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絆の行方 Kizuna Destination <魔砲少女ミハル最終譚>  作者: さば・ノーブ
第2部 魔砲少女ミハル エピソード 7 新たなる運命 新しき希望 第2章 でぇ~とぉ?あ?らいヴ? 魔法少女は清く美しく!
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Act 2 学園での生活

美晴と御美。


学園では先輩と後輩の間柄だった・・・筈?

都にある帝都学園。

公立の大学を皮切りに、中高一貫校をも併設しているマンモス学園として日の本で超有名校だ。


広大な敷地面積を誇り、校舎が建ち並ぶ景色は一つの街かと思える程。


高等部だけをとってみても、数々の学科ごとに校舎が建てられている。


商業科、工業科、文学科、科学研究科・・・そして。


美晴達が通う、魔法を学ぶ特別な科目も。





「だぁあああああ~ッ!魔法って化学だったのかぁ」


編入して来て、まだ日の浅い御美みみには、何もかもが初めて。


「これじゃぁ理工科と、変わらへんやんかぁーッ!」


教科書を頭に載せて涙ぐみ、


「あたぃには難し過ぎるぅ~」


机に突っ伏して喚いていた。


「あはは、ミミちゃんってば。今から嘆いていたんじゃお先真っ暗だよ?」


隣り合わせの席に座る、眼鏡の級友クラスメートが笑いかけて来る。


「そやけどなぁ、ハナちゃん。

 あたぃは数式を覚えるだけで日が暮れてしまうわぁ」


ミミが隣席に腰かける、ボブカットな栗毛で縁無し眼鏡の少女に応える。


「ハナちゃんみたいに秀才とはちゃうんやから」


転入して来たミミが、初めて親しく話せる相手になったはなと呼ぶ娘。

クラスメイトでもあり、偶然にも寄宿舎では隣の部屋だった

学年成績で常に3位圏内に居る優等生・・・土御門つちみかど はな


挿絵(By みてみん)


「私が秀才な訳がないよ。

 単に勉強するのが好きなだけの、取り柄無しっ子だから」


眼鏡を外して苦笑いを浮かべて応えるハナに。


「そんなん、あたぃみたいに元気だけが取り柄のお馬鹿っ子には耳が痛いで?」


勉強が好きだと言うのは、大したものだと感心する。


「そんな事ないから。

 元気が良くて明るいミミちゃんこそ、私には無い物を持ってるんだよ?」


「ない物?」


眼鏡を外したハナの紅い瞳を見上げて訊き返すミミ。


「そう・・・周りにも元気をくれる。

 私にも、みんなにも・・・生きるって素晴らしいと教えてくれてるモノ」


「・・・それってば、脳天気って奴なんとちゃうん?」


褒められたのか貶されたのか・・・


「ううん。ミミちゃんは天使のようだって意味だよ」


「天使・・・ねぇ?」


友達になってくれた娘から告げられたミミは、少し困ったように笑い返す。


「まぁ、あたぃは誰かさんに扱使われているんやもんなぁ」


お道化るように応え、左耳に着けた緑のイヤリングを指先で転がす。

緑のイヤリングに化けているクリスニャンを揶揄するように。


「まぁ、魔法を使えるんなら天使って呼ばれてもおかしゅーはないけど」


「それなら、この魔法科全員が天使になるよ?

 私が言いたいのはね、ミミちゃんが幸せを運んでくれる人に思えるって意味なの」


お道化たミミに、ハナが手を差し出す。


「だって。ミミちゃんは降って湧いたように現れたんだもん。

 面白くもない学園生活に、明るいきぼうを与えてくれたんだから」


ミミの手を取り微笑むハナ。


「だから。ミミちゃんが天使だって言ったの。

 勉強しか取り柄の無かった私に、学校生活が面白いって思わせてくれたんだよ」


「あはは・・・持上げ過ぎやってば」


本気でミミを天使だと思っているのかは知らないが、澄んだ紅い瞳からは嘘を言っているようには感じられない。


「ありがとうな、ハナちゃん」


「こちらこそ。これからも宜しくねミミちゃん」


高等部1年生の二人は手を取り合う。

クラスメートとして・・・信頼出来る友として。






3階建ての校舎。

御美みみは1年生で1階に。

その上には2学年生のクラスがある。


その中には彼女達の姿が見えた。



「最近・・・化粧っ気を感じるノラ」


黒緑髪のノーラが呟く。


「そうだよねぇ、ノーラ姉さん」


姉弟のローラ君が頷く。


「・・・らしくないノラ」


「だよねぇ・・・」


二人が観ているのは?


「ねぇ美晴?ファンデ塗ったの?」


「ルージュはどこの?」


少し離れた席に座っている黒髪の少女に、クラスメイト達が集まっていた。


「ファンデーションは使っちゃいないけど、クリームみたいなのは塗ったよ。

 唇も乾燥しないように薬用リップを塗ってるだけなんだよ」


「え~嘘ぉ?それだけでこんなに艶肌になれるのぉ?」


年頃の少女達がきゃいきゃい燥いでいる。

その中心に居るのは・・・以前よりも綺麗になった美晴。


「ホント。なにも特別なことなんてやってないから」


特別ではないと美晴は言うが、以前は化粧っ気なんてなかったのだから格段の違いではあるのだが。



「なんだか、ミハルっちの奴・・・恋に目覚めたようなノラ」


離れた席から、その様子を眺めているノーラが呟く。


「って?!誰になんだよノーラ姉」


傍らで聴いていたローラが眉を吊り上げて。


「シキ隊長に知られたら、大変だよ?」


魔法少女隊の約定では、色恋沙汰はご法度。

その隊長であるシキに知られれば、お小言の一つや二つが落ちるかもしれない・・・と、ローラは考えた様なのだが。


「ローラ君。鈍いノラぞ!」


「へ?」


咳ばらいを一つしてからノーラが断言する。


「ミハルっちが恋に堕ちるのなら。

 その相手は決まってるノラぞ!」


「・・・誰にだよ?」


確かにローラは鈍いのかもしれない。


「決まってるノラ!シキに間違いないノラ!!」


「へ?

 でも、美晴さんにはマリアという約束を交わしたが?」


ローラが遠い国へ帰って行った美晴の親友を指したが。


「ローラ君。

 遠距離恋愛よりも、近くに居るひとに惚れるのは。

 恋愛世界の常識なノラぞぉッ!」


「そ?!そぉーだったのか!」


言い包められるローラ。

知ったような口ぶりを噛ますノーラ。


でも、流石にローラ君もおかしいと気付きます。


「美晴さんともあろう人が、マリアさんから鞍替えするなんて思えないんだけど?」


「フ・・・これだから素人は嫌だねぇノラ。

 恋は盲目と言うではないか。

 ミハルっちだろうと、異性の魅力に堕ちたのだノラ!」


・・・知ったかぶりぃ~~~。

そう言うノーラは、恋をしたことでもあるのかね?


「観て見るノラ、ローラ君。

 ミハルっちの明るい顔を。

 つい最近まで夢魔に怯えていたのが嘘のようなノラぞ」


「そう言えば・・・そうだねぇ」


周りを囲むクラスメートと談笑している美晴を眺めて。


「あれはきっと。

 悪夢から誰かに救って貰ったに違いないノラ」


「そう見えなくもないけど?」


確かに一時的だが、美晴は夢魔の脅威から逃れているが。


「助けたのは、きっと・・・」


「きっと?」


腕組みをしたノーラが勿体ぶって。


「きっと・・・なんなんだよ?」


「フ・・・白馬の王子に決まってるノラ!」


白馬の・・・誰ですか、それ?


「白馬・・・ねぇ?元プリンスで今の上司って奴?」


「いかにもげそにも。なノラ!」


なるほど・・・彼を指していたのですか。

闇のプリンスから魔法少女隊の隊長になっている・・・彼ですね。


ノーラとローラ姉弟が、美晴を揶揄していた・・・ら。


「お~ぃ、ミハルっち!

 用務員室からお呼びがかかってるよ~」


教室に飛びこんで来たクラスメートが呼び出しを告げた。


「特別指導員さんが、剣舞部のエースに用があるってさ」


「は、はいぃッ!」


呼び出しを受けた美晴の声が上擦る。


「ありゃ?またなんだ~」


「あの大学を繰り上げ卒業したという美男子な指導員さんかぁ」


周りを囲んでいたクラスメートが、またかという風に美晴を観る。


「部活動にまで口を挟むなんて、門外の偉丈夫だよねぇ」


「いやいや。ミハルっちだけに固執してる訳でもないし。

 彼ってば、正義感の塊なんじゃないのぉ~?」


口々に指導員の噂を口にするクラスメートを余所に、当の美晴は・・・


「あ、あ、あたしッ!直ぐに行かないと」


真っ赤になった顔を隠すようにして。


「じゃ、じゃあ・・・また明日ね」


鞄を掴むと、脱兎の如く走り出した。


まるで、魔法をかけられた少女のように。


「・・・ほら見るノラ」


「マジ・・・だったのかぁ~」


走り去った美晴を指して、ノーラが勝ち誇る。


「まぁ。お似合いさんってことで、OKだよね」


「いや、これは問題なノラぞ。チクってやるノラW」


含み笑いをするノーラと、肩を竦めてみせるローラ。

二人は恋路に堕ちた美晴を笑顔で送り出していた。



「も、もぅ!シキ君ったら」


駆ける美晴。

心臓が高鳴り、頬が熱くなっていた。


「闇を討伐した訳でもないし、紋章に取り込んでもいないのにぃ~」


やって来る時は、決まって魔法を放った後。

戦いを終え、夢魔に脅かされる時だけだった。


それが今は・・・


「あたしの血が欲しいのかな?

 それとも話をしたいのかな?」


どちらにしても、美晴は駆けつける。

二人だけの時間が、やって来るのなら。


恋仲になったシキが呼んでいるのだから・・・




  ドカッ!



不意打ち・・・突然の。


「あ、危なぁ~」


それは用務員室への廊下で起きた。

用務員室は1階の隅に在る。


拠って、辿り着く前に在るのは・・・


「またぁ~?諦めの悪い傍迷惑っ娘ねぇ!」


横合いからのキックを避けて、美晴が呼んだのは。


「なははははッ!今日という今日こそは・・・勝負してぇなぁ~!」


「はぁ・・・性懲りもない子よねぇ、ミミさんは」


黒緑髪で・・・美晴にとってはお邪魔虫の。


「この魔拳少女のナックルミミと・・・」


「はいはい。傍迷惑極まりない・・・」


肩を竦めてみせる美晴と対峙している月神御美。


・・・でしたが。


「はい・・・職員室に直行」


美晴の担任、太井女史に連行されていく。


「ぴにゃぁ~~~~?!」


猫掴みにされて連れ去られるミミ。


「だから・・・性懲りもないって言ったんだよ」


額を押さえてため息を吐く美晴。


「これで十回目なんじゃないの?終いには停学させられちゃうよ?」


傍迷惑な魔法少女に、同情の一つも言ってやり。


「っと!急がなきゃ」


彼が待つ用務員室へと歩み直した。


それは、何気ない日常の一コマ。

それも幸せな普通の一日・・・


シキに呼び出される美晴。

それはいつもの光景でもあったのだが?


これが後々に響く事になるなんて、当時の美晴には想いもしなかった・・・


さぁ!

いよいよ第2章本番です。

学園ラブコメ!この母あって娘あり?!


次回 Act 3 気の迷い?この母娘に祝杯を!

ああ・・・やはり美晴さんは。そんな娘だったんですね(内心ホッとするかもW)

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