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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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不死身の九頭馬!

俺様と三蔵の前に現れた刺客、九頭馬!


そんな野郎は、俺様の本気モードで返り討ちだぜ!



俺様は孫悟空だぜぇ!

俺様と三蔵は今、俺様達の前に現れた九頭馬なる妖怪と戦っているのだ。


「ウグオオオ!」


野生の血に妖気を融合させた獣王変化を唱え、

金色の大猿と変化した俺様が吠える。


「フン!なるほど…凄まじい妖力だ!?しかし!この俺に勝てるか?」


俺様の如意棒と九頭馬の武器が激突する。

三蔵の奴は俺様達の戦いの余波に巻き込まれないように、後方に退き戦いの様子を見ていた。


俺様と九頭馬の力は互角のようだ。

この大猿へと変化した俺様と互角とは?

やはり強いぜ!この馬野郎!


だが、九頭馬の奴も驚きを隠せないでいた。


(何なんだ?この猿野郎は?やけに強いぞ!?厄介なのは三蔵って奴だけじゃなかったのか?何者だ?)


「油断大敵だぜ!」


俺様は九頭馬の隙を見逃さずに、奴の顔面を如意棒で貫いたのだ。


戦いの最中に、しかも俺様相手に油断など以っての外だぜぇ!


「いてぇ…」


「ん?」


(何だコイツ?顔面を貫かれて何ともないのか?)


その時、九頭馬の口許に笑みが?


「ニヤッ!油断はどっちかな?」


その時、俺様の肩に強烈な痛みが生じたのである。

それは伸びて来た九頭馬の頭が俺様の肩に噛み付いて来たのだ??


「うぐわああ!」


俺様は噛み付いて来た九頭馬の首を引き放そうとしたが、更に俺様の両腕と両足に痛みが生じたのである。


「うぎゃあああ!」


俺様は激しい痛みの中で、状況を理解した。


「!!」


それは貫かれた九頭馬の頭とは別に、奴の身体から新しく九本の首が轆轤首の如く伸びて来て、俺様の両腕と両足に噛み付いていたのだ。しかもその首は虫や鳥といったものまで?


この姿が、奴の本当の姿なのか?

見るからに化け物だぜ!


九頭馬の首は噛み付いたまま、俺様の巨体を宙に上げていく…


「ふふふ!俺様の顔を潰した程度で、勝ったと思った貴様の方が、それこそ油断大敵と言うものだったな?」


「ば…馬鹿な?」


「俺様は名前が現す通り、九つの首があるのだ!顔が一つ潰れた如きで死ぬものか!」


「へぇ~?わざわざ教えてくれて、ありがとうよ!」


「馬鹿め!そんな状態で何が出来ると言うのだ?」


《ボゥン!!》


九頭馬が噛み付いていた俺様の姿が、突如煙りの如く消えたのである。


「アッ!あああ!」


掴まっていたのは俺様の分身だったのだ。


『猿分身!』


「いつの間に!?」


「ヘヘヘ…」


俺様は九頭馬から抜け出しこそしたが、獣王変化は解けて、元の小さな猿の姿に戻っていた。

その上、最初に噛まれた肩からは出血が止まらないでいたのだ。


「フン!満身創痍ではないか?それで俺に勝てるのかぁ?」


九頭馬は身動き出来ないでいる俺様に向かって襲い掛かって来たのだ。



(ヤバイ!力が入らない…逃げれない…殺られるのか?)


俺様が覚悟したその時だった。

九頭馬の降り下ろした剣が俺様の眼前で止まったのである。


「なっ!?」


いや?止められたのだ!

九頭馬の剣を止めたのは、今まで俺様達の戦いを見ていた三蔵だった。


「三蔵?」


まさか三蔵が俺様を守ったのか?


ありえん!


そうか!奴は偽者だ…


そうに決まっている!


だって…あの三蔵が俺様を守るなんて?


いつも俺様を虫けらのように扱う…


あの腐れ三蔵がだぜ?



その時、俺様は今まで感じていた旅での違和感に気がついたのである。


そう…


三蔵と一緒に旅をしていて、幾度となく妖怪達に襲われる事はあった。

しかし不思議と安心感があったのだ。


気付くと、必ず俺様の背後には三蔵がいた。


そうなんだ…


妖怪達に囲まれても不安を感じなかった理由…


一度も、背中を心配する事がなかったのは何故だ?


俺様は目の前の戦闘にだけ集中していた…


これは単に俺様が強いからだと思っていた。


だが、違う!


薄々感づいていた…


だが、認めたくなかった…


いつも…


三蔵が俺様を守っていたのだと!



三蔵の奴は戦いの最中、いつも俺様をサポートしながら戦っていたのだ。


口ではいつも俺様をコケにしやがる癖に…


調子狂うじゃねぇか…


そして今もまた、三蔵が俺様を守ってくれた。


「三蔵!」


俺様は飛び出していた!

九頭馬に向かって攻撃を仕掛ける三蔵に、再び参戦する俺様。


「なななっ?」


俺様の如意棒が!三蔵の降魔の剣が!

九頭馬を休めずに攻めまくる。

九頭馬はたまらず大剣を振り払うが、俺様が躱すと三蔵が攻撃し、三蔵が躱すと俺様が攻撃する!

俺様達の攻撃はまるで最初から示し合わせたかのような連携ぶりであった。


不思議だ…

まるで三蔵の考えが手に取るように解る。

いや?三蔵の奴が俺様に合わせ、導いているのか?


まったく…

とんでもない人間だぜ!


本当に…


『面白い奴だぜぇ!』



俺様と三蔵の攻撃が、九頭馬の身体を同時に斬り裂いた。


「うぎゃああ!!」


よろめく九頭馬に向けて、俺様は如意棒を渾身の力で振り下ろしたのだ!


「トドメダァーッ!!」


だがしかし?


「何!」


俺様の降り下ろした如意棒が、満身創痍の九頭馬に掴まれ受け止められたのだ。

その上、九頭馬の傷付いた身体が見る見る再生しているのである。


「ブヒヒン…!」


九頭馬は俺様の頭を殴りつけると、

こともあろうか俺様の頭を踏み付けやがったのだ!

三蔵もまさかの九頭馬の反撃に手をこまねいていた。


「言い忘れたが、俺様は不死身なんだぜ?」


「ふ…不死身だと?馬鹿な!」


「馬鹿ではない!俺は術法で死なない身体なのだ!まぁ…不死身と言っても、ある条件のもとだかな…」


「ある条件とは何だ?」


「馬鹿め!それで、ベラベラ喋ると思うのか?馬鹿たれがぁ!」


「お願いします!」


俺様は素直に尋ねた。


「つまりだな、俺には弱点が一つある訳だが……って…ん?…何を喋っているんだぁー??」


何て単純な奴だ!

俺様は落ち込む九頭馬に向かって、


「弱点があるのですか?」


「そうなんですよ!人には話せないのですがね…」


「隠し事なんかにしていたら、身体に悪いですよ?」


「そうなんですか?」


「あんまり我慢していると、ストレスで胃が悪くなるとか…ならないとか?」


「それは困る!つまり俺の弱点なんだが、実は…頭なんだ!でもよ、それを隠すために俺は頭を九つ持ってカモフラージュしているのだ!……て、ん?」


我に戻った九頭馬は再び後悔する。



『またまた何を話してしまっているのだぁー!』


自分自身の頭をポカポカ叩きながら、地団駄を踏み悔しがる九頭馬。


馬鹿だ…コイツ…



「おのれぇ~!この猿がぁー!この俺の純粋な心を弄びやがってぇ!」


「へへへぇ…ありがとうよ!」



俺様は九頭馬の足から抜け出し飛び上がると、


「九頭馬ぁ!もう一度聞くぅ!お前の弱点の首は、ど~れだぁ~!?」


「教えるかぁ!馬鹿者!この左から二番目の頭なんて、口が裂けても話すはずなかろう!!……ん?」


ありがとうよ!


「えっ?あれ?」


慌てて他の七つの首で守ろうとする九頭馬を邪魔するように、三蔵が数珠に霊気を籠めて放つと、邪魔な頭が吹っ飛び消えていった。


残りは一本!


「くらえーー!九頭馬!」


俺様の如意棒が九頭馬の頭に直撃したのだ。


「うぎゃああ!」


同時に三蔵が燃え盛る炎の剣(降魔の剣)で、九頭馬の身体を斬り裂く。


「燃えよ!!」


九頭馬の身体が炎に包まれながら丸焦げになっていった。


「へん!昔から、馬と鹿のオツムは足りないと決まってるんだよ!」


「猿並みのくせによく言うな?」


「な?何だと!」



再び俺様と三蔵の喧嘩になろうとした時、


「待て!猿?よく見てみろ!」


「ん?何だよ?」



三蔵の指差した方向には燃えている九頭馬の死骸があった。


ん?ああ?あれ?


俺様は九頭馬に近付くと、その九頭馬の死骸は抜け殻だったのだ!



『ふふふ…あはは!』



その時、笑い声が響き渡る?

この声は間違いなく九頭馬か!?

その声は空からだった。

奴はトドメを刺される直前に本体を空に飛ばしていたのだ。


「馬鹿め!それはただの抜け殻だ!本当の私は鳥妖怪だったのだぁ!」


の?のわぁにぃ~?


見ると、確かに九頭馬の声のする鳥妖怪が飛んでいた…あっ?




《ゴツン…》



「うぎゃあ!」


落ちた??


何が起きたか解らないが、九頭馬が落下して来たのである。


ん?何か転がって?

石か?



「当たった…」


それは、三蔵の投げた石だったのだ。



「あのまま正体を見せないで逃げてれば良かったのに…鳥の脳みそは、どうやら馬、鹿以下のようだったな…」


「では…心置きなく…」


俺様と三蔵は落下して倒れている九頭馬に迫り、


「えっ?えっ?え~!」



ボカッスカッ!踏み踏み!ドカスカ!バコバコ!!

鳥の姿の九頭馬をリンチの如く踏み潰すのであった。


憐れ…

が、気付くと…

また、抜け殻になっていたのである。


「あああ?またかぁ~??」


「今度は何処に行きやがったぁ!」



辺りを探す俺様と三蔵だったが、既に九頭馬の気配はなかった。



《ぶ~ん…》


一匹の虫が、俺様と三蔵の隙間をぬって飛んで行く。



『ウヘヘ…実は、俺は…虫妖怪なのだ!しかし、流石に妖気が足りない…ここは逃げるしかないぞ…』




《ぶ~ん…》




俺様達から無事に逃れた虫の姿の九頭馬は、適当な妖怪を探していた。


実は九頭馬は生き物に憑依する特殊能力を持った妖怪だったのだ。


そのため、その正体は謎に包まれていたのである。



『オッ?あそこから妖気を感じるぞ?』



九頭馬はその場にいた妖怪を見つけると、その妖怪に憑依しようとしたのである。



《パチンコ!!プチィ!》


直後、目の前の視界が暗くなり、強い衝撃が九頭馬に直撃したのだ。

九頭馬は憐れ、目の前に突き出された『こん棒』で、虫の姿のまま潰されてしまった。


「ふん!虫けらが…ブザマだな…」


九頭馬を始末した妖怪は、こん棒を手足の如く振り回していた。


そして地面に突き刺し、



『三蔵に孫悟空か…次は俺が相手をしてやるぞ!』





その妖怪の名前は、


混世魔王…


今、俺様と三蔵に新たな危機が迫っていたのだ。


そして、この混世魔王と俺様にはかつて因縁がある事を俺様はまだ知らなかった。

次回予告


予想以上に強敵だったな?九頭馬の奴は!


次の刺客はどんな野郎だ?なぬ?


過去の俺様に因縁がある奴だって?誰、そいつ?


まあ、次話も続くぜ!

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