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俺は少弐氏をこの戦国乱世で大国にしてみせる!  作者: 肥前守田中丸
対馬国編
30/32

第三十話 船酔

もうすぐ前話から一か月だったのか。



恐ろしっ

 俺たちが貞清殿の船に乗ってから数刻が経った。

船の周りは光を失っていっている。時刻はとっくに夜である戌の刻一つ(19時)になっている。


 今、俺はどこにいるのかと言うと…


「う…うぉぇぇぇ…」


 …甲板の端で魚にえさを与えていた。

俺の声に呼応するように反対側の甲板の端で、今度は隣で、そのうめき声は響いていた。

陸でしか過ごしてこなかったものにとっての船というものは知らないことだらけである。特に、船の揺れに関しては身体的にも精神的にも全くの未知と言ってよい。


 かつて味わったことがない奇怪な揺れは内臓を揺らし、味わっている人間の中身をぶちまけさせてくる。かく言う俺もその一人である。だが数刻乗っていてか、酔いがかなりましにはなってきてはいることは自分でもわかってきていた。(この時はわからなかったがそもそももう出す中身がなくなってしまっているのかもしれない。)

 そんな折、俺の近くに誰かが寄ってきた。


「松法師丸様、食事の準備が…できましたが、いかがなさいますか」


 と俺の今の現状を察してくれた家兼が言ってきた。


「…すまんが、今は食えそうにない…水だけたのむ」


 うっ、とまた吐き気が襲ってくる。

それを何とか抑えて俺はぴんぴんしている家兼に言う。


「家兼…お前は、その…吐き気はないのか。」


「…これがまったく。わしの体は丈夫なようで」


 はあ、まったくなんなんだこいつ。さすがはいい年して戦場で暴れまわっているだけあるなぁ…。

そんな関心をしていたとしても、吐き気は容赦なく襲ってくる。


おぇぇぇぇぇ…


家兼は、そんな俺の背中をだまってさすってくれる。


「家兼様がうらやましいですな…うっ…」


 と横でうなっていた者ー清房が甲板のヘリにつかまりながら言う。顔色があまりすぐれない俺よりも顔色が悪いことが見て取れる。


「おぬしはもう少し横になっておれ。まったく…松法師丸様よりもおぬしのほうが体調を悪化させてどうする」


 と家兼はなだめながら、あきれている。


ミシミシ

と甲板の上を歩く音がした気がした。


「松法師丸様、ご体調は…あまりよろしくないようですね」

と貞清がこちらに歩きながら言ってくる。吐き気でそれどころではない、が貞清殿は甲板上でも平然としている。


「そうでございます。松法師丸様はまだ船に慣れておられぬ様子ゆえ、なにか御用でしたらわしに」

家兼が俺の代わりに貞清殿と話してくれる。


「いえ。少しばかり様子を、と思いまして。…その御様子では今日中に回復は無理ですな。私が最初に船に乗った時も数日間は船酔いに悩まされました…衣服を少し緩めると船酔いが少し収まりますよ、お試しください」


そうなのか。今は少しでも吐き気が収まってほしいと思い、俺は言われるがまま来ている服の帯を緩めた。

うん。少し、気持ちが悪いのを和らげることができた気がする。


「少し吐き気が収まった気がする。ありがとう貞清殿」

俺は素直に貞清殿にお礼を言った。


「いえいえ。…あそれと、うまくいけば三、四日後には対馬につけると思いますのでそれまでは何とか耐えてくださいね。何か必要でしたら私に申し付けてくださいでは」


と言い貞清殿は船倉へと戻っていく。


あと三日四日…だと…?嘘だろ…この地獄が数日も続くのかよ…

と俺は半ば絶望しかかっていたのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 二日目。船に乗り二日目になっていた。昨日は吐き気のせいで吐いては寝て、吐いては寝てを繰り返していたせいで、あまり眠ることができなかった。この日もずっと吐き気でまともに会話すらできなかった。

家兼は相も変わらず、ぴんぴんしていた。

 同じくなぜかぴんぴんしていた資誠と一緒に話しているのも見えた。が俺はそんなことにかまっていられる状態ではなかった。



 三日目。この日も吐き気がひどかった。が昨日に比べ幾分もましにはなっていた。

お昼ごろだろうか対馬…ではなく平戸の港に着いたらしい。

らしいというのも俺は待ったく覚えておらず、降ろそうかという話になったりもしたが家兼が船の上で待機させるほうがいいだろうということで俺は船の上で待機させられていたからである。

 後々になって聞いてみると、どうやら貞清殿の積み荷の中には平戸で降ろすものもあったらしく、そのために寄ったらしい。家兼や資誠のような万全の状態の男衆が何人かいたので積み下ろし作業を手伝ったおかげか予定より数刻早く出航できたらしい。



 そして四日目。この日は俺の体調も良くなっていた。どうやら体がこの船の上での生活に慣れたらしい。ある程度動くことができ、人とそれなりに話せるほどであった。


お昼に差し掛かったころである。俺がいつもの甲板ではなく船倉にいるとき、もうすぐ対馬につくという知らせが届いたのである。



 俺はすぐに甲板に飛び出した。

左右を見渡しながら甲板の前のほうへと駆け足で向かう。ほぼ船の真正面にそれは見えた。

緑生い茂る大きな大きな島が俺の眼下に広がっていた。





 俺たちの目標であるー


対馬が今目の前に迫っていた。





またまた一か月が開いてしまいました…

本当に申し訳ない…

次は一か月とか開かないようにしなければ…




なんだかんだ感想とかブックマーク総合評価が増えてると、作者のモチベが上がるんですよねぇ…

モチベは大事!うん!



感想、ブックマークあるとマジでうれしいんでよかったらよろしくお願いします!



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