美猴王と鵬魔王の切り札!
切り札?である鵬魔王が戻って来た。
しかし、本当に金剛魔王を倒せるのだろうか?
戦局を変えるキーパーソンが現れた。
ソイツは水廉洞闘賊団の切り札!
炎術師・鵬魔王!
「………」
金剛魔王も鵬魔王の登場に気付いていた。
鵬魔王は地上に降りると美猴王の前に現れて挨拶する。
「間に合ったようだな?」
「待たせたね。美猴王を守るのは僕の役目だよ!」
鵬魔王は両手を広げると背後に炎が噴き出して、燃え盛る翼と化した。
「燃えな?」
鵬魔王が指を鳴らすと炎の翼が巨大化し、金剛魔王の姿を飲み込んだのだ。
「!?」
が、金剛魔王は炎の中からゆっくりと現れる。
「温い炎だ。この程度の炎で私を倒すだと?わざわざ死ぬために来たのだな。身の程知らずの小わっぱが!」
「あ~?ムカつく」
鵬魔王はガンを飛ばしていたが、金剛魔王との力の差は段違いだった。
この鵬魔王が切り札?
鵬魔王は遅れてやって来た。
それは城に何かを取りに向かっていたからだった。
鵬魔王が切り札ではなく、鵬魔王が取りに行ったアイテムか何かが切り札なのだろうか?
「で?れいのモノは?」
「バッチリさ!」
れいのモノとは?それが切り札?
鵬魔王が懐から取り出したのは、装飾品に飾られた鳥の羽根だった。
炎を纏った羽根は、何か特別な物だと直ぐに分かる。
それは鵬魔王とは違う妖気を纏っていた。
「この羽根は僕が産まれた時、最初に抜けた僕自身の羽根だよ」
すると何をするかと思えば、鵬魔王はその羽根を舐めて食べてしまったのだ。
その直後、鵬魔王の身体から今までと異なる妖気が噴き出したのだ。
「これが僕の本来の力…僕は鵬魔城に自分の力の半分を分けて封じていたのさ」
それは、鵬魔王が産まれた時、その潜在能力は赤子でありながら長きに渡り続く鵬魔一族でも桁違いだった。その力は鵬魔王の肉体をも蝕む程であったため、父であった鵬獄魔王は息子である鵬魔王の身体を二つに分けて封じていたのだ。
それを今、再び一つに!
「あははは!これが僕本来の力!鵬魔の力だ!」
鵬魔王は自らに迸る炎を纏いながら金剛魔王に向かって飛び出す。
完全に覚醒した自分の力に酔っているようだった。
「何を見せてくれるかと思えば、下らん!」
金剛魔王の覇気を籠めた拳が鵬魔王を吹き飛ばしたが、鵬魔王の炎は再び甦り金剛魔王の身体にまとわりついたのだ。そして金剛魔王の首に背後から爪を突き付ける。
「ふふふ…そもそも鵬魔の一族は魔王界の貴族なんだよ。それが僕の父が腑抜けだったせいでランクを下げられた。だけど僕は欲張りだよ!」
鵬魔王の身体が発火し金剛魔王の身体を包む。
「この程度の炎で私をどうにか出来ると思っているのか?全然効きませんよ!!」
金剛魔王の覇気が鵬魔王を弾くと、鵬魔王は飛ばされて美猴王の隣に着地する。
「調子乗りすぎだぞ?鵬魔王」
「あはは!あいつ、やっぱり強いや!ムカつくくらいにね」
鵬魔王、パワーアップしたのに敵わないじゃん??
本当に切り札なの?
この余裕は何?
(俺は知っている)
俺は砂塵魔王!
俺は鵬魔王について一部始終見ていたのだから。
美猴王と鵬魔王の秘策が何なのかを。
あの日、鵬魔王が美猴王に持ち掛けた秘策は間違いなく金剛魔王に匹敵する程であった。
実際、一桁クラスである俺が手も足も出せなかったのだから…
だが、その秘策は持続時間が短く、体力がもたない。
そのため鵬魔王は鵬魔城に自らの半身を取りに戻る事にしたのである。
砂塵魔王に語りを奪われたのを、取り戻させてもらうぞ。
俺様は、再び美猴王様だぞ。
「用意は良いか?」
「あぁ…美猴王と僕が、あの野郎に引導を与えてやろうよ!」
俺様と鵬魔王が再び、金剛魔王に勇む。
完全に金剛魔王は俺様達を見縊っていたのだ。
そうしていられるのも、今の内だからな。
俺様達の取って置き、見せてやる。
「今度はどんな見せ物を出してくれるのだ?待っていてやるからやってみるがよい?」
「チッ…見てろよ?今すぐに泣き面、拝ませて貰うからよ?」
「行くよ?」
すると鵬魔王が妖気を高め始める。
だが、その妖気は禍々しくなく、清浄化した異質の気だった。
そして俺様も同じく気を高める。
そして俺様と鵬魔王は上空へと飛び上がると、同時に唱えたのだ。
『聖獣変化唯我独尊・鳳凰!』
鵬魔王の姿が聖なる炎を纏った聖獣鳳凰へと変化し、俺様の身体と融合する。
互いの力が相乗効果で極限にまで高まり、爆発的な力を呼び覚ましたのだ。
そこには炎を纏いながら鳳凰の鎧を纏った美猴王が宙に浮いていた。
聖獣変化…
それは聖獣との合体であり、魂の契約にて強大な力を得る変化なのだ。
だが、並の聖獣なら力のある者なら魂の契約は容易だが、聖獣の中でも高位である鳳凰との契約は不可能と思われていた。
なのに、美猴王は鳳凰との契約を果たしたのだ。
「さぁ?俺様の前に跪け!!」
金剛魔王もその力を前に驚きを隠せないでいた。
侮っていた!見くびっていた!激甘に思っていた!
「グッ…!!」
そこに急降下して来た鳳凰の力を得た俺様が如意棒を降り下ろした。
如意棒は鳳凰の力を纏いながら形が剣へと変わっていく。
『如意鳳凰剣!』
炎を纏った剣の一閃は金剛魔王の身体に傷を付けたのだ。
「こ…この私に傷を…だと??」
金剛魔王の様子が変わる。
思い出したのだ…
地上界に君臨し、妖魔王の頂点にいた金剛魔王が第三魔王であった熔岩魔王の反逆により、その地位を奪われた事。熔岩魔王は新たな魔王を地上界の支配者に統べらせるために、金剛魔王と一騎討ちの末に倒したのだ。
「お前程の者が何故?お前が君臨するならまだしも何故あのような小物を祭り上げるのだ?」
「時代が新たな波を待っているのだ。私はただ波紋を起こす役割しているに過ぎない。お前も時代に身を任せろ?そうすれば無駄な戦いはしなくて済むぞ」
「私こそは支配者!地上界の支配者なのだ!」
「それもまた、天界のおこぼれに過ぎん…小さな器の王だ!」
「!!」
一桁ナンバー上位の一騎打ちは百日続いたという。
戦場となった地は草木も生えぬ廃墟と化し、生き物が済めぬ地になったという。
そして、決着の時が来た。
熔岩魔王の熔剣が金剛魔王の身体を斬り裂いたのだ。
が、金剛魔王は身体から金剛石の魔弾を放ち熔岩魔王から距離を取る。
「いずれ必ず返り咲いてやるぞぉー!!」
そして、その場から消えた金剛魔王は中央の地を追放された後、中央の地の外れにある山脈地帯を新たな地にして支配権としていたのだ。
「いずれ私は再び地上界を支配する!だからこのような場所で足止めしている場合ではない!」
「地上界を支配だと?そんなんで満足出来る器なら、いらねぇよ?」
「?」
「俺様は地上界だけでなく天上界をも支配する!この世界全ての支配者になるのだ!」
俺様の如意鳳凰剣に対して、金剛魔王も金剛の剣にて激突させる。
二人の激しい衝突が大地を震わせた。
互いの妖気がその場にいた者達を圧する。
「け…桁違いだ」
「美猴王様と鵬魔王が合体した??」
怪力魔王に六耳が驚きに動けずにいた。
仲間達は、策の内容までは聞かされてはいなかったから。
そして、イチかバチかなので失敗した時に恥ずかしいから言わなかった。
「何とかなるかもだ…」
俺様は魂で合体した鵬魔王と対話していた。
「どうやら対抗出来そうだ…」
「あぁ~僕は今、美猴王と合体しているんだ~あぁ~気持ちぃいい~」
「馬鹿ぁ~!気持ち悪い事を言うな!」
「けどさ?僕と魂契約出来るなんて運命しかないんだよ?話を持ち掛けたのは確かに僕だけど、本当に一か八かの賭けだったんだ!」
「あっそ?」
「あ~解ってないんだから~!だ・か・ら!鳳凰と契約して合体出来るのはだね?」
「もう良いよ~めんどくさいし…とにかく出来たんだから良いんじゃね?結果良ければ全て良しだ!」
「本当…この感動が解らないなんて…」
聖獣変化は本来持つ二人の力を最大限に引き上げた状態で、更に相乗効果でパワーが増す。
「負けん!このような雑魚に!虫けらに!ゴミ虫に!」
「その虫けらにお前は倒されるんだぜ」
俺様の身体から放たれた炎が金剛魔王の視界を奪った瞬間、突き出した如意鳳凰剣が金剛魔王の身体を貫いたのだ。
「ウゴォ…」
金剛魔王の身体に亀裂が走った。
「もう一度!」
更に追撃する俺様だったが、
「グゥオオオオ!まだまだだぁー!」
金剛魔王の力が衰えるどころか更に膨れ上がっていく。
そして、大地が揺れ出して岩が浮かび上がった。
『この私が…地上界に君臨者であった…本当の恐怖を見せてやろう?これが金剛魔王の真の力、真の姿ダァアアア!!』
金剛魔王の身体が纏う妖気で浮かび上がると、金剛魔王を中心に宙に浮いた岩が次々と引き寄せられていく。そして、見る見る巨大化していき、見上げる程の巨岩人が姿を現したのだ。
「何だよ?こりゃ?まるで山のようだ…」
あっ!そこで気付いたのだ。
「あいつは、この地に来た時に山の向こうから見えた影と同じ?あの時の影が金剛魔王の正体だったのかぁ??」
『私の名は金剛山魔王!遥か太古よりこの地を統べる魔王なり!』
巨大化した金剛山魔王の姿は、戦場で戦っていた水廉洞闘賊団達にも見えていた。
そして戦意を失わせるには十分だった。
「こんな化け物に勝てるはずないだろ…?」
蚩尤だけでなかった。
剛力魔王も怪力魔王も身動き出来ないでいた。
「やべぇ…仲間達の指揮を高めなければ!俺様が突破口を切り開く!」
炎の翼を広げ急上昇した俺様は如意鳳凰剣に力を籠めて高める。
が、そこに金剛山魔王の巨大な腕が迫って来た。
「何!?」
その範囲は広く、逃げられずに俺様は掴まれたのだ。
そして投げられるように大地にむかって直撃したのだった。
「うぐぅううう」
それは元の姿に戻った傷だらけの俺様であった。
そして鵬魔王の方は倒れているのを掴まれて、金剛山魔王の掌の中で岩の牢獄に閉じ込められてたのだ。
「この地にいる全ての生き物を踏み潰してやろう」
金剛山魔王の上げた足が大地に下ろされると、その下にいた仲間達が潰され消えていく。それは自ら賢者の石で造り上げた兵士も巻き込みながら。
「私に配下は無用。また造れば良いだけの事だ…否!私一人で世界は取れてしまうだろう!ふふふ…全て破壊してやろう!あははははははははは!」
響き渡る金剛山魔王の歓喜の声が水廉洞闘賊団に絶望を与えた。
次回予告
水廉洞闘賊団を襲う巨大化した金剛山魔王!
更に脅威となる敵に対し、美猴王は何を思う?




