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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
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ストーカー蜘蛛女の恐怖!?

黄風魔王は鵬獄魔王の息子であった麗鵬と、乱入した金剛魔王の手下によって倒された。


そのお陰で呪いから解けた美猴王は、一人悩んでいた。



俺様は美猴王だ…


俺様は黄風魔王との一騎討ちで敗れ、呪毒に侵され死の縁にいた。

だが、突然その呪いが解けて俺様は回復したのだ。


理由は呪いの元凶であった黄風魔王が死んだしかなかった。

詳しくは戻って来た六耳によって全て聞かされた。


そこには、かつて俺様の前に現れた鵬獄魔王の息子である麗鵬がいる。

聞くに麗鵬が黄風魔王を倒し、その呪縛より解き放ったのだと。

そして麗鵬は言った。



「ご機嫌麗しき美猴王様。私、麗鵬は約束通り戻って参りました」



はて?


麗鵬は膝を付くと、まるで歌い上げるように述べた。


「美猴王様の言葉通り私は強く気高く美しくなり、貴方の傍で力を振るいたく戻って参ったのです」


「そ…そうか?」



確かに強くなって戻って来いと言った覚えがあるが、まさかマジに来るとは…

その前に気高く美しくは求めていなかったんだが?


(…まぁ、良いか?)


俺様は麗鵬に特別なはからいとして、水廉洞闘賊団への入隊を認めた。

更に黄風魔王を倒した功績も有り、



「麗鵬よ!これよりお前は鵬魔王と名乗れ!良いな?そして俺様の手足として務めよ!」


「鵬魔王ですね?有り難き幸せです。美猴王様!私、麗鵬はこれより鵬魔王として貴方様の忠実なしもべとして更なる功績をあげさせていただきます」




水廉洞闘賊団に新たな仲間が加わった。


少々…癖のある奴だが…


そして俺様は再び寝床に戻り療養する。


結局、俺様は何も出来なかった。

何も変わってはいない…

俺様は無駄に考えて無駄に怪我をして、もう少しで水廉洞闘賊団を失う所だった。


甘さが招いた教訓?


らしくない!


俺様は水廉洞闘賊団を率いる魔王としてあらねばならない。

さもないと俺様を信じ付いてきた仲間達を失う。

夢を半ばで失う。

俺様は全てを失ってしまうんだ。



己を罰しよ!

俺様は世を統べるべき魔王、美猴王様なんだからな!


だが…俺様は別の感情にも胸を締め付けられる。


蓮華…


俺様は蓮華と共に過ごした僅かな時を望まずに得た時に、心が揺らいだのだ。


戦いのない安息の時…


夢の中に現れた男は言った。

俺様が王の道を選べば大切なモノを失うと…



蓮華との約束も果たせず、感情のまま動いた末路は今の俺様。そんで助けるつもりだった黄風魔王もまた俺様が知らぬ場所で死んだ。



決められた運命?


運命…


しゃらくせぇ!



だが、やはり俺様はもう戦いに身を投じたのだ。

引き返す事は出来ない。

運命が何だってんだ?運命が俺様の進む道を妨げるなら、俺様は足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて足掻いて、今度こそ俺様の運命を変えてみせる!



もう俺様は何も失わねぇ!


失いたくねぇ…


そのために俺様はもっともっと強くなってやるぞぉーー!!


迷うな!!


そして今ある世界を全て変えてやるからな!




そんな決意を胸に、俺様が率いる水廉洞闘賊団は次の目的地の座標を目差した。

黄風魔王と鵬魔王の戦いを邪魔したのが六耳の話だと、金剛魔王って奴の配下らしいな?

なら、今度の目的地は金剛魔王の城だ!

と、俺様が新たな道に進む頃、あいつ達もまた目的の城の近くまで辿り着いていた。




「兄者?この結解の先が例の?」


「そのようだな」



牛角魔王は蚩尤と、その弟分の炎狼と氷狼、更に二千の軍を引き連れて別の魔王の領地に来ていた。だが、この地の魔王を倒す事が目的ではなく、仲間にする事が牛角魔王の仕事だった。


「しかし蚩尤。この地にはどんな魔王がいるんだ?」


「牛角兄者は魔王でありながら、他の魔王に対しては関心なかったからな。確か女の魔王と聞くぜ?」


「女の魔王か?なら問題なかろう」


「そうだな!兄者なら敵無しだ!」



が、それを聞いていた氷狼が話に割り込む。



「ちょい!もっと慎重にいかないとダメですぜ?相手は魔王の中の魔王!魔王ナンバーは一桁の魔王なんですから!」


「けど、女なんだろ?」


「牛角の旦那?女でも強い者は強いっすよ!桁違いの化け物なんすよ」


「氷狼?お前、兄者が女妖怪に後れを取ると思っているのか?返答次第じゃ、お前からぶった斬る!」


「ひぇえええ!」



と、その時…


「何やら妖気を感じる。お前達!油断するんじゃねぇーぞ!」



牛角魔王の合図に周りの連中に緊張が走る。

すると、上空から矢が雨のように降って来たのだ。


「クッ!」


牛角魔王達は剣を手にすると降って来た矢を斬り落としていく。



「兄者!前からも誰かいるぞ?」


「どうやら囲まれたようだな?」



牛角達の前には着物を着た女達が笑いながら剣を構えていた。

更に上空の雲に乗った女達も弓を向けていたのだ。


「兄者!どうする?」


「無論、押し通るのみ!」



牛角魔王は二本の剣を構えると、交差させながら回転させる。

すると疾風が竜巻を起こして女達を寄せ付けない。



「侵入者を一人足りとも近付けさせるな!」



女達は弓を射るも竜巻に巻き上げられてゆく。

そこに牛角魔王の部下達が女達を押さえつけたのだ。


「これで女達は手も足も出ませんぜ?」


「おぃ?ちょっと待てよ?お前が抑えてる女はそんなにでかかったか?」


「へっ?」


すると部下妖怪が掴んでいた女の身体がムクムクと膨らみだしたのだ。そして大型の昆虫の化け物と化して掴んでいた部下に噛みつき喰らったのだ。


「うぎゃあああ!」



同時に他の女達も大型の昆虫妖怪と化して襲ってくる。蟷螂、カブトムシ、クワガタに、蜘蛛、ムカデに、蛾、カミキリ、カメムシ?


「何だ?コイツらぁあああ??」



牛角魔王達は化け昆虫達との混戦が始まる。



「セィヤア!」



牛角魔王の剣が化けカブトムシを一刀両断にすると背後から蟷螂の鎌が降り下ろされる。


「何の!」


牛角魔王は二刀で蟷螂の鎌で受け止め、剣を突き刺すが、蟷螂の化け物も鎌で弾き返した。


「なかなかの太刀だが、俺には役不足!」


牛角魔王は剣を構えると、


「二刀返三角刑!!」


化け蟷螂の頭を三枚にして斬り落とす。



「流石、兄者!俺も負けられねぇー!皆ぁー!兄者に続けぇええ!」



蚩尤の言葉に仲間達の指揮が高まる。

兄である牛角魔王を心底崇拝する蚩尤は、その存在がいるだけで力湧く。


「こちらの戦力は蚩尤と、氷狼、炎狼か?まぁ、俺がいるから何とかなろう!」



牛角魔王は一歩前に足を踏み出すと、突如地面が揺らぐ?いや?沈む?

足下が地面に掴まれるように引きずられる。


「へっ?」


牛角魔王の足下が滑るように沈んでいく。

足掻いても沈む足場の底。

その中央には化け蟻地獄が待ち構えていたのだ。



「クソ!身動きが取れねぇー」



沈んでいく牛角魔王に蚩尤が叫ぶが、



「蚩尤!俺に構うな!お前は先に向かえ!必ず俺も追い付くからな!」



そう言って、牛角魔王は化け蟻地獄と共に底無しの穴の中へと消えていったのだ。



「ぎ…牛角兄者…」



蚩尤は牛角を信じて、残った仲間を率いて先に向かって駆け出したのだ。


どれくらい経っただろうか?

蚩尤達は暗闇の森の中を追ってくる化け昆虫から逃げながら、目的の魔王の居城を目指していた。暗闇の中で襲って来る化け昆虫の恐怖。

次々と仲間達が減る中、蚩尤達は魔王の居城の入り口にまで辿り着いた。



「何とか着いたようだな?牛角兄者はまだ着いてないようだが…先に進むか?それとも待つか?」



だが、選択肢はなかった。

城を囲む化け昆虫、次々と襲われ喰われる仲間達。


「先に進むしかないようだな…」



蚩尤は残った仲間を連れて城に入ったのだ。

城は静かだった。

いや?むしろ暗闇?


その時、仲間の悲鳴が響いた。


「どうした?今度は何だ!}


天井から糸が伸びて来て、仲間達を絡み付け縛り上げると、一人一人吊るして行く。そして血が雨のように降って来たのだ。

氷狼が仲間が吊るされた頭上を見上げると、



「天井に何かいるぞ?」


「俺に任せろ!」



炎狼は身体中に妖気を籠めると発火し、城の中が明るくなる。


「便利だな?お前?」



そして見上げた天井には、天井を覆う化け蜘蛛が自分達を見下ろしていたのだ。


「このぉー!」


蚩尤は飛び上がり蜘蛛の化け物に剣を刺すと、蜘蛛は姿を変えて人型となる。

ソイツは身体に蜘蛛の刺青をした女だった。



「私は亜蜘蛛。我が主にこの城を任されています。今宵、お前達は主に出されるディナーになるのですわ!」



すると亜蜘蛛と名乗る女妖怪は、手から糸を伸ばして仲間達に絡み付かせる。そして引っ張ると同時に、鋭利な刃で斬られたように細切れにされたのだ。



「どうやら話しても無理のようだな」



蚩尤は剣を構えて突っ込むと、後方から氷狼と炎狼が援護する。



「鬼冷水砕牙!」

※キレイスイサイガ



氷狼の放つ水の刃が亜蜘蛛に向かって襲い掛かる。

更に炎狼が大技を繰り出した。



「炎矢数炎多火」

※エンヤスエンダカ



無数の炎の矢が出現し、亜蜘蛛に向かって放たれたのだ。



「糸死囲穴手!」

※イトシイアナタ



亜蜘蛛の妖気を籠めた糸が目の前で拡散し、炎狼の炎の矢と、氷狼の水の刃が包まれるように消滅させられたのだ。


「後は…」


そこに頭上から飛び降りて来た蚩尤が、刃を降り下ろして来たのだ。


「あっ…」


が、蚩尤の身体は亜蜘蛛の操る糸が絡まって来て身体を縛り上げられ、身動きを奪われる。



「他愛もない…」



亜蜘蛛は身動き取れない蚩尤に顔を近付けると、口を広げて…


「キスか!?」


「違うわ!」


突然のツッコミに亜蜘蛛は顔を赤らめる。



「私はだな?ただ喰おうとしただけであって、き…キスとか!有り得ないわけで…だから、それはまだ早いわけで!解るか?だから、キスなんかじゃないんだからな!」



亜蜘蛛が予想外の反応でアタフタしている間に、気付くと目を離した隙に蚩尤と他の仲間は音もなく消えていたのだ。



「あ~逃げたぁ!男!男!男!女を騙して嘘をつき、惰弱に駄目にする邪悪の元凶!やはり主の言葉は正しかった!」



亜蜘蛛は鬼の形相で逃げた蚩尤達の捜索をする。



「変な女で助かった…」


「でも、あんなんがいるって事は、ここの主はもっとヤバいんだろ?」


「そりゃ…そうだろうな?何てたって、俺達が今から出会う魔王は…」


「お前達!黙っていろ?見付かるぞ?」




そんな蚩尤達の行動を水晶で見ている者がいた。

その者は、この地の魔王にして、五行魔王の水を司る一角であり、

嫉妬の妖魔王の称号を持つこの城の主。


玉面魔王であった。

次回予告


新たな魔王・嫉妬の玉面魔王!


牛角魔王と蚩尤は玉面魔王を仲間に引き入れる事が出来るのだろうか?



※今回の登場の玉面魔王は転生記にも登場しています。

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