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絆の行方 Kizuna Destination <魔砲少女ミハル最終譚>  作者: さば・ノーブ
第2部 魔砲少女ミハル エピソード7 第4章 バトル オブ バースデイミッション<誕生日戦闘>
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ACT 3 戦いの鐘が鳴る

始まる戦闘。

魔法少女達は強敵を相手として対峙する。

二人の魔法少女が闘っていた。

先手を打てた・・・勝利を手に出来た・・・


その筈だったのだが。


「「ぐぅろろぉおおぉッ!」」


地の底から現れ出たのは、後発の6匹。

黒い悍まし気な翳を纏わり着かせる魔物達が、二人の前に姿を現したのだ。


「嘘やろぉ~?!」


4匹を駆逐したミミだったが、後発の6匹を目にして。


「こんなん聴いてへんわ!」


思わず叫んでしまう。


「ど、どうしようミミちゃん?!」


傍らに控えたハナも、どの魔物から弱点を見つけて良いか分からなくなって。


「こんなに多くの魔物となんて・・・一度に対峙できないよ?!」


魔読の魔法にも限界があるとばかりに言い募る。


「「ミミっ子、ハナっ子。ここは一旦逃げの一手だ」」


二人のサポート役でもあるイヤリングの銀ニャンが、多勢に無勢だと警告してきた。


「「囲まれてしまう前に、引き上げるんだ」」


現れ出て来た魔物達に二人が取り籠められるのを防ぐには、この場から離れるしか無いと判断したようだった。


「せやかて!こいつらをのさばらしたら」


ミミが懼れたのは、6匹もの魔物を見逃してしまえば近くに居る人に災いを齎し兼ねないとの想い。


「この近くには団地だってあるんやで?!」


森の向こうに見え隠れする人家が視界に入り、自分が過去に受けた恐怖を思い起こしたのだ。


「こいつ等を見逃してしもうたら、誰かに襲い掛かるかも知れへんのやで?!」


無茶は承知の上で、闘おうと言うミミ。

連れが闘う気なのを知ったハナも、


「ミミちゃんだけに闘わせるなんて出来っこないよ。

 魔拳少女が闘うと言うのなら、魔読少女だって傍にいるんだから!」


共に闘うと誓ったのを守ろうとした。


「だって、その為に私も魔法少女になったんだもん!」


ミミだけに闘わせないとの想いが零れ出る。

好きになった子を守りたいとの想いが、ハナを突き動かしたのだ。


「ハナちゃん・・・おおきにな」


どこまでも友情を糧にすると言うハナへ、ミミは心の底から感謝した。


「せやから銀ニャン!

 あたぃ達は逃げへん!ハナちゃんと一緒に闘うんや!」


そして、迫り来る魔物を睨みつける。


「そうだよ!ミミちゃんの言う通りなんだから」


攻撃魔法を一手に引き受けるミミの傍らで、相手の弱点を調べ始めるハナも6匹の魔物に対峙した。


「「うむ・・・味方になってくれる者が現れるのを期待するしかなさそうだ」」


戦おうとする二人の意を汲んだ銀ニャンだったが、


「「間に合ってくれれば良いのだがな・・・」」


覚悟を決めたかのように呟くのだった。



二人の魔法少女達が決死の想いで闘いを続けようとしている。

その頭上では、翳りを孕んだ澱みが揺蕩っていた。


夜闇での戦いは、第2ラウンドを迎えんとしていた。

そして、この闘いこそが悪夢の始まりとなる・・・




一方その頃、出撃した美晴達は。



「邪操の機械兵を捕捉したノラ!」


地下から現れ出た邪操機兵との闘いが始っていた。


「ノーラ姉!左にも居るよ」


ノーラとローラが操縦する輝騎が、戦闘準備を整えて。


「先ずは右の1機を叩くノラ!」


ノーラ姉弟が右に現れた邪操機兵を狙う。


「左の3機は?」


モニターに捉えた敵は4機。

ノーラが最初に攻撃すると言っているのは、右に離れている1機。


「アイツを狙ったら、残りの奴等に後ろを狙われるんじゃないの?」


ローラが敵の配備状況を鑑みて、狙っている奴が囮なのではないかと躊躇したのだが。


「ふふん!そんなの端から分かってるノラ!」


姉であるノーラは、いとも容易く認めた上で。


「アイツ等がそう来るのなら。

 こっちはそれを更に逆手に取るだけなノラ!」


敵の出方を読み切った作戦だと答えるのだ。


「こっちが2機だけだと思い込んでるのなら。

 奴等は索敵能力が欠如しているのを思い知ることになるノラ!」


「あ?!なるほど・・・そう言う事か」


4機の邪操機兵と2機の輝騎が対峙して観えた。

だが、ノーラの言葉通りだとすれば、もう1機の味方がいる筈なのだが?


地上に観えるのは都合6体の機械兵ロボット・・・だが。


「了解した?」


ローラが先行するノーラを追いかけながら質問した。

正面モニターの片隅に映し出された子へと。


「それじゃぁ・・・作戦スタート!」


モニターに映った子が了解を示したのだろう、ローラが発動を命じて。


「4機の殲滅を図るからね!」


全ての邪操機兵を駆逐すると明言した。



新式の邪操機兵が1機だけ離れて行動している。

それを狙ってローラとノーラが攻撃を仕掛けた。


「ローラ!こっちは右を狙うノラぞ」


「了解!ボクは左に避けた処を撃つから」


最初から命中が期待できないのを見越したノーラの攻撃。


 バムッ!


装備されてある50ミリ機関砲が火を噴き、邪操機兵の行く手を遮る。

後方からの一撃だったが、攻撃を受けるのを読んでいたのか難なく避けられてしまった。


だが。


「予想通り!」


行く手を遮るノーラの攻撃は、邪操機兵を左側へと追いやる結果になった。

そこへ狙い澄ましたローラからの一撃が・・・


 グォム!


90ミリの狙撃砲がローラの操る輝騎から撃ち出されて。


 ズドムッ!


モノの見事に新型邪操機兵に命中した。


「やったね!ノーラ姉」


作戦の第一段階は、二人に拠って成功に導かれる。

そして・・・


大破した邪操機兵の傍を駆け抜ける2機の輝騎。


「残りの奴等は・・・追って来てるノラか?」


「うん!こっちの思惑通りにね」


離れた場所で遊弋していた3機の邪操機兵が、追いかけて来るのをモニターで確認したローラ。


「後は・・・惹き付けるだけ!」


そして、モニターの端に映る者へと目配せするのだった。



脚部に付いているローターが、高速回転している。

路面を噛み、機体を全速で進ませていた。


モニターに捉えているのは、人が操る人型戦闘機械。

仲間の1機を攻撃し、戦闘不能へと貶めた敵。


「「我1番機。これより攻撃に入る・・・続け!」」


リーダー格の1機から指令が下される。


「「2番機、3番機は長機のサポートに務めろ」」


攻撃はリーダーが行い、しくじった時に手を出せと命じて。


「「我々に与えられた命令を実行する。

  それは如何に長く敵を拘束するか・・・だ」」


攻撃を焦り、簡単に撃破されるのを防ぐつもりなのか。

それとも、本当の意味で魔法少女隊を自分達に惹き付けておくつもりなのか。


「「戦闘を長引かせるだけで良いのだからな」」


敵を打ち負かすのではないとリーダー機は言い切った。

只単に、魔法少女との闘いを長引かせれば良いとも言う。


それは何を意図しての発言なのか・・・



後方警戒モニターを観測していたローラの眼に飛びこんで来た。

追いかけて来た3機が散開したのを。


「なんだってぇ?!」


直進状態で逃げていたローラとノーラを追いかける3機が、


「しまったノラ!意図を見破られたノラか?!」


二人に追いつく前で、各々がバラバラの方向へと散ったのだ。


「これじゃぁ、1機づつ叩かないと!」


追われている立場の二人に、追いかける側の邪操機兵3機。

二人が連れ立って進んでいたのに、敵は散開して別々の方角に行ってしまったのだ。


「まさか、包囲するつもり?」


ローラが焦りを滲ませた声で状況を見図ろうとする。


「いや、違うようだノラぞ。

 包囲して攻撃して来る気なら近寄って来る筈だノラ」


焦るローラへ釘を刺すノーラ。

言いたいのは、敵は敢えて攻撃を控えている様にも摂れるということ。


「まるで時間稼ぎのようだノラ・・・な?」


観える敵は3機のみ。

だが、敵の状況を観てノーラは次に来るものを推し測った。


「どこかから伏兵が現れるかも知れないノラ」


敵の動きに惑わされるノーラ。


「3機以外にも隠れている奴が居るのかも知れないノラ」


地上に現れた邪操機兵以外にも、潜伏している敵が控えている?


「じゃぁ、どうするんだよノーラ姉?」


索敵をやり直し、新たな敵に備えるべきかを問うローラ。


「う~~~む。ここは一旦離れてしまう方が・・・」


そう・・・ローラが判断を下そうとした・・・その時。



 キラッ!



星明りを反射させた白い何かが。



 ドゴンッ!



塵尻になった3機の邪操機兵目掛けて。

否、一番遠くに離れ始めた敵の長機目掛けて・・・



 バシュンッ!



稲光にも似た蒼い光を撃ち放って来た!


「逃げるのなら・・・各個に撃破してあげるだけだよ!」


振って来る・・・白い・・・輝騎が。


「この零号機からは逃げきれないからね!」


両の足からホバーの風を吹き出す、美晴専用機が邪操機兵の長機目掛けて白刃を煌めかせて舞い降りてきた!




 キラッ!



周囲を警戒するモニターには、2機以外の機影は映っていなかった。

最初から人間の操る人型兵器は2機だけだとの判断で行動していた。


だから、迫る脅威があることに気が付けなかった。

機械であったにしても。


 ビビィーッ!


警報音が鳴り響いた時、邪操機兵のリーダーは計器が狂ったのかと感じた程だった。


「「どこだ?!何が?」」


地上を観測するモニターに、警報を鳴らす相手は写り込んでいない。


「「なにが・・・?!」」


一瞬の後、それが現れた。


白い・・・人型兵器が頭上から降って来た。

蒼い刃を振りかざして。



 ドガッ!



振り下ろされた斬鉄剣に、リーダー格の1機が・・・



 グワァアァンッ!



一撃で斬られて果てた。

残った2機へ指示も下せずに。


「これで・・・後は2機だけ!」


地上へと舞い降りて来た零号機のコックピットで。


「増援が現れなければ・・・ね」


辺りの警戒を怠らない美晴が呟いた。


これまでの戦闘状況を観て来た美晴は、いつもとは違う動きを見せる敵を警戒しているのだ。


「今夜は・・・いつもとは違う。

 そう。

 それはあたしだって同じなんだから」


運命の日。

それは今日を指している。

敵の出方が通常ではないのを、一番敏感に捉えているのも。


「きっと。

 敵も簡単には明日を迎えさせてはくれないだろうから」


モニターに映し出される夜景を見据えていた美晴が言った。


「あたしにとっても。

 そして敵にとっても。

 今夜こそが、運命のときだと分っているから・・・」


闘いの幕が開いたのだと。

敵にとっても、自分にとっても今迄で最大級の闘いになるのだと分っていた。


「だからこそ。

 あたしは・・・逃げちゃ駄目なんだ」


蒼く輝く瞳に力を込めて。

魔砲少女の宿命に対峙する美晴。


今、背負って来た宿命との闘いが始ったのを感じていた・・・



守るべきは友。

護らねばならないのは命。


そして、運命の時が訪れようとしていた・・・


次回 ACT 4 大いなる脅威

未来を賭けた闘いの幕が切られ、真の恐怖が舞い降りる。

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