蛟魔王動く!激突四龍姫!
万聖龍王と蛟魔王の因縁。
それは避けれないのか?
万聖魔王と蛟魔王
その過去が明かされた。
そして万聖魔王が一人、自室にて瞑想している頃。
「万聖魔王様はどうなさるつもりなんでしょう?」
「どうなさるとは?何よ?」
「万聖様は…あの女をどうするつもりなのかと…」
「そりゃ~殺すに決まっているでしょ?アイツは万聖様を裏切った女なんだから!」
彼女達は万聖魔王に従いし四龍姫。
月龍姫、鳥龍姫、風龍姫、花龍姫。
その力は龍神界最強の四海龍王に匹敵すると噂されていた。
「私…あの女を始末して来るわ!」
「待ちなさい。勝手な真似は万聖様が許さないわ!」
「けど…きっと万聖様は…」
その言葉に、
「行かせてあげましょ…」
他の二人も同意で花龍姫を行かせたのだ。
花龍姫が部屋を出て行った後、鳥龍姫は心配していた。
「あの娘は万聖様の事を誰よりも慕っているから…」
花龍姫が向かった場所は幾重にも貼られた結解の札で拘束された地下牢だった。
そこに蛟魔王は両腕と両足を拘束されていたのだ。
「えらい扱いよね?客人に。これが頼んで軍師に迎える態度かい?」
入って来たのは花龍姫だった。
花龍姫は腰の鞭を手にすると、
「お前さえいなければ!」
花龍姫は鞭を振り上げると蛟魔王に打ち始めたのだ。
この鞭は蛟魔王の持つ龍鞭。
「うぐぅ!」
「どう?自分の鞭で打たれる気分は?」
「ちょっとした快感だね?癖になりそうだよ」
「減らず口を!!」
蛟魔王の挑発に怒りを感じた花龍姫は鞭を振り上げる。
「お前のせいで万聖魔王様が苦しむのだ!」
その時だった。
花龍姫の降り下ろした竜鞭が、拘束されていたはずの蛟魔王の腕で受け止めたのだ。
「まさか拘束具を自力で外したのか?」
「まぁね?でも思った以上に手こずったわ」
蛟魔王は龍鞭を引き寄せると、花龍姫が体勢を崩す。
「お前、アイツの事が好きなんだね?」
「なぁ?」
直後、動揺する花龍姫の腹部に衝撃が走った。
蛟魔王の拳がめり込み、その場に倒れた。
「さてと…」
蛟魔王は自分の龍鞭で床を打つと、倒れた花竜姫を残して部屋を出て行く。
蛟魔王が脱出した事は直ぐに城中に広まった。
蛟魔王は城の通路を最上階へと向かっていた。
「ウォオオオ!」
龍神兵や妖怪とが無差別に襲い掛かって来る。
が、蛟魔王の通った後はその者達が一人一人倒れていく。
しかも全員一撃で。
蛟魔王の強さは本物だった。
万聖魔王の配下は地上界の魔王の軍でも統制が取れた武勇ある者ばかりだ。
「………」
そこで、蛟魔王は階段の途中で足を止めた。
自分が進む先に凄まじい殺気を自分に向けている者達に気付いたからだ。
「どうやらお出ましのようだな」
蛟魔王の前にいたのは三人の女達だった。
そして背後から駆けて来る者が?
それは先程倒した花龍姫が追い付いて来たのだ。
「よくも私に恥を!」
「もう少し眠っていれば良いものを?せっかく寝顔が可愛いから見逃してやったのにさ」
「馬鹿にするな!」
花龍姫の龍気が高まり城が揺れ始める。
そして同じく三人の龍姫達。
「私達四人を相手にただで済むと思うな!」
月龍姫、鳥龍姫、風龍姫、花龍姫。
万聖竜王が手塩にかけて育て上げた龍神の娘達。
「面白い。元四海龍王の私がお前達の力を見定めてやろう」
すると蛟魔王は天井に片手を上げると、龍気を放ち穴を開けたのだ。
「!!」
蛟魔王は開けた穴へと飛び上がり、その場から消えた。
「逃がすかぁ!」
蛟魔王を追って同じく天井に向かって飛び上がる四龍姫。
が、それは罠だった。
穴を抜けた先が異空間になっていて、四龍姫達は別の空間に飛ばされたのだ。
「忘れていた…蛟魔王が異空間術の使い手だった事を!」
蛟魔王の異空間術とは特別な術札を使って、別の場所に移動する能力だ。
唯一残っていた風龍姫の前に蛟魔王が現れる。
「流石に四人まとめて相手するのは荷が重いのでな?分散させて貰った」
「それは私一人相手になら勝てると思っている口振りね?」
「そのつもりだが?」
「ナメるなぁー!」
風龍姫の周りに龍気が立ち込めると、蛟魔王の周りに風が靡いた。
「!?」
身体が動かない?
風龍姫の作り出した風が蛇のように絡み付き、蛟魔王の身体を縛り上げたのだ。
「変な趣味だな?」
「減らず口は止めな?今からお前をいたぶり、二度とその口を開けなくさせてやるよ?」
蛟魔王は強引に動こうとすると、突如切り裂かれたように血が噴き出したのだ。
「止めときな?指一本でも動かせば、その身が引き裂かれるのさ!お前はもう手も足も出せやしないさ?観念しな!」
風龍姫が指を交差させると蛟魔王を縛る力が強まり締め付ける。
「困ったぞ?手も足も出ないなら奥の手出すしかないな?」
「えっ?」
その直後、蛟魔王の衣が裂かれ、肌が露わになる。
その美しい胸元に見える白肌には術札が貼り付いていた。
術札は同時に発動すると、蛟魔王を締め付けていた風龍姫の龍気が発動した札に開いた穴の中へと吸い込まれ、拘束が解かれたのだ。
風の龍気を一気に吸い込んだ事で、蛟魔王の衣が破れていた。
「空間移動術の応用だよ?お前の力を術札から吸い込み、外へと出したのさ!」
「いつの間に?」
「惜しかったな?私の身体には前以て術札を貼っていたのさ」
風の拘束が解け蛟魔王の身体が自由になった時、蛟魔王は風龍姫に向かって突っ込む。
「すまないね?私は行かねばならない所があるんだ!」
「それは万聖様の所か?行かせなっ…!」
蛟魔王は風龍姫の腹部を殴ったのだ。
その強烈な一撃は風龍姫の身体を背後の壁にめり込ませた。
「戦いの前には奥の手を用意しておけば役に立つんだよ?けど、まさか初戦で使うとは思わなかったがな」
蛟魔王は肌に貼っていた術札が効力を失い剥がれ落ちていく。
「あちゃ…」
蛟魔王は龍気を再び纏うと、蛟魔王の身体を鎧が身を包んだ。
「自慢の裸体を晒す事は構わないが…城内でうろつくのは恥女に思えるな…うん」
蛟魔王は再び階段を駆け上がると、目の前を塞ぐ扉があった。
「見るからに罠だな?だが、通るしかないだろうな」
扉を開けた先は別の空間になっていた。
そこは月世界?
「幻術か?手が凝ってるね」
蛟魔王の目の前には四龍姫の一人、月龍姫がいた。
「風龍姫を倒したようですね?今度は私がお相手致します」
「!!」
「この世界は私の世界。お前は二度と私の作り出した世界から出る事はありません」
すると、月龍姫の姿がぼやけ出して、何体にも分かれていく。
分身?
「私はね、幻術系は得意じゃないんだよ…」
「あら?好都合ですわ?なら私が貴女を仕留められますね?」
「そうだと良いな?」
「私が作り出した月光結解の中で増殖する分身を相手に戦い続ける。お前が力尽きるまでね。ふふふっ」
蛟魔王は龍気を高めるとその力を解放させたのだ。
月龍姫の創った空間にヒビが入り、分身達が一人一人消えていく?
「まさか?何?蛟魔王の異常なまでの龍気の高まりは?私の造り上げた世界を壊す程の桁違いの力は?」
「面白い力だが私…いや?元四海龍王の力はそんなもんじゃないのさ!」
瞬間、爆発的な力が解放され月龍姫の創った月世界が崩壊していく。
そこには月龍姫が倒れていた。
「後、二人だな…」
圧倒的な力!
これが蛟魔王の力!
だが、蛟魔王が進む先には残り二人の四龍姫が待ち構えていた。
鳥龍姫と花龍姫…
「全く…二人共油断して…」
「最初からこの力を使っていたら負ける事がなかったのに!」
鳥龍姫と花龍姫の手には白い光が灯る。
あの光は正に万聖龍王の「再生の力」だった。
「厄介だね…あの力を移植したのか?」
鳥龍姫と花龍姫は同時に動いた。
その掌には万聖龍王と同じ再生の力を帯びて、蛟魔王に迫る。
急激な再生に生じる負荷が肉体を滅ぼす「再生負荷の能力」
蛟魔王は二人の攻撃を紙一重で躱していくが、その頬には冷たい汗が流れる。
「当たればお陀仏か…」
蛟魔王は距離を取り龍鞭を振るう。
鞭は花龍姫と鳥龍姫に迫るが、彼女達も龍鞭を躱しながら何かを投げつける。
「花札」
※ハナフダ
花龍姫は鋭利な刃のような花札を手裏剣のように飛ばす。
「刃羽小矢!」
鳥龍姫も羽の付いた小矢を投げつけた。
蛟魔王は龍鞭を回転させて打ち落としていくが、拉致があかない。
「お前を万聖様には近付けさせない!絶対にこの場で、この手で殺してやるわ!」
花龍姫の突き出した手刀が蛟魔王の纏った鎧に触れると塵と化して消滅する。
「私達は万聖竜王様の力を授かった。この力でお前を…あの方を苦しめるお前を消し去る!」
「苦しめるか…」
花龍姫と鳥龍姫は素早い動きで蛟魔王に接近する。
辺りには羽毛が舞い、無数の花札が手裏剣の如く蛟魔王を襲う。
「目眩ましか?」
蛟魔王は龍鞭を回転させて防御するが、その龍鞭が突如弾けて消えたのだ。
「まさか?」
身を挺して龍鞭の中に飛び込み受け止めた花龍姫によって掴まれたのだ。龍鞭は花龍姫の再生の力により塵と消えて、その隙を付いた鳥龍姫が蛟魔王の間合いに入ったのだ。龍鞭を受けた花竜姫はニヤリと笑みながら倒れると、
「消えろぉおお!」
鳥龍姫の手が蛟魔王に触れた…触れた!?
再生の力によって塵と化すはずのそれは、その形を留めていた。
「奥の手は幾つあっても無駄にはならないようだな」
花龍姫の再生の力を受け止めたのは、蛟魔王が手にした龍神の盾だった。
いや?ただの龍神の盾ではなかった。
それはかつて蛟魔王が龍神界から持ち出した三種の神具の一つ…
『蛟の盾』
「再生の力とて蛟の盾は消せなかったようだね?」
鳥龍姫は一端距離を取るため移動しようとしたが、自分の足に蛟魔王の粉砕したはずの龍鞭が伸びながら再生して絡み付いていた。
「逃がさないよ」
蛟魔王は龍鞭を引き上げると、鳥龍姫は天井にまで引き飛ばされ直撃する。
「鳥龍姫!!」
が、心配する花龍姫の背後には既に蛟魔王が迫っていた。花龍姫は再生の力を籠めた腕で払いのけるが、蛟魔王は花龍姫の腕を掴んで抑え込む。
「力はあるがまだまだ経験不足だな」
「何を!?」
蛟魔王は花龍姫の首元に当て身を打つと、花龍姫は崩れ落ちた。
万聖竜王の誇る四龍姫達は蛟魔王の前に、その圧倒的な力量を持って倒されたのだ。
四龍姫達を圧倒した蛟魔王は階段を登りながら決意をしていた。
最上階にある扉が開かれると、そこには万聖魔王が待ち構えていた。
「やはり四龍姫達では敵わなかったようだな?」
「そう言うな。良く育てられていたぞ?」
「だが、やはり全てのケジメは俺が付けるしかないようだな」
「ようやくこの日が来たようだ…万聖魔王…いや、浦島よ!」
互いに龍気が高まり、城を震わせた。
お互いの覇気が二人を中心にぶつかり合う中で、
『因縁にケリをつける』
次回予告
ついに避けれない戦いが始まる。
それは何を意味するのか?




