俺様なアイツは俺様?紅孩児登場!?
討伐に来たナタクにより捕らわれた孫悟空であったが、新たに覚えた融合術にて脱出に成功した・・・かに思えたが、どうやらそれもナタクの手の内?しかも落下の際に何者かと正面衝突したのだが?
俺様は孫悟空だぜ!
へへへ!
天界から俺様を討伐に来たナタクって奴に捕われていた俺様だったのだが、俺様の天才的才能により脱出に成功~の、はずだった。
俺様は脱出に使った慣れない神気の融合術で力尽きてしまい、空中から手も足も出ないまま墜落してしまったのだ。
まぁ、死なないと思うし、地面に直撃の覚悟を決めたのだったが、
《ゴォチィ~ン!》
「うぎゃあ~」
「ふぎゃあ~」
落下したのは仕方ないとして、
俺様の落下した地点に居合わせた不幸な何者かと鉢合わせし、頭と頭が正面衝突してしまったのだ。
妖怪で石頭の俺様は無事としても…
運悪く下にいた不幸な奴は絶対に死んだよな?
やっぱり?
スマン…
謝罪して済むとは思わんが、これは事故だ!
迷わず成仏してくれよな?
「イテテテ…」
俺様は頭を抱えながら涙を流していた。
いくら石猿の石頭でも、やはり痛いのだ!
すると?
「おいっ!お前!俺様に対してどういうつもりだぁ?あぅ!あぅ!何て事しやがる?バカヤロー!うっ…イテテテ…」
えっ?
そこには紅いマントを頭から覆った俺様くらいの歳の少年が(ちなみに転生変化した俺様は人間の歳で16歳くらいか?)、頭を抱えながら涙を浮かべ俺様を睨みつけていたのである。
あっ?
コイツ生きてたんだな?
良かった良かった!
取り敢えず謝るか?
「わっ…悪い!」
「わっ!悪いで済むかぁ!死んじゃうぞ?俺様死んじゃうぞ?もう少しで死んでたんだぞ?分かってるのかぁ?コラァ!」
「すっ…スマン!」
「すっ!スマンで済むかぁ!俺様可哀相だぞ!可哀相過ぎるぞ?目茶苦茶可哀相だったんだぞ!どうしてくれるのだぁ!」
「えっと…」
「考えるなぁ!」
何か目茶苦茶騒がしい奴だな?
正直、面倒な奴だ…
「とにかく無事で良かったな?じゃあな!」
「ふざけるな!俺様にこんな事をして、ただで済むと思うなよぉ!」
するとこの騒がしい奴は俺様の肩を強く突き押して来たのである。
「悪いって言ってるだろ!」
俺様もコイツの肩を強く突き返したのだ。
「それが謝ってる奴の態度か!」
「俺様が下手に出てるうちに、あっち行けよ!俺様は忙しいのだ!」
「お前、ムカつくな!何がムカつくって?俺様以外の奴が『俺様』って使うのがムカつくんだよ!」
「なんりゃそりゃ?」
「『俺様』は俺様だけだ!『俺様』を使えるのは俺様みたいに『俺様』な奴だけなんだぞ!」
「意味分らんぞ?俺様は俺様だ!それ以上でもそれ以下でもない!文句あっか?」
「文句ありありだ!俺様が俺様じゃなかったら、俺様は俺様じゃなくなるじゃないかぁ!だから、俺様は俺様でなくてはならないのだぁ!」
「何て『俺様』な奴だ!」
「俺様だからな!」
あああ…
何か段々と意味分からなくなってきたぞ??
えっと…俺様は俺様で?
俺様なアイツは俺様?
「ふふふ…ようやく負けを認めたようだな?俺様は俺様だ!それに、俺様を誰だと思ってるだ?」
「知らんわ!」
すると目の前の俺様な奴は自分が被っていたマントを払いのけ、俺様に言い放ったのだ。
「聞いて驚け!俺様の名前はかの有名な妖怪王子こと紅孩児様なのだぁ~!」
「有名?妖怪王子?全然まったく知らんぞ?」
ズコッとこけた後、俺様に突っかかる。
「うっ!うるさい!うるさい!これから有名になるんだよ!」
「知るかぁ!」
どうりで落下して来た俺様と衝突しても生きていたわけだな。
こいつも妖怪だったのなら納得出来た。
「それより、お前こそ何者だ?」
「俺様か?俺様は孫悟空様だぜぇ!」
「なに?まさか!あの?」
「そう!そのまさかの」
「アハハ!やっぱり知らないわ!」
今度は俺様の方がコケてしまった。
「このド田舎妖怪が!」
「なんだと!お前こそド田舎妖怪のくせに!」
俺様と紅孩児は次第にガンをたれながら額を押し付け合い…
そのまま喧嘩になったのだ。
俺様は如意棒を抜いて紅孩児に向かって突き出した。
まぁ…
大人気ないし少し手加減してやるかな?
そもそも俺様にも非があるのだし…
一応、分かってはいるのだ。
と、思っていたのだが??
あれ?あれれ?
紅孩児の奴は難無く俺様の突き出した如意棒を躱し、逆に俺様に向かって攻撃を返して来たのだ。
ありゃ?
俺様は次第に攻撃の手を強めていった…が、
やはり紅孩児の奴は俺様の攻撃をすべて躱しながら攻撃を返して来る?
次第に本気になっている事に俺様は驚きつつ気付いたのである。
間違いない…こいつ…強いぞ!?
「お前!エラソーな事言ってるわりに大したことないな?」
「なんだと!せっかく少しは悪いと思って手加減してやっていれば!」
俺様もマジになってきた。
俺様と紅孩児の力は拮抗していた。
「そろそろ面白いもん見せてやるぜぇ!」
「何?」
すると紅孩児の周りに炎が燈り始めたのである。
紅孩児はほとばしる炎を自在に操りながら、炎の妖気玉を作って見せたのだ。
「いくぞぉー!」
『炎弾破極』
※エンダンハキョク
紅孩児の放った無数の炎の玉が、俺様目掛けて飛んで来たのだ!
「くっ!」
俺様は如意棒を回転させて振り回し、紅孩児の火炎弾を弾き落としていく。
そして負けじと炎の聖獣・ヒヨコのぴよちゃんを呼び出したのだ。
「いでよ!ぴよちゃん!」
俺様の右手にぴよちゃんが乗ると如意棒が燃え盛り、飛んで来た火炎弾もろとも紅孩児に向かって無数の火炎弾を弾き返してやったのだ。
「おっ?お前も炎を使うのか?やるなぁ~」
紅孩児は何をするかと思うと、弾き飛んできた俺様の火炎弾を吸い込み、まる飲みしたのだ。
「ゲップ!」
「そんなもん食うんじゃねぇ!胸焼けするぞ?」
「カカカッ!美味かったぜ?それよりお前強いな?行くぜぇ!」
紅孩児は俺様に襲い掛かり、俺様も受け止め交戦する。
紅孩児の奴は俺様との戦いを楽しんでいた。
俺様もまた紅孩児との戦いを楽しんでいたのである。
「まだまだ!どんどん行くぜぇ!」
「負けねぇぞ!」
既に戦いは子供の喧嘩みたいになっていた。
どれくらい経ったのだろうか?
暫くすると俺様と紅孩児の戦いの場は、先程の激戦とは打って変わり静まりかえっていた。
俺様達は戦い(遊び)疲れて、寝っ転がり休憩していたのだ。
「やるなぁ~お前?驚いたぞ!」
「お前こそ!お前みたいな奴がいたんだな?」
「よし!気にいったぞ!お前を俺様の家来にしてやるぞ!」
俺様の眉間にシワが寄る。
「フザケルな!バカヤロー!」
「馬鹿とは何だ?せっかく俺様が家来にしてやると言っているのに?他の妖怪達なら土下座してでも頼んで来るぞ?」
「俺様を他の妖怪と一緒にするな!俺様は誰の指図も受けないし、家来にもならん!」
一瞬、脳裏に三蔵の姿が過ぎったが…
「そうだな~?じゃあ仲間とかダチになら、なってやっても良いぞ?」
「はっ?仲間?ダチ?何だそれは?食べられるのか?」
「食うなよ!」
俺様は二度目のズコッとこける。
「えっと…仲間を知らないのか?仲間と言うのはだな?共に行動をして…えっと…つまり友達…略してダチだ!ダチと言うのはだな…つまり喧嘩したり、喧嘩したり、喧嘩しても仲直りして、そんで楽しい時は一緒に笑ったり、ふざけあったり、ピンチの時はお互い助けたり助けられたり…つまり、そういうもんだ!」
うう…
俺様はこういう説明が苦手なんだよな~
自分で言っていて、寒気と恥ずかしさが込み上げてくるぜ。
紅孩児は少し悩んだ後に、
「ふ~ん…。何か面白そうだな?よし!今日から俺様とお前は友達だ!」
俺様は紅孩児に手を差し出したのだ。
「何だ?何か欲しいのか?」
「違うわ!良いから手を出せ!」
紅孩児の奴は意味も分からずに手を差し出すと、俺様は紅孩児の手を掴み強く握ったのだ。
「!!」
「へへへ!これが、ダチ!友達の契りってやつだぜぇ!」
「と…もだち?ヘヘッ。何か…変な気分だなぁ…」
俺様と紅孩児は、この日…
お互いを認め合い、紛れもなく『友達』になったのだった。
この出会いが新たな波乱を呼ぶとも知らずに…
次回予告
紅孩児「なははは!ようやく俺様の登場だな?悟空!」
孫悟空「はいはい!そうですね」
紅孩児「何だよ~?何か構ってくれよ~」
孫悟空「子供か!お前は!」
紅孩児「俺様はガキじゃないぞ!見てろよ~」
孫悟空「おいおい!ズボンを下すな!」
あああ・・・前途多難だ。