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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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愛音のステキな料理?

人間の村に泊まろうとする孫悟空だが、紅孩児は過去のトラウマから頑なに拒むのであった。


オッス!俺様は孫悟空だ!


俺様は嫌がる紅孩児を連れて、人間達の宿屋に泊まる事にしたのだ。

だが、頑なに嫌がる紅孩児は過去のトラウマから、極度の人間嫌いだったのだ。


そこに突然、けたましい音を立てて俺様達のいる部屋のドアが開いたのである。

そこには、この宿屋の主人らしき女が立っていたのだ。


「あんた達!そこに座りなさい!」


へっ?


俺様と紅孩児は、女主人の前に意味も分からずに正座させられた。

その女主人は姐御肌の強気な人間の女で、俺様と紅孩児をマジマジと睨みつつ説教垂れてきたのである。


「あんた達!家出して来たのでしょ?」


はっ?


「まったく…旦那から大金を持った子供を泊めたって聞いて来てみたら!」


確かに…


俺様と紅孩児は人間の宿屋に泊まろうとしたが、何処も泊めてくれようとはしなかったのである。

多分、金の持ち合わせがないと見くびられたのだろう。

そこで俺様は仕方なく、妖怪盗賊を懲らしめ手に入れた謝礼金をこの宿屋の店番の男にちらつかせ、何とか泊まる事に成功したのだ。


はずなんだが…?


「あんた達!親御さんは?」


「そ…それは…」


戸惑う俺様…

そう言えば三蔵と旅をしていた時は、この人型姿だとよく親子に見られていたな~


ちょい昔はペットだったが…


そこに紅孩児が答える。


「俺様に親はいないぜ!」


「やっぱし家出だね!見た所、兄弟じゃないみたいだけど?家出は許さないよ!」


「違う!違う!俺様達は家出じゃないぞ!」


「家出じゃないって?じゃあ…」


「俺様に母上はいない!物心つく前に死んでしまったからな!それに父上は病で床に伏せているのだ!俺様はこの友の悟空と一緒に旅をしている最中なのだ!それで何か文句あるのか?」


紅孩児…お前って…

やっぱし不幸な境遇だよな?


あれ?

そう言えば…俺様…親っていたっけ?

俺様…転生前は石から産まれたらしいし?

あれ?俺様って不幸なのか?


てか、今まで考えた事なかったぞ?


それにしても紅孩児の奴!

珍しく俺様よりもしっかりしてるな?



「そうか…」


女主人は納得したみたいで、俺様達に優しい笑顔を見せたのだ。



「大金持った子供って聞いたから、つい家出だと思ったわ。悪いわね?」


「分かれば良いのだ!」


「でもね?この御時世に子供だけで旅なんてね」


「大丈夫だ!俺様達は強いからな!」

「なはは…」


「何か事情があるみたいね?私の名前は愛音アイネ!困った事があったら何でも言ってちょうだいね?」


「あ?ああ!分ったぞ!」


「私は下の部屋にいるから」


そう言うと愛音は部屋から出て行ったのだ。

何か、ドタバタしたが、とにかく一件落着か?


俺様達は着ていた服を脱ぎ捨てる。

紅孩児も頭に巻いていたタオルを取ると、そこから二本の黒い角が見えた。


やはり間違いない…

あの角は牛角魔王と同じだ。


《バタン!》


なっ!?

また扉が開いて愛音が入って来たのだ。


「あんた達!飯はどうすんの?風呂は入るんでしょ!」


あわわ!

紅孩児は頭からベッドに飛び込み、頭の角を隠していた。


「バカヤロー!ノックぐらいしやがぁれぇ!」


「何言ってるのさ?で、どうすんの?ご飯食べるなら直ぐに用意するよ?それとも風呂入る?」


紅孩児は毛布に隠れて叫んでいた。

仕方なく俺様が答える。


「えっと…そうだな…飯を頼むよ!」


「よっしゃ!あたしの飯は頬が落ちるくらい美味いわよ!」


「そりゃあ楽しみだぁ~!」


「良いから早く出てけぇ~!」


「何照れてんのよ?じゃあ、出来たら呼ぶからね!」


「ラジャーだぜ!」


そして、女主人は再び部屋を出て行った。


まったく…

騒がしい女だぜ。


ん?紅孩児?

紅孩児は身体を震わせていた。


お前?


どうやら、紅孩児は人間に角を見られる事に異常なほど恐怖を感じているようだ。


そこまで?

しかし、このままだと不便だぞ?どうする?


俺様は紅孩児にどうして人間の姿に変化しないのか尋ねてみた。

確かに角さえ見せなければ化ける必要もない訳なんだがな?

今みたいに、突然誰か人間が入って来た時に困る訳で…


「俺様…無理…」


はっ?


「無理なんだ…てか、出来ない…」


何が?


「俺様…変化の術が出来ないのだ…てか、苦手なんだ…」


えっと…えええ?


「なのだ…」


「マジマジ?」


「マジマジ!」



俺様は紅孩児に変化の仕方を説明したが、思った以上に紅孩児は不器用であった。

あんなに強くて分身は出来たのに変化出来ないのか?


「仕方ないか…」


俺様は懐から小さな袋を取り出すと、そこから小さな黒粒の薬を取り出したのだ。


「何だそれは?」


「これはだな…」



この薬は『人化の霊薬』つまり人間に化ける薬なのだ。

因みにこの薬は旅の途中に沙悟浄の奴が、たまたま偶然的に作った薬なのだ。

前に俺様がふざけて取り上げて、懐に入れたままだったのである。

まさか、こんな所で役に立つとは…


しかし、一つ副作用があるのだ!

これを説明しないとな?


あっ!


紅孩児は俺様から薬を取り上げると、説明を聞かずに一気に飲んでしまったのだ。


あっ…副作用…

この薬を飲むと薬の効果が切れるまで妖力がまったく使えなくなるのだ。


って、遅いか…

まぁ…大丈夫だろう。


次第に紅孩児の妖力が消えていき、その二本の角が消えていく。

俺様の目の前で、紅孩児は赤毛の人間の少年になっていたのだ。


「あっ!あぁ!俺様人間になっちまった?」


紅孩児は鏡で自分自身の姿を写してはケラケラ笑っていた。


「俺様ヨワソ~!」


腹を抱えながら鏡に写る自分を見て大笑いをしている紅孩児。

お前は何がしたいのだ?

見た目はあんま変わらんのに?


そんな時、女主人の愛音が俺様達を呼ぶ声がしたのだ。


飯か?飯だ!飯なんだな?

俺様も人間の姿に変化し、紅孩児と愛音の待つ部屋[食堂]へと移動した。



「おおおおおっ!」


そこには、見た事のないような豪華な料理が並べられていたのだ。


「こりゃ~美味そうだぁ~!」

「本当だなぁ!」


俺様達は飛び付くようにご馳走に食らい付いた。


美味っ!美味っ!


「どうだい?美味いだろ?」


「あぁ!目茶苦茶美味いぞ!こんなもん食った事ないぜ!」


「あはは!そりゃあ、そうだろうなぁ!愛音の料理は、そこいらの料理とは格が違うからなぁ~!」



そこに、俺様達が金を払った時にいた店番の男が新しい料理を持ってやって来たのだ。

て、愛音の旦那か?


「俺様もいろんな場所を旅して、いろいろ美味いもんを食べて来たつもりだけど、こんな料理食った事もないぜ!」


「これはね、ハンバーグにステーキ、スパゲティー…それに…ミートローフにカレー…あっ!そんな事を言っても分からないか?」


ハンバーグ?ミートローフ?スパゲティー?

聞いた事もない名前だな?


ん?ハンバーグ…

あれ?確か…以前に三蔵と旅をしていた時に聞いたような??



そうだ!

昔、三蔵と二人で旅をしていた時に旅館で?

三蔵との会話が頭を過った。

俺様は妖怪退治の謝礼に御馳走に感動していた。


「目茶苦茶美味いぜ!ここの料理は世界一じゃないのか?」


「あはは!世界一だと?早まるなよ!お前がまだ食った事のない食い物はまだまだ沢山あるのだぞ?」


「何!?マジか?」


「ハンバーグとかステーキとか知らんだろ?」


「ハンバグに素敵?何だそりゃあ?」


「ふっ…俺のいた時代の食い物だ!いつかお前にも食わせてやりたいもんだな?」


「そんな凄い食い物なんか?だったら、早く連れて行ってくれよ!」


「簡単には行けない場所なんだ。それに俺達には旅がある」


「チェッ!」




確か…

そんな会話した記憶があるぞ?

つまり、これがこれが三蔵の言っていた料理なのかな?

あの、ハンバグが素敵って奴なのか?

確かにべらぼうに美味いぜ!



「俺も詳しくは知らないが、愛音と愛音の父親は遠い所から来たらしくてな?そこの料理なんだそうだ!」


「ふふっ…」


「?」


遠い所?それって三蔵のいた所なのか?

よくは分からないが?

とにかく俺様と紅孩児は見た事のない料理に飛び付き夢中になっていたのだ。


食後、俺様達が愛音に連れて行かれた場所は風呂場だった。

愛音は服を脱ぐと、俺様達の服まで強引に脱がせ…


って、

うぎゃあ~

エッチィ~~~!

身体を洗われてしまったのだった。


もう…お婿にいけない…



紅孩児も最初は抵抗するも次第に大人しくなっていく。


「あんたの髪、赤毛なのね?綺麗な髪…」


「えっ?そうか?エヘヘ…そうか…俺様の赤毛は綺麗なのか…」



紅孩児の奴?何か嬉しそうだな?


コイツ…多分…

愛音に自分の母親被らせているのか?


俺様と紅孩児は見た事のない料理を平らげ、強引に風呂に入れられた後は二人部屋に戻り、寝転びながら満悦していたのだ。



紅孩児の奴は何か楽しそうだ。

料理が美味かった事もあるが、何か愛音が気に入ったらしい。

さっきまで帰ると騒いでいたのが嘘みたいだ。


その晩、俺様と紅孩児は今までの旅話を語らいした後、そのまま眠ってしまったのだった。





深夜…


俺様は一人起きて紅孩児を起こさないように、こっそりと部屋を出る。




「さてと、俺様は今のうちに一仕事して来ますか!」


次回予告



孫悟空「今回の話は後々の物語への伏線だな?」


紅孩児「この辺りの伏線は繋がるのに時間と話数が必要らしいから、忘れている頃にまさかの繋がりで出てくるらしいな?」


孫悟空「てっ、やけに詳しいな?」


紅孩児「ほら?ここにある設定資料に書いて・・・」


孫悟空「だめだめ!それはだめ!言ったらダメだ!」


紅孩児「え~~?じゃあ!見なかった事にするよ~」


孫悟空「そんな事より次話は、まさかの!?」

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