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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
410/424

黄眉大王と錬体魔王!

謎の少女の導きに再び目覚めた美猴王!


ついに錬体魔王との因縁にも決着か?


六眉大王


神をも欺く幻術最高峰の妖仙がいた。

その幻術は危険にて脅威。

天界がそう判断した後、討伐隊が派遣された。

しかし…


誰も黄眉大王を捕らえる事が叶わなかったのだ。

黄眉大王の幻術にかかれば幻術解除の術が効かないだけでなく、気付いた時には精神を崩壊させ死に至る。誰も太刀打ち出来ぬと思われた…


が、天界も六眉大王の弱点を見付けていた。

六眉大王は幻術をかけている間は、同時に術をかけられないのだ。


しかも…


幻術に特化しているのに比べ、体術が異常に弱い。

もう、少し本気で強く殴れば死んじゃうかもしれないレベルなのだ。

つまり、術をかけている間に攻撃を仕掛ければ容易いのである。


討伐隊は攻撃部隊と遠距離狙撃部隊に分かれる。

そして幻術に捕らわれて仲間の外から狙撃部隊が離れた場所から狙い撃った。

霊気弾は見事に六眉大王の背中に直撃したが、致命傷は免れた。


逃げ延びた六眉大王は森の中にある大木に隠れて傷を癒していた。

だが、傷は思った以上に六眉大王を苦しめる。

天界の神が使う神気は妖怪には毒なのだ。

やがて身体に麻痺が走り死を覚悟し、眠りについた。



どのくらい経っただろうか?

六眉大王は目覚めた。



「儂は生きているのか?どうして?」



六眉大王が眠っていた場所は小屋だった。

見ると傷付いていた身体が治療されていたのだ。


「???」


一体、誰が?


そこに見知らぬ男が入って来たのだ。

六眉大王は警戒するが、



目覚めたようだな?身体はもう大丈夫のはずた。ならば早急に立ち去るが良い」


「お前が儂を救ったのか?何故?お前は何者じゃ?」


「私か?私は霊薬仙人…お前を救ったのは気まぐれだ。妖怪を救ったと知られたら私にもお咎めがくるからな」



それが霊薬仙人…


後の錬体魔王と黄眉大王との出会いだった。

黄眉大王は頷き立ち去ったが、直ぐに引き返した。



「恩を返さないのは儂の流儀に反するからのぉ~」



その後も黄眉大王は霊薬仙人の様子を姿を消しながら、離れた場所から見守っていたのだ。

そんなある日、霊薬仙人が悪鬼の形相で仙山を降りたのだ。

噂を聞くに霊薬仙人が師の大仙を手にかけたと言う。


「………」


霊薬仙人は仙山を降りた後、天界からの討伐隊に命を狙われた。

力の無い霊薬仙人には生き残る手段がなかった。

しかし、その窮地を救ったのが黄眉大王だった。

霊薬仙人が討伐隊に襲われている時に幻術を使い死んだと思わせたのである。



「お前が私を救ったのか?」


「お互い様じゃ。恩を返したまでの事。それよりお前はもう死んだ事になった。これからは第二の生を生きるのじゃな」


「第二の生?」



霊薬仙人は決意した。

これから先、仙人を捨てて魔王になると…だが、それは困難な道であった。



「何と?魔王を目指すか?そうすれば、たとえ正体がバレても天界からの討伐隊に脅え生きる事もないじゃろう。そうか…魔王か?面白い!」


「?」


「儂がお前を魔王にさせてやろう。儂の力があれば容易いじゃろう」


「何故、お前が?」


「気まぐれじゃよ?それに儂も一度はもう死んだ身。残りの生はお前のために使い、生きるとしよう」



そう言って二人は新たな生を手に入れ、生きた。








美猴王の魂を封じていた瓢箪が割れ、魂が抜け出た後へと話を戻そう。



「儂のせいで錬体魔王が危機じゃ…この命に代えても救い出してみせよう」



だが、一対一の戦いなら無敵に等しい黄眉大王も、複数を相手にするには分が悪い事は承知。



「生魂は器から離れてしまうと、やがて霊魂となって自我を失う。そうなれば錬魂魔王の魂は直に怨念を持った自我を無くした悪霊となってしまうじゃろう。そうなれば救う手段はもうない…急がねば!!」



黄眉大王は急ぎ、錬体魔王の研究地下室に向かった。

そこには宝石を額に嵌め込まれた人間が七体置かれていた。

その者達は刀剣魔王達が苦戦しつつも倒した三妖石と同じ者達であった。

残る七体を七妖石の戦士と名付けた。



「こやつ達を使えば…」



黄眉大王は額に宝石のある人間達の封印を解き、自分に同行させる。


が、その時?


地下研究所の先に、更に地下室の扉が開いている事に気付いたのだ。



「はて?この地下室は何ぞや?儂も知らぬ地下室があったとは?」



恐る恐る黄眉大王は七妖石達を引き連れ地下へと降りて行く。

そこは凍てつく氷の洞窟になっていた。


「これは!?」




そこには氷の柩が七つ。

中には見た事のない生き物が封じられていた。



「こ奴達は竜神族か?いや?合成獣?まぁ、これだけ錬体魔王が厳重にしておるのじゃ、少しは役に立とう」



黄眉大王は七妖石達に氷の柩の封印を解かせるために仕向ける。

その時、どす黒い障気が天井より流れ落ちて来て、氷の柩を覆ったのだ。



「なぁ?なんじゃ?なんなんじゃ?」



同時に七妖石の一人が封印の札を剥がすと、障気に覆われた氷の柩の中へと吸収されてしまったのだ。


「??」


すると氷の柩がひび割れ始め、中から見た事のない化け物が現れたのだ。


『グゥウウ…』



爬虫類?竜神?


その姿は凶悪な化け物!


妖怪とは違う異質の魔物?


その身体から発する気は暴力的に、恐怖!




『グゥウウ…オレは…』



その化け物は札を剥がした七妖石を吸収し、その知識を学び始める。



『そうか…オレ達が寝てる間に、下等種が地上界にわいて出たかぁ…なら全て駆逐し、オレ達が再び君臨する』



化け物は辺りを見回すと、



『他にも使える連中がいるじゃないか?』




化け物は状況を掴めないで刀剣を構え警戒していた七妖石の顔面を一瞬にして掴むと、氷の柩に向けて次々と投げつけたのだ。

すると封印の札が剥がれ、先程と同じく柩の中へと吸収されてしまう。


そして、新たな化け物が目覚めたのだ。




「何だ?こいつは?お前達!見てないで、ソイツを始末しろ!」



黄眉大王の指示に残った七妖石達が大型の刀剣を構えて、一斉に襲い掛かった。

が、刀剣は化け物の身体に直撃するも、ビクともしないだけでなく化け物の振り払う拳で砕け散った。


『痒いな?』



化け物は生き残った七妖石達を掴み、残りの氷の柩に向かって投げ飛ばし直撃させると、氷の柩に全員吸収されて砕け散り、新たな化け物が次々と目覚め始めたのだ。


出て来た化け物の姿は皆、異なっていた。

だが、その破壊的で攻撃的な気は一桁の魔王に匹敵…それ以上の力を感じる。




「何かとてつもなく嫌な感じがするぞ?これは…儂はもしかして目覚めさせてはいけない者を起こしてしまったのではないか?」


『ウギャアオオ!』


「えっ?…あぁあああああああ!!」




その直後、化け物の放つ覇気が波紋の如く膨れ上がり、その場にいた黄眉大王を飲み込み消し去ったのだ。






場所は変わり、時間は遡る。

そこには目覚めた美猴王と牛角魔王達。

そして肉体から弾かれ出された錬体魔王の魂が浮かんでいた。




「…こんな事になろうとは?こんな事になろうとは?こんな事になろうとは?こんな…」


「事になるんだよ!俺様はしぶといからな!」



美猴王は浮いている錬体魔王の魂に向かって掌を向ける。



「お前はもう終わりだ?最後に何か言いたい事はあるか?」


「どういうつもりだ?」


「俺様は幻術の中でお前と出会った。最初は作られた記憶、罠かと思った…だがな?あれはお前の本当の過去の記憶なんだろ?」


「………」


「お前の過去には同情する所もあるが、やはり俺様はお前を許せねぇ…だから命乞いでもしてみろよ?」


「…命乞いか?私の命はもうあの日に消えた。今ある私は復讐に生きる悪霊だよ…」


「そうか…なら、俺様がお前に引導を与えてやるよ!」




美猴王の掌が光り、妖気弾を放とうとした直後!



「お前達も道連れにしてなぁー!!」


「!?」



錬体魔王の魂は美猴王の目の前で黒い障気となって床に向かって吸い込まれて消えたのだ。

油断した美猴王は、



「逃がすかぁー!」




だが、その直後!

城が揺れ始め、更に感じた事のないような殺気にも似た気を感じたのだ??



「なぁ?何が起きたんだ!?」



それは、逃げた錬体魔王の悪あがきにも似た行動だった。

錬体魔王の魂は邪悪な念の液体となって、地下へと向かって流れていく。

そして、あの氷の洞窟にまで来た所で…



『私の願いは…この腐りきった世界に等しく終わりをもたらす事だぁああああ!』



錬体魔王は自らの魂を媒介にして、封じられし化け物を解き放ったのだ。

それだけではない!

あの謎の化け物は錬体魔王の障気を浴びて吸収した事により、怨念の意思を意識の中に埋め込まれたのである。



世界に等しく終わりを!


この化け物達は錬体魔王が太古に世界を支配していた生物の王に、妖気を籠めて造り上げた妖怪…否!『妖恐』と呼ばれる最恐最悪の新たな化け物。



その化け物から放たれる妖気。

恐気は破壊的な力を持って、錬体魔王の城を一瞬にして崩壊させた。

次回予告


突如、現れた妖恐と呼ばれる化け物の登場に、


美猴王達はどう切り抜けるのか?

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