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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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復讐を誓う女!【壱】・・・復讐者!

孫悟空は討伐に来たナタクに連れ去られ、妖怪皇帝蚩尤と激戦!


八戒は襲来した金角児と銀角児に単独戦!


その頃、一人三蔵を守る沙悟浄は?



そこは遥か上空の雲の中。

まるで乱気流に守られているかのように、その中心には小さな城が浮かんでいた。


宙に浮かぶ天空の城の中には誰もいないのか?

音一つなく静まり返っていた。

もぬけの殻?


いや…天空城の一番最上階にある部屋に、その城の主が椅子に座って横たわっていた。


(ううん…)



城の主は静かに起き上がり、入り口の近くにある柱に視線を送る。


「ようやく来たようね?」



視線の先にある柱には、いつからいたのか?

気配なく何者かが寄り掛かっていた。


「あら?気付いていたの?さすがね!フフフ…」



柱に寄り掛かっていた者はゆっくりと柱から離れ、椅子に座っている主の元に向かって近付いて来る。



「まったくねぇ…本当、静かよね?この城。本当にあの頃のまま…」



その者は懐かしむかのように城の中を眺めていた。



「あんたさ?懐かしむのは良いけど、例の件は大丈夫なわけ?」



懐かしむ姿を遮るかのように、主が話を用件に戻す。


「本当にセッカチね?大丈夫よ。奴の居場所は掴んでいるわ。アンタから依頼があってから、何年旅を続けながら奴の居場所を探していたと思うの?本当、もう少し労ってもらいたいわよ!ねぇ?鉄扇!」


そう。

この天空城の主の名は鉄扇。

彼女は女妖怪のボスを名乗る女妖怪であった。


一見可愛いらしい中国系の少女であるが、その気品から美しささえも漂う容貌。

頭の左右に団子を作った黒髪のその少女は、華やかな赤と白の衣に軽装備の鎧を身に纏っていた。


ちなみに…

かつてこの鉄扇は幾度と三蔵一行と絡んだ事もあり、孫悟空を苦しめる程の力の持ち主であった。

その後、金角と銀角に襲われていた三蔵一行を救った事もあり、不思議な縁がある。



話は戻るが鉄扇はこちらに向かって来る女を見る。

この女もまた美しく、鉄扇とは逆に大人っぽい色気のある妖しい容貌。

露出した褐色の肌に化粧を施したその容姿は、男なら黙って魅了され虜にしてしまうだろう。


そして何より、ふくよかな胸元…

締まった腰つき、再び言わせて貰うと男なら黙って鼻血を流し、出たら最後止まらなくなって貧血を起こしてしまう事は間違いないであろう!

その、まるで踊り子の様な身なりの女は、腰に倒馬毒と言う尖端に猛毒の付いた刺又と呼ばれる武器を引っ掛けていた。



「あんたには感謝しているわよ?本当!奴が私の前から消えたあの日…復讐を誓ったあの日から!あんただけが私の理解者であり、唯一の友だったんだからね?蝎子精」



蝎子精カッシセイ、蠍の女妖怪である。

この蝎子精もまた、以前に三蔵一行と絡んだ事があり、やはり縁のある妖怪なのだ。



「奴が消えてから、あんたが隠密に奴の情報と居場所を私に逐一報告してくれていた。それも今日までね?本当に長かったわ」


「で、早速向かうんでしょう?鉄扇?」


「当たり前よ!」



鉄扇は立ち上がり、腰にかけていた巨大な鉄の扇を片手で軽々持ち上げると、一気に広げた。



「ようやく奴を見付けた!この日のために私は!私は奴を倒すだけの力を身につけたのよ」


これで…


『姉様の仇をとれる』



その瞳は復讐鬼と化していた。









場所は変わり地上へ


そこには衰弱している三蔵と、看病している沙悟浄が洞窟の中に隠れていた。

孫悟空がナタクに連れ去られ、いつの間にか八戒も消えていた。



「あの豚!何処に行ったんですかぁ~?まったくもって使えないですよ~!買い出しに出てから突然帰って来たかと思えば、地図だけ残してまた消えて!もう三日も戻って来ないじゃないですか?逃げたな!逃げたな!逃げ出したなぁ~!」


沙悟浄は戻って来ない八戒に対して、怒り狂っていたのである。



「はぁ…早く戻って来てくださいよ…二人とも…私一人じゃ…」


(ううう…)


「ハッ!三蔵様!」


洞窟に横になっていた三蔵が、うなされていた。

三蔵は孫悟空が連れ去られた後からどんどん衰弱し、その魂の力までもが弱まっていたのである。

そして、とうとう意識を失ったまま目覚めなくなっていたのだ。


「さ…三蔵様」


沙悟浄は意識を失った三蔵に、術札治療や薬草を煎じて飲ませつつ介抱していた。

今いるこの洞窟も、自然の霊力を三蔵に送り込むために入ったのだ。


「集まって…洞窟の中の清浄なる気よ…」



沙悟浄は半人半妖であった。

しかも天界で生活していた事もあったりして、

妖気の他に人間の持つ霊気、更に神気も多少なりと使える。

沙悟浄は霊気を集めるために人間の姿になっていた。

白いモヤの様な光が、洞窟の壁から沙悟浄の手の平へと集まってくる。

沙悟浄は洞窟から集まる清浄なる気を両手に集めながら、三蔵へと送り込んでいたのだ。




(これで少しでも力を回復してくれれば…だけど、あんまり長くはもたないですよ…

私、どうしたら…)


思い悩んでいると、頭の皿に小石が落ちて来て頭に落ちて来たのだ。


「えっ?」


直後、洞窟が大きく揺れ始めたかと思うと、天井が崩れ落ちて来たのだ。


「うっきゃああ!」


沙悟浄は急ぎ三蔵を背負い、駆け足で洞窟から抜け出したのだ。


「ひぃ…ひぃ…ふぅ~!ひぃひぃふぅ~!危なかったですよ~!もう少しで、ぺっちゃんこでした!でも?一体全体どうして何故何故?洞窟が突然崩れ落ちたのですか?」



そこに怪しい声が響き渡る?


「ふふふ…」

「いたぜ?三蔵だ!」



沙悟浄が洞窟の外を見回すと、そこには盗賊らしき男達が群がっていたのだ。


「えっ?あっ…ああああああ!」


(間違いない…コイツ達は妖怪だ…妖怪盗賊!

しかも、三蔵様を知っていると言う事は?

三蔵様の命を狙って来た追っ手なんですよかぁ??

孫悟空兄貴も八戒兄貴もいないこの状況で、どうすれば?

いやいや!私がいるじゃないですか!)



沙悟浄は刀を手に取り、構えたのだ。


「なんだ?俺達と殺るってのか?ははは!」


ナメてかかる妖怪達に沙悟浄は叫ぶ。



「私だって!私だって!三蔵一行なんです!この命に代えても三蔵様は絶対に守り抜きます!」



すると隠れていた他の妖怪盗賊達が集まって来る。

今まで邪魔だった孫悟空や八戒がいないかを隠れて見計らっていたのだ。

いつも三蔵には孫悟空と八戒と呼ばれる厄介な妖怪が守っていたのだが、

目の前には弱そうな沙悟浄一人で守っているだけ。

しかも、御馳走の三蔵も弱りきっていた。

この好機に妖怪盗賊達は我れ先にと襲い掛かって来たのだ。



「うわあああ!」


沙悟浄は目を綴じて、刀を振り回す。



「ウギャアアアアア!」



辺りから妖怪盗賊達の悲鳴が響き渡る?


(えっ?)



沙悟浄は恐る恐る目を開けると目の前には、妖怪盗賊達が無惨な姿で倒れていたのだ。



(まさか私が無意識に隠されていた力を発動して?もしかして覚醒ってやつですか?)



そんなはずはないと自覚していても、言ってみたかった。

そこに沙悟浄は新たな妖気を感じたのだ。



(これは、妖怪盗賊達の雑な妖気じゃない…一体誰が?)



そこに沙悟浄の前に、数人の武装した娘達が現れたのである。

その手には血の滲む刀を持っていた。

間違いなく、この娘達が妖怪盗賊達を始末したのだろう。


「やっぱし私の隠された力が解放されたって訳じゃなかったのですねぇ~あはは」


沙悟浄は警戒を解いてはいなかった。



(この人達が助けてくれたのですか?でも…この娘達も…間違いなく妖怪だ…)



すると、その一人の娘が沙悟浄に近付いて来た。

沙悟浄は三蔵を背にして庇いつつ、警戒しながら質問する。



「あの…貴女達が助けてくださったのですか?ありがとうございます!何て感謝したら良いか…」



すると娘の一人が答えた。



「我が主が貴方達(三蔵一行)をお待ちしております。どうかこのまま私達と一緒に付いて来てくださいませんか?」


「えっ?主?誰?その方は一体?」


「ふふふ…」



それ以上、娘達は何も答えなかった。

それが純粋に不気味に思えた。



(どうする?このままこの場所にいても、また他の妖怪盗賊に襲われるかもしれない…

仮にも助けてくれた訳だし、ここに居座るよりも安全なのでは?)



「ど~しましょう??あっ~~~!」



パニクる沙悟浄が頭を抱えていると、懐に入れていた皿が滑り落ちる。


「あわわ!大事なお皿が~!大変大変です~」



沙悟浄は落ちた皿を拾い上げた後、娘達の誘いに乗る事にしたのだった。

沙悟浄は三蔵を背負い、娘達に言われるがまま付いて行く…



娘達の言う『主』のもとへと…



次回予告


沙悟浄「おっと!いよいよ私の主人公の話の始まりですね~!」


「やっぱり私もパワーアップなんかしちゃうのですかね?


新しい力が手に入るとか?


それとも私にも謎の力の覚醒とか?


とにかく今後の展開に期待大ですね~!」

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