妖恐再び!迫る狂気!!
牛角魔王と祝融との一騎打ちの最中、
迫るは妖恐!
この状況でどうなる?
俺様は美猴王!
俺様の目の前で熔岩魔王と牛角魔王が戦っている。
何なんだ?あの牛角の変貌は?変貌だけじゃない…
強さの幅が桁違いじゃないか?しかも恐らく…
意識がぶっ飛んでやがる!
戦闘本能のみで戦っているのか?
あはは…
この俺様が仲間の牛角の気に当てられて身体が震えてやがるぜ…
牛角魔王の変貌を見て驚いていたのは祝融もだった。
しかし、その顔は歓喜に似た表情だった。
「それが貴方の本当の姿か?それが私の主である神農様をも凌駕した力と言うのか?」
祝融は熔剣を瞬時に振るうと、強烈な斬撃が牛角魔王に向かって迫って来る。
「ぐぅぅ…」
牛角魔王は六本の両手を交差し、斬撃に向かって黒い覇気にて打ち消す。
が、既に祝融は眼前にまで接近していた。最初の斬撃は接近するための陽動で、本当の狙いはこれか!?
瞬時に接近した祝融の熔剣が牛角魔王の頭上から降り下ろされ、牛角魔王は六本の腕から発する黒い気が剣となって弾く。更に追撃を仕掛ける祝融の熔剣と牛角魔王の六本の腕から繰り出される剣が激しく衝突し、その余波が俺様達を近付けさせない。
二人の制空権から完全に弾き出されたのだ。
「これが更なる境地なのか?まだ俺様は世界に及ばない…」
…ただ見てるだけしか出来ないのか?
「だが、今は牛角を信じるしかない…」
その俺様の呟きに蚩尤が首を振る。
「あのままでは…兄者が戻って来れなくなる!兄者が再び魔神と化したら、敵仲間関係なく暴れまわり、やがて力尽きる」
「力尽きるって?まさか?」
「その言葉通りだ!魔神形態は全ての力を解放した状態だ…あの状態のままいたら…兄者は!」
砂塵魔王は蚩尤の言葉に対して冷静に答えた。
「だが、あの力に頼るしか今はなかろう?そうでなければ俺達は熔岩魔王に全滅させられるぞ?」
「てめぇ!自分の命可愛さに兄者を見捨てるつもりかよ!」
「俺は…」
そこに俺様が二人を制する。
「黙れ!砂塵魔王の言う通りだ…情けないようだが今は牛角に頼るしかないんだ!」
「お前達…二人共!兄者を…兄者を見捨て…」
「見捨てはしねぇ!」
「!?」
「俺様が必ず元に戻す。この命にかけてな!それが義兄弟としての俺様の役目だ!」
「び…美猴王…」
だが、その時…
凶悪な連中が動き出していたのだ。
「グフフ…良い匂いだ…血沸き肉躍るぞ!」
場所は熔岩魔王の地より逆側の砦だった。
そこには蛟魔王率いる別動隊が中央の地を守る軍勢相手に攻め混んでいたのだ。
その最中、その者達は突如戦場に現れ、その場にいた水廉洞闘賊団だけでなく中央を守る敵の妖怪達をも殺し回ったのだ。まさに殺戮の狂気。
先攻していた砲丸魔王と亜騎馬魔王に豪快魔王が攻め悩む。
「何者だ奴達?」
「油断はならぬ!とてつもなく嫌な感じがする」
「がははは!」
「豪快よ?お前は少し黙って欲しいと思うぞ?」
が、直ぐに三魔王は目の前に現れた化け物を相手に戦闘体制に入る。
「何者だ?もう引き返せそうになさそうだぞ」
「身体が震えて来た…」
「がははは!」
三魔王の前に現れたのは、かつて美猴王達を苦しめた妖恐・アンキロであった。
「まだ生き残っている連中がいるようだな?直ぐに始末してやるよ」
アンキロが三魔王に向かって襲い掛かり、その圧倒的な力に怯む三魔王だったが、
「生き残るためには戦うしか道はない!」
亜騎馬魔王は印を結ぶと目の前に羽のある昆虫騎馬が出現し、飛び乗る。
そして槍を手にすると妖気を籠める。
「騎馬出陣!」
亜騎馬魔王の身体が騎馬に乗ったまま分身し、四方八方からアンキロに向かって槍を突きつける。
「ぬぅ!?」
が、突いた槍はアンキロの身体に直撃するも貫通する事なく止まっていた。
「何て固さだ!皮膚を傷付ける事も出来ないとは…」
そこに亜騎馬魔王の顔面を掴もうとアンキロの爪が迫る。
「あっ!」
そこに飛んで来た砲丸がアンキロの腕に直撃し、その隙を亜騎馬魔王が脱出した。
「かたじけない!」
「それよりどうする?奴の防御力じゃ俺の砲丸も効きそうにないぜ?」
「うむむ」
そこに再びアンキロが突進して来る。
「悩んでる暇はないようだぞ?ならば!」
砲丸魔王の妖気が高まると手にした砲丸がみるみると大きくなっていく。そして上空に投げた後に自らの妖気の鎖を結び付け、振り回し回転させた。
『鎖砲丸』
「うぉおお!」
砲丸魔王は巨大な砲丸を振り回しながらアンキロに目掛けて直撃させた。
「やったか?」
だが、砲丸は木端微塵に粉砕したのに、アンキロは平然とその場に立っていた。
「何だ?今、何かやったか?」
「あはは…」
「全く通用していないぞ?」
『えっ?』
そこに二人の前を豪快魔王がアンキロに向かって歩いて行く。
「がははは!」
「ん?また何かするか?やって見るが良い?」
「がはは…は」
その時、豪快魔王の笑いが止まり、
「豪快に食らうが良い!」
『豪快パンチ!』
突如豹変した豪快魔王の拳がアンキロの顔面に炸裂した。
その威力はアンキロをその場に倒したのだ。
「うぐぅお……」
アンキロは頭を振り、再び立ち上がろうとする。そこに豪快魔王がアンキロの頭を踏み付けたのだ。まさかの展開に亜騎馬魔王と砲丸魔王は目を丸くしていた。
「亜騎馬魔王!砲丸魔王!今のうちに退くが良い。そして本体の救援を呼ぶのだ!」
突然の変貌に亜騎馬魔王と砲丸魔王は頷くと、亜騎馬魔王の騎馬に乗ってその場から走り去る。
「ぐぅ…一匹足りとも逃がしはせん!」
アンキロが再び立ち上がると豪快魔王が道を塞ぐ。
「ここから先は通さん!だが安心しろ?直ぐにお前を始末する猛者が駆け付けるはずた。それまで俺が相手になろう」
「虫けらがいきり立つなよ?」
「時間稼ぎは出来ると自負しているつもりだが?このゴリラ一族の魔吽天がな!」
魔吽天?ゴリラ一族?
剛力魔王と怪力魔王意外にゴリラ一族の生き残りがいたのか?
この者、かつて戦闘民族であるゴリラ一族の村が眼力魔王によって滅ぼされた時、この魔吽天は村にいなかった。
その後、生き残った魔吽天は他に生き残った一族が眼力魔王に操られている事を知り、村を滅ぼした眼力魔王に恨みを晴らすため力を付けて名を豪快魔王と変えて生きて来た。
が、美猴王達が先に眼力魔王を倒し、囚われて操られていた剛力魔王と怪力魔王を救い出した事を知る。
「水廉洞闘賊団の美猴王か…」
豪快魔王は恩を受けた水廉洞闘賊団に志願した。
だが、剛力魔王や怪力魔王には自らの正体を伏せ、陰ながら力を奮っていた。戦場の中で人知れず仲間にも気付かれずに敵軍の猛者を見付けては、一人で始末していたのである。
只、唯一その素性を知っていた者がいた。
蛟魔王である。
蛟魔王は魔吽天と万聖竜王の城で出会い、話を聞いて水廉洞闘賊団へ向かわせたのだ。
オマケに亜騎馬魔王と砲丸魔王を付けて…
そして今、
「憤怒!」
魔吽天の肌が黒く変色し妖気が膨れ上がる。
「ふふふ…あははは!」
アンキロに向かって魔吽天が殴り付ける。
その拳は黒い鉄甲を装着していた。
「豪快に行こうぜ?」
だが、そこにもう一体の妖恐が現れたのだ。
妖恐トリケラ!
あの牛角魔王が力負けした化け物だ。
「まだ遊んでいたのか?」
「今、面白い玩具を見付けた所なんだよ!」
「そんなの早く片付けてギガノの向かった場所に行かないと、また絞められるぞ?」
「お…おぅ…そうだな?心惜しいが、そうするとするか」
二人の妖恐を前に魔吽天は?
そして、他の妖恐の向かった先とは?
場所は再び、牛角魔王と祝融の一騎討ち戦場。
二人の激しい戦いを見ている俺様は、突如こちらに向かって迫って来ている『力』を感じた。
「まさか…こんなタイミングで、奴らが現れたのか?何てタイミングの悪さだ…」
俺様は立ち上がると、その向かって来る脅威に対して念を送る。
それは仙術による千里眼である。
「間違いない…」
迫って来ている脅威とは妖恐が三体?否?上空にもう一体いるな?
「妖恐の連中が来やがったぞ」
「くぅ…兄者が戦っている時に…」
蚩尤は妖恐に対して戦う気でいたが、身体が自由に動かないでいた。
「お前はそこで牛角を見てろ?奴らは俺様が相手をしてやる!」
「なぁ?一人で四体を相手にするつもりか?」
砂塵魔王が溜息をつきながら手をあげた。
「俺も行くよ。友と共にな」
「ありがとーよ?」
そこに、
「僕も戦うよ。あそこには借りのある奴がいるみたいだしね」
それは熔岩魔王に先に倒された鵬魔王だった。
持ち前の再生力で目覚めたのだ。
「ただ…聖獣変化する力は残っていなそうだけどさ…」
「残念!まぁ、お前がいると心強いぜ」
「なんて甘美な褒め言葉だ~間違いなく始末して来るよ!」
「牛角と熔岩魔王の戦いの邪魔はさせねぇーよ!」
そして、迫って来ている妖恐達も、祝融と牛角魔王から放たれている強大な力に身震いしていた。
『面白い…身体が震える程、疼いているぞ。この先で俺を楽しませる殺し合いが待っている!』
だが、その前に道を塞ぐ者がいた。
俺様と砂塵魔王だ!
俺様達が妖恐ギガノ、スピノ、ティラノを相手にする。
そして空中のプテラには鵬魔王に任せた。
「先の戦いの仕返しついでだ!倍返しにしてやるぜ!」
次回予告
再び現れた妖恐を相手に、美猴王と仲間達が挑む!




