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絆の行方 Kizuna Destination <魔砲少女ミハル最終譚>  作者: さば・ノーブ
第2部 魔砲少女ミハル エピソード 7 新たなる運命 新しき希望 第2章 でぇ~とぉ?あ?らいヴ? 魔法少女は清く美しく!
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第2章 Act 1 魔法は誰のために  

第2章は・・・

帝都学園に集う少女達の日常を描きます。


それに、美晴にとって忘れがたい日々をも描いてまいります。

と、言うのも?

月夜の晩・・・


現れ出た怪異の前で・・・



「ぐおおおぉっ?!」


少女の鉄拳が唸りを上げる。


「おら!おら!おら!」


魔法少女の拳が、闇から現れ出た魔物を打ち据えた。


「あたぃだって!いつまでも素人じゃないんやで!」


翠の髪を靡かせ、怪異と対峙するのは。


「魔拳少女のナックルミミが、魔を討ち祓ってやるんや!」


白い魔法衣姿の少女が、魔物に挑んでいる。


「おのれぇ!小娘如きがぁッ!」


素早く立ち回るミミに翻弄される魔物。

痛手を被ってはいないが、小馬鹿にしたようにパンチを受け続けている。


「捕まえて捻り潰してやるぞ!」


魔法少女の魔力を奪いに来た魔物。

だが、反対に叩かれ続けて怒り狂う。


「ぐるおおおおぉッ!」


掴みかかろうと腕を突き出し、吠えまくっているが。


「そんなんで捕まる訳も無いやろ~が!」


ひらりと体を避けるミミ。


「もう、此処までやで!

 あたぃの必殺技で葬り去ってやるさかいにな!」


避けた足で、危害半径から飛び退いて。


「いくで!これがあたぃの必殺技・・・」


ぐるぐる右腕を振り回し始める。


烈風牙ナックルトルネード!」


全力魔法を回転させた拳から放つ・・・魔砲の技。


「くたばりやがれぇ~ッ!」


金色の魔法陣が拳の前に展開され、その中心から魔法の旋風が噴き出す。



 ドギュルルルルルーーーーッ



それは水平に撃ち出される<竜巻>にも似ているが。


「馬鹿なぁッ?!」


錐状の先端に捉えられれば、魔物は身体に穴を穿かれてしまう。



 ドドドドドド!



しかも魔法の竜巻は、地上をも削り取る威力をみせる。


「ぎゃああぁッ!」


命中した必殺技で、さしもの怪異も堪らず滅びを与えられてしまう。



 ビュルルルル・・・・



旋風が消えた後、怪異の姿は地上には残っていなかった。



  ナックルミミの勝利!



「へん!あたぃが普通の女の子やと勘違いしたお前が悪いんやで!」


ヴィサインを掲げて勝利を宣言する魔法少女ナックルミミ。


「悪の栄えたためしはないんや!」


高らかに勝利を謳う魔拳少女。


でも・・・いつの間に?

こんなに強くなった?


「これで10匹目やな。

 あたぃの前に魔物が現れたんは」


10匹も?襲って来たのか?


「なぁ、銀ニャン?」


左の耳に着けている緑色のイヤリングに話しかけるミミ。


「「それは・・・お前が見境無しに魔物討伐をするからだろうが」」


銀ニャンと呼ばれる魔法猫が、呆れたように答える。


「そっかなぁ~?

 あたぃの周りに、魔法少女がわんさか居るだけなんとちゃぅん?」


「「それは・・・学園が魔法少女の集う所だからだろうが」」


魔法科学を教育する学部があった。

当然のこと、そこへ通っているのは魔法を宿した少年少女達でもあるのだが。


「あたぃはミハルはんを超える魔法少女に成りたいだけなんやけど」


そこに編入して来たのは、月神げっしん 御美みみの希望。

そして・・・


「まぁ、あたぃの目標とティス様の目的が重なっただけ。

 あたぃは最強の魔法少女に成る為。

 ティス様からの依頼は、ミハルと呼ばれる女神を救援する事。

 その為に、あたぃへ女神級の異能を授けてくれはったんやし」


「「そうだ。ティスの求めが最優先なんだぞ、ミミ」」


ミミに魔力を与えたのがティス。

魔法少女に成り、喪われた筈のミハルという女神を救援せよと命じられたのか。


「へぃへぃ~、分かっておりますよクリスニャン」


頷いたミミが、魔法衣を解く。


「リバース」


白の魔法衣が光の塵となって消える。

瞬く間もない一瞬で、元の制服姿へと戻って。


「今日の処は部屋へ帰ろ」


魔法力を使った後だから、少々疲れたのか。


「部屋に戻ったら、甘い物を食べんと・・・やな」


甘い物?それはどう言った意味で?


「「そうそう。

  お前が甘い物を食べるのは魔力の快復に効果があるからな」」


銀ニャンも促して。


「「私にも分けるんだぞ」」


「・・・そんなこと言って。ホントは銀ニャンが食べたいだけなんとちゃぅん?」


ミミがジト目になって呟く。


「「おっほん!気の所為だ」」


・・・怪しいな~


挿絵(By みてみん)


月の明かりに照らされた魔法少女が、学園付属の寄宿舎へと歩んで行く。

まるで何も無かったかのように・・・・





夜の静寂しじま


魔物が徘徊する世界だとは、一般の人には伏せられていた。

その存在を知っていたのは、一部の人間だけ。

魔法に拠って魔物と対峙している者だけ。


そう・・・闘う者だけが知っていた。



部屋でカーテン越しに月を見上げている・・・美晴。


「あれから・・・現れなくなったなぁ」


闇を倒せば宿った者が吸収し、夢魔の空間で襲われてしまった。

それも、あの日からはなりを潜めている。


夢魔の空間で、魔獣鬼ゲルベスクに襲われた日。

凶悪な魔獣鬼ダークホラーに冒される寸前のことだ。

窮地を救ってくれたのは、嘗て宿っていた堕ち神。

現、大魔王のデサイア。

魔王軍が美晴を救ってくれた、蒼ニャンの指示を受けて。


夢魔の空間で穢されそうになっていた美晴を救いに現れた・・・闇の者達が。

その王たる者は、優しげな瞳で見詰めてくれた。


「蒼ニャン・・・変わっていなかったなぁ」


二年前を最後に、逢っていなかった。


「大魔王だなんて言っても、前と変わらず優しいままだった」


闇に堕ち、対峙した時もあった。

だが、美晴によって聖なる心を取り戻し、大魔王に収まった後でも。


「約束を守ろうとしてくれている。

 魔王になっても人の世界に干渉しないで・・・

 あたしを姪っ子だって、未だに呼んでくれるんだね」


魔族を統率し、人に危害を加えようとはしていないのも。

人の中に美晴の存在があるからかもしれなかった。


「気にかけてくれていたし、心配もしてくれている。

 あたしが呪われたままなのを悔やんでいるようだったから」


人間界と魔界。

嘗ての憑代である美晴を案じる大魔王デサイアが、最後に言い残した。


「あたしが17になったのなら。

 夢魔が牙を剥いて襲って来る・・・」


右手に残された堕ち神の紋章。

呪いは消えず、虎視眈々と目的を果たそうとしているのだと教えられて。


「夢魔の空間では襲って来ないかもしれない。

 なぜなら、闇の中では大魔王軍の救援が受けられるから」


もしも、夢魔の空間で対峙するような事になれば。


「そうだよね・・・黒騎士グランさん?」


机の上に載っている黒毛の縫いぐるみに語り掛ける。


「もしもの時には。

 直ぐに蒼ニャンへ、知らせに飛ぶんだよね?」


漆黒の瞳を光らせる縫いぐるみ。

まるで魂が宿ったかのように頷く。


「そう・・・ありがとう。コハルちゃんのお友達」


美晴は黒騎士グランの事を覚えていた。

二年前の最終決戦を経て、神々の国へと帰って行った小春神ペルセポネーの臣下だった者を。


「蒼ニャンがあたしへと贈ってくれた守護者(ガーディアン)

 あの日からずっと見張ってくれているから・・・夢魔も手を出して来ないのかな」


強力な闇の軍団を支配する大魔王デサイアが、美晴を護る為に寄越したのが黒騎士。

人間界では、縫いぐるみの姿形を採っているのだ。


「もう直ぐ・・・あたしの誕生日が来る。

 その時、何が起きると言うのかな?

 一体何が起きて、どうなると言うのかな?」


呪いを受け続けるのが終わるのか。

それとも、自分自身が終わりを迎えてしまうのか。


何も分かってはいなかったのだ・・・が。


「その日が来る迄は・・・精一杯生き続けようと思うの」


黒騎士縫いぐるみの傍に建ててある二年前に撮られた写真額を、微笑みを浮かべて見詰める。


「そうだよね・・・マリアちゃん?」


赤毛の少女が微笑んでいた・・・写真の中で。


「一緒だよね・・・シキ君」


銀髪の青年が笑いかけているように感じて。


「あたし・・・二人に誇れるように頑張るから」


愛する二人へ誓うのだった。



魔法少女は生きている。

今を・・・世界の中で・・・精一杯。



最強を目指すミミ。

ひたすらに生きる続けることを願うミハル。


二人の未来は?



二人の魔法少女。

各々の想い。


そして掛買いも無い日々。

美晴も御美も・・・この時代を生きているのですから・・・


次回 Act 2 学園での生活

美晴は心に秘めた想いを。ミミは相変わらず・・・・損な子でした!

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