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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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神堕ちされし者?天蓬元帥八戒の実力!?

三蔵と孫悟空が立ち寄った宿で偶然見付けた男女、実は男の方は黒豚妖怪が化けた姿だったのだ。


俺様は孫悟空だぜぇ!

俺様と三蔵の前には八戒と名乗る黒豚妖怪が自分の恋路を邪魔されたと逆恨みして、怒り心頭で喧嘩を売って来たのだ。

実際、邪魔したのだがな。


「お前達二人とも許さんらよ!」


八戒の奴が背負っていた大型の刀を抜き、突進して来る。


「俺様とやる気か?おもしれぇ~ぜぇ!」


俺様も同じく如意棒を抜き構えた。

この如意棒こそ俺様の愛用の武器なのだ!


「唸れ如意棒!」


俺様は如意棒で八戒目掛け殴りつけた。

が、目の前にいたはずの八戒の姿が消えて、空ぶってしまったのだ!


何処に行きやがった?

すると…


「うぐぅわあ!」


いつの間にか八戒の奴は方向転換をし、三蔵に襲い掛かっていた。三蔵は錫杖で八戒の降り下ろした刀を受け止めたが、続けて繰り出された蹴りをくらってしまったのである。


「良くやった黒豚!じゃなくて…三蔵!大丈夫か!?」


危なく本音を口走ってしまったぜ…

見ると三蔵は受け身を取り、錫杖を構え直して平気だと合図をしていた。

どうやら俺様のさっきの言葉は聞こえてなかったらしいな。


八戒は再び急転回して、今度は俺様に向かって斬り掛かって来た。


「こなくそ!」


俺様は八戒の攻撃を如意棒で受け止めたが、予想以上に衝撃が伝わって来た。


「ぐぐぐ…三蔵!この妖怪強いぞ!」

「見れば解る!」


俺様が如意棒を振り回しながら攻撃するが、八戒はそれさえも受けきったのだ。


俺様の如意棒から繰り出される攻撃は、並大抵の妖怪なら一撃でぶっ倒し、どんなに硬い鉱石をも砕く破壊力を持っているはずなのに!その俺様の攻撃を受け止めたこの八戒って奴、ただの変態野郎じゃないみたいだな?

だが、八戒もまた俺様の強さに内心驚いていたのだ…



(何らぁ?こいつらは??こんな強い奴達、初めてら…


不意討ちで一人ずつ倒すつもりらったのに、計算が狂ったらよ!


何者らか?ん?そういえば猿の妖怪と人間の僧侶って?)



そこで八戒は気付いたのだ。


(そうらか!思い出したらぁ!コイツ達は前に霊感大王の奴の集会で話題になっていた奴達じゃないらか?確か…三蔵と言う人間の坊さんと、金色の猿の妖怪らったよな…)


「うぉりゃあ!」


俺様は考え事をして身動きが止まっていた八戒に、渾身の如意棒の一撃を降り下ろしたのだ!


「おわぁ!不意討ちらか!?」


「てめぇが言うな!」


だが八戒は弾き飛ばされこそしたが、踏ん張り持ちこたえたのだ。


「やるなぁ?本当にお前強いぞ!今のは殺す気満々の本気だったんだぜぇ?」


俺様は少し嬉しくなっていた。

何故なら、ここ最近歯ごたえのない妖怪ばかりだったので、腕が錆びるところだったから。


コイツなら本気でやり合える!

すると八戒の奴はとんでもない事を言い出したのだ。



「当たり前ら!何せオラは天界でも有名な…」


八戒は大刀を振り回しながらポーズを決め、



『オラは!訳あって天界より落とされ妖怪に変じたものの…かつては天蓬元帥と呼ばれた名のある武神だった者なのら!そうら!オラこそ、かの有名な天蓬元帥・八戒様らよ!』



八戒の名乗りに、俺様と三蔵は一瞬固まってしまった。



「はぁ~??」


俺様と三蔵は顔を見合わせて


「おい!猿?あの妖怪、元は天界の神だとぬかしたぞ?」

「天界の神が豚の妖怪だと?」


俺様と三蔵の身体が震える。


「どうら?怖気づいてしまったらか?」


そして我慢出来ずに…



『ぷぷぷ…ぷっ…あははははははははは!』


爆笑してしまったのだ。



「この豚が神だと?」


「ありえねぇー!」



俺様達は再び八戒を見て、



『ぎゃはははははは!』



その場で笑い転げてしまったのだ。



「笑うならぁー!」



八戒のマジギレに俺様と三蔵は黙る。

しかし、おちょくりがいのある奴だな~


「信じられないのも仕方あるまいらよ!オラは何せ『神堕ち』させられてしまったのらからな…」


「神堕ちだと?」



神堕ちとは確か…


天界の神が罪を犯した時、罰として地上界に降ろされる事を言う。

その際、神堕ちされた神は二度と悪さが出来ぬように動物に転生させられてしまうのだ。

その上、神の力を奪われ、更には天界での記憶すら消されてしまうのである。

だが、あるレベル以上の力の持っていた神だと、神堕ちされた後にも力と記憶が残り、動物の姿をした妖怪に転生してしまうのだそうだ。


何故知っているかって?

何故なら俺様も神堕ちされてしまった経験者なのだから間違いない!


ちなみに昔は今より立派な猿だったんだぜ?


「ふふふ…なるほど…そうか!俺は強い奴が好きだ!よし、決めたぞ!喜べ!お前を俺の使いパシリにしてやろう!」


一瞬、時が止まった

が、直ぐに…



「なんらと!?この腐れ人間が!誰が好き好んで人間なんかのパシリになるらか!フザケルなら!」


俺様は思った。

そりゃ…

怒るわな~

俺様も怒ったもんな~



だが、三蔵の奴は本気だ。

あの目は間違いなく本気の目である。



「何処までもオラを馬鹿にするつもりらか?…ワナワナ…頭にきたらぁ!そんな馬鹿げた台詞は、オラを倒してから言うんらな!」



八戒が俺様達に…いや、この怒りは多分三蔵に対してなのだが、怒りを爆発させたのだ。

だが、三蔵は八戒の怒りに対して素直に解釈していたのである。


「つまりお前を倒せば俺の所有物になるのだな?猿よ!奴を生け捕るぞ!」

「了解!」



気付くと、三蔵の手には『降魔の剣』が握られていた。

やる気満々である。


「へっ?ちょっと待つらよ?そこは退く所らろ?」


「猿よ!左右から同時に行くぞ!」

「おぅさ!」



「ちょちょちょ!二人がかりらか?ちょっと待つらよ!卑怯じゃないらか?やはりらな、ここは一対一でやるのが大人のマナー…って、聞いているらか?って、おい!」



俺様達の目が狩人の目になっている事に気付いた八戒が逆にビビり始めたのだ。



「おい!猿、絶対に逃がすなよ!」

「とりあえず生かしておけば良いんだよなぁ?」

「そうだな!後はどうとにでもなるだろう!」



既に仲間にするとか言う目的はなくなっていた。

取り敢えずシメた後に自由に使います!

的な方向へと変わりつつあった。


俺様と三蔵は同時に八戒に襲い掛かかった。

俺様達の連携攻撃に流石の八戒も押されて行く。


「ちょっと待てと言ってるらよ!卑怯だぞ!それでも法師か?坊主か?聖職者らか!?」



同情するぞ!八戒よ…

だがな?三蔵にそんな大層な事を期待してはダメなんだ。

俺様は三蔵に情と情けを期待する事は、とっくの昔に諦めているのだぞ?

三蔵はそれらとは真逆の存在なのだ。



俺様の苦労…

少し解ってくれるか?


それに…

三蔵の目は既にイっている。


あれはもう手遅れだ。

あれは間違いなく、俺様に無理難題を、生きるか死ぬか解らないギリギリラインを要求する時の目だ!


俺様にはもう止められねぇよ?

観念するんだな?


「焼豚にしてやるぞ!」



あっ!三蔵の奴…

既に目的忘れてる。

本当にあの豚妖怪を仲間にする気あるのか?


いや…生かしておけるのか?

八戒は三蔵の血走った目に恐怖を感じ、身の危険を感じたのか、



「たっ…たまらん!黒斗雲よ来い!」



八戒の呼び掛けに、空から黒い小型の雲が飛んで来て、八戒は直ぐ様飛び乗り逃げ出したのだ。


「おのれ!逃がすな、猿よ!」

「おうよ!任せろ!来い、金斗雲!!」



俺様も空から金色の小型の雲を呼び寄せ乗り上がった。


あ、そうか?


そう言えば説明まだだったよな?



よし!教えてやろう!


今、俺様が乗っている金色の雲…


名前は『金斗雲』これは、天界の神の乗り物なのだ!



通常は白色の雲が主流なのだが、俺様の金斗雲はまた別格なんだぜ?

昔、俺様が天界を騒がしていた頃に、最上級の神から奪った雲なのだ!

えへん!

しかし、八戒の乗っている『黒斗雲』?

あれも珍しいな?

あれも普通のとは別格の雲みたいだぞ?


黒い雲…

この空を飛ぶ雲は基本、乗り手の持つ気を媒介にして色が決まるらしいのだが、黒色とは俺様も初めて見たぞ?まぁ、この話はいずれ語るとするか…


空中では今、俺様と八戒の空中戦が行われていた。

お互いがぶつかり合う度に空気が揺れる。



「きりがねぇーら!いい加減諦めるらよ!」


「お前こそ観念しやがれぇ!お前を捕まえないと、俺様の身が危ないんだよぉ!」


「…お前も苦労しているんらな?」


「おっ?解るか?解ってくれるか?」


「見ていれば解るらよ…あの坊主は危険ら…」


「そうなんだよ!俺様も何度命の危険を感じたか…」


「なんか…同情するら…」


「なんかお前とは気が合うなぁ?」



俺様と八戒は空中戦をしながら、次第に変な友情関係が結ばれていたのだ。


やはり…俺様…

悪者の手先なのだろうか?


なんか、何もかも解らなくなる。



その時、突然地面から光がほとばしったのである!



「何ら?何ら?」

「ほぇっ?」



何と地面にはいつの間にか三蔵が造ったと思われる封印陣が描かれていたのだ。

その中心で三蔵が呪文を唱えていたのだ。



おい?何をするつもりだ?

三蔵?

まさか…


嫌な予感がした。

止めろよ~

俺様の嫌な予感は当たった!



「地脈の気よ!その有り余る力で我が敵を滅せよ!喝!」



結解の張られた大地から無数の光の柱が、俺様と八戒に向かって放たれたのだ。


「あの野郎!俺様まで巻き添えにしやがった!くそったれぇ~!」


俺様は何とか金斗雲を急上昇させて、結解の光から命からがら逃げのびた。

てか、危なかった…


三蔵の奴!


「うぎゃあ~!!」


見ると、運悪く光の攻撃に巻き込まれた八戒の断末魔があがり、黒焦げた物体が地面へと墜落していったのが見えた。


何か……

涙出て来るよ…俺様。

明日は我が身みたいで。



「やったな…フッ!」


「やったな…フッ!じゃねぇーよ!俺様まで巻き添いにあう所だったじゃねーか!」


「さてと…」



無視かよ!


三蔵は俺様の怒りを完全に無視して黒焦げた物体[八戒の亡骸]に近付いていく。


「俺様の話を聞けよ!」


だ…だめだこりゃ…


皆さん俺様は…


コイツに殺意を抱いても良いですか?




仕方なく俺様も黒焦げた物体[八戒]に近付く。

そこで俺様と三蔵が見た物は…


「これは!!」



そこには黒焦げた丸太が転がっていたのだ。


「あの豚野郎!結解に巻き込まれる寸前に、身代わりを置いて逃げたのか!?」


あいつ…やるなぁ…

ん?

三蔵の目が怒っている!


ヤバイ…怒りが俺様に向けられる。八つ当たりされるぞ!


「探せ!猿!」


「アイアイサァ~!何処行きやがった?豚ぁーー!」



俺様と三蔵は辺り一帯を探し回ったが、既に八戒の姿はなかったのだった。

そんな俺様達の様子を離れた場所の物陰から八戒が覗いていた。



「あの法師…仲間まで巻き添えにしようとしやがったらよ!本当に恐ろしい奴ら!あんな奴達に構ってられるらか!」


八戒はそそくさとその場から消えて行ったのだった。


次回予告


孫悟空「あの豚野郎が逃げたおかげで、俺様にまでとばっちり受けっちまったじゃないかよ!てか、次話は鼠親分って妖怪を退治する話だぜ!」

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