第二話 希望と可能性
「龍造寺 ......家兼?」
俺はそう、呟いた。なぜなら、その名前に聞き覚えがあったからだ。
確かあれは......そうだ!戦国ゲーム「織田信長の立志伝」で龍造寺家をプレイしていていた時に出てきていた、有名な戦国武将「龍造寺 隆信」の祖父の名前だ!.......多分。
俺は戦国がものすごく大好きだが、そこまでマイナーな武将のことは正直な話よく覚えていなかった。
せいぜい、家名を覚えていると言ったところまでだ。
これ以上、考えても結局何も分からないことがわかったので俺は話を再開した。
「家兼さん......と言いましたか?ここはどこなのでしょうか...?」
そう言うと俺が家兼さんが、驚いた表情で
「松法師丸様......?もしや、わしのことを覚えておいででは無いのですか?」と言ってきた。
そんなことを言われても、俺は今、目の前にいる家兼さん(?)以外知らないし....。
第一ここがどこなのかもよく分かってないのだけど...。
ここはどう答えるのが正しいのだろうか?正直に全てを打ち明けるか、記憶がないと言うか......はたまた、この誰かもよく分からないこの人物を騙るか.......
.....やはり、1つ目と3つ目の案は失敗した時のリスクが高すぎる。ここは「記憶が無いと言う」のが一番の
正しい答えなのだろう。
俺はそう、頭の中で結論付けた。
「すいませんが.....あまり記憶を思い出せないのです。その....ま、松法師丸?と言う名前にも聞き覚えがないのですが......」
と言うと、また、家兼さんは項垂れて
「やはり......あの時わしがお止めしていれば.....」
と小さな声でボソリと喋っていた。
...どうもこんな大男に頭を下げられると、調子が狂うというかなんと言うか......変な感じだ。うん。
「お顔をあげてください。別にそこまで気にしなくても大丈夫ですよ」
と言うと、また小さなしかし、さっきより少し大きな声で「ありがとうございます.....」と、頭を下げてきた。
「...ともかく家兼さん?でしたっけ?ここはどんな場所で俺は何なのかを教えてくれませんか?正直な話、何がどうなっているのかよく分からなくて...」
家兼さんは自分の涙をふいて、説明をしてくれた。
「.....ここは日ノ本の九州......肥前国の多久城の一室でございます。そして、あなた様は九州一の名門、少弐家の現当主 少弐資元様の嫡男、松法師丸様でございます」
「日ノ本....肥前国....少弐家....?」
俺はその単語にも聞き覚えがあった。
確か、この家の名前も戦国ゲーム「織田信長の立志伝」で登場していた龍造寺隆信が仕えていたものすごくいい家柄のお家だった....はず。
だけど、この少弐家って確か後に、家臣だった龍造寺隆信に攻め込まれて完全に滅亡したはず...ということは、滅亡前の少弐家?
いや、そもそもの話ここは本当に戦国時代なのか?
などと考えて俺はひとつの可能性を導き出した。それは
ー戦国時代に転生してしまったー
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まだ可能性という段階だか俺はもしかしたら、俺は戦国時代に転生してしまっているかもしれない.....。
まぁ、ネット小説なんかじゃお決まりなんだけど...戦国時代って....。
せめて転生するなら異世界に行きたかったなぁ....
...などど考えていたら、家兼さんが
「松法師丸様。やはり記憶が混濁していると思います。でしたら、気分を晴らしに一度城内を案内しましょうか?」
と、提案してくれた。これはありがたい。
やはりここが本当に戦国時代なのかということも知りたいし、俺は「じゃあ、お願いします」とふたつ返事で了承し、立ち上がった........あれ?立ち上がれている?!
さっきはあれだけ痛かったのに何でなんだ?何でなんだ....????と驚いていると、さすがにおかしかったのか、家兼さんが
「松法師丸様?大丈夫でございますか?」と少し心配そうにこちらを見てきた。
「あ、いえ、大丈夫です。少し立てたことに驚いただけですので......」
「?そうですか....では案内いたします」
と首を傾げて、不思議そうに再び歩き始めた。
俺は転生していないという、僅かな可能性を信じて、部屋の外へと出た。
お待ちしていた方、申し訳ありません!
.......作者の諸事情がありまして投稿が遅くなりました。
ちなみに、この多久城、別名(というか多分正式名称)は「梶峰城」と言うそうです。
気になる人はグーグ〇で検索検索ぅ!!
※今日中に3話投稿する予定です!