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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
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宴の後の悪夢の目覚め?

金剛魔王を撃破!


勝利した水廉洞闘賊団は勝利の宴を始めていた。

俺様は美猴王!


見事に金剛魔王の城を落城させた俺様達は、まさに敵無しであった。

次に俺様達が狙うは地上界の中心であり、唯一天界と繋がる塔がそびえ立つ中心の地…

そこには最強の一桁ナンバーのリーダーが待ち構えていた。

そいつは魔王であるにも関わらず、己を天上界の最強の称号である『天』を名乗っているのだそうだ。塔を護る天から、塔多流天と!


ん?塔多留天のボス?トウタルテンのボス…

いや、何でもない!気にするなよ?


これが最終決戦になるのだが、塔多留天には一桁ナンバー2の熔岩魔王が控えている。


奴は厄介だ!



金剛魔王の地で遭遇した時に、俺様達は手も足も出なかった。あの金剛魔王を倒した魔王であるから、激戦が待ち構えているのは間違いない。

そんな理由で俺様達は来たる最終決戦に供え、宴会と休養を取っていた。

既に俺様の周りは酒飲み連中が騒いでる。



と、突然何処かで酒の勢いで喧嘩が始まったのだ。

何処の誰だよ?興味本意で見に行こうとしたが、直ぐに引き返した。


危なかった…


今、喧嘩している連中は牛角を競って、玉面と剛力がやり合ってた…


しかも、何故か蛟魔王も混ざり、三つ巴の女の戦い。




俺様は思ったよ!

巻き込まれる前にこの場から逃げねば絶対にろくな事が起きないと。



「また牛角様に色気を撒いて近付いて来たか?メス猫…いや?メスゴリラよ?」


玉面魔王が剛力魔王にいちゃもんをつけていた。



「お前、殴る。いい加減、終局!」


「なら、どちらが牛角様に相応しいか決着を付けるとしようか?」


「望む、所!」


そこに、酒樽を飲みながら蛟魔王がチャチャを入れる。



「あはは~女の戦い結構結構!もっとやれ」


「お前、蛟魔王?後から美味しい所を持っていき、どういうつもり?まさか牛角様を狙っての?」


「何?蛟魔王、お前もか?」


「はて?」


「妾から牛角様を奪う女は全て消す!」



玉面魔王と剛力魔王が酒樽を持つ蛟魔王に近寄り見下ろすと、蛟魔王も立ち上がり笑みを見せて威圧する。



「成る程、そういう事か?つまり私と喧嘩したいと言うのだな?最強の女妖怪を決めておくのも面白いな」


「最強、私」



蛟魔王が指を鳴らすと、玉面魔王の周りに無数の水玉が浮かぶ。そして剛力魔王も二つの赤い大斧を抜いて構える。

その後は激しい女の戦いが始まったのだ。


俺様は思った。


女は怖い生き物だと…


そこに、怪力魔王が止めに入るが…無理だよな?



「こうなったのも全て牛角魔王!お前のせいだ!」


「何?俺が何かしたか?」


刀剣魔王が肉を食べていた牛角魔王に剣を向ける。



「黙れ!我と勝負しろ!」


「面白い!一度お前と剣技を競ってみたかったぞ」



二人は剣を抜いて激しくぶつかり合う。

ここもか。皆、騒がしい連中だ…


さて、飲み直すとするか。

戻った俺様に三猿達が酒や食い物を運んで来てもてなしてくれた。


美味い~



そして宴会は深夜まで続いた。

俺様は風に当たりたくなり、一人空を見上げる。

そして天に輝く七ツの星[北斗七星]を見て考えていた。

俺様は前々より考えていた事があった。


義兄弟は七人欲しいと!


これは気まぐれだった。

俺様に牛角、蛟、獅駝は既に決定済みだった。


後、三人か…


今回の金剛魔王だけでなく黄風魔王との戦いでも一番の功労者であり、俺様を慕う鵬魔王かな?

潜在能力は未知数で、これからも俺様の力になってくれるはずだし…


決定!


後は二人か…実力的には玉面だが、なんか俺様と絡みないから嫌!

あ~仲間になった砂塵魔王もいたが…根暗嫌い!

兄弟と言えば牛角魔王の弟がいたな?確か蚩尤だったか?実力は確かに魔王クラスだが……いけ好かないから、やはり嫌!

剛力魔王に怪力魔王はセットで二人分と考えると、ちょうど良いが…





実は一度、こいつら全員には、やんわり尋ねてみた事がある。


先ずは玉面魔王だった。



「お前、妾は牛角様の妻になる身!義兄弟になどなってたまるか」


断られた…


次に砂塵魔王に声をかけてみた。



「俺は友が欲しいのだ!義兄弟なんかいらない!そんなわけで断る!」


断られた…


それから刀剣魔王にも、


「我はその資格はない…気持ちは有難いぞ」


断られた…


剛力魔王と怪力魔王はセットで、


「………」


「俺と姉者はお前との借りを返すためにいる。だが、今後はお前を支える柱になろうと思う。義兄弟とかではなく、俺と姉者は側近としてお前達を支えよう」


断られた…



そんなわけで、あんまり俺様との義兄弟が人気ない事を知らされ、いじけたのだ。

だが、こんな連中よりも既に俺様の頭の中には決めていた奴がいた。


へへ…喜ぶな…アイツ!




俺様はニヤニヤしながら床につき、明日起きたら伝えてやろうと楽しみにして眠った……


だが、俺様は悔いた。


どうして、この時に俺様は告げに行かなかったのだ?


馬鹿だ…俺様は!


その夜、俺様は寝つけなかった。

いや?眠っているのだが、何か嫌な感じがして頭が回らない?

まるで、幻術にでもかかっている…よう…な?

朝、目覚めると頭がガンガンした。


二日酔いか?

次の瞬間、俺様は目を見開きパニクった。



そこには俺様を庇うように息絶えた六耳が倒れていたのだ。


俺様は茫然とした…


俺様が眠っている間に賊が入り込み、俺様を狙った輩がいて、それに唯一気付いた六耳が俺様を守り、代わりに殺されたのだ。


嘘だろ?なぁ?嘘と言ってくれ?



六耳ぃーー!!




俺様は怪我をしたが同じく部屋に倒れていた岩猿を揺さぶり起こす。


「何があった!岩猿!」


岩猿は目覚めると泣きながら説明した




夜に起きた出来事を…


六耳と岩猿は俺様が先に眠ってしまった事を聞いて、二人で城を歩きながら会話していた。



「それにしても六耳は凄いな?もう主戦力じゃんか?」


「えっ?そんな事はないっちよ?俺ッチはまだまだダッチ…」


「兄貴としては鼻が高いぞ?」


「へへへ」



その時、六耳が突然立ち止まり目を綴じる。


「どうしたッキ?」

「少し静かに!」

「?」


六耳の六つの耳が侵入者の気配を捉えたのだ。

侵入者は少しずつ移動していた。

その先は?


「美猴王様の部屋だ!」



岩猿は意味も解らずに六耳と一緒に俺様の部屋に急いだ。部屋の前にまで来ると、その部屋の中から発する殺気に岩猿も気付く。

六耳と岩猿は目を見合せ合図をすると、俺様の部屋に飛び込んだのだ。

そこには黒いマントを被った侵入者が、眠っている俺様に剣を突き付ける所だった。


「!!」


「お前、何者だッチ!美猴王様に何をするつもりだ!」


「まさか、私の侵入に気付くとは…特殊な能力を持っているようだな」



六耳の六つの耳は侵入者の気配ではなく、僅かな心音に気付いた。六耳は仲間全員の心音を記憶していたのだ。そこに見知らぬ者の心音が聴こえて来たので慌ててやって来たのだ。


「最初は棄てて置くつもりだったが…次第に拡大する軍の首謀者で有り、挙げ句金剛魔王をも討ち取ったのであれば放って置く事も出来まい」


侵入者が剣を突き刺すが、雷が六耳から放たれると、侵入者の目の前から眠っている俺様の姿が消える。六耳が俊足で俺様を抱き抱えて助けたのだ。



「美猴王様には俺ッチの命に代えても手を出させないッチ!」



六耳は岩猿に俺様を任せると、侵入者に向かって襲い掛かる。

だが、どんなに素早い動きで撹乱させ、動き回り攻撃を仕掛けようとも、侵入者には触れる事すら出来ないのだ。侵入者は斬っても斬っても幻影のように擦り抜ける。相手は呪術者?


『隠影の印』



すると侵入者の掌から闇が広がり、部屋全体を覆う。扉から俺様を抱えて脱出を試みた岩猿も逃げ場を塞がれたのだ。


「あわわ」


「やはり倒さないと駄目ッチね」



六耳の両手から雷の爪が伸びると雷が放電する。



「部屋を壊して仲間を呼ぶッチ!」


が、六耳の放たれた雷は闇の中に消えていく。

闇の中は異空間になっていたのだ。


「どうするッキ?」


「手はあるッチ!」



六耳は瞼を綴じると耳に意識を集中させる。


「姿を消していても心臓の鼓動までは消せないッチ!」



六耳は侵入者の心音を見付けると、その方向に向かって飛び掛かっていた。


「クッ…厄介な」



侵入者は六耳を『強き敵』と認めた時、その本来の力を見せた。


八つ裂きにされる六耳…


俺様を抱きかかえながら庇う岩猿は六耳が傷付く姿に涙しながら、



「岩仙術・防壁陣下魔庫羅!」


岩石が石化しながら俺様を囲み包み込む。やがて六耳を倒した侵入者は岩猿に攻撃を仕掛けたが、岩猿の命懸けの防壁陣を壊す事が出来ずにいた。


そこに侵入者の存在に気付いた蛟魔王達が近付く気配を感じ、美猴王暗殺を失敗した侵入者はやむなく消え去ったのだ。



「ろ…六耳…」



何も知らずに眠っていた不甲斐ない自分自身の無力さを嘆き、六耳を死なせてしまった事に涙した。


「許せねぇ…」



そして、六耳の死を見届けた唯一の生き証人であった岩猿により、そいつは恐らく塔多留天の使いだと判明した。

俺様達、水廉洞闘賊団の次の標的は現在地上界を統べる搭多留天と熔岩魔王が待つ中央の地。



俺様は仲間達に誓いを立てさせた!


六耳は死んだが俺様達の義兄弟だと!




牛角魔王達は六耳から流れる血を指に付けた後、更に己の腕に傷を付け血を混ぜ合わせ、拳を天に上げて目を綴じて追悼したのだ。

次回予告


まさかの六耳の死・・・


美猴王は悲しみを胸に水廉洞闘賊団を率いて戦場に向かうのだった。

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