある少女リィンタルト。

彼女の本来の姿は・・・ただのやんちゃ娘W

高度なオートマタ文化は、人間の暮らしをも変化させていた。

機械の力によって人々は多くの富を得られ、暮らしの中にもロボット技術が浸透していた。


多くの国で車は自動運転で走り、公共交通機関では自動化が当たり前になっていた。

バスもレールラインも、そして飛行機でさえも。

あらゆる物全てが、統括するメインコンピューターに因り動かされていた。


それが当たり前となった時代の中で・・・



「今日は泊っていくんだろリィン」


ソファーに飛び込んだ私にレィちゃんが訊ねて来る。


「もっちろ~ん!」


当然だってば!だって・・・お父様に引っ張りまわされたくなんてないもん。


優勝を逃した決勝戦の後。

私は待っていてくれてたレィちゃんのお家まで来たんだ。


「そうか?だったらメール位は送っておいた方が良いぞ」


「へ?」


間抜けな声を返す私に、レィちゃんはウィンクしてくる。


「Drヴァルボアからも、リィンの父上からも。

 私の元へリィンが来ていないか問い合わせて来たぞ」


「あニャ?!やっぱりぃ?」


やっぱりバレているみたい。


「私から返事してやっても良いけど。

 間違いなく帰れって言われてしまうぞ?」


「それわぁ~マズい」


折角久しぶりにレィちゃんと一緒に居られるのに、邪魔されたくはないな。


「なんとか誤魔化して・・・」


私は父もロボット工学教授も苦手なの。


「だったらリィンがきっぱりと断れば良いんじゃないのか?」


レィちゃんは笑いながらそう言うけど。


「どう言って?」


助けを求める様に訊いてみれば。


「家庭教師に遅れた勉強を看て貰ってる・・・ってのはどうだ?

 これなら此処に居る訳も成り立つし、

 勉強中だと言われたら直ぐに帰れなんて言われないと思うけどな」


「ニャ?!ニャるほどぉ~」


悪知恵をご享受されちゃった。


「まぁ、半分は本当のことだぞ・・・リィン?」


「え?!本当に勉強させる気?」


泡を喰う私に、レィちゃんはニマリと笑ったんだ。




私はハイスクールに通う15歳。

まだまだ修学中の身で、しかも流行りのバトルドール選手でもある。

学校公認の操手ドライバーでもあり、今日みたいに大会に出場する事だってある。

尤も、ドールの事は誰でも知ってるけど、操手ドライバーである私の顔なんて誰も知らない。


だって、闘うのはドールである<ZERO>なんだから。

戦闘人形のゼロが、リィンなんだから・・・


そしてレィちゃんは私の家庭教師でもあり、ルームメイトでもあるの。

・・・でも、当のレィちゃんは私の事を居候って言うんだけど。


あ。言いそびれていたね。

レィちゃんは私よりも2つ年上の准教授なんだ。

頭が良くて、ジャパンの大学を繰り上げ卒業してステーツの大学に招聘されたらしいの。

僅か17歳の准教授なんてステーツでも珍しいわ。


頭が良くて、おまけに人形さんみたいに綺麗なのよねぇ。


綺麗なの・・・背は私よりも低いけど・・・


ジト~とルーム着に着替えるレィちゃんを見てたら、


「なんだ?何か付いてるのか?」


ぶっきらぼうに答えられちゃった。


「ん~~。やっぱり私の方がお姉さんに観えちゃうなぁ」


私の身長は165。レィちゃんは150をちょっとだけ超えたくらい。



 ツカツカツカ・・・ゴツン!



無言で近寄って来たレィちゃんの拳骨が・・・炸裂。


「相手の欠点を揶揄するんじゃない!」


「ひぃニャァ~」


綺麗なのにぶっきらぼうで、おまけに手が早いニャ~。


でもね。そんなレィちゃんだけど。


「悪口を吐く子には、夕飯なんて造ってやらないぞ」


そう言いながら二人分の料理を造ろうとしているんだよ?優しいでしょ。



私がウルウルと眼を輝かせていると、テキパキとお料理を造り出すんだ。


「そう言えばレィちゃん。エイジちゃんは?」


「今日は帰っては来れないと言ってたぞ・・・誰かさんの所為で」


キッチンに向かって背を向けるレィちゃんが答えてくれる。


「まぁ、あいつらしい気の利かせようだよ」


「ふぅ~ん、エイジちゃんって大人なんだね?」


ハッキリ言って、私にはどう気を利かせてくれてるのかが分からなかった。

お子様な私には、同い年のエイジちゃんは優秀なエンジニアだってことぐらいしか分からなかったから。


「いやいや、あいつは単に女の子に甘いだけなんだよ」


レィちゃんはにべも無く言うんだけど・・・そうなのかな?


レィちゃんとエイジちゃんは姉弟していで、御両親と一緒に住んでいるの。

でも、夫婦共働きで帰って来るのは週末くらいだって聞いてたの。

エイジちゃんは御両親が働いている研究機関でサブの手伝いもこなしていたから。


「じゃぁ~今日はレィちゃんだけだったんだ?」


「お前が来ると言ってたんじゃないかリィン」


そう言ってくれるレィちゃんが、なんだか健気な子に思えたよ。


「そ~だよねぇ~、ここは私のホームなんだしぃ~帰って来ただけだもん」


「違うだろ~が!」


ツンとそっぽを向かれちゃったけど・・・レィちゃんは嬉しそう。


「まぁ、居候として認めているけどな」


ほら。ちゃんと帰って来るのを迎え入れてくれてる。


「そうでもしないと、お前の学業を看てやれないからな」


「う?!そっち?」


それでね。

レィちゃんはお父様公認の家庭教師でもあるんだよ・・・これが。




私のお父様は財閥の家筋で、今は手広く商いを拡げているの。

衣料品から玩具まで、いろんな生活用品を取り扱ってるの。

その中でも今最も力を入れているのが、ロボット産業なの。

玩具のロボットから企業向けの生産マシーン・・・それと。


私が操手ドライバーを務めている戦闘人形バトルドールというゲーム人形。

あらゆる形態の人形を造って、世界中に広めてるわ。

人型のドールもあれば、ゲームに特化した変種もある。


だけど、私はリアルドールと呼ばれる人そっくりな人形が好き。

だって・・・可愛いじゃない?


最新鋭の機能を搭載した<戦闘人形バトルドール>が、少女のような姿だったら?

観ている人達も癒されるんじゃないかな?

少なくとも私はバトルドールだなんて考えていないし、<彼女>は私なんだから。


お父様は人類の英知を凝縮した人形ドールとして造ったの。

ゲームだけじゃなくて、人を助けれる機械人形オートマタとして。


私達若者が遊ぶのだけではなく、老いも若きへも手助けしてくれる介助人形となるようにって。


その手伝いをしてくれているのがレィちゃん達の御両親。

ジャパンの技術と研究資料を以って、お父様やヴァルボア博士をサポートしてくれているの。

お二人の研究費用を全額受け持っているのが、お父様が経営している<アークナイト>社。


聖騎士アークナイトだなんて大層な名前をつけてあるけど、人々に幸せを齎そうとするのが経営理念なんだから・・・まぁいいでしょ?




お腹が満ちて・・・勉強したら?

昼間はドールで闘い、精神も身体も疲れていたとしたら?


結果は・・・言わずもがな。



「・・・・・すぴぃ~」



「おいこら!リィン、リィンタルト?!」



「すぴよすぴよ・・・」



「起きないか!リィンタルト・フェアリー!」


実名で呼び起こそうとするレィちゃん。


そうなの、私の本名は<リィンタルト・フェアリー>・・・

財閥フェアリー家の4番目の娘であり、お父様ロナルド・フェアリーの愛娘。


長い栗毛で青目ブルーアイズの・・・おてんば娘。


出ましたね。

とうとうフェアリア・・・ごほんッ

モトイ、フェアリーという名称が。

リィンタルトがミハルの世界に関わっているのかどうか。

まだ、何も異変は起きそうにないようですが?


省のナイ子リィンは・・・駄々っ子でもあった?!


次回 Act9 リィンの憂鬱

教授ぅ~?!まだやるのぉ~??お腹減ったしぃ~~~!

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