表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
420/424

牛角魔王の一騎打ち!

まさかの六耳の死!


悲しむ暇なく、新たな戦いが始まる!


俺様は美猴王だぁー!


俺様率いる水廉洞闘賊団は現在、地上界の中央を統治している魔王の軍と交戦中であった。中央の軍は予想以上に難易度が高かった。

今までの魔王の軍には必ず数ばかりの雑魚がいたのだが、流石に中央を守る兵は戦闘訓練を積んでいる猛者ばかりなのだ。聞くに、各地の有望な妖怪は中央に率いられ守らせていると言う。


だが、我等が水廉洞闘賊団も連戦を続け生き残った連中だ!

負けてねぇし、勝ちにいける!


それに軍に戻って来てくれた蛟魔王の策、采配で、次々と撃破していく。

流石、軍師様々だぜ。

マジに頼りになる。


この戦いに水廉洞闘賊団の仲間は戦いを放棄し逃げる者はいなかった。この戦いに未来を賭けているのだ。長きに渡る天界からの恐怖からの解放を願って!


だが、唯一抜けた者が三名ばかりいた。

その者達に俺様はかける言葉がなかった。

岩猿、水猿、気火猿の三匹である。


奴等は死んだ六耳を故郷にある『花果山』に眠らせてやりたいと願い出たからだ。俺様は寂しくも三匹の願いを聞き入れた。


お前達の分も必ず勝ってくるからな。



だが、油断は出来ねぇ…


中央には天にまで聳え立つ搭が存在する。その搭は地上界から天界へと移動出来る通路だと噂されていた。つまり中央を落とせば天界に殴り込む事が出来るのだ。


それこそ俺様の野望!

天界から地上界の鎖を断ち切り、自由を勝ち取るのだ!


その為に中央は必ず落とさねばならないのだ。



本来、中央の搭は一桁ナンバーの魔王達が守護していたが、俺様達の反乱により一桁ナンバーの魔王達もまた野心と目的を持って各地に散らばった。

もし、まとめて相手する事になっていたとしたら俺様達は確実に弾圧されていただろうな。

その結果、俺様達は一つ一つ魔王の城を撃破し、崩していった。


残るは中央!

そのために必ず待ち受けているのが、あの熔岩魔王との戦いだろう。


あれほど苦労して、ギリギリ勝てた金剛魔王と同等?いや、金剛魔王を中央から追いやった程の力の持ち主だと言う。まぁ…金剛魔王の地に現れた時に痛い程、野郎の強さは肌身に感じたから解る。心して挑まないとな。


最後に地上界を実質統治している搭多流天と呼ばれる謎の魔王の存在だ。

自らを魔王と名乗らずに天界の力の象徴である『天』を名乗っているのだ。

だが、その実力は誰も知らないと言う。

あの熔岩魔王が強引に祭り上げたと言うから謎だ。その為に他の魔王も逆らえず、最後まで逆らった元中央の支配者であった金剛魔王をも追いやったのだ。


とにかく…


後は突き進むのみ!



俺様の軍は二手に別れた。

俺様を筆頭に牛角魔王、玉面魔王、鵬魔王、砂塵魔王、蚩尤と総勢三万の軍勢が向かう熔岩魔王討伐隊。


そして蛟魔王の率いる剛力魔王、怪力魔王、刀剣魔王、砲丸魔王、亜騎馬魔王、豪快魔王と総勢七万の軍勢が向かう中央撃破隊。



「さ~て!これが最終決戦だぁー!!」



俺様達は熔岩魔王の手下である炎妖怪を相手にしていた。火炎弾が無数に飛んで来る中、玉面魔王が水術の防壁を造る。


「さすが水術最強の魔王だよな」


玉面魔王もまた、この地を守護する魔王。

中央への最短の道を熟知していた。

中央の地は五行封印で守られていたが、風結界を司る黄風魔王。

雷結界を司る雷獣魔王、地結界を司る金剛魔王が倒され、結解が綻びた。

そして仲間になった水結界を司る玉面魔王が結界を解いた。

残りは炎結界を司る熔岩魔王を倒すのみ。



「しかし本当に出来るのだろうか?」


砂塵魔王は不安げに我らに問う。


「熔岩魔王はあの雷我すら手が出せなかった化け物よ…妾すら奴の前では手足が震えおる」


熔岩魔王の強さを知る玉面魔王も油断出来ない事を促すと、


「関係なくない?また僕と美猴王が聖獣変化すれば簡単さ!」


鵬魔王は軽口を叩くように答えた。


「まぁ、それが一番の手だよな?皆にフォローして貰いながら聖獣変化でぶっ倒す!これが最善策だぜ!」



まぁ、蛟魔王の策なのだけどな。

が、遮る者がいた。



「熔岩魔王とは俺が戦う!お前達は手を出すな」


「何ですと?お前は正気か?」



牛角魔王は熔岩魔王との間に何か因縁があるらしいのだが、牛角魔王は一度完膚なきに倒されているのだ。この戦いは水廉洞闘賊団の戦いだ!一人の身勝手で…


身勝手で…


良いかな?



「やれるだけやって見ろよ?」



仲間達が俺様の言葉に目を大きく見開き振り向いた。

この冷静沈着な牛角がここまで我を通しているのだから、俺様も見届けてやるのも義兄弟としての役目かと思えた。まあ、ダメだと言っても止められないがな。



「ただしお前が危険だと感じた時は俺様達は遠慮なく出しゃばるからな?オッケー?」


「恩にきる!」


「あ…兄者…」


心配する蚩尤を遮り、牛角魔王はやる気満々だった。

と、作戦変更があった俺様達の率いる軍。


そして蛟魔王が率いる一方では既に激しい戦争が繰り広げられていた。



「予想外だな…」



蛟魔王の軍は攻めあぐねていた。蛟魔王の軍の前には中央を守る全軍に囲まれていた。その数は蛟魔王の軍勢七万に対して、その数十倍以上なのだ。


「まさかこれだけの数を温存していたとはな」


「行くか?」


「助かるよ?こちらもお前達を温存していて正解だった」



剛力魔王と怪力魔王、刀剣魔王が出陣した。



「こんなに早く形勢逆転の一手を打つ事になろうとはな…」


完全に敵軍に包囲されてる状態だったのだ。


「仕事、する」

「腕がなるぜ!」



戦闘部族であるゴリラの民の生き残り。眼力魔王の術に操られていたのを美猴王に助けられ、恩義に報いて仲間となった。

剛力魔王と怪力魔王の参戦は瞬く間に戦場を逆転させた。


細身だが長身の剛力魔王は自分以上ある二つの大斧を軽々振り回す。

その風圧に敵軍は吹き飛ばされ、怪力魔王は鎖の付いた鉄球を振り回す。

まさに無双状態だった。


更に、


「我、遅れは取らん!」


刀剣魔王の背後に無数の剣が出現し宙に浮かぶ。その剣を自在に操りながら向かって来る敵兵に攻撃を放つ。斬り刻まれる敵兵達。


刀剣魔王…黄風魔王の配下であったが、う~ん…いまいち解らない縁で仲間となったのだ。



そして砲丸魔王と亜騎馬魔法、豪快魔王の三魔王。


こいつ達は…


いつからいるのだ?


詳しくは知らんが、いつからか志願して来て寝返った魔王達である。元魔王であって力はそこそこあるが、俺様とは絡みないし興味ないので三馬鹿魔王と名付けた。


とりあえず働け!働け!


魔王参入で士気も上がり優勢になっていく我が軍。



「このまま本陣まで突っ切るぞ!」



蛟魔王の指揮で優勢に突き進む水廉洞闘賊団。







戦場の場は再び俺様のいる灼熱の大地へ。

俺様達の前に、ついに…


「現れたな…」


俺様達の前に熔岩が垂れ流れる絶壁が聳え立ち、その中心には熔岩魔王が仁王立ちしていた。



「ようやく決着を付けられるな!」


「しかしどうやって野郎の場所まで?」



足下は熔岩の池状態でこれ以上進む事は出来ない。

しかし牛角魔王は俺様の言葉が耳に入ってなかった。


「フォオオ!」


牛角魔王は一歩一歩熔岩の池に足を踏み入れたのだ。


「!!」



牛角魔王の全身から発する闘気が身を守る防御壁となって熔岩の中を突き進む。

そして二本の刀を抜くと飛び上がり、単身熔岩魔王の前に出たのだ。



「たった一人で立ち向かうつもりか?」


「貴様には話したい事があるのでな?仲間には遠慮してもらった」


「私に話だと?」


「貴様とは初めてではない気がする。何処かで会ったはずだ」


「………」


「言わぬなら、力付くで聞き出すまで!」


「お前に出来るのか?」


「何の策も無く貴様を相手にするつもりはない」



すると牛角魔王は印を結び、唱えたのだ。



『獣神変化唯我独尊・黒牛!』



それは正しく獣神変化だった。

牛角魔王の背後に黒牛のオーラが立ち込めると、再び牛角魔王の中へと吸い込まれていく。

その姿!黒牛の鎧を纏った凛たる牛角魔王であった。


あいつ、いつの間に獣神変化を?

だが、これなら熔岩魔王と渡り合えるに違いないぜ!


牛角魔王が剣を構え突進すると、上段から熔岩魔王の頭上に斬りかかる。



「!!」


が、牛角魔王の刀は熔岩魔王の抜いた熔岩を噴き出す熔剣にて受け止められる。


「軽いな」


「ふんぬぅお!」



牛角魔王は刀を引くと再び左右から斬りかかり、突きとの連続攻撃を繰り出す。が、熔岩魔王は全ての刀を片手で受け流す。

着地した牛角魔王が見上げた先に、熔岩魔王の熔剣が降り下ろされる。


「受け止める!」


二刀を交差し受け止めた熔岩魔王の熔剣がのし掛かる。

牛角魔王の足元が沈み陥没した。

さらに重圧が牛角魔王を襲う。


「うぉおお!」


交差した刀を降り払い熔岩魔王の熔剣を弾くと、後方に飛び上がり移動し距離を取る。



「やはり…そうだ…お前の剣技は見知った剣技に似ている…否!そのものだ!!」


「………」


「俺はお前を知っている!」



牛角魔王は覇気を二刀に籠めると、再び斬りかかる。その一降りは斬激をうみ、熔岩の大地を真っ二つにした。崩れる大地から熔岩が勢いよく噴き出して二人の姿が見えなくなった。



「ど…どうなった?牛角はどうなった?」



仲間達も牛角魔王の安否が気になる。


そして現れたのだ…



噴き出す熔岩の中から、ゆっくりと現れる熔岩魔王の姿が。そして、その手には鎧が砕け散り、ボロボロ姿の牛角魔王が頭を掴まれ吊るされていた。


「!!」


俺様に怒りが混み上がる!



「鵬魔王!聖獣変化だ!」

「任せて!」



俺様と鵬魔王が熔岩魔王に向かって突っ込むと、真言を唱える。



『聖獣変化唯我……』


真言を唱え終える瞬間、熔岩魔王が牛角魔王を鵬魔王に投げつけ直撃した。


「ぐわっ!」



えっ?


俺様が突っ込んだ先の熔岩魔王が消えていた。


何処に?


熔岩魔王は飛び上がっていた。

その着地地点には鵬魔王が倒れている。


「クッ!」


咄嗟に鵬魔王が炎を熔岩魔王に向かって放つが、



「温い炎だ!俺には何とも感じん!」



熔岩魔王は鵬魔王の火炎放射の中を向かって来て、鵬魔王を…


「あっ…」


殴り付けたのだ!!


鵬魔王は一発で意識の糸が切れた。

再生力を誇る鵬魔王であっても、その意識が飛べば再生が出来ないのだ。

しかも熔岩魔王は俺様との聖獣変化を阻止するために鵬魔王を先に攻撃したのである。


「このまま命も断ってやろう」


熔岩魔王が再び拳を振り上げると、その腕が固まる?



「邪魔をするならお前も消すぞ?」


熔岩魔王の腕に砂の拘束が邪魔をしたのだ。


「同じ一桁ナンバーとて情けはいらん!俺は友のために戦うのだ!」


「情けは元よりない。消えろ!」



熔岩魔王の掌から熔岩が噴き出して砂塵魔王を飲み込む。


「ぐぅわ!砂塵防壁!」



砂塵魔王の身体から砂が噴き出して砂壁を作る。

だが熱が次第に砂壁に亀裂を作り始める。



「あんまり時間稼ぎにならなそうだ…どうしよう?けど、間に合ったようだな」



そこに蚩尤が飛び込み鵬魔王と牛角魔王を抱き抱えて救い出していた。蚩尤は助けた鵬魔王を放り投げると、牛角魔王の肩を掴み叫ぶ。



「兄者!兄者!目を覚ましてくれ!兄者!」



だが、そこに熔岩魔王が近付いて来る。


「ようやくお前を始末出来る…」


「うぐっ!兄者は殺らせん!」


だが、



「安心しろ?俺の目的は…蚩尤!キサマだ!」


「!!」



熔岩魔王は熔剣を振り上げる。

それを見た俺様達は救援に向かうも、熔岩魔王が振り払った熔剣より噴き出す熔岩にて道を塞がれてしまった。



「終わりだ!」


熔岩魔王の熔剣が蚩尤に突き出され、蚩尤も覚悟した時、飛び出した者がいた。


それは…


牛角魔王!!


牛角魔王の胸に熔岩魔王の熔剣が突き刺さる。




「あ…兄者?」


『兄者ぁああああああ!』



次回予告


牛角魔王が熔岩魔王に討たれた?


まさかの展開に怒り悲しむ玉面魔王が立ち上がる!


そして、あいつも!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ