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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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恐るべき妖怪皇帝の本性!

三蔵の声で再び戦う決意をした孫悟空。

その時、牛角魔王は魏王を撃退し、妖怪皇帝と対峙していた。


俺様は孫悟空。

三蔵の声で再び戦う決意をした俺様。

その頃、紅孩児は父親である妖怪皇帝の元へと向かっていた。



「今、父上はあの牛角魔王と戦っているはず…早く行って加勢しなければ!」



紅孩児が妖怪皇帝の部屋にまでたどり着くと、

そこには妖怪皇帝が何もなかったかの様に玉座に座していた。



「父上!大丈夫でしょうか?牛角魔王の奴はいかがなさいましたか?」



すると妖怪皇帝はニヤリと笑むと、駄々高い天井の中心にある壁を指差す。



そこには石化した状態の牛角魔王が壁に張り付けにされていたのだ。

この短時間で、あの牛角魔王に何が起きたと言うのか?


「あれは!」


(そうか…父上が牛角魔王を葬ったのか?流石は父上!噂に名高いあの牛角魔王も、父上にかかれば相手じゃなかったわけだ!)


「牛角魔王をお仕留めになられたのですね?」


「………」


「あの…ところで三将軍の姿が見えませんが?何処に行かれたのでしょうか?」



すると無言だった妖怪皇帝は紅孩児を睨みつけ、


「黙れ!紅孩児!お前は私が呼ぶまで退いておるのだ!」


「えっ?あっ!はい!」


突然妖怪皇帝に怒鳴られた紅孩児は、その場を離れた。



(父上は…どうなされたのだろう?きっと俺様が賊を入れてしまったから…)


悔やむ紅孩児は部屋を出て行った。




残された妖怪皇帝は一人、天井に張り付けになっている牛角魔王を見つめ、

牛角魔王との間で起きた一部始終を思い出していたのだ。


それは俺様と紅孩児が火炎城の外で死闘を演じていた時、妖怪皇帝と牛角魔王もまた死闘を演じようとしていた。


「はぁああああ!」


気合いと共に凄まじい覇気が発せられた。

その気圧にその場に倒れていた三将軍もすくんでしまうぐらいに。


「牛角魔王…計り知れない力を!私達との戦いはまだ本気ではなかったのだな」

「俺達はあのような化け物を相手にしてうたのか?」

「今頃、震えてきた」


魏王達は牛角魔王の圧倒的な強さに落胆してしまう。


「ふぅおおおおお!」


だが、妖怪皇帝は牛角魔王の覇気に怯む事なく、相等の覇気を解放させたのだ。



「おぉ!妖怪皇帝様も凄まじい力だ!」

「あの牛角魔王に引けを取ってはいない!」



覇気と覇気のぶつかり合いは周りの壁に亀裂を作り、天井と床を押し広げ潰していく。

更に、凄まじい衝撃音が通路全体に響いたのだ?


「これは!?」



それは牛角魔王の持つ二本の黒刀と、妖怪皇帝が抜いていた白い刃の二本の刀が激しくぶつかり合う衝撃音だった。刃の斬撃が壁、床を削り、その刃の攻防の中、牛角魔王と妖怪皇帝はゆっくりとその間合いを詰めて接近していたのである。



「それが全力か?あの妖魔王最強の牛角魔王の全力かぁ?あはははは!」


「貴様ぁ!その力をどうやって手に入れた!まさか!?」


「そのまさかだよ!私は奪い…手に入れた…それもこれも天界の奴等と、裏切者の牛角魔王!お前を始末するためだぁー!」



二人の会話の意味はその場にいる三将軍には理解出来なかったが、二人には因縁があり、牛角魔王が何かしら妖怪皇帝を裏切ったと言う事実のみが受け取れた。


「裏切者か…そうかもな…しかし…」



突如、牛角魔王は攻撃の手を止め、二本の刀を鞘に納めたのだ?

だが、妖怪皇帝の上段から降り下ろされた二本の刃は止まる事なく牛角魔王に迫る。


「馬鹿め!懺悔し諦めたかぁー!!」



だが、牛角魔王の目から戦意の光は消えていなかった。

妖怪皇帝の刃が牛角魔王の頭上に触れる寸前、牛角魔王は身体を翻して躱し、鞘に納めた刀を一気に抜いたのだ。


『抜刀!角四罪散!』

※カクシザイサン



抜刀した刃から放たれた一撃は、妖怪皇帝の身体を斬り裂いた。

勝ちを確信していた妖怪皇帝は突然胸に受けた衝撃に驚く暇なく、その勢いで吹き飛ばされて天井に直撃したのだ。



「例え昔より遥かに力を付けようと、お前に剣技を教えたのは俺だ!お前の剣の軌道や癖は知り尽くしている。残念だがお前では俺には勝てん!」



すると天井が崩れ、妖怪皇帝が床に落下して来たのだ。


「うごおおお!」


妖怪皇帝は雄叫びをあげて牛角魔王に向かって吠える。

それ程、力の差は歴然としていたのである。


「お前を狂わせたのは俺だ。急所は外してある。だから二度と俺に関わるな!そして…」


『俺の息子を返して貰うぞ!!』



「わ…私…俺に!俺に情けだと??ふざけるなぁー!牛角!!聞いていたぞ!何が守る力だ?武人としての誇りだ?貴様とて愛妻の羅刹女を俺に殺され、怨み怒り!仇を取りに来たのだろうがぁ!?」



荒々しくなる妖怪皇帝の口調に三将軍達も驚いていた。



「俺は守りに来たのだ…確かに怒りも憎しみもある。だが、それよりも俺には羅刹女が残した最後の約束を守る事が一番大事なのだ!あいつは死に際に俺に言った。息子を頼むとな!仇を取れとは一言も言わなかった。犯人がお前と知っていたからかもしれん…だから俺は羅刹女との誓いを守る!その約束を守る事が俺の力なのだ!」


「なんだそれは?何なんだその理由は?何処まで俺をコケにすれば気が済むのだぁー!」



すると妖怪皇帝は血だらけの身体で立ち上がったのだ。

だが瀕死状態の状況下にもかかわらず、妖怪皇帝の口元は笑んでいた?



「何が可笑しい?気でもふれたか?」


「お前の勝ち誇る顔を見ていると片腹痛いわ!」


「どうやら力の差をまだ分かっていないようだな?」


「分かっていないのはどっちかな?ここまできたら切り札を出させて貰うぞ!」


「何!?」



すると妖怪皇帝は懐から何かを取り出したのだ。

見ると手の平には何か光る玉を三つ乗せていたのである。

それは赤と青と黄の手の水晶玉?

それは炎と氷の塔にあった赤と青の水晶玉に違いなかった。

それに、本来この城にあったと思われる黄色の水晶玉もあった。



「お前を相手するのに、何の策も用意してなかったと思うか?これが俺の奥の手だぁ!」



三つの水晶が光り輝いた時、壁一面に描かれていた神文字が異様な反応を示したのである。


「ぬっ?これは一体!?」


「ふふふ。お前はこの場所におびき寄せられたとは思わなかったのか?お前を倒すのに何の策を弄していないと思ってはいなかったのか?」


「どういう意味だ?」



すると、壁が生き物の触手のように伸びて来て、牛角魔王に巻き付いて来たのだ。



「グオオ!?身体が動かん…力が抜けていくようだ…何なんだこれは?グオアアア!」



絡まる触手は牛角魔王の力を吸収し、牛角魔王は膝を付いたのだ。

形勢逆転の如く今度は牛角魔王が妖怪皇帝を見上げ睨みつけていた。

しかも、その足下から次第に石化していくのだ。


「グゥゥ…ふ…不覚だ…くそぉ!」



石化が胸元まで達した時、



「この西の地には不思議な遺跡があってな?面白い仕掛けが沢山あったのだよ」


「何を?」


「この火炎城には遺跡の装置を移してあるのだ。そしてこの水晶玉は遺跡の力を発動させる鍵!この遺跡の力は最高神でさえ寄せ付けない。お前をも封じ込める強力な魔力が込められているのだよ!」



この西の地に神々が入って来られないのもまた、この水晶玉と遺跡から発動した結解のためなのだ。

胸元まで石化し身動きが取れない牛角魔王を見て、妖怪皇帝は勝利を確信して言った。



「約束?守る?愛?そんなもんは力にはならん!現実を見よ?お前は何も成し遂げられずにその様だ!それにお前の甘さが自分の愛した女を失わせたと何故気付かぬ?」


「何だと?」


「後悔するが良い!完全に石化し動けなくなった後は、お前の目の前でお前が命懸けで守りに来たガキをこの手で引き裂き、その生き血で乾杯してやろう!あはははは!」



その言葉に、牛角魔王の怒りが頂点にまで達したのだ。


(さ・・・させぬ・・)


「そうは、させんぞぉー!!!!」



牛角魔王の怒りが石化し動けない筈の腕を伸ばしたのだ!


「何?馬鹿な!?」



牛角魔王の腕が油断していた妖怪皇帝の首を掴み、その手に力を込める。


「は…離せ!離せ!は…離せ!」


「どこまでも・・・愚かな奴だ」



鈍い音とともに妖怪皇帝の首が逆方向へとへし折れ、床に落下した。

そこで牛角魔王の身体もまた完全に石化してしまったのである。


「妖怪皇帝様!」


三将軍が倒れている妖怪皇帝に近寄ると、妖怪皇帝は完全に動かなかった。


これでは助かるまい。

そう思った瞬間!?


妖怪皇帝の身体から触手が飛び出して来て、三将軍を襲い始めたのだ!?



「ナッ?これは一体どういう事だ?」


「身体が動かん!待てよ?確か…火炎城に兵士を襲う謎の妖怪も触手で襲って来ると聞いたぞ!」


「では火炎城に徘徊して兵士を襲う謎の妖怪とは…まさか!」



(妖怪皇帝様!?)



「うぐわあああ!」


「呉王!大丈夫か!」


すると呉王将軍の鍛えぬかれた身体が、どんどん萎み始めたのだ。

これは生命力を吸い取られているのか?



「魏王!蜀王!お前達は逃げ…よ…うぎゃああ!」



断末魔とともに呉王将軍は息絶えたのだ。

代わりに、そこには死んだはずの妖怪皇帝が立ち尽くしていた。

転がっていた首から触手が伸びて胴体の触手に達すると、首は胴体へと繋がった。

そして妖怪皇帝は曲がった首を強引に元の位置へ戻す。



「妖怪皇帝様…な…何を?呉王将軍は貴方の部下ですぞ!」


「ギ…ギギ…ぶ…部下だと…?ふふふ…ならば当然だろ?主のために死して何がおかしい?俺を生かすための血肉になれて呉王将軍も本望であろう?」


「何を言っているかお分かりか!?」


「無駄だ!魏王!逃げろ!コイツはこうやって、己の身体を癒すために城の兵士達を襲っていたに違いない!」


「蜀王?」


見ると蜀王将軍の腕に触手が絡み生命力を吸い取られていたのだ。


「蜀王!」


駆け寄ろうとする魏王に妖怪皇帝の触手が伸びて来て襲い掛かるが、最後の力で蜀王が残された右腕で掴み引き千切ったのだ。


「逃げろ!魏王!せめてお前だけでも!私の事は心配いらん!」


「しかし!」


「行けぇー!お前には行くべき守るべきモノがあるのだろう?心配するな!俺と呉王にとって守るモノは…」



(戦友である魏王!お前なのだから…)



直後、蜀王の身体に無数の触手が突き刺さる。

萎むようにして生命力を奪われていく蜀王を後にして魏王は駆け出しのだ。




「すまぬ!お前達の恨みは忘れぬぞ!」



怒りと悲しみを堪え魏王将軍は迫る触手を振り払い、その場から逃げたのだ。



「逃がさん!お前も俺の力になるがよい!」



妖怪皇帝の身体から無数の触手が伸びて来て逃げる魏王将軍に迫る






「こ…こう…がいじ…さま…」

次回予告


牛角魔王「あれ?俺の出番終わりか?馬鹿な!ありえん!」


孫悟空「有り得なくないだろ?読者は皆、俺様の活躍を楽しみにしているのだぜ?後は俺様に任せてお前は寝ていなさいって!」


牛角魔王「そうか・・・主役奪還のためには、先ずはお前から倒すべきだったな!」


孫悟空「いや、マジ目が怖いぞ?冗談はよせよ?」


牛角魔王「俺は冗談は言わない主義だ!」


孫悟空「きゃああああああああ!」

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