第三話 評定・父、決戦の地へ駆ける
結論から言おう。
ー俺は戦国時代に転生してしまっているようだー
この、多久城(?)の城内を見て思ったが、元の世界とかのドッキリで使うようなレベルのものじゃないものが沢山置いてあったし、何よりすれ違う人が全員俺に頭を下げて来ていたので、転生してしまっていることが一目で分かった。
部屋の中を見て回っている時に家兼さんが
「松法師丸様、この部屋に見覚えはありますか?」
と言われたりしたが、やはり見たことの無いところだ
った。
ようやく大方の部屋を見て回ったと思った時、何やら、ドタドタと後ろから家臣(?)らしき人が慌てた様子で俺の元へ駆け寄ってきた。
「家兼様!大内家がついに少弐征伐に乗り出したと知らせが届きました!!秋月、菊池、千葉、原田の各周辺有力勢力も大内側に付く模様!その数およそ1万!」
なんだって......?大内がもう攻めてきたのか....?
「なんじゃと?!奴ら、もうせめてきおったのか?!直ちに各諸将を評定の間に集めよ!!お主らも急げ!」
「はっ!直ちに!」
と、家兼さんの横に着いていた、2人も急いで走っていった。
残された家兼さんは頭を抱えて、「ゥゥゥゥゥ」と、唸っていた。
しばらくすると、唸りは収まり
「....松法師丸様。すぐにでも、評定の間へ、行きましょう。さぁ、お早く!」
と、急ぎ足で俺を連れていった.......
━━━━━━━━━━━━━━━━
< 肥前国 多久城 評定の間 >
30分ほど経っただろうか。いかつい体をした家臣と思わしき人が評定の間を埋めつくした。俺は家兼さんに言われるがままに座った。
どうやら俺は上座.....最も偉い人が座るところの横のところに座ったらしい。
すると俺の横の襖が開いて1人の男が入ってきた。
「皆の衆、揃ったようだな」
と言って前を横切り、俺の真横......つまり当主の席に座った。
この人が、少弐家の現当主......なのか?
俺は正直、何が何だかよくわからなくなった。
なぜならこの男の顔が
―俺の親父にそっくりなのである―
体格こそ全く違うが明らかに俺の親父そのものだった。俺の頭の中が混乱している中、評定は進んで行った。
「やはり、ここは籠城が得策かと」
と、一人の家臣が身を出して案を出す。しかし
「いや、そもそも籠城とは援軍が来るからこそ成り立つ策。援軍が見込めぬならば、もはや玉砕覚悟で突撃するのがよろしいかと」
と反論する、すると
「お主はこの名門少弐氏を滅亡させるつもりか?!そのようなことできるはずがなかろう!殿、やはり籠城が一番の策かと」
と反論の意見が出る。
評定は大混乱であった。
そんな中、俺の横にいる、少弐家現当主である、俺の親父.......基、少弐資元が意を決したようにいきなり立ち上がって言い放った。
家臣たちがいっせいに少弐資元の方を見る。
「...もはや、万策尽きた。最後は武士らしく大内の大軍勢に玉砕覚悟の突撃を行う。それでももし、生き延びれば多久城を枕に討死しようぞ。皆の衆それで良いか?」
評定の間にいた、家臣たちがいっせいに立ち上がり、「承知ぃ!!」と言うと、おやz......少弐資元は、
「我が生涯、最後の戦じゃ!出陣は三刻後!
各々戦支度を整えよ!」
と言うと再び横の襖から評定の間から出ていった。
あれは.....親父...なのか?それともただのそっくりさんなのか?俺の中で謎は深まるばかりであった。
━━━━━━━━━━━━━━━━
<三刻後 多久城正門>
あの評定の後、俺はおやz........少弐資元に会いに行こうとしたのだが、家兼さんに、「今は戦支度を優先しましょう」と言われ、結局会うことすらままならなかった。
そしてそのまま、出陣が目前に迫っていた。
「皆の衆!よく集まってくれた。これより名門少弐氏の最後の戦を始める!!わしと一緒に討死する覚悟のある勇敢な武士よ!我が家臣たちよ!
皆、出陣するぞぉ!!大内を叩きのめすぞぉ!!」
その下知を合図に家臣たちが「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」
と雄叫びを上げ、地獄の行軍を開始した。
だが、俺は俺の気持ちを抑えきれずに
「親父っ!!」
と、思わず叫んでしまった。親父と同じ顔だったからだろうか?何故か分からないが叫んでしまった。
だが、少弐資元は俺の方を一切向かず、そのまま決戦の地へ駆けていった........
とりあえず、二話連続投稿をしてみました!
これからは週一ペースて更新していけるように頑張ります!!