孫悟空!己への試練?再戦火炎城の三将軍!
火炎城の妖怪皇帝との対面を果たした孫悟空。
しかし、そこに現れたのは妖怪皇帝の姿は孫悟空のよく知る牛角魔王の姿だった。
よぉ!孫悟空だ…
今、俺様の前に妖怪皇帝が姿を現したのだ。
そこに現れた妖怪皇帝の姿は?
俺様はソイツを知っている。
否!会った事はない!いや…しかし?
その姿?その顔は!
牛角魔王!!
馬鹿な?
一瞬、俺様は牛角魔王の名前を呼ぼうとしてしまったのだが、そこに!
「父上!お身体の調子はいかがでしょうか?」
紅孩児が先に妖怪皇帝に言葉をかけたのだ。
「うむ。紅孩児よ。よくぞ長い旅から戻った。早速だが例のモノは?」
すると紅孩児は妖怪皇帝の近くに寄ると、旅で集めていた邪魂の玉の入った袋を献上した。
「我が息子、紅孩児よ!よくこれだけの玉を集めてくれたな?褒めてつかわすぞ」
「ヘヘヘ…」
満面の笑みで喜ぶ紅孩児。
まるで、本当の父親に褒められ喜ぶ子供のようだ。
牛角魔王と紅孩児
しかし、違う!
よく似てはいるが、妖怪皇帝は俺様の知っている牛角魔王とは違う。
確かに顔は瓜二つだが、漆黒の魔王と呼ばれた牛角魔王の特徴である黒髪と角がない。
そう!目の前にいる妖怪皇帝は白髪に白角なのだ!
アイツは一体何者なのだ??
「それで私に会わせたい者とは、その者の事か?」
妖怪皇帝が俺様を指差して紅孩児に問いたのだ。
「はい!紹介がまだでしたね?そこにいる者は俺様の友達!孫悟空です!」
「友達?そうか、お前にも友達が出来たのか?」
「…………」
妖怪皇帝が俺様に視線を向けて、
「紅孩児が世話になったな?礼を言う。若き孫悟空よ!」
えっ?今、何て?
「あっ…あぁ!」
俺様は妖怪皇帝の言葉の意味が分からずにパニくった。
「では、魏王将軍!二人に食事の用意をして、おもてなしをしてやるが良い!」
「ハッ!」
待機していた魏王が膝をついて会釈をし、俺様と紅孩児を案内する。
おもてなしか…
すると、妖怪皇帝はまた寝室に戻って行ったのだった。
そっか~おもてなしね~
「では、紅孩児様は身嗜みを整えましょうか?」
「俺様はこのままでも構わんぞ?」
「そうはいきませぬ!一国の王子がそのような薄汚い身嗜みで私の方が恥ずかしいです。本来なら御父上であられる妖怪皇帝様にお会いする前に着替えて頂きたかったのですよ?それでも旅からお戻りになった紅孩児様に直ぐに会いたいと妖怪皇帝様がおっしゃるので仕方なかったのです。入浴の用意と着替えをご用意致しますから、私と一緒に参りますぞ!」
顔を引き攣らせながら魏王が威圧する。
少し強制的じゃねぇ?
「そ…そうだな…うん!分かった!魏王は小姑のよいに煩いからなぁ~」
「誰が小姑ですか!まったく…では、紅孩児様は私が案内致しましょう。お前達はお客人のお相手を頼むぞ」
すると、呉王将軍と蜀王将軍が俺様を両側から挟むように宴が行われる広間への案内を申し出たのだ。
「では、お客人はこちらへ!」
「おう!」
紅孩児は魏王に背中を押されながら俺様に振り向き、
「では、先に行っててくれ!俺様も着替えたら直ぐに行くからな!まぁ~腹が減ってるなら、悟空は先に飯でも食ってろよな?」
「分かった!ゆっくりして来いよ!その間に御馳走全部食っちまうからな~アハハ!」
そして魏王将軍と紅孩児は二人先に出て行ったのだ。
さ~て、俺様は?
二人の将軍は無言で俺様を案内し、俺様は黙って着いて行く。
俺様が二人の将軍に連れて行かれた場所は、最初に入って来た城の門の前にあった広場だった。
「で、おもてなしはまだか?お二人さん?」
直後、俺様の頭上に剣が振り下ろされたのだ!
が、俺様は気付いていたかのように如意棒で受け止める。
そして俺様は攻撃して来た相手に振り向き、
「さて!俺様へのオモテナシって奴をいただくとするか?」
剣を振り下ろして来た相手は呉王将軍であった。
「キサマ?気付いていたのか!」
「当ったり前よ!それだけ強い殺気を漂わせていたら気付くだろ?普通はな!」
「キサマ、何者だ!」
「そうだったな?俺様の名前は孫悟空!いや?どうやらお前達にはこっちの方が分かりやすいみたいだから名乗ってやるぜ?俺様は聖天大聖・孫悟空様よぉー!」
すると二人は俺様を見て驚きを隠せないでいた。
「何だと?聖天大聖だと?あの六大魔王のか!?」
思った通りだぜ!
どうやら俺様の事を知っているらしいな?
しかも昔の美猴王だった俺様の事を!
「俺様も有名なようだな?嬉しいこったぜ!」
「あの紅孩児の馬鹿者が!こんな奴を連れて来るとは!」
「ふん!所詮は妖怪皇帝様の余興で王子と偽り、生かされているだけのガキだ!使えるだけ使ったら切り捨てるはずだったが、最後にこんな手間かけさせやがって!」
どうやら紅孩児の奴、思った通りコイツ達に騙されていたのか。
許せねぇ!!
「死ねぇー!」
呉王将軍が轟音を唸らせ、再び巨大な剣を振り下ろす。
「うらぁー!」
俺様は如意棒で受け止め応戦した。
「俺様はお前達を許せねぇ!お前達は俺様の大切なダチを騙して、今まで都合の良いように使ってきたのだからな!」
俺様と呉王将軍との戦いが始まったのだ。
呉王将軍は俺様の攻撃を受け止め、返してくる!
こいつ相当な実力を持った妖怪だ!
金角銀角以上か?
これ程の奴がいたなんて…
コイツ達一体何者なのだ?
それに、こんな強い妖怪を三人も従えさせている妖怪皇帝と名乗る奴の正体は?
それに牛角の奴に似ているのも何か関係があるのか?
「うらぁうらぁうらぁ!」
俺様は如意棒を振り回しながら、呉王将軍の大剣を捌きつつ躱し攻撃を仕掛ける。
そして突き出した如意棒の一撃が、呉王将軍の顎に直撃したのだ。
「ぐおお…!」
よろめく呉王将軍に向かって、黙って見物していた蜀王将軍が口を開く。
「ふふふ…どうした呉王?苦戦しているようじゃないか?私が手伝ってやろうか?」
「うるせぇ!俺に任せろ!」
すると呉王将軍の顔が歪み、顎が鰐のように裂けはじめたのだ。
『神獣変化唯我独尊』
呉王将軍は燃え盛る鰐の姿に変化したのだ。
「アハハ!そんな奴相手に本気を出すのか?ダサい奴め!アハハ…ん?ごっくん!」
口を開いて笑う蜀王将軍の口の中に、何かが放り込まれたのだ。
蜀王将軍は勢い余って、それを飲み込んでしまう。
投げたのは俺様です。
「んな?お前!今、何を投げたのだ?」
「えっ?」
いや…
さっきから横でゴチャゴチャと五月蝿いから、
「鼻糞?」
俺様が答えると同時に、蜀王将軍の形相が悪鬼のように変わっていく。
「鼻くそだと??きぃさぁまぁ~!殺してやる!殺してやるぞー!八つ裂きにしてやるぞー!」
俺様に鼻糞を口の中に放り込まれ、怒り狂う蜀王将軍。
『神獣変化唯我独尊』
蜀王将軍は炎を纏った大トカゲへと変化したのだ。
目の前に現れた炎を纏った大ワニと大トカゲを見上げ、
「どうやらお前達を倒さなければ、妖怪皇帝には勝てそうにないみたいなんでなぁ~?お前達まとめて本気でかかって来な!」
俺様はワザと二人を怒らせたのだ。
「馬鹿な奴め!」
「我々を甘くみやがってぇ!」
安心しな!
甘くみてなんかいないぜ?
これは自分自身への試練!
コイツ達をまとめて倒せなければ、妖怪皇帝には勝てやしない…
そう…あの時!
妖怪皇帝を目の当たりにした俺様は平静を装ってはいたが、奴の底知れぬ覇気に押し潰され、恐怖で足が奮えていたのだから。
この孫悟空様が!!
だから、これは俺様にとっての試練なのだ!
つまり妖怪皇帝を倒すための前段階ってやつさ!
しかし~
「こりゃ少し厄介だったかな…」
俺様に向かって呉王将軍と蜀王将軍が襲い掛かる
「死ね猿がぁあああああ!」
俺様が激闘を繰り広げている頃、紅孩児はと言うと?
「なぁ!魏王よ!悟空は本当に面白い奴なんだぜぇ?よく食うし、喋るし、やる事なす事俺様が知らない事沢山知っているんだ!そんでよ~俺様と悟空はダチなんだぜ!凄いだろ?羨ましいだろ?」
「アハハ…本当に凄いですね…」
魏王将軍は紅孩児がこんなに笑って話をする姿を始めて見たのだ。
魏王は産まれて直ぐの紅孩児を妖怪皇帝により託され、
戦闘技術を徹底的に教育をして来た家庭教師的立場だった。
それは、妖怪皇帝の手足として使うため…
そんな紅孩児は、物心ついた時から強い妖怪と戦わされ、今まで友達どころか唯一心を開き話せる者がいなかった。
この魏王以外は…
魏王、呉王、蜀王は、もともとは天界を護る屈強の武神であった。
しかし、天界で罪を犯し罪人として地上に堕とされ、妖怪の姿になったのだ。
魏王将軍は呉王・蜀王とは違い、紅孩児に対しての接し方が違っていた。
「それより、兵士達の姿が見えないが?」
「そ…それは…」
「?」
魏王将軍は紅孩児に今、城で起きている問題について語って聞かせたのである。
ここ最近、城内の兵士達が何者かによって襲われていると言うのだ。
「んな?一体何者が!まさか侵入者か!?」
「分かりませぬ…ただ、腕の立つ事は間違いなく、私達将軍の目をかい潜り兵士達を襲っているのです。すみません…私達は妖怪皇帝様の傍を離れる事は出来ぬ故、情けない話です」
「許せねぇ!そんな奴は俺様がぶっ倒してやるぜぇ!悟空と一緒に、その侵入者退治の競争だ!」
「それは心強い!きっと妖怪皇帝様もお喜びになりますよ?では紅孩児様!ここで少しお待ちを…私は御友人を連れて参りますゆえ…」
「そうか?そうだな!うむ。解ったぞ!頼む!俺様は悟空が来るまで、火尖槍の手入れでもしておくぜ!」
「はい!それが良いでしょう。それでは私は失礼致します…」
「早くなぁ~」
魏王将軍は紅孩児の部屋を出ると、その足で俺様達が今戦っている戦場へと向かうのであった。
「あの二人に任していれば問題ないとは思うが、早々に邪魔な芽を摘まねばなるまい…」
俺様に新たな試練[脅威]が迫っていた。
次回予告
孫悟空「いよいよ物語は最終決戦突入だな・・・
牛角魔王にそっくりの妖怪皇帝
牛角魔王と因縁があるに違いないだろう。
それにナタクからの依頼もあるし、
妖怪皇帝とはバトル必須だ!
しかし、紅孩児をどう説得する?
いやいや!今は目の前の三将軍に集中しないとな!」




