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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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希望が北ぁあああ!三蔵一行の新たな旅立ち!?

孫悟空!八戒!沙悟浄は別々の場所の別の戦場にて様々な戦いを乗り越え成長していた。


そして三蔵一行が再び集いし今・・・


は~い!沙悟浄です!


激しい戦いが繰り広げられた後、私と三蔵様の元に孫悟空兄貴と八戒兄貴が戻って来てくれたのです!

私達はめでたく三蔵一行勢揃いしたのでした。


「三蔵…大丈夫なのか?」


『あぁ…本調子じゃないがな』



三蔵様は私達の脳に直接テレパシーを送り言葉を伝えているのです。

しかし、その身体は異常に衰弱しあの鍛え抜かれた筋肉が衰弱して痩せ細ってしまっているのが見て分かりました。



「三蔵…俺様…俺様…今まで待たせてすまなかった」



そして、普段頭を下げない孫悟空兄貴が私達にも謝罪したのでした。


「お前達!三蔵を今まで任せきりで、本当にすまなかった」


頭を下げたまま顔を上げない孫悟空兄貴に、


「気にしないでくださいよ!私達は大丈夫ですから頭を上げてくださいよ~!」


「水臭いらよ」



すると兄貴は暗い顔をしながら告げたのです。



「……俺様、お前達にもう一つ…謝りたい事がある……」


「えっ?」



孫悟空兄貴は突然私達の目の前で膝をつき、土下座をしたのです。

突然の事に私も八戒兄貴も何事かと慌てふためいてしまいました。

そして孫悟空兄貴は、ナタクさんに連れ去られた後の出来事をかい摘まんで話をしたのでした。


ナタクさんからの依頼の事、新しい友達の事…


牛角魔王さんの事…


力の強い妖怪との息詰まる戦いの最中…


その友達が瀕死になり、使った万能薬の事…


その薬があれば、三蔵様が助かったかもしれないって事。



「悪い。その薬があれば三蔵の身体も治せたかもしれないのに…」



孫悟空兄貴は辛そうに顔を上げられないでいました。



「仕方ないじゃないですか!孫悟空兄貴の行動は間違ってはいませんよ!」


「…………」



しかし八戒兄貴は沈黙したままでした。

やはり三蔵様を優先するべきと言うのでしょうか?

その正解は誰にも答えられやしません。

しかし八戒兄貴の口から出た言葉は予想を返した内容でした。


「オラ…それに似た話を聞いた事があるら…」


「えっ?ん?あっ…そう言えば何処かで??」


似た話?

ん?そう言えば私も何処かで聞いたような?

何処ででしたっけ?


「クソォ!あの薬さがあれば、三蔵の身体が元に戻せたのに!」


孫悟空兄貴は此処に戻る途中、再びナタクさんに会いに行ったそうなんです。


西の結解を破壊した事。

妖怪皇帝を討伐した事を報告しに。

そして再び孫悟空兄貴はナタクさんに土下座をして頼んだそうなんです。



「ナタク!頼む!俺様にもう一度あの薬をくれ!いや…ください!」


「…………」


「何でもする!討伐か?それとも小間使いか?俺様に出来る事は何でもする!だからお願いだ!ナタク!」


「フッ…良い心掛けだな!かつての大魔王が俺の小間使いとはな?」


「なら!あの薬を俺様にくれるのか??」


「だが、悪いが万能薬はもう俺の手には残ってはいない。あの薬は貴重な万能薬。多分、今の天界の何処を探しても見付かるかどうか分からぬほど貴重な薬だったのだからな」


「そんな…」



その話を聞いて、私は驚きました。

だって、あのプライドの高い孫悟空兄貴が三蔵様のために頭を下げて物乞いをするなんて?


孫悟空兄貴。

貴方って人は、そこまで三蔵様の事を?


「そこでだ!」


「?」


孫悟空兄貴は立ち上がると、私達に向かって話を変えたのです。


「ナタクの奴が最後に俺様に言ったんだ。何処に在るかは分からないが、地上に一つ。あの薬を持っている奴がいるそうだ。だから俺様はこれから一人旅に出る!そして、その万能薬を手に入れてみせる!」


孫悟空兄貴は拳を握る。


「何処にあるか…何処の誰が持っているか分からないが、必ず見つけ出して手に入れてみせる!だから、それまで三蔵の事をお前達に頼みたいんだ!」



孫悟空兄貴の瞳は決意に満ちていました。

しかし、私達は孫悟空兄貴の話を聞いて、呟いたのでした。



「ボソッ…北の大地」

「ボソッ…鳥の王…」


「えっ?」



その呟きは新たな希望でした。



「私もその薬の噂聞いた事あります!」


「オラもら!」



私達はその時、何か運命みたいなものを感じたのです。

例え離れていても、一人一人試練を乗り越えそれが線と線で繋がっていたのです。

八戒兄貴は金角と銀角に襲われた時に。

私は玉面公主の城で逃げている最中に、蝎子精さんから聞いた話の中で。


「確か、北の大地の・・・」


「鳥の王が持っているら!」


私達は顔を見合わせて同時にその薬の名を同時に叫んだのです。


「その薬の名前はアムリタ」



「ハッ…ハハハ…アハハ…

アハハハハハハハハ!」



私達は顔を見合せて、つい大笑いをしてしまったのでした。

だって、私達の先の見えない旅に一筋の光が見えて来たのだから!



それは『希望の光!』



「へへへ…これで三蔵が元に戻るぜ!」


「でも、これだけの情報で場所が分かるらか?」


「ああ!」


孫悟空兄貴には手掛かりがあったのです。



「北にいる鳥の王と言えば、俺様に一人心当たりがあるからな!」


そして私も、ハッと言いたい事を理解したのです。

何故なら北の地にいる鳥の王と言えば、一人しかいません。

その者は牛角魔王さんと同じく、地上を四分割して支配している魔王。

孫悟空兄貴はその魔王の名を告げる。


「北の大地を統べる妖魔王そして俺様と同じく、かつての六大妖魔王の一人」



『混天大聖・鵬魔王!』



私達の向かう新たな旅先が決まったのでした。


「向かうぜぇ!北の大地へ!」


「おぉおおお!」


この旅が最善だと信じて・・・






場所は代わり、ここは天界。


ナタクは最高層の神々が集まる会議にて、この度の妖怪皇帝討伐の一件を上級神達へと報告していたのでした。ナタクは膝を付き、頭を下げて報告する。



「では、美猴王は問題ないのであるな?」


「はい!使い方によってはこの度の如く、天に背く恐れのある邪魔な妖怪を討伐するために使う事も可能でしょう。今始末する事は得策ではないと思えます」


「しかし、この度の件で美猴王は更に力を付けたと聞くが?」


「問題ありません。もし天に背くのであれば今度こそ私の手で始末致しましょう!それでもご不満ですか?」


「うむ。良かろう。お前がそう言うのであれば、美猴王の件はお前に任せるとしよう」



報告を終えるとナタクは一礼し、その席を後にした。

城の通路を一人歩いていくナタク。

そのナタクの前方を一人の青年神が、壁に背を寄りかけ、クスリと笑みを見せて待っていた。

その青年神は青き甲冑を身に纏い、高貴な武神である事が分かる。

その容貌は厳しさの中に優しさも見える端麗な男神。


が、ナタクは無視してその青年神の横を通り過ぎようとする?

そんなナタクに声をかける青年神。


「ナタク!悪いな?俺の我が儘を聞いてくれて…」



ナタクは立ち止まり、通り過ぎようとした青年神に言葉を返す。


「フン!茶番だ」


「相変わらずだな?」



ナタクはつまらなそうに言葉を続ける。


「美猴王に手を出したら、お前が嫉妬するからな?」


「嫉妬か…アハハ!確かに嫉妬するな。そうだな!美猴王との決着は俺がつけるのだからな」



青年神はゆっくりと、ナタクさんとは別の方向に向かって歩いて行く。

青年神もまた己の討伐報告をしに上級神の集う間へと入っていく。



「二郎神君…物好きな奴だ」



二郎神君。


玉皇大帝の甥。

神である玉帝の妹と人間である男との間に産まれた半神。

玉帝の甥と言う事もあり、生まれながらに周りから重宝され敬われる存在で。だが、それ以上に彼のこれまでの武勇伝は、天界全土に知らぬ者はいないとまで言わせる程の英雄神であった。







更に場所は変わる。


ここは北の大地…

大地は干からび、そこに住んでいた人間達は皆、妖怪達に連れ去られ奴隷として働かされていた。


しかし、神は手を出さない。

いや、出せない…

その者が今いるその地は、北の大地の中央に浮かぶ巨大な天空要塞。


神すら手が出せない魔境の地

そこに住む人間達は、神に見捨てられたと言っても良い。

何故なら神ですらその地を怖れ、立ち寄る事すらしないのだから…


天界に災いを及ぼすと思われる新たな反乱分子に対し、神に代わり討伐を請け負い手を貸すと言う盟約の下、その地位と自由を与えられた大妖怪…

その者達はこう言われていた。

妖怪世界を支配する魔王の上の魔王『妖魔王』と!



そう孫悟空を含む六人の妖魔王。


美猴王[びこうおう]

牛角魔王[ぎゅうかくまおう]

蛟魔王[こうまおう]

獅駝王[しだおう]

偶獣王[ぐうじゅうおう]

それに鵬魔王[ほうまおう]


この者達こそ『六大妖魔王』と呼ばれる大妖怪最高の魔王。


孫悟空である美猴王は、かつての天界に妖怪軍団を引き連れ戦争を起こし、その罰で魂のみ五行山に封印された。妖怪軍団のボスが戦争の最中に封印された後は、他の魔王は最高神との契約にて一人一人地上へと散り、自分の住みやすい場所を見付けては自分の土地とした。


天界の神と魔王達との間に結ばれた契約につき、神は地上を支配している魔王には手を出せない。

いや、契約なんて関係ない!

この北の地の魔王は他の魔王とは違っていた。


他の魔王が大人しく隠居生活?を送っている最中、

この北の地を支配している魔王は、血を好み勢力を高めていた。

残虐かつ非情な魔王だったから。




「今、貴方の『力』を感じたよ?ようやく見付けた。ふふふ…貴方は私だけの者。私だけが貴方の味方なのだから…だから、いらない…いらない!いらないよ?貴方に私以外の仲間なんて必要ない!私だけが貴方の傍らにいればそれで良いのだから!ふふふ」




美しき妖魔王が妖しく笑む。


燃えるような赤い髪。ドレスのような派手な衣装に身を包み、化粧に口紅をした女性に見誤るほどの魅惑的に妖しい美麗の青年。


その男が望む者。

それは?



「ねぇ…美猴王兄貴」



鵬魔王は立ち上がり歩き出す。

鵬魔王の見下ろす階段の下には数え切れぬほどの数千万以上の鳥獣妖怪達が集まっていた。

そして鵬魔王は配下の鳥妖怪達に命令を下す!



「さぁ!お前達!私の所に三蔵の首を持って来るのだ!持って来た者には、どんな願いも叶えてやろう!」


「グオオオ!」



「我が名は鵬魔王!お前達鳥妖怪のボス!いや?世界を統べる妖怪の王!さぁ!お前達の翼を広げ、空高く飛びたつのだ!アハハハハハハハハハハ」



無数の鳥妖怪が三蔵一行に向かって飛び立つ。


「いよいよ会えるよ…美猴王!」




想像を越える程のかつてない脅威的な敵が!

新たな戦いが!


三蔵一行に迫りつつあった。




次回予告


孫悟空「これで三蔵が完全復活すれば全てにおいて一件落着だよな?」


八戒「そうらな!さっさとアムリタを手に入れてしまうらよ~」


孫悟空「よし!目差すは北の大地だぜ~!」


沙悟浄「あの~」


八戒「なんら?」


沙悟浄「噂に聞いた話だと、そんなに簡単じゃなさそうなんですって!」


孫悟空「はぁ~?どういうことだよ?」


沙悟浄「それは~えっ?次話まで秘密ですって?」


孫悟空「誰と話しているんだよ!まあ、仕方ない!物語はまだまだ続くぜ!」



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