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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
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まさに最強!美猴錬王?

仲間を手にかけた美猴王は、自らも命を絶ったのだ。


しかし??


美猴王は現実を幻術と見誤り、共に戦って来た仲間達を…愛した蓮華をも殺してしまった。


それに気付いた時、美猴王は自ら命を絶ったのだ。


だが、本当にこれで終わりだったのか?







美猴王は水晶の中に閉じ込められていた。


その水晶の前には?



「ふふふ…自ら命を絶ったか?何もかもが計画通りに進んだな。それもこれも貴方の能力のおかげだよ」


「私の能力は誰にも破られぬ迷宮の幻術じゃ」




それは、美猴王に殺され死んだはずの錬体魔王だった。


では?やはり幻術だったのか?

そして、もう一人の者とは?



「儂の幻術は神をも謀かす」



黄色い眉をした老人。この老人は錬体魔王直属の大王で、幻術にかけては地上界、否!天界の神をも見抜けぬ幻術を得意とするのだ。


「黄眉大王」


黄風魔王によって殺されたと思われた錬体魔王が生きているのも、この黄眉大王の能力によってだった。幻術により、あの黄風魔王に錬体魔王を殺したと幻術をかけて謀り、生存させたのだ。



「お前が私の下にいる事が一番心強いと思える」


「それは言いっこ無しですぞ?それより頃合いですな」


「そうだな…今こそ手の込んだ仕事の最終段階だ」



錬体魔王は水晶に入った美猴王の頭に指先を突き刺し、妖気を流し込む。

すると美猴王だけでなく錬体魔王の身体までが痙攣を起こし始めたのだ。


『錬魂移植の術』



それは名前の如く美猴王の肉体に錬体魔王の魂を移す術なのだ。

錬体魔王は美猴王の潜在能力に目を付けていた。

その手始めに行ったのが黄眉大王の幻術だった。

幻術により美猴王の魂を極限に追い詰め強靭な精神崩壊を起こさせる。

幻術での死は魂をも殺すのだ。

そこに錬体魔王が美猴王の肉体を奪い、手に入れようとしているのだ。


わざわざ三妖石を連れて本人自ら美猴王達の前に現れたのも、美猴王を取り乱せて手に入れるため。全てが仕組まれていたのだ。

そして今、美猴王が自ら命を絶った事により、器だけとなった身体を錬体魔王が奪う。


美猴王の瞼がゆっくりと開く。


その形相は下卑た笑みを見せていた。



「上手くいったようですな」



動き出した美猴王は頷くと、



「ところで何とお呼びすれば宜しいかな?美猴王?それとも錬体魔王?」


「そうだな。これからは錬体魔王を改め、美猴錬王と名乗るとするか?あはは!それにしても素晴らしいぞ?この器は!溢れる程力が漲って来る!」


「錬体魔王の知能と美猴王の器があれば、まさに最強ですな?」


「最強か?ふふふ…この力を持って、金剛魔王…いや、それだけでなく中央にふんぞり返っている第一魔王と、第三魔王の座をも奪ってやれるかもな?」


「ほほほ!それは大袈裟ですぞ?」


「大袈裟?そう見えるか?お前には解らないだろうが、この器の潜在能力は持ち主だった美猴王も知らぬ力があるようだ…この力は私の予想を遥かに上回っている…」



美猴錬王は己に秘めた力を黄眉大王の目の前で解放させたのだ。


「オォオオ!」


目の当たりにした黄眉大王は腰を抜かして、驚きを隠せないでいた。



「これが一介の魔王の力?いや?この力は一桁の妖魔王に匹敵するではないか??」


「驚いたか?この肉体の持ち主であった美猴王でさえ、この力の半分も引き出せていなかったのだからな。つまり、この肉体は私のために存在すると言っても過言ではあるまい」


「仰有る通りでございますな」


「ならば、この力を持って早速暴れてみたくなった。黄眉大王よ?城の幻術を解いて客人達を招いてやるが良い」


「あの者達ですな?」




あの者達とは勿論、牛角魔王達であった。

牛角魔王達は三妖石達を撃破し、既に錬体魔王の城の近くまで辿り着いていたのだ。

しかし、黄眉大王の幻術結界により、この城に入る事が出来ないでいたのである。



「私、直々にもてなしてやろう」



黄眉大王が両手を翳すと、城の結界が消えていく。同時に侵入して来た牛角魔王達も気付き、城の中へと入って来たのだ。


「何のつもりか知らんが結界が解けたようだぞ?」


「罠だな?だが先に中より美猴王の妖気を感じた。中にいるのは間違いないだろう?」


「うむ…」


「って、お前は戻って良いのだぞ?ここは俺達に任せろ?刀剣魔王」



刀剣魔王は赤妖石との戦いから傷が癒えてなかったのだ。



「美猴王を連れ戻すまでは、我は引き返せぬ!それに…」



振り向いた先には鵬魔王と蚩尤がピンピンしていたのだ。



「奴らは化け物だな…」



再生能力に長けた鵬魔王は別に、蚩尤には瞬時に回復出来る飴を所持していたからであった。

すると、敵の城塞から人影が近づいて来たのだ。


「何者?」



そこに現れたのは、捕らわれたはずの美猴王だった。



「お前、無事だったのか?」


「まぁな?」


「捕らわれたんじゃないのか?」


「俺がそんなヘマするはずないだろ?それより中に錬体魔王がいる。皆でかかれば一網打尽だ!」


「で、聞きたい事があるんだが、良いか?」


「何だ?」



牛角魔王は腰の刀を抜くと美猴王に斬りかかったのだ。

それを難なく躱す美猴王。



「何のつもりだ?」


「それはこっちの台詞だ!お前こそ何者だ?」


「俺は美猴…」


美猴王を名乗ろうとした時、背後から鵬魔王が手にした業火に燃える羽を向ける。



「あのさ?美猴王様は自分を様付けするんだよ?化けるならちゃんと演じないと見え見えなんだよ!」



鵬魔王は手にした羽を投げ付けると、美猴王は難なく指で受け止め投げ返した。


「クッ!」


自分の羽を躱すと同時に、美猴王の踵落としが鵬魔王の後頭部に炸裂し勢いよく床に直撃した。

そこに怪力魔王と剛力魔王が囲む。


「………」


「この数を一人でどうにかなると思うか?と、姉様は言っているぞ?」


「ふっ…」


指を鳴らし合図すると突然床に落とし穴が開き、先程の攻撃で気を失っていた鵬魔王と傷付いていた刀剣魔王が落下した。

運良く残ったのは牛角魔王と蚩尤、六耳に玉面魔王、剛力魔王と怪力魔王。



「落ちた連中は心配なかろう。それより…」


「変化の術にしては生々しいのぉ?不思議と肉体も妖気も本人その者のようだ…」


「気付いたか?」



牛角魔王と玉面魔王は妖気を感じ取り、違和感に躊躇していた。

六耳は攻撃するか判断に迷い、二人を見る。



「どういう事だっち?まさか操られているとかなのか?」


「洗脳ではなさそうじゃ…が、どういう事だ?あの美猴王からは醸し出す魂の色が似ても似つかないようじゃの?」


「魂だと?」



怪力魔王が埒が明かないと行動に出る。



「とにかく押さえつけるが先決だな!」



怪力魔王が美猴王に向かって突進すると、美猴王は掴みかかる怪力魔王の手首を掴んで逆に投げ飛ばした。


「ぐぅわ!」


「成る程…動体視力がずば抜けている。動きが手に取るように解るな?だが、元の持ち主は身体の使い方が不完全だったために使いこなせていなかったようだ。まさに私のための器だ!存分に有効活用してやろう!」



すると美猴王は倒れた怪力魔王を踏み潰そうとするが、蹴り出した足に、剛力魔王が蹴りで止めた。


「阻止、」


「どうかな?」



剛力魔王の目の前に現れた美猴王が消えて、背後から二体の美猴王が剛力魔王の腕を掴み押さえたのだ。分身!?


「力付く!強引、退かす」


が、両腕を掴む美猴王は石化し、その重量がのし掛かる。剛力魔王は突然の重量に両腕を床に沈ませた瞬間、目の前から別の美猴王が如意棒を降り下ろして来たのだ。


「!!」


だが、そこを牛角魔王が刀を抜いて受け止める。



「戦術までも美猴王のようだが、もう一度聞く?お前は誰だ?」




美猴王は牛角魔王から距離を取ると、下卑た笑みを見せて答えたのだ。



「騙せないのであれば、名乗るとしよう。私の名前は錬体魔王!そして今はお前達の頭である美猴王の肉体を奪い、我が物とした新たな魔王!美猴錬王と名乗ろうか!」


「美猴王の肉体を奪っただと?」


「お前達の知る美猴王の魂はもうこの世に存在はしない。つまり死んだって事だ!そして私がこの器の新たな主となったんだよ?」



美猴王が死んだと聞いて六耳がムキになり、


「嘘を言うな!美猴王様が死ぬわけないダッチ!」


「なら、確かめて見るが良い?お前達の目の前にいる私が何者かをな!」



美猴錬王の身体が幾つも分身して、牛角魔王達に襲い掛かる。

しかも、分身達が一度に唱えたのだ。



『獣王変化唯我独尊!』



その姿は金色の大猿の姿へと代わり、襲い掛かる。


「チッ…」



牛角、玉面、剛力、怪力、六耳、蚩尤が受けて立つ。

が、大猿と化した分身達は力も速度も桁違いだった。



「お前達ぁ!悪いが分身は任せたぞ?俺が本体を叩く!」



仲間達は頷くと、大猿達を引き付けるように散り散りに分かれたのだ。

牛角魔王は唯一大猿となっていない本体に向かって斬りかかる。



「牛角魔王!お前の身体もいずれ私の実験に使わせて貰おう」




美猴錬王の覇気が牛角魔王を退ける。

が、牛角魔王もまた覇気を放ちぶつかり合う。

その衝撃は城を揺らした。




その戦いを見ていた黄耳大王は、



「あの牛角魔王は厄介だぞ?いくら美猴錬王が潜在能力を秘めていても戦力差がある。万が一は儂の幻術で侵入者全てを惑わしてやろう!ふぉふぉふぉ」




が、更に城が揺れ始める。

それは、城の至る場所で大猿の分身達を相手に玉面が!剛力が!怪力が!それに六耳、蚩尤が戦っているのだ。


その頃、地下では鵬魔王と刀剣魔王が落下した場所から戦場を見上げていた。



「ふぅ~美猴王に手をあげるなんて私のポリシーが許さないから早々にヤられてあげて退場したのに、やれやれ…」


「何と?お主のその考えは何か怒りを感じるぞ?」


「そんな事より前を見な?」


「うぬぅ…」



すると鵬魔王と刀剣魔王の目の前にも大猿の分身が落下して来て迫っていたのだ。



牛角魔王と美猴錬王が激突していた。



「ヌゥオオ!」


牛角魔王の剣を躱して如意棒で殴り付ける美猴錬王。

すかさず二本目の剣を抜いて受け止める牛角魔王。



「直ぐにお前の仲間達は私の分身の手で始末されるだろう。後はお前をこの手で…」


「ん?何を思い違いしている?奴等は幾度と境地を生き抜いた猛者ばかりだぞ?甘く見ていると火傷をするぞ」


「どちらが火傷をするか楽しみだ!」




魔王同士の激しい激突と、分身とはいえ獣王変化した大猿相手に仲間達は?

次回予告


身体を奪われた美猴王と戦う水廉洞闘賊団の仲間達


しかし・・・美猴王はもう?

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