破壊を呼ぶ者【肆】・・・無謀戦
金角児と銀角児の襲来に一度は逃げた八戒だったが、八戒は引き返し単身無謀な戦いに挑むのだった。
オラ、八戒らよ!
たまたま買い出しに出ていたオラの目の前に現れた二匹の妖怪…
金角児と銀角児。
その強大な力を本能的に感じたオラは、到底敵うはずもないと…
一目散に逃げたのらった。
そして孫悟空とオラが不在の三蔵はんと沙悟浄を見つけ出した金角児と銀角児は、離れた樹の上から巨大な氷の剣を使い二人に向けて放ったのら。
はずらったが、直撃した三蔵はん達はぐにゃぐにゃに崩れる。
ん?何らか違うらか?
意味が分からずにしている金角児と銀角児の更に上空から、戻って来たオラが巨大なウンチを抱えて飛び降りて来たのらった。
「ガハハハ!フン!」
落下しながらオラは印を結び、巨大なウンチを金角児と銀角児に向けて投げ落とす。
「うわぁ~!」
流石にたまらず逃げる二人は、オラに叫んだのら。
「汚い奴め!」
金角児と銀角児は妖気を放ち、落下して来た巨大なウンチを弾き飛ばした。
ウンチは辺り一面に飛び散って、肥溜めのような臭いが充満した。
「本当に汚い真似しやがって何者だ!」
「汚いのはどっちら?不意打ちはお互い様ら!」
「これは?」
気付くと飛び散ったはずのウンチが、術を発動させるための陣形を形どっていたのら。
「防御結解・異臭糞陣」
※イシュウフンジン
「なんだよ?何の気も感じないよ?…いったいこの陣形は?」
銀角児が結解に入りこもうとした時、
「おっと!不用意に入ると怪我するらよ?」
銀角児は警戒して咄嗟に足を止めた。
「この結解はらな…一歩でも足を踏み込んだら…」
「踏み込んだら?」
オラはキッパリと言い放ったのら!
「めちゃくちゃ汚いのら!踏んだら最後、エンガチョンらよ!」
「なんだ?ただのハッタリじゃないか!こんな物!」
銀角児が構わず結解に足を踏み込むと、散らばったウンチが連鎖式に爆発し足を踏み入れた銀角児が吹っ飛んだのだ。
「うわぁ~!」
吹き飛ぶ銀角児を、金角児が受け止める。
「馬鹿な?この結解には何の術力も感じないというのに?」
「ふふふ。この結解はらな?妖気を使った結解ではなく、オラが作った火を興す砂(火薬)をウンチに練り合わせ作ったお手製爆弾らよ!」
「アハハ…でも、こうしたらどうかな?」
すると、こともあろうに金角児の足元が凍りつき始め、結解から脱出する道を作り始めたのら。
凍りついた爆発石では、全く爆薬が作動しなかった。
「あわわ…」
金角児と銀角児がオラに近付いてくる。
ヤバいら…
逃げなきゃ殺られるら…
しかし、オラは恐怖で足がすくみ動けなかった。
オラは近付いて来た二人に身体を掴まれると、
恐怖でドロドロドロドロ…っと熔けたのら。
そしてオラの身体は形も残さず崩れ始め、ウンチへと変わっていった。
気付くと金角児と銀角児の周りには、オラの姿が何体も現れる。
「ガハハハ!これぞ必技・ウンチ分身!この分身はな!一つ一つがウンチの塊で出来てるのら!触ったら死ぬまでエンガチョだぞ?だから、オラが此処から逃げるまで動くなよ!」
オラは近くの木に隠れながら叫んだのら。
「くだらないよ」
銀角児の足元から地面が凍りつき、ウンチ分身が全て凍てつき砕け散ったのら。
「あっ!」
気付くとオラの背後に妖気を感知した金角児が迫っていたのら。
「みっけたよ!」
「いつの間に!?」
直後、腹に衝撃を感じ金角児がオラを蹴り飛ばした。
「がはっ!」
オラは勢いよく地面に叩きつけられて蹲る。
更に正面から銀角児も近づいて来る。
「万事休すら…」
「終わりだね?汚ならしい豚妖怪の最期だ!」
「ムフッ!」
オラは顔を伏せて笑みを見せる。
「何が可笑しいの?」
「オラは、ここで終わらないのが魅力なんらよ…せいらぁー!」
オラが真上に手をあげると、上空に黒斗雲に吊されたウンチの塊が浮かんでいたのら!
「いつの間にあんな物を作っていたんだ?」
「糞にまみれるらぁ!」
上空から巨大なウンチ二号が落下!
咄嗟にオラは地面に潜った。
「いつまでも調子にのるなよぉー!」
金角児が自分達の真上に巨大な氷の壁を作り、ウンチはそれを滑るように四方八方に流れ落ちていく。
「まだまだ!」
「今度は何だよ?」
辺りはウンチまみれになって強烈な臭いが?
オナラ並のガスが充満したのら…
「臭~い!」
堪らず二人が両手で鼻をつまんだ瞬間!
「知ってるらか?オナラはよく燃えるらよ!」
オラは鼻の穴から炎の玉を二人目掛けて放つと、オラは直ぐに地面に潜る。
すると炎の玉はオナラのガスと反応して、大爆発を起こしたのら!
辺り一面3キロにおよび円を描き炎に包まれたのらった。
ここで少し神・妖怪属性について説明するら!
神や妖怪には基本、属性が存在する。
火、水、風、土、雷に分かれる。
これは五行説の理に従っているのらよ。
当人の属性により五行で使える術を100%~120%使えるために、大体その術を極めるのが通常である。
また、他の属性の術を使う事も出来るのらが、違う属性の術を使えても30~40%が常である。
因みに例外があって土属性は全ての属性を80%使う事が出来る総合属性なのら。
また聖獣の力を使う事で他属性の技を100%引き出す事が出来るらよ?
また、例外に生れつき属性を二種持っている者も存在する。
水と風の属性を持つ者は、五行の属性とは別に氷属性も使う優良種なのら!
ちなみに金角児と銀角児は氷属性。
さて、ここで本題なのらが、属性には弱点が存在するのら!
木[風]は土に克つ
土は水に克つ
水は火に克つ
火は金[雷]に克つ
金[雷]は木[風]に克つ
氷属性は五行を無視して火に弱いと言われているのら!
つまり奴等の弱点は炎なのらよ!
地表の爆発が納まった時、オラは地面から抜け出す。
「やったら…奴達は氷系妖怪ら。炎の攻撃には弱いはずら!例え倒せなかったとしても十分足止めになったはずらよ!とにかく、やったら!」
その時、オラに冷や汗が走る。
爆発が起きた中心に、大きな氷の棺が置いてあったのら。
ま、まさか…?
氷の棺はオラの目の前で割れ始め、中から金角児と銀角児が無傷で現れたのら。
「あがが!!」
(有り得ないらよ…)
金角児と銀角児の二人は、オラの居場所に気付いて近付いて来た。
「お前、面白い事するね?笑える笑える!」
「今のは少し驚いたよ!でも、そんなで僕らに傷を負わせるなんて無駄に決まってるじゃん?あはは!」
ヤバいら…
もう何も策が残ってないらよ…
早くこの場から逃げなくちゃ殺されちまうら!
オラがこの場から逃げ出そうとした時、
「逃がさないって言ったよね?」
「あわわ…」
オラは金角児に逃げ場を塞がれ、逆方向に逃げようとすると、そこには既に銀角児が立っていて道を塞がれたのら。
「逃げれないよ?言ったろ?理解出来ないくらい馬鹿なのかな?」
「クスッ!」
二人の顔は冷酷でオラは恐怖に腰を抜かして震えて動けずにいた。
あわわ…
オラはやみくもに刀を抜き、銀角児に斬り掛かる。
本当に何の策もなく…
銀角児は片手でオラの刀を受け止め、刀を凍り付かせ粉々にしたのら。
「ヒィイイ!」
怯えるオラの耳元に金角児が近付き囁く。
「今から残虐ショーの始まりだよ!」
万事休す?オラの額から冷や汗が流れた。
オラ…死ぬのらか……?
誰か、助けて欲しいら…
次回予告
八戒「後悔するら・・・」