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絆の行方 Kizuna Destination <魔砲少女ミハル最終譚>  作者: さば・ノーブ
第1部 零の慟哭 戦闘人形編 魔弾のヴァルキュリア 第7章 Paradise Lost<楽園喪失>
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ACT 6 巨大損な女神って?

鍵の御子は女神に教えられる。


諦めれば、全てを失うのだと。

逆に諦めずに抗うのなら?


その答えは・・・・

閃光が迸る少しだけ前。


魔女イシュタルの企みが判った鍵の御子が、最期まで諦めずに抗っていた。

人の世界を繋ぎ止める為に。

地上を悪魔から救う為に。


「覚えておきなさいオリジナル!

 これが審判の女神の務めなのよ!」


現出した女神リーンから告げられた。

機械の身体に宿ったリィンの記憶へと、啓示として与えらるのは。


「悪しき者から守るべき時。

 その体に宿る光を放つの・・・それが魔を打ち破る方法」


自分が思い描いていた魔法とは違うけど。


「願いを叶えるには、自らも闘わねばならない。

 守るべきモノを邪なる者から守る為には放たなければならない、光を!」


求めるのは光であって絶望やみでは無いと教えられる。

尤も、人に過ぎない自分にきぼうを放てるのかは分からない。


「人ならば光を受ければ影が出来る。

 人であればこそ、光も影も纏えれる。

 生ある者、死せる魂、どちらもが光と闇を抱く者なの」


生まれ変わりの女神リーンに身体を預けた鍵の御子は、最期の瞬間に垣間見る。

女神の異能ちからを。女神の御稜威を。


右手を突き出し、制御室をも乗っ取ろうとしていた防衛システムへと。


「エクセリオ・ブレイカー!」


聞き慣れない声音を叫ぶ。


・・・と。


 ガシャッ!ガシャガシャ!!



メインコンピューターから異音が?!


一体何が起きたのかも分からず、唯、女神の声を聞き入るしかなかった。


「これで魔女イシュタルの企みは潰えた。

 人類を殲滅することは叶わなくなったわ」


一体どうやって?一体何がどうしたと言うのだろうか。



 カシュ!



先程までいくらキィを叩いても、進行出来なかった改変プログラムが。


「「嘘?!発動した!」」


女神リーンがどうやってシステムを稼働させれたのかは分からないけど。


「「これでやっと・・・この躰を捨てれるんだ」」


役目を果たし終えれば、自らを破棄する筈だった。

そうするのがタナトス教授との約束でもあり、人に戻れる唯一の方法だと言われていたから。


自らの記憶たましいを犠牲にしてまでも託してくれたタナトス教授。

刺違えになって悪魔タナトスを滅ぼし、そして人の世界を繋ぎ止めるように願ってくれた。


彼の残した言葉が過る。


<リィンは女神になっておくれ。決して悪意に染まらずに。

 人の世界を再び楽園へと戻せるように。

 何年懸ろうとも、最期まで諦めずに>


楽園を・・・取り戻す為に。

その言葉が今のあたしに重く伸し掛かっている。


亡くした人々でさえも蘇らせ得るのなら。

理不尽な世界の中で奪われた想いも、手に出来なかった平和も。


何もかもを取り戻せるのなら・・・



「これでオリジナルの描く世界になる筈。

 それでも、破滅の危機は去ったとは言えないけども」


審判の女神は<私>に告げた。


「魔女イシュタルの脅威が消せない限りは、破滅の危機は続くと知りなさい」


世界の闇を統べる者・・・魔女の存在が消せなければ。


「オリジナルの描く理想には届かない。

 それ故に、審判を下し続けなければならないのよ」


女神リーンは言う。

世界のどこかに邪悪が根付いてしまっていると。

人と世界を滅ぼそうと企む巨悪の存在を。


「この未来永劫へと渡る輪廻を終わらせるには。

 魔女から地球を取り戻さねばならないの。

 その為には・・・もう一度やり直さなければならない」


魔女を駆逐するまでの間、世界は何度もやり直しをし続けなければいけないのだろうか。

一体その日はいつやって来てくれるのだろう?


「オリジナルは覚えていないかもしれないけどね。

 この世界だって変えられているのよ。

 レィと死神人形とが最後の決戦を挑んだ時だって。

 本当ならレィは此処まで辿り着く時間が無かったのよ。

 理の女神が手助けしなかったのなら・・・ね」


そう言えば、デジャヴュのような感覚に囚われた。

前に一度見た様な気がしたからだったけど・・・そうだったんだ。


「それに、そもそも。

 ケラウノスなんて殲滅機械を、この世界で造れると思う?

 あれは異星人で魔女なイシュタルが齎した惑星改造機械。

 未開の惑星に文化を届ける為に造られた洗脳機械でもあるのよ」


異星人に魔女。どちらも人外な存在でしかないけど。

どこかの雑誌に紹介されていた、人類の歴史は何者かに因って構築されたのだとか。

それが異星人なのかは知らないし、分かりようも無い。


「奴等の真の狙いは、この星を破滅させること。

 数十億もの人を根絶やしにし、理不尽なる死で広まる闇を吸い込む。

 闇の力で地球ごと壊し、その爆発エネルギーで太陽までも破壊する。

 闇で真の闇を生む。

 太陽系の破壊に拠り、生み出されるのは・・・」


それならば聞いた事がある。

恒星が破滅した後に産まれるのは・・・ブラックホールだと。


「そう・・・分かったようねオリジナルでも。

 奴等の狙い・・・それは魔女のあるじの復活。

 混沌を統べる王の誕生を狙っていたのよ」


ブラックホールと言ったら、何もかもを吸い込むというアレ。

物質も光をも吸い込む、無限の闇?

そんな物を生みだそうだなんて・・・


「私達も初めは信じられなかったわ。

 彼女に出会うまでは・・・T’s(ティス)が教えてくれるまでは」


女神でも知り得なかったのを知っていたの?

そのティスとかいう人は。

一体・・・それは何者?


「覚えておきなさいオリジナル。

 世界に蔓延る真の闇を潰えさせない限りは、危機は去らないのだと。

 この地球ほしの未来は、あなたに懸っているのだと心しておきなさい」


そんな・・・益々重く伸し掛かって来るだけじゃない。

人の世界を取り戻すだけには留まらないと言われちゃった。


「幸いなことに、オリジナルは千年周期に審判を下すと言った。

 そのチャンスを生かせるように、手を打つのよ。

 奴等から人類を守る為に、改変を続けるの。

 例えば、空に防護壁を設けてみるとか・・・」


宇宙からの侵略にでも備えるのですか?


「それも有るけど。

 航空攻撃が不可能にしておくだけでも戦争が悲惨にならないわよ」


そうする事で不必要な人的被害が食い止められる・・・そうよね。


「それに。

 この後、星が落ちて来るわ。

 一見、箒星がぶつかるかに見えるけど、その実は」


魔女の仕業だと言いたいんですね。


「御明察。奴等が焦り始めた証でもあるんだけど」


防ぐ手立てはあるのでしょうか?


「ケラウノスを悪魔化したかに見せかける。

 人類の敵としての存在に仕立て上げ、奴等の眼を誤魔化すの」


それがどうして星を防ぐ方法だと?


「ケラウノスに因り、空へ電磁階層を造るの。

 言うなれば体の善い防御隔壁のような物よ。

 それがあれば体積の小さな隕石ぐらいは防げるわ」


なるほど・・・まるで魔法の壁みたい。


でも・・・それがあると、エイジ達が帰って来れない。


「そうね・・・月の民には待って貰わなければいけないわね」


そうでもしなければ、魔女に攻め込まれるのなら。

仕方が在りません・・・危機が去るまでは。


「納得できないでしょうけど。

 それが愛する人の為だと我慢してよね、オリジナル」


・・・はい。


・・・


・・・・


・・・・・・・・



って?!

いつの間に会話してたの?


「前にも言ったけど、高速会話中なのよね」


いいや、そうではなくて!

どうして女神リーンの方が身体を支配し続けてるのかってことですッ!


「あら?あなたの記憶たましいは当に冷凍睡眠中の身体へと戻れる筈だけど?」


へ?


「だって、目的も完遂出来たんだから。

 初めからこの体なんて捨てる気だったんでしょ?」


い、いや。そうだけど・・・戻れるの?


「もぅ。やっぱりオリジナルが元祖損な娘だったのね。

 生みの親がそうだから、ミハルって子までもが損なのよ」


誰ですかそれは?・・・って?!ミハルぅ?


「ああ、レィのことじゃないわよ。

 その元祖で、超一流の損娘。宇宙狭しと言えど、アレに勝る損は居ないわ」


なんですか・・・その巨大損は?


「言ったじゃない。

 アレは私のペットでもあり、愛を司る女神。

 今現在は、邪操界で魔女を駆逐している筈よ」


邪操界?!魔女を駆逐できる・・・絶対損?!


「・・・絶対損とは言うわねオリジナルも。

 アレはそん所そこ等の魔砲を放つ女神より強いんだからね」


いや、あの。


「そう言えば。さっき亜空間通信テレパスが届いていたわね」


テレパス・・・まさに魔法使いだわ。


「ふむ・・・そう?じゃぁ奴等は?

 なるほどね・・・それじゃぁ分からなかった訳だ」


・・・誰と話してるんだろ?


「うん?ああ、コレね。私のペットなの」


耳に手を添えてる感じが女神を通して分かる。

で、通話先の悲鳴も感じられた。

何だか酷く泣き喚いてるような?


「煩いわねミハルってば。分かったわよ解除してあげるから」


・・・何を解除するの?


「ほら、ペット状態解除。これで良いでしょ?」


何やら通話先から嬉々たる声が聴こえた様な?


「ほら、馬鹿なことをやってるからオリジナルが不審がるじゃないの。

 殲滅完了したのなら、さっさと配置に戻ったらどうなのよミハル」


で、今度はアイサーって感じで了解してる。

まぁ・・・女神なんだろうから範疇外だけど。


「フフフ。これで次の作戦の目途が立ったわ。

 次こそは魔女を完膚なきまでに叩きのめせる。

 やっと地球を救う事が出来そうだわ」


目途がたったの?


「やっとね。

 3千年もかけて・・・漸く」


そう言えば、審判の女神も3千年女神なんですよね?


「・・・永遠の二十歳はたちだと呼びなさい」


いや、年寄りだなんて考えてないから。

それに姿も見せて貰ってないし・・・


「観たい?それなら・・・あなたのお母様を意識して。

 あなたは私を創る時に理想を描いた。

 母の面影を映し、優しさを与えてもくれた。

 運命に翻弄される姿も、凛々しい姿も・・・何もかも女神わたしへ与えたの」


そうだった。

改変される世界で、<あたし>はミカエルお母様のような人になりたいと願ったんだ。

そうすることで寂しさを誤魔化し、お母様と一緒に居るのだと言い聞かせる為にも。

あたしの母への想いが容になった女神。


髪の色は、あたしの茶髪よりも金色に近い。

瞳の色だって、アタシなんかよりももっと碧い。

それに・・・あたしなんかよりもずっと大人な姿。


そう・・・きっと。


挿絵(By みてみん)


あたしが審判の女神になるのなら。

・・・その姿は、お母様・・・ミカエル・オーク。





世界へ始まりの閃光が放たれる前。

私は<あたし>へと戻る時間を与えて貰った。


次元を超えて現れた女神に因り。

生まれ変わる筈の女神リーンに促され。


それは、全人類が変わるほんの少し前。

彼等にお別れを告げる・・・前の事だった。

今回。

審判の女神がお知らせしたキャラ名。

<<T’ティス>>

その名は遥か銀河系にまで轟いております。


ご存知でしょうか?

https://mypage.syosetu.com/793065/

「加純」様の作品を。


https://ncode.syosetu.com/n5837di/

「テスとクリスタ」


その損な主人公<テス>様の恩名をお借りしました。

女の子キャラ主人公=損 同盟 は未だに健在です!

彼女も完全無欠に・・・巨大損・・・です?!

興味がおアリでしたら・・・読んでみてね。


加純様、今後も<T’s>をお借りします(宜しくです)。


鍵の御子と審判の女神が語り合ってる時。

魔女を追いかけた理の女神は?


次回 ACT 7  魔女の名は

女神は悪を赦さず。理を司る女神は・・・悪を斬る!

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