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俺は少弐氏をこの戦国乱世で大国にしてみせる!  作者: 肥前守田中丸
立志編
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第八話 大金




評定が終わった俺は、主だった家臣十数名を連れて地図が示す地点へと向かった。

いったいどれほどの金の量があるのかを確かめるためである。そして一応、荷駄と馬何頭かを資光殿に借りてきておいた。これですぐにでも持ち出すことが可能になった。本当に資光殿には感謝してもしきれないな…




地図が示している場所は道から外れた人気のない森の中……それも朽ち果てた神社を示していた。





「......ここでしょうか...??」


「....地図の通りであれば....ここ...みたいだ」


確かに、疑いたくなるようなレベルで朽ち果てている神社だ。だけど親父が記した地図以外、今は信じれない。


「ひとまず、手分けして探そう」


俺が皆に声をかけて各々散らばって調べ始めた。




━━━━━━━━━━━━━━━━━



そこそこな大きさの神社であったが、探し始めてすぐ怪しい場所を見つけた。


小さな(やしろ)の土台の石を少し押すと、ゴロゴロゴロゴロと音を立てて石が外れていき、大人が1人が入れるくらいの大きさの穴ができた。


中を確認するために、1人の家臣が入っていった。ここが間違っていたら俺らはおしまいだ.....頼む出てきてくれ.....!!!

そう祈っているのが届いたのか家臣から放たれた言葉が我々を歓喜させた。


「....!!!!松法師丸様!金塊が大量にあります!」



ビンゴだ!これで少弐家を復興させることが出来るかもしれない...!!!

だけど急いで運ばないと、いつ大内の連中に見つかるかも分からない!急がないと!


「皆の衆!なんとしてでも大内の連中に見つかる前に急いで金塊を運び出すぞ!」


「はっ!」

俺を含めた家臣総出で、木箱を取り出し荷駄へと積んでいくのであった。



(みな)が慌てて金塊が入った箱を運び出している中、

神社の境内の外にある森の中から、ひとつの怪しい影がこちらを覗いていた。

しかし俺たちはその影に気付くことなく馬を走らせ、足早に蓮池城下へと向かった。





━━━━━━━━━━━━━━━━━


はぁはぁ......はあはぁ......

と、息を切らしながら俺たちは何とか無事に蓮池城下の屋敷へとたどり着くことができた。


「......何とか無事にたどり着くこと出来ましたな、松法師丸様」


「....ああ.....ハアハア.....とりあえず...ハアハア....いくらあるのか調べてくれないか?」


早く知りたい。一体どれくらいの金塊があるのかを、いくらの価値があるのかを。この金塊に俺たちの、少弐家としての生命線が掛かっている。何としてでも、一刻も早く知りたい。


「…かしこましました。ではすぐにでも数えさせます」


そういうと家兼は、手の空いている者総出で金貨の量を数え始めた。








あれからどれくらいの時間が立ったのだろうか?家兼が俺の方へと近づいてきた。



「松法師丸様、(はか)り終わりました。」


「おお、一体いくらだった?」


「二千五百(かん)でございます」


「おお!!二千五百貫か!」


って二千五百貫?

急に言われても、正直ぜんぜんピントこないな…

こんなことなら貨幣の計算方法でも調べておくんだった…


結局、俺が困っているのがバレたのか、家兼はおもむろに紙を取りだし、説明してくれた。


「松法師丸様、二千五百貫と言うのは石高に換算すれば約五千石ですぞ!かなりの大金でございます!」

と少し興奮気味で言ってきた。


二千五百貫.......少なくとも家兼があそこまで言うのだから大金で間違いは無いのだろうが.......だいたい耳にしていた貫の単位でいうと二万貫とかそれくらい大きい数字だったから少しインパクトが......足りないような.......

いや、でもこれが頑張って親父が俺に残してくれた金なんだ。最後の道標(みちしるべ)なんだ…この金でやりくりできるように頑張らなくては。

そんなことを考えていると、1人の家臣が俺の方へと近づいてきて、

「松法師丸様.....その、金塊が入っていた箱の中にこんなものが.......」

と、何かを渡してきた。


そこには......昔の字なので見ずらいが「松法師丸へ」と書かれていた。......もしかしてこれは….


「…!松法師丸様…!」


横にいた家兼がはっ!と気付いたらしい。


「松法師丸様......これは資元様の筆跡でございまする」


親父の....??!!!一体どう言う事だ?何故金塊の箱にこんなものが?

「…まぁいい、家兼早く読んでくれ…」


「…わかりました」

━━━━━━━━━━━━━━━

松法師丸へ


そなたがこれを読んでいるということはわしはもう死んでおると思う。

色々と思うところかあると思うが、わしが貯めて置いた金塊をお主に残しておこうと思う。

…じゃが、ここにある金塊は全体の半分程じゃ。もしもの時のため、2ヶ所に金塊を分けておいた。

残りの半分は......おそらすぐにでも案内役が来るであろうから、今しばらく待っていてくれ。

こんな何も出来ない父親であったがそなたの事を誇りに思うぞ。

我が少弐家を再興(さいこう)してくれ。頼んだぞ。


資元


━━━━━━━━━━━━━━━

「うぅ.......うぅ.....資元様........」

家兼は手紙の内容で泣いてしまったらしい。

かく言う俺も....

....親父......ありがとうな........たったこれだけの手紙なのに…涙が止まらないよ…










少し涙を流して後手紙のことについて考えてみた。

ここにある金塊は全体の半分程なのか.....案内役がくると書いてあるが.....まぁ、ここは何も打つ手がないし、大人しく待っているか。


そんなことを思っていると家臣が慌てた様子でこちらへ来た。



「松法師丸様!.....その、松法師丸様に会いたいと申している者が来ているのですが....いかが致しましょう?」




.......どうやら俺は感傷に浸るにひたることもできないらしい.......そんなことを思ったのであった....。


皆様、約三か月振りの投稿…申し訳ありませんでした…!!!!



ほぼ失踪のような感じでしたが、これからは月に”二話分”は投稿していこうと思いますので、よろしくお願いします。


…失踪…しないよな?



~解説?~


1000貫は調べたところ大体、1億~1億5000万円ほどらしいです。

ということは…ものすごい大金ですね…


次話は九月十八、十九日になりそうです。


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― 新着の感想 ―
[一言] やっと再開したか、待たせてくれましたねぇ(苦笑) 資金を確保した主人公だが、まだ油断はできないですね・・・。
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