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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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空気読もうよ…ね?

紅孩児の死に孫悟空の怒りが爆発した。

孫悟空は獣神変化で蚩尤と激突したのだった・・・が、制限時間オーバーで変身が解けてしまったのだ。

絶体絶命の孫悟空は?


俺様は孫悟空!

俺様の奥の手である獣神変化も、制限時間オーバーで変身が解けてしまった。


ど・・・どうする?


俺様は蚩尤の攻撃を躱しながら蚩尤の神殿から飛び出して溶岩層の回りを逃げ回っていた。


少しでも体力を回復させないと・・・


「逃げても無駄だ!」



蚩尤は手にした弓を構えると、妖気を纏わせた矢で狙い射る。

矢は俺様の全身をかすめ、たまらずに落下したが、辛うじて岩陰に隠れたのである。



「ふふふ…もう良かろう?そろそろ諦めるが良い?いや、諦めさせてやろう!この俺の最終形態を見てな!もう出し惜しみはせん!さぁ本当の絶望で覚悟せよ!絶望!絶望!絶望!絶望!絶望!ははははははは!」


さ…最終形態だと?

俺様は更に妖気が膨れ上がり、その形態を変える蚩尤の姿に恐怖した…


ば…馬鹿な??

まだ強くなるのかよ?

蚩尤は懐から何か巾着のような袋を取り出す。


あれは確か?

紅孩児が持っていた邪魂集めの袋か?


「さぁ!見てみろ!」


蚩尤は口の中に袋の中身を放り込んだのである。

あれは邪魂??



「逃げ回って隠れていて良いのか?この邪魂の袋の中にあるのは紛れもなく死者の魂だ!この邪魂の袋は魂を飴玉へと変え、俺の傷を再生してくれるだけでなく俺の力をも極限にまで上げてくれるのだよ。さて・・・この中には僅かの飴玉があるな?この飴玉はお前の友達とぬかす紅孩児の魂かな?」


蚩尤が口を開けて食べようとしていた。

待て!魂を食われたら、もう二度と転生が出来なくなってしまうんだぞ?

紅孩児が転生すら出来なくなるなんて・・・


「待て!止めろぉー!」


思わず飛び出す俺様の腹に蚩尤の矢が貫く。


「ぐはぁ!」


吐血し俺様は前のめりに倒れながら蚩尤を睨み付けるしか出来なかった。


くっそおおおお!


そして遂に蚩尤は袋の飴玉を全て食らい尽くしてしまったのだ。


「グフフ…今、俺は108の邪魂(煩悩)を喰らい終えた。俺の力は今、まさに特上ランクまで達したのだ!不死身の身体を備えた最強の妖怪になったのだぁ!」


特上ランク

現存する中で最高のランクである。

神々は妖怪が特上クラスにならないように、天から監視している。

天から許された特上級うの妖怪は、かつて六大妖魔王達のみ。

それ以外は全て討伐の対象になっていたのだ。


だから妖怪皇帝である蚩尤は、天より隔離された神が入って来れないこの地で、邪魔されずに着々と自分自身が特上妖怪に進化する手筈を整えていたのだ。


蚩尤は不老不死の身体!


神々の邪魔さえなければ最強への道は手に入れられる器だった。

今ここに新たな特上妖怪が現れた。


その名は妖怪皇帝蚩尤!


蚩尤の下半身から触手が飛び出して来て身体に巻き付くと更に巨大化し始める。

それだけではない!奴の身体から炎が噴き出したかと思えば、蚩尤の身体にヒビが入り、熔岩が垂れ流れて来たのである。床をめり込ませ火炎城を崩壊させ、その姿は更に醜悪に巨大化していった。


「うぐぅわあああ!」


俺様はすかさず金斗雲を呼び寄せて熔岩への落下から逃れた。

巨大化した蚩尤は火炎山の熔岩層に着地する。

そして落下して来る俺様を見付けると、その周りから妖気を纏わせた熔岩玉を幾つも浮かび上がらせて俺様目掛けて飛ばして来たのだ。



「きぃ…金斗雲!!」


俺様は金斗雲に命じてそのまま猛スピードで火炎山の中を飛び回る。

そんな俺様に熔岩玉が飛んで来て、俺様は辛うじて避けていた。

それでも次第に逃げ場を失いつつあった…


このままではダメだ!

逃げていても、いつか掴まりやられる…

だが、もう俺様には力も策もないのだ。


ならば、せめて一矢報いてやるぜ!

せめて一発でも!


俺様は金斗雲にしがみつきながら気を集中させる。

ダメだ…力が足りない?

そうだ!


『出でよ!ピヨちゃん!』


俺様の身体から炎を纏ったヒヨコが現れて、俺様の頭上にしがみついたのだ。

炎の聖獣・ピヨちゃんは俺様に炎の力を与えてくれるのだ。


「うらぁあああ!」


俺様は無数の火炎弾を放ったが、その攻撃は巨大化した蚩尤には無傷であった。



「無駄だ!無駄!無駄!蚊に刺された程にも感じんわ!がはははは!」



奴の下卑た高笑いが火炎山全体に響く。

成す術無しか…


チクショー!

これでは紅孩児が無駄死にじゃないか?

それに俺様ももう時間の問題?

その時、あのナタクの事を思い出したのだ。


もし俺様が負けたら、あのナタクの野郎が「所詮、その程度だったか?」と見縊った態度で俺様の墓を見下ろすのだろうか?


それはマジにムカつく!

あのナタクの野郎には再戦して、一泡吹かせるはずだったのによ!

しかし、あのナタクでもこの蚩尤相手に勝てるのか?


その時、俺様は旅の途中にナタクの放つ雷の直撃を受けた事を思い出した。

そういえば、ナタクの雷には神気が混ざっていたな?

ナタクの神気の網に捕われ抜け出した時は、確か俺様も雷に神気を混ぜて作った刀で網を切り裂き、抜け出したんだったな?


そう言えば以前戦った女妖怪・鉄扇も風気に神気を混ぜていたぞ?

その攻撃は破壊力だけでなく、俺様の治癒力も受け付けなかった。

俺様は鉄扇との戦いの中で言っていた台詞を思い出す。



「ふふふ…致命傷よね?私の抜傷扇はね、神気と妖気を混ぜてるの!だから妖怪に治癒再生をさせないのよ!」



神気を混ぜた?

治癒をさせない?

そんな会話を思い出して…


「そうかぁ!神気か!?」


俺様は金斗雲で蚩尤の攻撃を躱しながら、掌に神気をこめていく。

そして神気と炎を纏った妖気を混ぜ合わせたのだ。


『融合術』


俺様は神気を混ぜ合わせた火炎球を作ったのだ。



「くらえ蚩尤!」


俺様は出来立てほやほやの火炎神妖弾を、蚩尤に向かって投げつけたのである!


「いくらやっても同じこ…がっ!」


蚩尤が言い終わる前に、俺様の作った火炎神妖弾が奴の顎にヒットした。


「うぎゃあああ!」


突然の大ダメージに、蚩尤は意味も分からないまま顎を押さえもがく。


「やったぜ!」


この技は奴に効いてる?

が、俺様の足が縺れる。


あれ?そういえば…雷の刀を作った後も、身動き取れないで落下したんだった。

この技は体力を奪われ過ぎる欠点があるのだ。

せっかく蚩尤の攻略方法を見付けたってのに、どうする?

さっきの火炎神妖弾をもう一度作ろうとも、後一個作るのが限界だぞ?



それでも俺様は気合いで神気を高めた。

物凄い『力』を感じる…

これが融合?

そして、先程よりも濃密で神々しい火炎玉を作りあげたのだ。


奴を倒すにはこの玉を直接奴の心臓に叩き込むしかねぇ!



一か八か!チャンスは一度だけだ…

絶対に外さない!


蚩尤はまだ顎を抱えていた。

俺様は油断している蚩尤の懐に飛び込んだ。

生憎、巨大な身体が災いして俺様に気付いてないな?

チャンスだ!

俺様は蚩尤の心臓目掛けて最大級の…


火炎神妖弾を…オッ?


気付くと俺様の頭にいたはずのピヨチャンが、

ピョンピョンと頭から肩、腕へと移動している?


お前…こんな状況でさ?


な…何してんの?


空気読もうよ…ね?


「ピョ?ピョ!ピィヨ~!」


何か…ピヨチャンが目を輝かせて喜んでいるぞ?


お前は何がしたいのだ?


すると、こともあろうに…

俺様が今から放とうとしている火炎玉を見つめて…

嘴を付けたかと思えば??



た…食べ?食べた?食べちゃったぁ~!



何をしよっとですかぁ~!


俺様はピヨチャンの首を掴み、振り回す。



「はっ…吐け!吐き出せ!それは、食べ物ではありませ~ん!お腹壊すから吐き出して~!てか、何て事をすんの~!」


「ゲップ…」


ピヨチャンは満足気に顔を赤らめ喜んでいた。そ

して、俺様に『お代わり』をおねだりするみたいな顔で目を輝かせていたのだ。


あんたって、子はぁ…


ハッ?


気付くと蚩尤が再生を終えて俺様を見下ろしているじゃあ~りませんか?


きゃあ~!!

俺様はピヨチャンを掴み、その場から一目散に逃げ出したのだ。


だ…ダメだ…


終わりだ…


もう…力が残ってない…


それもこれも…


「ピヨチャン!何をやってるの~?何、満足気な顔してるのさ?ちょっと!聞いてるの?状況分かってるの??お願いだから、さっきの玉を吐き出してください~!お願いしま~す!」


「ぴぃぴぃ~」


すると、ぴぃちゃんが、

何?美味しかったからもっとくれだと?


「ぴぃ~ぴっぴぃ!」


「あんた!俺様怒っちゃうよ?いっその事、食べちゃうよ?」


「ブーブー!」


「鳴き声違うし!」



このやり取りを見ていた蚩尤は、


「ふふふ…漫才はもう止めろ!そろそろ終わりにしてやろう!」




マズイぞ…こりゃ…


ん?


「ピィピィ…」


「えっ?」


何をしてるの?

見るとピヨチャンが俺様の身体から神気を吸い出していたのだぁ???



「ピヨチャン?まさか俺様を殺す気ですか~??」


イヤァ~!

すると、俺様の身体から神々しい炎のオーラがピヨチャンを通して噴き出したのだ?


「な?何だ?こりゃ?神気を纏った炎が勝手に出てきたぞ?なのに全然体力を奪われてない?それどころか逆に力が溢れて来るようだ?はっ!まさかピヨチャンが?」



俺様は試しに神気をピヨチャンへと流し込むと、ピヨチャンの体内で神気の炎へと変換されて俺様に返って来たのだ。これが何らかの循環作用を起こして俺様の体力まで回復させているのか?



「アハハ…そういう事なら!ピヨチャン!思い十分食べてみさらせ!」



俺様は両手にありったけ神気を込めると、両手を組み合わせ巨大な神気の火炎玉を作ったのだ。

そこに、パタパタ…ピヨチャンが神気の火炎玉の中に飛び込んで行ったのだ。


「ピョ~ピョーン!」


もう…何も驚かないぞ?



その時、ピヨチャンの身体に異変が起きたのだ?


えっ?


ピヨチャンの身体が見る見る巨大化していき、燃え盛る炎の鳥へと変わっていった!


ま・・・マジか?



そして俺様の姿までもが変わっていく?


次回予告


孫悟空「次の話は?」


ピヨチャン「ピイ!ピイピイ!プゥ~ピイ!」


・・・なんか白熱した展開なんだな?



ピヨチャン「ピヨピヨ~ぴい!ピッピッのピイ~」



・・・マジか?それはかなりのもんだな?



ピヨチャン「ピイ~ピイピイ!ピキピン!」




・・・どうやら気が済んだようだようだな?


まさか後書きの次回予告を一度やってみたいとかおねだりされるとは思わなかったぜ・・・


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