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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
転生記~始まりの伝説編~
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九頭馬の罠!

外道の三蔵に囚われの、いたいけな俺様が日々虐待を受けていた頃、俺様達の知らぬ場所にて妖怪達が良からぬ事を計画していたのだ。


俺様は孫悟空だぜぇ!

俺様と三蔵は今、突如現れた妖怪の集団に襲われていたのである。


「ウッキィ~!」


俺様は愛用の武器である如意棒を振り回しながら、襲い掛かる妖怪達を薙ぎ払う。


「ナウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!」


三蔵もまた不動明王の真言を唱えると、三蔵の持つ錫杖が燃え盛る剣『降魔の剣』へと変化していく。

三蔵は迫り来る妖怪達を、その剣から放たれる業火を振り払って焼き尽くしていく。


俺様と三蔵は背中を合わせながら、前方の敵にのみ集中していた。


数時間後…


妖怪達を全て撃退した俺様達は腰を下ろしていた。


「ふぅ~」


一息をつく三蔵に俺様が話し掛ける。


「最近、やけに妖怪達が襲ってこねぇか?三蔵よ?」

「…そうだな…何故だろうな?」


とか言いつつ、三蔵は感づいていたのだ。

自分の非道なまでの妖怪退治が、奴達に何か不穏な動きをさせているのだと。


案の定、正解であった。


「きっと温かくなって来たから、妖怪達も活発になって来ているのであろうな?うんうん」


「そうか…」


直後、俺様は三蔵に向かって如意棒で殴り掛かったのである!

三蔵はそれを錫杖で受け止め、


「何をする!?」


「何をする?じゃねぇーだろ!お前のせいだよな?お前のせいだ!お前しかありえん!」


「何を言っているのだ?」


「何をしらばっくれてやがる!三蔵が妖怪達を怒らせたんだろ?」


「かもな…」


「かもなじゃねぇーよ!」


俺様と三蔵は取っ組み合いの喧嘩を始めたのだった。

そんな俺様達のやり取りを、離れた場所から隠れて覗いている妖怪達がいた。


「あの二人が目的の奴達みたいですぜ?お頭!」


「あいつ達、思ったよりやりますね?試しに雑魚達を先に向かわせたが全滅するなんて!どうしますよ?お頭?」


すると、偵察をしていた二人の妖怪の後ろに図体のでかい妖怪が現れたのだ。

この妖怪は名を『九頭馬』と言い、この辺りの妖怪盗賊達を仕切るボスで、一度暴れ出したら誰も手がおえない荒くれ妖怪であった。


「ああ、ただ殺すのは簡単だ!しかし油断も大敵って奴だ!なにせ俺は完璧がモットーだからな!」


そんな事とはつゆ知らず俺様と三蔵は喧嘩に飽き、近くにあった村の飲食店で飯を食べていたのだった。



「三蔵!待て!それは俺様の饅頭だ!返しやがぁれぇ!」


「ふざけるなぁ!この饅頭は俺が頼んだ物だ!」


ここでも飽きもせずに喧嘩する俺様達。

はっきり言って、コイツとは絶対に仲良くなれないと俺様は断言出来る!

俺様は三蔵の頭に飛び掛かるが、三蔵は俺様を軽々抑えつけ、首を掴み地面に落としたうえ足で踏み潰す。


「うげぇ!はっ!放せ!踏むな!退け!馬鹿僧侶!」


俺様は潰されながらも掌に妖気を集中させていた。


「なっ!?」

「足を退かしやがぁれぇ!波ァー!!」


足で踏まれ頭に来た俺様は、三蔵目掛けて妖気弾を放ったのだ!

この至近距離なら流石の三蔵も躱せまい?

これで、三蔵も終わりだぜぇ!


「馬鹿者がぁ!」


『散!!』


三蔵は印を結ぶと、俺様の放った妖気弾を気合いだけで消し去ったのだ。


「マジっすか?」


俺様は信じられないと言った顔で見上げると、三蔵は冷やかな目付きで俺様を見下ろしていた。


その目は、


マジ恐かった。


その後、俺様は…

ドスドス!踏み踏み!ドスドス!踏み踏み!


何度も踏みつけられたのであった。



「場所を考えろと、いつも言ってるだろうがぁ!」

「きゃあ~!」


俺様の悲鳴が店中に響き渡るのであった。

俺様を黙らせた後、三蔵は頼んでいた食事がひっくり返り散らばっている事に気付いた。

その中に楽しみにしていた品があったらしく、再び同じ料理を店員に頼んでいたのだ。


「お待たせ致しましたお客様…」


店員は、俺様達に恐る恐る料理を運んで来たのだ。


「ん?」


三蔵は運ばれて来た料理の中に、頼んでいなかった品が乗っている事に気付き、


「これは何だ?海老の春巻を頼んだ覚えはないのだが?」


「あっ…はい!それはサービスでございます!」


「そうか…サービスか…」


三蔵は海老春巻を手に取ると、


「ほれ!猿!」


海老春巻を空中に放り投げたのである。

俺様は名前を呼ばれて、咄嗟に放り投げられた海老春巻を口でキャッチしたのだった。


パクっ!!


「ハッ!俺様は何をしているのだ?犬か!」


我に返った俺様は愕然とした。

無意識に反応し、犬と同じような真似をしてしまった自分自身を恥じる俺様…


ああ…俺様のプライドは何処に行った?


うっ…うううっ…


「うおおお~!」


俺様は絶叫したのだ!


だって…

腹が痛いのだぁー!!


「ふむ。やはり猛毒が入っていたか…食べなくて良かった」


「なっ!?」


こ…コイツは…

俺様を使って、毒味役をさせやがったのかぁ??


ウッウッウッ…


「このぉ…怒怒怒怒怒!ハゲ坊主!」

「俺はハゲてはいないぞ?」


俺様の怒りを軽く受け流す三蔵。



ヤバい…

俺様は…

いつか…殺される。

殺されてしまう!

この三蔵に!?

良いのか?俺様~!!



「そんな事より…」


そんな事よりって…おい!


「店員さん?これは、どういう事かな?」

「そ…それは…」

「しかも、何故この店はこんなに獣臭いのですか?」

「………!!」


青ざめる店員に三蔵は問う。


「まるで…妖怪の住家のようだな…」


「んなっ!」


そういえば…確かに妖気を感じるぞ…??

いや、それ以前に!


「三蔵!俺様を殺す気かぁ!」


「ん?何の事だ?」


「毒入り海老春巻の話だよ!」


「ああ…あれか…」


「あれかじゃねぇー!」


「まぁ、死ななかったようだし、良かったな?」


「良かねぇーや!俺様を殺す気なのか?お前はぁ~!」


「だから、死ななかったのに五月蝿いぞ!いい加減にしやがれぇ!」


「…こ…コイツは…逆ギレかよ…!そもそも死んだら文句言えねえし!死人に口無しか?」


「グチグチとうるせぇぞ!それより猿!解ってるな?」


「…ん…あぁ!だな」



俺様も気付いていた。

俺様と三蔵の周りには、客の人間に化けていた妖怪達が本来の姿になって囲んでいたのである。



「おい!…お前達!俺様は今…[腹の]虫の居所が悪いんだよ!て、マジに腹が痛いんだよ!だから、早死にしたい奴からかかってきやがぁれぇー!!」


俺様の啖呵を合図で妖怪達が襲い掛かってきた。


「ふぅ~面倒臭い。猿!お前一人で何とかやれそうか?」


「お前もやりやがぁれぇ!」


俺様は三蔵目掛けて妖気弾を放った。三蔵は軽々と妖気弾を躱すと、その妖気弾は三蔵を背後から襲おうとしていた妖怪に命中した。


「ウギャア!」


三蔵も仕方なく立ち上がると、数珠を懐から取り出し霊気を籠めていく。


「やれやれ…」


やっ?ヤバイ!!

咄嗟に俺様は地面に臥せたのである!


『数珠連弾!』

※ジュズレンダン!


三蔵は霊気を込めた数珠をオハジキのように連続的に弾き飛ばすと、四方八方に拡散する。

その一つ一つの威力は俺様の妖気弾と同じくらいであり、直撃した妖怪達を消滅させ、そのまま壁を貫通していった。

確かにスゲェ威力だが、俺様まで巻き込むなって話だよ!


妖怪達の大半は、今の三蔵の奥義で消し去られた。


怯む妖怪達…


「こりゃ、今日も簡単に決着がつくな?」

「油断するなよ!」



三蔵は前方の瓦礫の方向に視線を流し、俺様に合図をしたのである。


ん?

そうか…

そういう事か!


俺様は妖気を高め、三蔵の合図した方向に向かって妖気弾を放ったのだ。


「うおりゃあ!」


妖気弾が唸りを上げて、飛んで行く…

妖気弾は壁を破壊しながら向かって行ったはずだったが、その妖気弾は次第にその威力を弱めた?

そして完全に消されたのだ。


「!!」


すると図体のデカイ馬顔の男[人間]が、笑みを見せて向かって来たのだ!


解る…解るぞ!

コイツは人間じゃねぇ!

人間に化けた妖怪だ!

しかも、今まで襲って来たどの妖怪よりも強い!


「貴様、何者だぁ?コイツ達のボスか?」


すると馬顔の男が俺様を見下ろしながら、正体を明かしたのだ。



「ああ…やはり最初からこうするべきだったな…俺の名前は九頭馬!」



名乗った九頭馬は右腕に妖気を集中させ、俺様に向かって殴り掛かって来たのである。


「うぐわああ!」


俺様は九頭馬の拳の威力で弾き飛ばされた。

その威力は凄まじく、その衝撃で飲食店を崩壊させたのだ。

俺様は崩壊する瓦礫の中から飛び出すと、


「三蔵!」


「大丈夫だぁ!」


三蔵もまた崩壊する飲食店の中から、脱出していたのである。

そこにけたたましい足音をたてて九頭馬が姿を現す。


「ガハハハ!よくぞ逃げられたな?だが、俺の力はこんなもんじゃねぇ~ぞ!」


九頭馬はさらに妖気を高めていく。



『獣王変化・唯我独尊!』


九頭馬の姿は二倍近くでかくなり、鎧を纏う馬頭の妖怪の姿へと変化したのだ。

て、馬顔が本当の馬頭になっただけかよ!



「貴様達の命はこの俺が戴くぞ!」


「へん!やれるもんなら、やってみやがぁれぇ~!」


俺様は如意棒を背中から抜き出し、九頭馬に向かって殴り掛かった。

九頭馬は俺様の渾身の一撃を片腕で軽々受け止め、


「フン!」


力任せに俺様を弾き返したのである。


「うぐわああ!」


そこにすれ違うように三蔵が突っ込んでいた。


「でぇやあ!」


三蔵はいつの間にか炎の剣を手にしていた。


「うおおお!」


俺様も身体を翻し回転させて着地し、再び九頭馬に向かって飛び掛かった。


「俺様もまだまだ負けてねぇぜぇ!」


俺様と三蔵の同時攻撃が九頭馬に繰り出されていく。が、九頭馬は背中にしょっていた巨大な大剣を振り回し、俺様達を近寄らせなかったのだ。


「クッ!」

「ならば!」


俺様は体内で妖気を高めていく。

妖気を俺様の獣の血に流し、内なる力を解放させるのだ!


『獣王変化・唯我独尊!』


俺様の身体が膨れ上がっていき、金色の大猿へと変化したのだ。

大猿と化した俺様が唸りながら吠える。



『九頭馬よ!これからが本番だぜぇーー!』


強敵出現で俺様も弾けるぜ!

次回予告


ちょっと待てよ~!俺様は三蔵を相手にするだけでも面倒なのに!九頭馬だと?こんな奴ちょちょいと・・・なぬ?こいつ!つええ~じゃん!だが、俺様も負けないぜ!そんなこんなで次話も続くぜ!

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