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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
6/424

最凶のトラウマ?混世魔王との一騎討ち!?

不死身の強敵、九頭馬を撃退したのもつかの間、新たな刺客が三蔵と孫悟空の真近まで迫っていたのだ。


はい!どーも孫悟空です。


俺様と三蔵は強敵不死の九頭馬を倒した後、再び旅を続けいたのだ。

ちなみに今は人間の村で食事をとっている最中なんだぜ?

飯を食いながら俺様は、三蔵が何か考え事をしている事に気付き話しかける。


「三蔵?どうしたんだ?」

「ん?いやな?最近やけに妖怪達の手が込んでいるとは思わないか?」


確かに…そうだった。


以前はただ馬鹿みたいに襲って来るだけの妖怪達だったのだが、いつからか無い知恵を使い、何かしら作戦を立てて来る奴達が多くなっているような。


「もしかしたら黒幕がいるのかもな…」

「黒幕だと?」

「ああ、何者かが後ろで…」

「?」


三蔵がそう言いかけた時だった。


「!!」


突如、店の外から俺様達に向かって勢いよくぶっとい棍棒が飛んで来たのである。

棍棒は俺様達のいたテーブルに直撃し、物凄い音を立てて粉砕したのだ。


俺様達はいち早く殺気に気付き、難無く躱していた。


「何処のどいつだぁ!?死んだらどうすんだよ?当たったら危ねぇし、痛いじゃねーかよ!危ない真似するんじゃねぇよ!」


「いや…間違いなく俺達を殺すつもりで、投げて来たのだろうな…」


棍棒が飛んできた方向に怒り心頭で怒鳴る俺様と三蔵に向かって、何者かが近付いて来た。


「ふふふ…あははは!よく避けたな?褒めてやろう!」


「!!」


そこには棍棒を持ち、鎧を纏った武人のごとき姿の妖怪が現れたのだ。


「俺はお前達に一騎打ちを所望する!」


「一騎打ちだと?」


三蔵は面倒くさそうに話し相手は俺様に譲ると目配せして来た。

仕方ねぇな~


「誰だ?お前?」


「俺の名前は混世魔王!いざぁ!参る!」


「って、せっかちな奴だぜ?よし三蔵!こいつは俺様に任せろよ?」


「勝手にしろ!」


俺様は如意棒を抜き出すと、混世魔王に飛び掛かる。


「ウオオオ!」

「うらああ!!」


混世魔王の振り回す棍棒と俺様の如意棒が幾度となく激突する。

その響き合う衝撃音が店内を震わせた。


この混世魔王の棍棒使い…

コイツは確かに強い!


流石にたった一人で喧嘩売って来た事はある。

だが、俺様だって!


本気になった俺様と混世魔王との戦いで、店内の壁にヒビが入り、そこら中の物を壊していく。

突然始まった妖怪同士の喧嘩に、何が起きたのか分からずに目を丸くする他の客達…


そして崩壊していく店を見て青ざめる店主。


俺様達の戦いを見世物として、客から金儲けする三蔵!


て、何をやっているのだか…



「やるじゃねぇーかぁ?混世魔王!」

「貴様もな!だが、俺の棍棒術はこんなものではないぞ!」



混世魔王の巧みな棍棒さばきが更に勢いを増す。

次第に圧され始める俺様。

そして調子に乗り始めた混世魔王の口から、思いもよらない言葉が出て来たのだ。


「ふふふ…どうだ?お前もなかなかやるようだが俺には遠く及ばん!なにせ俺の棍棒術は、かつての大魔王様直伝なのだからなぁ!」


「何だと?かつての大魔王だと?」


「貴様の様な下級妖怪では知らぬとも仕方あるまい。良いか?かつてこの地には六人の大魔王様がいらし、その大魔王様は地上界だけでなく神のいる天界をも攻め込んだ偉大なる魔王様方なのだ!」


「おぉ!すげぇー!」


って、何処かで聞いた話だな?


「俺はその大戦の最中、そこで大魔王様によりこの棍棒術を直々に教わったのだよ!」


「そうなのかぁ?それにしても、その大魔王てのはそんなに凄いのか?」



自分の崇拝している大魔王に興味を持つ俺様に対して気を良くした混世魔王は攻撃の手を止め、自信たっぷりに話し始めたのだ。


「当たり前だ!俺に棍棒術を教えて下さったのは、かつての大魔王の一人、暴れる知性!漆黒の闘将!平天大聖・牛角魔王様なのだぞ!」


「あぁ、牛ちゃんね?」


「そうそう牛ちゃん…て、おい!」


「いたぃ!」


馴れ馴れしく名前を呼んだ俺様の頭を、混世魔王の奴が殴ったのである。


「俺の尊敬する牛角魔王様に向かって、牛ちゃんなんて馴れ馴れしいわぁ!馬鹿者!」


「イテテ…す…すまん!あのぉ~牛角魔王様とは別に、お知り合いの魔王様はいらっしゃらないのですか?そちらの話も聞いてみたいかな?なんて」


「ん?そうだな…興味あるのか?ならば教えてやろうか?紅一点の女帝妖怪…覆海大聖!」

「女は良い!パスだ!」


「そうか?じゃあ、百獣の狂戦士と呼ばれた移天大聖の…」


「パス!」


いい終える前に却下する俺様に、困り始める混世魔王。


「では冷酷なる炎術師!混天大聖…」


「パス!パス!」


話を聞く気がない俺様に混世魔王は威圧して来たのだ。


「いい加減にしろ!貴様は何を聞きたいのだ?お前が教えて欲しいと言うから…」


「ほらぁ~!もう一人いないか?大切な魔王様をさ~?」


「ん?」


「ほら?尻尾があって、野性的な魔王様がさ?」


「おぉ!確かにいらした!良く知ってるな?その名を!」


「その名を!」


「六耳の通風…」


「ちゃう!ちゃう!ちゃう!」


「だから何が違うと言うのだ!いい加減怒るぞ?」


「まだ五人だろ?六人いるんじゃないのか?いるだろ?」



その時、混世魔王はおもむろに嫌な顔をした。

何か思い出したくない苦い思い出が、頭を過ぎったかのような?


「なぁ~いるだろ?いたよ!いたいた!」


「た…確かに…いる…しかし…」



すると混世魔王の様子に異変が起きたのだ。

肩を震わせ、顔を真っ赤にさせていたのである。


「確かに…もう一人…」

「おっ!どんな魔王様なのだ?ワクワク!」


「あの方は…」

「あの方は?」


突然混世魔王は地団駄を踏み怒鳴りちらす。


「アイツは我が儘坊ちゃん!悪戯の天才!腐れ外道の最低傲慢野郎!心底から根が腐りきったイジメ野郎ダァーッ!」


「へ?」


それって誰の話??


「アアア!蘇る!あの小間使い?パシリ生活!いつもいつも無理難題を俺にやらせて、こけにしやがってぇー!!」


トラウマか?

パシりって?


ん?あれ?


アッ!


その時、俺様は思い出してしまったのだ。

目の前にいる混世魔王が誰なのか。



「あっ?もしかしてお前、混ちゃん?」

「そう、混ちゃん…て、ん?馴れ馴れしいわぁ!ボケぇ~!」


再び俺様を殴ろうとする拳を、混世魔王は寸前で止めたのだ。

そして恐る恐る今度は俺様に問い始めた。


「お前…何かやけに詳しいな?何故だ?ん?お前…猿だな?しかも…金色の…」


「へへへぇ~」


この辺りで解る奴は解るだろ?


「…確か…あの…魔王様も…猿の大妖怪で…その姿は金色の…あっ…あっーー!」

「思い出したか?」


「うわあああ!!まさか?まさか?お前…いや、貴方様は??」



「どうやら思い出したようだな?混ちゃん!」


混世魔王は俺様を指さして叫んだ。


『聖天大聖・美猴王様??』


「おぅ!今は孫悟空と名乗っているんだぜ?」


突如、俺様に対して膝をつき、頭を下げる混世魔王は震えていた。


「その…お姿は…いったい??」


「ふっ…ちょっと訳ありでな…こんな可愛らしい姿になっているんだ!」


「か…可愛いって…面影がほとんどないじゃないですか?」



そこに、三蔵が近寄る。


「知り合いだったのか?」


「ああ、昔俺様が世話してやった妖怪だぞ!」


「何が世話をしたですかぁ?俺は俺は…」



混世魔王の身体が震えていた。

過去の嫌な体験を思いだしているようだ。


まさにトラウマ!!

って、俺様はそんな酷い事したか?


そういえば、よく言うよなぁ~

イジメられた本人はいつまでも根に持つが、イジメた本人は全然覚えてないとか?

俺様ってそんな酷い奴だったかな?


いや!それでは俺様が三蔵みたいじゃんか?

ないない!あははは!


すると突然混世魔王は立ち上がり、俺様を見下ろす。


「おっ?やるかぁ?」


俺様が如意棒を構えると、何を思ったのか?


「うぉりゃああ!」


混世魔王は自分の武器を地面に叩きつけたのだ!


その爆風で埃が舞い上がると…


「ようやく本気で来るかぁ!」


ん?いない?

今まで目の前にいたはずの混世魔王が消えてしまったのだ。


何処へ行ったのだ?

三蔵は冷静に俺様に伝えた。


「逃げたな…」

「…………」

「よっぽど酷い事をしたんだな?猿よ?」

「三蔵が俺様に普段している事に比べたら、可愛いもんだったぞ?」

「どうやら…まだ教育が足りないようだな?」

「あん?誰が教育してるって?イジメだろ?お前のは??」



今度は俺様と三蔵の喧嘩が始まるのだった。

てか、ここの店の修理代どうすんだよ?




その頃、混世魔王は…


「くそ!まさか、あの聖天大聖が相手なんて冗談じゃないぞ!」


混世魔王は霊感大王の屋敷に戻って来ていたのだ。

霊感大王に文句言って、三蔵討伐から降りると伝えに来たのである。

混世魔王は霊感大王のいる部屋の扉をけたましく開け、霊感大王に向かって行く。

部屋には霊感大王が立派な椅子に座りながら、血相変えて入って来た混世魔王を見ていた。


「いかがなさいました?混世魔王殿!何か問題でもありましたか?」


「ふざけるな!俺は降りるぞ!抜ける!俺は聞いてないぞ!まさか相手が…」


「かつての魔王!聖天大聖・美猴王だと?」


「まさかキサマ?知っていて俺達をあの聖天大聖にけしかけたんじゃあるまいなぁ?」


混世魔王は怒りながら霊感大王の肩を掴み上げる。


「止めてくださいよ…」

「返答によっては、このまま貴様を!」


「どうするんです?」


「貴様を!…貴様を…きさ…き…?」


その時だった。

混世魔王は自分の腕に力が入らない事に気付く。


「お前…な…何を…?」


見ると、混世魔王の腕に霊感大王の手が触れていたのだ。


「私はですね~自分が触れた相手の妖気を吸収する事が出来るのですよ!」


「は…放せ…はな…は…」



混世魔王の腕が見る見るうちに萎んでいく。

逞しい腕が、胸板が…

まるで枯れ木の様に萎んでいったのだ。


フニャフニャ~

ペタン…


「まったく…たかが昔、少しばかり名があった魔王なんかにビビりやがって…雑魚は雑魚らしく私の言いなりになっていれば良いものを!全く私の手を汚させるなんて…」



霊感大王は自分の手をハンカチで拭うと、混世魔王の屍の上に投げ捨てたのだった。


「さてさて…次はどういたしましょうかねぇ…ふふふ…ふふふ…」



そんな事とはつゆ知らず…

俺様と三蔵はと言うと?

壊した店内の修理を、怒り狂う店長にやらされていたのであった。



「くそぉ!混世魔王め!今度あったら必ずぶん殴る!」


「猿!喋ってないで手を休めずに働け!」



俺様達の旅はまだまだ続くのだった。


次回予告


孫悟空「いやあ~混ちゃん懐かしかったな~うん。て、あれ?三蔵?」


三蔵「そんな事より猿よ!次話は俺が大活躍する!必ず読むのだ!わかったな?」


孫悟空「おっ?おう!」

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