集いし仲間達との絆!美猴王、金剛魔王をぶっ倒せ!!
金剛山魔王と化して巨大化した金剛魔王を前に、
美猴王達の最後の猛襲が始まる!
金剛魔王決着か??
俺様は美猴王…
なんてこった…
全然、身体が動かねぇ…
俺様は山の如く巨大化した金剛山魔王に投げつけられた。
鵬魔王との聖獣変化も解け、鵬魔王もまた金剛山魔王に捕らわれてしまったのだ。
唯一の勝つ手段が…
巨大化する前の金剛魔王にすら相手にならなかった。
あんな化け物を相手にどうしたら良いのだ?
これが力の差?
俺様は六耳に肩を借りて起こされると、金剛山魔王を見上げた。
勝てない…?勝て…
だが、その時俺様は気付いたのだ。
この状況下であっても、誰も逃げ出さないのだ?
剛力魔王、怪力魔王、六耳に蚩尤。
それだけでなく生き残った全員が空を睨み上げて闘う意思を捨ててはいなかったのだ。
何故?
コイツらは皆、俺様に視線を向ける。
コイツらは俺様の次の合図を待っているのだ。
信じられている?
俺様なら何とかしてくれると?
皆の思いが俺様に背にのし掛かる。
これがリーダーの責任。
戦争を起こした俺様に夢を託し、共にここまで来た仲間達。
そうだよな?
仲間達が諦めてないのに俺様が立ち止まったら駄目だよな?
駄目なんだ!
俺様は六耳の肩から腕を離すと、見上げる先の金剛山魔王に指を向けて叫んだ。
「ここから先は総力戦だぁー!あの野郎に俺様達の底力を見せてやるぜ!」
『おぉおおおおおお!』
仲間達の雄叫びが俺様の背中を押して、力を与えた。
「作戦は…」
今一度、鵬魔王を助け出して、再び鳳凰変化する。
そのために、仲間達には金剛山魔王の足止めを頼みたい。
仲間達にも伝わる。だが、この作戦は仲間達にとっては命懸けであった。
「任せろ」
「仕事、果たす」
怪力魔王と剛力魔王が当然とばかりに足を踏み出す。
「時間稼ぎ、足止め?命懸けケッコーだッチ!俺ッチ達は美猴王様のためにこの命を掛ける!」
六耳…お前まで?
水廉洞闘賊団の総攻撃が始まった。
俺様は叫んだ!
「金斗雲ー!」
俺様は空から飛んで来た金斗雲に飛び乗ると、同じく飛行雲に乗った仲間達を引き連れ上空に飛んだ。まるで小蝿を払うように金剛山魔王の巨大な腕が轟音を立てながら振るわれると、その勢いに飲み込まれた仲間達が落下していく。
「虫けら!虫けら!虫けら!虫けら!虫けら!虫けら!虫けら!虫けら!虫けら!虫けら!」
金剛山魔王は小さな小さな虫を殺すように腕を振り払い、足で踏み潰す。
仲間達の断末魔が響き渡る。だが、死に際に仲間達は生き残った仲間達へと託していく。
「絶対に生き残って…必ず勝ってくれ!」と…
くぅ…仲間達をこれ以上死なせるわけにはいかねぇ。
俺様は鵬魔王が捕らわれた金剛山魔王頭上の牢獄を目指す。
あれを破壊して鵬魔王を奪還した後は再び聖獣変化だ。
だが、金剛山魔王の身体から噴射する岩が飛び回る仲間達を次々落としていく。
「!!」
迫る岩石が目の前で木端微塵になった。
何が起きた!?
すると、地上から砲丸が飛んで来て、迫る岩石を粉砕していたのだ。
それは砲丸魔王。
「ここで株上げ出世だぁー!」
だが、金剛山魔王の踏みつける足が降りて来る。
「きゃああ!」
そこに亜騎馬魔王が砲丸魔王を抱き上げて救いだす。
更に仲間達の妖気弾が四方八方から飛んで来て、俺様行く手を塞ぐ岩石弾から道を開いていく。
「みんな…」
俺様も如意棒で飛んで来る岩石を砕き落とした。
が、そこに視界を全て覆う程の金剛山魔王の拳が迫って来たのである。
駄目だ!躱せない?
しかも直撃したら御陀仏だぞ?
直撃した仲間達がプチプチと潰れる音がする。
こうなったら!
俺様は印を結び唱える。
『獣王変化唯我独尊!』
俺様は金色の大猿と化して、向かって来た拳に向かって飛び出し受け止めたのだ。
仲間達を守る妖気の防壁を張りながら。
「仲間達をこれ以上は殺らせないぜ!」
が、余りにも巨大な拳に押し返される。
駄目か?
その時、仲間達が妖気の防壁を張りながら俺様と同じく押し返そうとする。
すると金剛山魔王の足が動かなくなる。
『ぬううう??』
それは!
『獣王変化唯我独尊』
巨大なゴリラと化した剛力魔王と怪力魔王が金剛山魔王の足を押さえていたのだ。
更に、
『獣王変化唯我独尊!』
蚩尤が白い大牛と化して金剛山魔王の尻に体当たりをし、大猿と化した六耳が動き回りながら攻撃する。アイツ達まで獣王変化を?
更に更に、
「蚩尤兄貴に続けぇ~」
『獣王変化唯我独尊!』
蚩尤のパシりの炎狼と氷狼が、炎を纏った大狼と氷を纏った大狼と化した。
こりゃ~獣王変化祭りじゃね?
俺様も負けられない!
が、金剛山魔王は虫けらの悪あがきに、ついに怒りの覇気を放ったのだ。
次々と落下していく仲間達。応戦空しく消し飛ぶ仲間達の中、生き残った者は攻め続ける。
俺様も金剛山魔王の頭上に向かって突き進んでいた。
そこに、金剛山魔王が虫を潰すように両手で叩いて潰そうと迫って来た。
「駄目だ!躱していたら間に合わない…このまま突き進む!!」
が、左右から迫る巨大な手の影が真近にまで迫って来る。
「間に合えー!」
その時、止まったのだ。
金剛山魔王の両手が左右から伸びて来た砂によって引っ張られる。
「助太刀するぞ!うぉおおおお!」
金剛山魔王の両手が開かれて行く。
俺様達の戦いを離れて見ていた砂塵魔王が、かつての主である金剛魔王を裏切り、俺様に力を貸してくれたのである。その隙間を飛ぶ俺様は頭上を目指す。
「後、少し!少しなんだぁああ!」
その時、再び両手が迫り始める。
砂塵魔王が限界とばかりに叫ぶ。
「だ…駄目だ!これ以上は…堪えられない…美猴王ー!!」
迫り来る両手が俺様を押し潰そうとした時、
『そのまま突き抜けろぉおおお!』
その声は?
その者は凄まじい勢いで飛び上がって来た。
しかも聖獣変化じゃないか?
あれは黒い…二足歩行の鎧を纏った黒牛!!
間違いない!
「牛角魔王!!」
牛角魔王は二刀の剣に覇気を籠めた斬撃が、迫り来る金剛山魔王の腕を斬り落としたのだ。
「ふるえ~ゆらゆらと…水流斬!」
更に、もう片方の腕を濁流の鞭が破壊したのだ。
あれは玉面魔王か?
二人共、間に合ったのだな。
ありがとーよ!
俺様は突っ込み金剛山魔王の頭上に乗り移ると、力任せに鵬魔王が閉じ込められている牢獄を殴り付けるが、硬い…妖気の防御壁で出来ているのか?このままじゃ破壊出来ねぇ~ぞ?
金剛山魔王の破壊された両腕が見る見る再生されていく。
次第に元の岩石の腕が出来上がると、再び頭上の俺様に迫る。
「くそったれ!」
その時、足下にいた剛力魔王と怪力魔王の妖気が高まっていた。
「倒す!気合い、籠める!」
「おぅ!姉者!」
二人は拳に全身全霊の覇気を籠めると、左右の足に向かって拳を打ち込む。
『剛理羅の拳!』
その威力は山のような金剛山魔王の両足を消し飛ばした。
同時に体勢を崩した金剛山魔王が膝から崩れ落ちて両手を付いたのだ。
「二人共!」
だが、この牢獄を早いうちに破壊しないと再び再生してしまう。
俺様の全身全霊を籠めてぶち壊すか?
だが、その後の体力が心配だが仕方ねぇ。
再び金剛山魔王の足が少しずつ再生していき、起き上がろうとする。
もう、迷ってる暇はねぇ!
俺様は拳に覇気を籠めようとした時、突然空が暗くなったのだ。それは太陽を隠す巨大な飛行物体の影だった。それは?
えっ?空を泳ぐ巨大な鯨だった!
何なんだぁあああ??
空を泳ぐ巨大な鯨の額に角が有り、その角の上に人影が見えた?
あれは?
まさかぁあああ!?
あはは・・・待ってたぜ…
すると巨大鯨の額に乗っていた者が俺様の目の前に飛び降りて来る。
同時に巨大鯨は金剛山魔王に体当たりをしたのだ。
そして降りて来た者は拳を握ると、金剛山魔王の頭上にある鵬魔王が閉じ込められた牢獄を殴り付けたのだ。轟音が響き、木端微塵に破壊された牢獄。
俺様の目の前で牢獄を木端微塵に粉砕した者の正体は?
「長らく待たせたな。また厄介になるよ?美猴王!」
「おっせーよ!だが、ナイスタイミングだったぜ?蛟魔王!」
俺様の目の前には水廉洞闘賊団を留守にしていた蛟魔王が立っていた。
信じていたぜ。マジによ!
そして砕け散った牢獄から炎が噴き出す。
「あ~!よくも僕を閉じ込めやがって!金剛魔王の野郎!許さない…」
「何か騒がしい仲間が増えたようだね?」
「まぁな?だが、今は長話している余裕なさそうなんで、後でな」
俺様は金剛山魔王の頭上から飛び降りると、
「鵬魔王!行くぜぇええ!」
『聖獣変化唯我独尊・鳳凰!』
俺様の背後に降りて来た鵬魔王の姿が、怪鳥鳳凰の姿へと変わると俺様の身体に吸い込まれていく。同時に俺様の身体が炎に包まれる。
俺様は再び燃え盛る翼を持った鳳凰の鎧を纏ったのだ。
そして金剛山魔王の前に出ると、そのまま金剛山魔王に向かって突進した。
巨大な掌が迫るも、仲間達[牛角、蛟、玉面、剛力、怪力、六耳、蚩尤、氷狼、炎狼]がすかさず攻撃を与えて破壊した。
そして俺様は金剛山魔王に向かって突進する。
鳳凰変化した俺様は金剛山魔王の口の中から飛び込み、体内を突き進んで行く。
向かう先は…
感じるぜ!
この先に金剛魔王の本体がいる!
そして見付けたのだ。
金剛魔王は俺様の接近に気付き、体内の気道の奥から覇気を放って来た。
「うぐぅうう!」
だが、俺様も止まらず突き進む。
「まさか虫けら無勢が私をここまで追い込むとは…だが、この私を倒す事は叶わんぞ!!」
『覇王金剛掌!』
金剛魔王の覇気の掌打が俺様に直撃したのだ。
直撃を受けた俺様の身体から鵬魔王が分離した。
直撃寸前に鵬魔王が俺様の盾となって庇ったのだ。
「美猴…王…」
笑みを見せて落下していく鵬魔王に後を託され俺様は拳を握る。
そして金剛魔王に向かって殴りかかったのだ。
「馬鹿め!本当に学習しない猿だな?変化が解けた今、お前では私に傷一つ付ける事は出来ん!」
だが、俺様は躊躇なく向かって、拳を打ち込んだのだ。
「その拳が砕けるだけだと……!!」
金剛魔王はその時、僅かな俺様の変化に気付く。
何か違う?僅かな変化?それは…
俺様の瞳が輝いていたのだ。
瞳は金色に光り輝き、その金色の力が拳へと伝わっていく。
「こ…金色に輝く…魔眼?まさか!?」
その迷いの躊躇が金剛魔王の動きを遅らせた。
その遅れが間合いへの接近を許したのだ。
「しまっ…」
その瞬間、俺様の身体から金色の猿の姿をしたオーラが俺様を包み込み吸収されていく。
それは、無意識に変化した金色の猿獣を纏った鎧姿の俺様だった。
『獣神変化唯我独尊!』
その変化は雷我と獅駝王の一騎打ちの時に、獅駝王が俺様の前で変化した超変化と同じだった。
獣神変化した俺様の拳が金剛魔王の身体に直撃した時、金剛魔王の身体がひび割れ、金色の光を噴き出し粉砕したのだ。
「そ、そんな、ばぎゃなうぎゃあああああ!」
木端微塵に消えた金剛魔王が消滅した時、その身体を覆っていた金剛山魔王も崩壊していく。
かっ…勝った…
勝ったぞぉおおおお!
それは水廉洞闘賊団の全ての仲間達で勝ち取った勝利であった。
次回予告
金剛魔王を撃破した水廉洞闘賊団。
勝利の宴がはじまった!
が、その時・・・




