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絆の行方 Kizuna Destination <魔砲少女ミハル最終譚>  作者: さば・ノーブ
第4章 暗黒王
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Act25 バトル開始!

第4章 暗黒王


挿絵(By みてみん)


遂に試合が始まる。

少女人形同士の戦いの行方は?

リングを見下ろせる貴賓室には・・・


「今回は優勝できるかしらね」


さも興味無さそうなエリザと、


「賞金を頂いて貰わないと困りますわ」


捕らぬ狸の皮算用をしているリマダが居た。



そしてもう一つある最上級の貴賓室には・・・


「おい、アークナイトのおてんば娘を儂のモノにする手筈は進んでおろうな」


小太りでにやけた面構えのオーク社会長が居た。


「その為に<ノアの箱舟構想>を漏らしてやったんだぞ。

 早く俺の元へ連れて来んか、間抜け共が!」


手元にはプラグスーツ姿のリィンがタブレットに映し出されている。

部下に対して声高に罵る会長だが。


「この天使のような顏が苦痛に歪むのを観て見たいものよ。

 愛娘が儂によって手籠めにされるのをロナルドが観れば。

 己がして来た事を後悔するだろう・・・思い知らせてやる!」


下衆の極みを超えた、非情な罠を企んでいるようだ。


「それには・・だ。

 まず手始めにアークナイトの人形から壊してやらねばなぁ」


細い目を尚更に細めて言うのは。


「タナトス教授が求めた通り、あの娘を差し出してやったのだからな。

 せいぜい元を採らせて貰わねば、採算が釣り合わんって奴だ」


レイの対戦相手である金髪の少女人形を眺めて、


「まさか本当に魂を入れられるとはな」


意味深な言葉を吐くのだった。







 Wa~~~~~~~!




リングを取り巻くモニターから、観客のざわめきが最高潮と成る。


「「さぁ!いよいよですッ」」


リングアナウンサーも盛り立てる。


「「試合開始まで・・・5・・・4・・・」」


アナウンサーのカウントダウンに併せて、観衆からも秒読みが始る。


「「両者ぁ~・・・」」


そして試合開始時刻と成る。


「「ファイトォ~ォッ!」」


カウントゼロからタイマーがオンとなり、試合が始まる。

試合時間は1時間制限。

相手をノックアウトするか、戦闘行動に支障をきたすダメージを3回与えるかで勝者が決まる。


格闘と呼ばれているだけあって、火器の使用は禁じられていた。

レイの右手に忍ばせてあるヒート剣も、当然のことだが使えない。

殴るか蹴るか・・・はたまた投げ飛ばすか。

肉弾戦を展開しなければ勝負は成り立たないのだが・・・



「いっくよぉ~!」


いの一番にリィンが吠える。

バイザーに捉えたエントリナンバー42の少女人形へ向かって。


試合開始時、両者の距離は10メートルと設定されていた。

人間の限界を軽く超越している人形だから、瞬時にぶつかると踏んでいたのだが・・・


 シュン!


駆け寄るレイを見切っていたのか、金髪を靡かせて・・・


「え?!ちょ、ちょっとぉ?」


あろうことか、背を向けて逃げ出したのにはリィンも眼を晦まされる。


「ま、待ちなさいよぉ~?!」


相手も同じく操手ドライバーが操っているものとばかリ思っているリィンが、人形へではなく操手に吠えるのだが。


 シュタタタ!


物凄い速さで前を走る人形に・・・追いつく事が出来ない?!


「逃げるな!待ちなさいってば!」


レイの脚力と同等か、若しくはそれ以上なのか。

時速30キロメートルを超えているだろうか、走る足元からグラウンドの砂が舞い上がっている。


「リィンちゃん!相手に翻弄されちゃってるよ」


サブ・メカニックでもあるエイジが忠告するのだが、リィンは目先の獲物に釣られてしまっているみたいで。


「くぅ~ッ!ちょこまかとぉ~」


追うのを止めれなくなっていた。


「イカンぞ!リィン嬢はウサギを追う狐になってしもうたようじゃ」


動作アドバイザーでもあるヴァルボアでさえ危ぶむまでになって。


「相手はこちらのスピードを計っておる!

 俊足を生かして反転、奇襲を目論んでおるのじゃ!」


いつの間にか金髪の少女人形の速力が落ち、レイの足が追いつきそうになっていた。

それは捕まる瞬間に体を避けて、一撃を加えて来るかに思える。


「リィン嬢!反撃に注意するんじゃ」


もう少しで手の届く範囲まで追いついたリィンが、ヴァルボアからの忠告を耳にした時だった。


リング外周を走り回っていた金髪人形が、外周に張り巡らされていたフェンスへと足をかけるや否や。




 ダンッ!



落ちたスピードも味方にして、フェンスの反動を利して身体を捻ったのだ。


「えッ?」


今まさに追いつく瞬間だったレイ目掛けての膝蹴りが。


「くッ!」


炸裂する瞬間、リィンは横っ飛びに避けるのに成功した・・・のだが。


「あらぁ~~~ぁ?!」


どうしたことか、いつもならひらりと避けれた筈なのに。



 ゴロンゴロンゴロン・・・・



勢い余って転げてしまう。


「うう・・・おかしいなぁ。

 なんだか運動音痴にでもなったみたいなぁ~?」


音痴は酷い言いようだが、確かに今迄なら転ぶなんてへまはやらかさなかっただろう。


慌てて起き上がり、態勢を整える・・・と。


「あれ?なんでぇ~?」


こちらが転んでいる間のチャンスを、相手は見逃してくれていた?

折角ポイントを稼げれるチャンスだったのに?


起き上がり相手を観て、やっと分かったことがある。


「ちッ!舐めているの?」


静かに佇む金髪の少女人形が、冷めた目でこちらを見ているのを。

絶対の自信の表れなのか、何もしゃべる事も無く・・・笑っている様に感じてしまう。


「その余裕が仇になるわよ!」


有利な状況でも手を出して来なかった相手に、リィンは闘士を燃やす。


「今度はこっちから仕掛けてあげる!」


走るスピードでは互角以上。

だったら・・・


「待つんじゃリィン嬢ちゃん!」


先走ろうとするリィンを制したのはヴァルボア教授だった。


「落ち着きなされ。

 先ずはスカウターで相手のウィークポイントを探すんじゃ」


レイが着けているバイザーには、相手の動きから予測される弱点を読み取れる機能が備えられていた。

いつもならば真っ先に使用する筈だったが、相手に踊らされて忘れていたのだ。


「そうだった!すっかり金髪の子に惑わされちゃってた」


突然走り出してこちらに背を向けて来たから、狩人心理が我を忘れさせたのだろう。


「どうやら、この操手は半端なく私を読んでいる。

 どうやってかは分からないけど、知っているんだ私の事を」


初めて対戦する相手だが、先手を取るやり方から見てもそうとしか思えない。


「これは・・・かなり手強いのかもね」


リィンは相手の操手ドライバーを嘗めていたのは自分の方だったと気を引き締める。


「だったらさぁ・・・制限なしでやっちゃうんだからね!」


プラグスーツに装着され、シンクロシステムへ流れるパワー制御を臨界迄引き上げて。


「エイジちゃん!フルブーストをかけるよ!」


最大動力を両足へと注ぎ込んだ。


「驚かしてあげる!」


脚に填めてある制御ユニットに翠のゼロが燈る。


「チャージ!」


相手に急接近を試みようと・・・


 ズシャッ!


「ゲボッ?!」


空回りした両足・・・で、顔面からグランドへ。

やりたくもない地面へのキスを交わしてしまった?!


「どうなってるのよぉ~ぉ?!」


なんだか空回りが酷過ぎ。


レイ~?」


なんだか可哀想・・・と言いますか、どうしてしまったのか。


「まるで机にかじりついてたレィちゃんみたいだよぉ~」


リィンも涙目になって困ってしまうのだった・・・


思いもしなかったリィン。

まさかここまで動きが鈍いとは!


だって・・・宿っているのが勉強虫だった娘ですからW


一方、適役の少女人形にも活発な動きは見れず?

なにかを企んでいるのでしょうか?


戦いは意外な方向へと雪崩を打つことになるのですが・・・



次回 Act26 決め手は?

泥縄的な闘い方はごめんだと言う。リィンは一撃必殺な技を目論んだ?

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