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絆の行方 Kizuna Destination <魔砲少女ミハル最終譚>  作者: さば・ノーブ
第3部 魔砲少女ミハル エピソード8<レジェンド・オブ・フェアリア>魔砲少女伝説フェアリア  第1章王立魔法軍
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王立魔法軍 終章

ここまでお読み頂いた皆様へ

此処までのお話の総括と、次章での展開につきまして・・・

<<魔砲少女ミハル>> episode8 

 絆の行方 第3部<レジェンド・オブ・フェアリア>魔砲少女伝説フェアリア

    第1章 王立魔法軍 終章


これまでのお話について


北欧の小国フェアリアに帰って来た美晴。

母親ルマの故郷でもあり、国籍を有してもいる。

そして何より、幼き時を平穏に過ごした懐かしい国には、幼馴染のマリアも居る筈だった。

帰ればきっと逢えるとの想い。

二年もの月日、逢いたい想いを我慢して来た。

それがやっと、叶えられると・・・

だが、その望郷の想いは帰着初日から儚くも潰えてしまう。


帰ってみれば、懐かしの国は隣国との諍いを繰り広げていたのだ。

約30年前、彼の国と干戈を交えたのと同じように。

きな臭い紛争を繰り返そうとしていたのだ。


そんな折、魔砲の使い手を求めて来たのが軍隊だった。

父と伯母が前終末戦争時の勇者で、その偉大なる魔法力を受け継いだとされる美晴。

生まれ故郷の国家権力は、何も知らない少女を闘いへと巻き込もうと画策していた。


平和な島国から帰って来た魔砲少女は、戦争の何たるかを知らずに軍隊へと入ることに為る。

軍隊を知らない少女は戸惑いながらも入営した。

そこで図らずも、焦がれていた想い人マリア中尉に出逢う。

再会を喜ぶ美晴に、マリアは拒絶を表す。

厳しく接し、軍を辞めさせようとするマリアに混乱する美晴。

なぜ?どうして?

哀しみを表すことも許されず、只、訓練に邁進するしかない魔砲の少女。

心を閉ざしたかのようなマリアに、絶望を感じていた時だった。

逢えるとは思えなかった人と出会う。

金髪で蒼い瞳の・・・姫と呼ばれる軍人に。

フェアリア軍中佐ルナリーン・・・<我が姫>と呼ばれる女性との邂逅。

胸の中に秘めていた約束が叶えられたかに思えたのだが。

ルナリーン中佐こそがマリアを唆した張本人だったのだ。

強力なる魔法力を誇った少女を欲し、その身を以て闘いに投じようと画策していた。

必死の想いを告げる美晴に、本心を曝け出すマリア。

今迄の厳しい態度は、全てが美晴を想っての事だった。

心優しいマリアは改心してルナリーン中佐のはかりごとから抜け出す。

晴れて幼馴染の大親友に戻れた二人は、想いを新たに誓うのだった。

<<互いに守り合おう>>・・・と。


フェアリア国の王立魔法軍に在籍する美晴は、少尉候補生として戦車兵になった。

独立08戦車小隊の一員に迎えられた魔砲の使い手は、自己の魔力属性を活かすべく訓練を行った。

並外れた集中力で魔法力を増大させ、戦車砲手として研鑽に務める。

そして初めての乗車。

乗り込むのは<魔鋼騎マジカナイト>と呼ばれる魔法の車体。

魔法使いの魔力に準じた変化を齎すという<魔鋼機械>を搭載し、陸の王者たる鋼の車体へと初めて乗ったのだった。

未経験の乗車は、突然の模擬戦闘で思いもしない展開となる。

戦車での戦闘経験の無い美晴に迫るミーシャ少尉。

その最中、嘗て闘いに准じて来た魂が割って入って来た。

宿った魂は偉大なる戦闘方法を披露し、美晴等に戦車戦を教えるのだった。

だが、並外れた魔法力に拠り事故を誘発させてしまった。

実車に積載されている魔鋼機械では、美晴の魔力を御し切れないのを示す結果となったのだ。

美晴に宿った魂の正体。

それは人の理を司る・・・女神。

知る人は彼女を指して<魔砲女神ミハル>と呼んだ。


人の世界にあって<女神>と呼ぼれる異能者がいた。

強力なる魔力を誇り、人を超越した業を持つ者。

異界でしか実体化が不可能な彼等彼女等は、仮初めの実体化を憑代に求める。

宿られた者に異能を貸し与え、敵する者を倒す力とした。

若しくは、自らが憑代を乗っ取り偉大なる魔力を行使するのだ。


初の実車搭乗は、思わぬ異能を発揮し(女神様が暴走させてしまいました)。

これが理由として、美晴に新たな車体が与えられる事に決した。

開発されているという新<魔鋼騎>を、強力な魔砲使いである美晴に与える。

その意味はどこにあるのだろう?

紛争が本格化の一途を辿る中、新造の魔法戦車を与えるとなれば。

闘いに美晴を投げ込み、勝利を得んと図るのか?

それとも新車両の試験を以って、新たなる魔鋼戦力の増大を目論むのか。

後者ならば、フェアリアは何を求めていると言うのだろう。

まるでルナリーン中佐の目論んで来たのと同様にも思えるのだが?


隣に強大なるロッソア連邦があり、今まさに戦端が開かれんとしている。

それを回避出来るとするのなら、紛争の発端を探り、事変の解決を図らねばならない。


元が王国であったフェアリアに、皇太子姫が居た。

賢姫と呼び名が高いルナリィ―ン王女。

始祖女王リィンから受け継がれた率先実行をむねに、秘匿された行動に打って出ようとしていた。

事変の発端となった国境へと向かい、真摯に現実と向き合おうとしているのだ。


何が発端となったのか。なぜ砲火を交えるまでに拗れたのか。

燻ぶる戦火と、絶えることの無い損害。

両国の間には積年の恨みがあることは否めないにしても。

闘いを鎮めて、今一度平和を手にすることが叶うと信じていた。

そう。

それが彼女の願いであり、人の世界を見計らう神の希望だったのだから。

そう・・・彼女、皇太子姫であり女神の憑代に選ばれたルナリィ―ン姫だからこそ。


新車両を魔砲の使い手に委ねたのは、皇太子姫のルナリィ―ン。

彼女が託した理由は性能を試験する為でも、戦争に勝利する為でもない。

唯一重に、平和を希求したからだったのだ。

その願いを果してくれる一助に選ばれたのが<美晴みはる>なのだ。

伯母に<理を司る>女神を擁し、魔力を受け継いだとされる少女に与える。


新魔鋼騎で超魔法戦車<マチハ>・・・その実力を発揮するのは近い。

平和を得る為、闘いを辞さないと決めた彼女等に依って・・・



主要な歴史軸は以上のような流れになっております。

ですが、この第1章で語られたのは<輝の神子>である美晴みはるの異変。


スタート時から、何某かの異状が窺われる様子をみせておりました。

日ノ本からフェアリアに帰って来た・・・本当なら跳び撥ねるように浮かれているはずだった・・・のに。

なぜだか重苦しい表情に言葉遣い。

一体、旅の途中で何があったというのか?

僅かにヒントのようなモノが忍ばせてありますことに、気が付かれましたでしょうか?

日ノ本の艦隊に護られて航海して来た深海探査船。

途中から空路でフェアリアへと向かう美晴達が立ち寄ったのが、古戦場のある<ガポール>だったのです。

出航を控えたマモルに、美晴が渡したのは<蒼き宝珠>と呼ばれた魔法の石。

ルナ女神リィーンから預けられた女神の宿る魔法石。

そんな大切な宝玉をマモルへと渡した訳とは?

そしてガポールから空路でフェアリアへと辿り着いた美晴だったのですが、何か翳りを伴っているように感じてしまうのですが。一体何が彼女に起きたと言うのでしょうか?

その事実を、新たに宿ることになった誇美コハルも知らないようなのでしたが。

少ないながらも、その時何かが起きたのを匂わせた部分があります。

ヒントは美晴が呟いた<男は皆ケダモノ>と、助けてくれたのは<お婆さん>ってことだけ。

その地でなにがあったのかは、後に大きな意味となって記されることになります。


その謎を秘めたまま、美晴は異界に閉じ込められてしまいました。


ルナリィ―ンの想いも、未だに謎多きルナリーン中佐の存在も虚ろにしかねない大変革。

主人公の亡失という重大事に、新たな謎(IF)を含ませました。


新米の女神ペルセポネー = 元 魔王姫コハルが宿ることになる美晴の身体。

思いもしない異界での戦いの末、美晴は異界の王に囚われる結果になってしまったのです。


魔砲少女の命は女神に託されることになりました。

もしも誇美コハルが身体から離れることになれば、魂を失った肉体は忽ちにして潰えることになるのです。

誇美は意を決して救出を誓うのですが、肉体から離れられない現状を打破するまでには至らず。

二人の使徒と共に、仲間達を味方に得て。

新たなる脅威と戦い続けなければならなくなったのです。

時に異種たる者と、時には人間と・・・そして本当の<脅威>に晒されながら。



遂に次章では、砲弾飛び交う戦場へと入ることになります。

闘うことに慣れていない新米女神の誇美が眼にするモノとは?

人の業を知らず、女神の矜持が何たるかも分からず。

只、運命に翻弄され続けるのか?

そこには嘗て生き残りを賭けた闘いを続けていた者達の生き様が垣間見えるでしょう。


君が死線を潜り抜けた先に観るモノとは?!


次章予告


第2章 Phoenix Field <不死鳥の戦場>終焉を求める君への挽歌


闘う君は、儚い命の灯火を観る・・・



穢れた空間に囚われてしまった美晴。

空間の創造主は捕らえた魔砲の乙女を如何に扱うのか。

光の御子である美晴みはるを邪悪に染めようとするだけなのか。

それともより多くの異能を求めようとするのか・・・

空間の創造主は抗う美晴に賭けを仕掛ける。

巨大な砂時計が時を刻み終えるまで耐え抜けば解放してやると。

唯々諾々と囚われているのを嫌う美晴が微かな希望に縋り、賭けにのると分かっていて。


砂が最期の一粒まで流れ落ちた後。

賭けに敗れた魔砲の乙女が横たわる。

現実世界の美晴が死なない限り、何度も繰り返されることになる。

時を刻む巨大な砂時計が上下逆転し、再び始まることになる。

死ぬ事すら許されなくされた絶望への責め苦が・・・そして。

穢れた空間の創造主が新たな贄を求めて蠢く。

光を穢す為に現実世界へと新たなる<傀儡しょくしゅ>を放つのだ・・・



本編には出しませんでしたが、囚われた美晴が酷い扱いを受けてしまったのをお知らせしたかったのです。如何に光の御子であろうとも、巨悪にたった独りでは勝つことすら難しい。しかも、創造主たる異界の王が狙うのは美晴だけではないのです。逃れた光・・・つまり誇美コハルをも手中に収めようと画策しているのです。

此処に記した部分をお読みになれば、次章の展開が微かに分られたかもしれません。


と、いうことで。

次章のイメージ画を少しだけ。

挿絵(By みてみん)

闘う美晴=誇美

神剣<ラファエル>を手に。

そしてもう一枚。


挿絵(By みてみん)

黒衣を纏った紅き剣を持つ娘?

これが誰なのかは・・・次章にて。

なにやらキナ臭い雰囲気ですが・・・・


それでは次章{第2章 Phoenix Field <不死鳥の戦場>終焉を求める君への挽歌 }に、ご期待ください


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