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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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友情亀裂!?孫悟空と紅孩児!

魏王と呉王、蜀王の過去。

それはかつて天界で戦った牛角魔王との因縁だった。


そして魏王と紅孩児の間には、離れぬ絆があった。


物語は進む・・・

魏王は二人の将軍と孫悟空が戦っている広場にまでやって来た。


「遅い!二人共何をてこずっているのだ!」


魏王が門を開くと、そこには焼き焦げた姿の俺様が転がっていたのだ。


「どうやら始末は済んでいたようだな?」


魏王の視線の先には人の姿に戻った蜀王将軍が一人立っていた。


「お前達程の者が思ったより時間をかけたようだな?」


「ああっ!思ったよりやる奴だった」


周りを見回す魏王。

確かにこの場所で激しい戦いがあったのは間違いなかった。

しかし一緒に戦っていたはずの呉王将軍の姿が無かったのだ。


「呉王の姿が見えないようだが呉王は何処へ行ったのだ?」


「ああっ…あいつは負傷してな?治療をしに自分の部屋に戻った所だ」


「何?大丈夫なのか?」


「心配ないんじゃないか?ぐっすり眠っていると思うぜ?」


「それにしても…」



焼き焦げた床が盛り上り、底が抜け落ち、扉を守る門の瓦礫が崩れて散漫していた。

魏王は再び孫悟空の死体を見下ろす。



「まさか、紅孩児様に近寄る輩がいようとは馬鹿な奴だ…」


「猿は馬鹿なのか?」


「どこぞの馬の骨とも分からん奴が、よりにもよってこの火炎城に踏み込むとはな。まぁ、所詮は下等妖怪だった訳だ」


「いやいや!なかなか強く、かっこよく、素晴らしい奴だったぞ!まさに尊敬に価する猿だった」


「ん?お前にしては馬鹿に褒めるな?」


「いやいや!俺様は思ってい……」



そう蜀王が言いかけた時、魏王の大刀が蜀王の身体を横一線に斬り払って来たのである。


「ぐおっ!」



蜀王は辛うじて後方に飛びのいて、魏王の大刀を躱した。


「何をしやがる?危ないだろ!」


「最近の猿は化けるものなのか?しかし猿まね…俺の目を誤魔化せると思うなよ?」



あっちゃ~!

バレバレですか?


すると蜀王の姿が次第に元の俺様[孫悟空]の姿へと変わっていく。


遅れたが、俺様は孫悟空だぜぇ!




そう…

つまり俺様は先程倒したばかりの蜀王の奴に変化していたのである。

俺様は二人の将軍、呉王と蜀王を既に撃破していたのだ。


「よく見破ったな?お前強いだろ?」



魏王は再び横目で倒れていた猿の姿を見る。

猿の姿は蜀王の姿へと変わっていた。

そして自分が入って来た門のテッペンには、呉王が頭から壁に埋もれていたのである。



「二人を倒すとは…どうやら、ただの妖怪ではなさそうだ。俺の名前は魏王!貴様は何者だ?」


「俺様の名前は孫悟空!聖天大聖・孫悟空様だよ!いや、お前達には、牛角魔王と同じ六大妖魔王の一人と言った方が良いようだな?」


「なんと!牛角魔王と同じ六大妖魔王だと!?」



なんか牛角魔王の名前にだけ反応されると、俺様的に立場がないのだけど…

俺様ってそんなに知名度ない魔王だったの?


「良かろう。では、この魏王!私が直々に相手になってやろう」



『獣神変化唯我独尊…』



すると、魏王の姿は今までの厳格な武神の姿から、燃え盛る大亀の鎧を纏ったのだ。

それと同時に凄まじい妖気が辺りを充満していくのが分かる。


「どうやら他の二人とは同じランクでもレベル差があるようだな?」



俺様は如意棒を構える。

激戦の後の激戦!

俺様の身体の疲労はピークに達していた。

が、逆に戦いへの集中力は以前にも増して高まっていたのである。


「いざ参る!」


魏王が突進して来る。


「いらっしゃいだぜぇ!」



俺様の如意棒と魏王の大刀が激突し、その妖気の激突が辺りを激震させる。

凄まじい突進力!

亀だから防御とパワー系かと思えば、スピードまであるなんて!

ちょっと計算狂ったぜ!

こりゃ~亀を見た目で判断したらいけないな?


「ウグググ」


「貴様を妖怪皇帝様には…いや!紅孩児様には近付けさせぬ!」



えっ?コイツ?

他の二人と何か違う?


そうか!

薄々感じてはいた違和感。

コイツが紅孩児の名前を呼ぶ時…

目が温かいんだ?



「お前、悪い奴じゃないのか?紅孩児を騙しているのではないのか?」


「貴様には関係のない事!私が貴様を殺す事に変わりはなかろう?」


「それもそうだな!」



確かに、俺様に対しての攻撃には殺意がこめられている。

とにかく、手を抜いて勝てる相手じゃねぇな!

再び魏王と俺様の戦いが始まったのだ。






その頃、紅孩児の部屋では?


「ん?あれ?魏王と孫悟空の奴遅いなぁ?一体何をやっているんだ?」



紅孩児は暫く考えた後、


「よし!俺様から迎えに行くとするか!」



紅孩児は立ち上がり部屋を出たのだ。

だが、紅孩児は城内の何処を探しても俺様も魏王も見付からない。



「お~い!悟空!」


名前を呼ぶ紅孩児。


「魏王!蜀王!呉王!」



いくら呼んでも誰も来ない。


「何処に行っちまったんだ皆?まさか!」



紅孩児はそこで嫌な予感がして、この状況から推測し察したのだ。



「まさか!俺様を差し置いて、皆で楽しくやっているのかぁ?夢中になって俺様を忘れているのだな?許さん!許さんぞ!」



まぁ、全然的外れだったのだが…

すると、俺様と魏王のぶつかり合う振動が城内を揺らしたのだ。



「おっと!ん?何だ?外から音が?そうか!」




紅孩児は愕然とした。


「ば…バーベキューしてるんだな!俺様を残して御馳走とは許さん!」




やはり的外れだった。


しかし、紅孩児が俺様の戦っている場所に来てしまったら?

確実に状況は悪化する。

紅孩児はニヤニヤしながら音のする方へと走り出したのだった。



「俺様を驚かせる魂胆だな?まったく許せん奴達だぁ~!俺様が行って逆に驚かせてやる!俺様も混ぜろよぉ~!」




何も知らずに走る紅孩児。

そこで何が起きているかも知らずに…

今も、俺様と魏王はどちらとも引かない戦いを繰り広げていたのだ。



「こんな奴が今まで表世界に出ないでくすぶっていたとは…」


「ふん!私は来たる時のために、妖怪皇帝様が世界を統べるその時まで力を蓄えていたのだ!」


「もったいねーな!」



幾度となく激突する俺様と魏王!

譲らない力のぶつかり合いは更にヒートアップしていく。





と、そこに…



「何をやってるんだ?」



えっ!?



その声は紅孩児であった。

紅孩児は意味も分からずに、茫然と俺様達の戦いを見ていたのだ。

紅孩児は状況把握が出来ず、頭の中は真っ白になっているに違いない。



「紅孩児!」


「紅孩児様!」



俺様も魏王も見られたくない状況を紅孩児に見られ戦いを止めていた。



「な…何をやってるんだよ…お前達…ふざけあってるのか?」



周りを見渡すと呉王と蜀王が倒れている。



「それは…」



すると今度は紅孩児が真面目な顔付きになって叫んだ。



「お前ら!何をやっているのかと聞いてるんだぁー!」



紅孩児の凄まじい覇気が俺様達を威圧したのだ。



「紅孩児…俺様は…」



すると俺様の言葉を遮るように魏王が割って入る。


「紅孩児様!この輩を誰だとお思いですかぁ!」


「どういう事だ?」


「紅孩児様!この孫悟空と名乗る輩は、妖怪皇帝であるお父上様に傷を負わせた牛角魔王と義兄弟の契りを結んだ魔王なのですぞ!そして、ここに侵入して来た目的も紅孩児様を騙し、お父上様の命を奪うためなのです!」


「なっ!?」


「待て!ちが…」


しかし魏王の説明は間違ってはなかった。



「悟空?本当なのか?お前は…本当に俺様を騙していたのか?」


紅孩児の肩は震えていた。

真実を知る恐怖と嘘であって欲しいと言う願いに動揺していたのだ。


「それは…」



少なからず嘘ではない。

いや?その通りなのだ…

言葉が出ない…



「黙ってないで答えろ!お前が俺様を騙して父上の命を狙っているのかと聞いているのだ!」


「違うんだ!聞いてくれ!理由があるんだ!」


「何が違うのだ?父上を狙うと言う輩に何の理由があると言うのだ?現にお前は呉王と蜀王を傷付け、俺様の目の前で魏王と戦っていただろ!」


「はっ…話を聞いてくれぇ!紅孩児!」



俺様は…俺様は…



「ふっ…ふふふ…アハハ…アハハハ!」



紅孩児は突然笑い出したかと思うと、今度は俺様に対して静かに言葉を発した。



「少しでも…少しでも…友達って言う物を良いと感じた俺様が馬鹿だった…」


『馬鹿だったぁー!』



紅孩児は自分の髪を掻きむしり、目の前の柱に自分の額を叩きつけたのだ!

額から血が流れ落ちる。



「紅孩児様!」


「来るなぁ!」


近寄ろうとする魏王を紅孩児は制止たのだ。



「くそ…くそ!くそ!くそぉー!」



自分自身への怒りが込み上がる紅孩児。



「紅孩児!俺様の話を聞いてくれぇー!」



すると紅孩児は首を降った後、俺様を見下ろし冷淡に答えた。



「うるさい!気安く俺様の名前を呼ぶな!こんな事なら…」


「聞いてくれ…」


「友達なんか作らなきゃ…良かった…」


「紅孩児!」



紅孩児は首を振り叫んだのだ。



「友達なんかいらない!他人なんか信じた俺様が馬鹿だった!馬鹿だ!馬鹿だ!馬鹿だぁー!」



紅孩児の手から燃え盛る炎が噴き出し、それは次第に形を成す。



『火尖槍』



それは紅孩児の神具武器である。


空「紅…孩児…」


紅孩児は全身に炎を纏わせ言った。



「俺様は妖怪皇帝の一子、妖怪王子・紅孩児だぁ!俺様を騙しただけでなく、我が父上に仇なす侵入者孫悟空よ!俺様のやらかした事への罪…責任を持って俺様の手で八つ裂きにしてくれる!」


「では、一緒に!」


「来るな!魏王よ!コイツは俺様が殺る!」



紅孩児が突っ込んで俺様に向かって来る。

突き出された火尖槍が俺様に襲い掛かって来る。

俺様は躱しながら説得するが、既に聞く耳を持たない。



「待つんだ紅孩児!お願いだから俺様の話を…」


「まだ言うか!聞く耳はもたない!」


『火炎双輪撃』

※かえんそうりんげき



火尖槍から火炎放射が放たれ円を作り火輪となる。

それが二つに分かれて俺様を囲み襲って来たのだ。


「何?ぐわあああ!」


ぐっ…ぴよちゃん…


『ぴょこぴょこ!ピょコア~!』



俺様の頭上からぴよちゃんが羽根を振りながら踏ん張ると、俺様の身体から炎が噴き出す。


「本性を現したようだな?」


「………」




そうさぁ…

こうなる事は分かっていたはず!


分かっていたのだけど…

本当に戦わなきゃダメなのか?



三蔵…

教えてくれ…

俺様はどうすれば…




「うらぁー!」


「ウオオオ!」



俺様と紅孩児は飛び上がり、空中で激突したのだった。





激しい攻防の中…



俺様は壁に弾き飛ばされ倒れた所を、紅孩児が飛び降りて来て俺様の肩を踏みつけ押さえつけ、火尖槍を突き刺す形になっていた。


「うっうう…」


「トドメだ!俺様を裏切った報い…死ねぇー!孫悟空!」




紅孩児の火尖槍が俺様の顔面目掛け、突き出されたのだった。


次回予告



孫悟空「紅孩児!お願いだから話を聞いてくれ!」


紅孩児「聞く耳はもたん!」


孫悟空「そんな事を言わずに聞いてくれ!」


紅孩児「くどいぞ!」


孫悟空「残っていた愛音のクッキーやるから!」


紅孩児「・・・・・・」



孫悟空「あっ・・・今、迷った?」

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