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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
381/424

天敵!?侵入者襲来!

黄風魔王の奥義にて倒れた美猴王。


呪われし呪毒を解くために六耳が単身向かうが、そこでは?


俺ッチ、六耳~


俺ッチは美猴王様の呪いを解くために、単身黄風魔王の城に向かったんだけど…


そこでは既に、何者かが戦っていたんだッチ!




俺ッチは隠れながら声のする場所、つまり戦っている場所に気配を消しながら近付いて行く。


そして覗きこむと?


「くぅ…」


虎先鋒が何者かと苦戦中だった。

あの美猴王様と対等に戦っていた虎先鋒を追い詰めるなんて何者?


俺ッチは再び、戦っている相手の正体を確認する。


「アイツは!?」


ソイツは以前、一度だけ見た事があった。


確か…



「この私がこうも相手にならないなんて…」



虎先鋒は大気を圧縮させた真空の玉を投げ付ける。

その者は城の中を自在に飛び回り素早い動きで躱すと、その手に持った羽根を投げ付けたんだッチ。羽根は虎先鋒に向かって飛んで行くと、


「これは!」



虎先鋒の周りには無数の羽根が浮いて逃げ場を塞いでいた。



「鵬魔炎術・羽多空巧重危」

※ハネダクウコウエキ



ソイツは!!


あの鵬獄魔王の息子の麗鵬だったんだっち!



「さぁ~終わりだよ?お前はもう逃げ場を無くした憐れな子猫さ!」


『発火!』



麗鵬が指を鳴らすと、虎先鋒の周りに浮いていた羽根が一度に発火した。

燃え盛り、火だるまになる中で、虎先鋒はーー


『虎空掌』


気流を巻き起こして炎を消し去った。

が、全身に火傷を負って膝をつく虎先鋒に、



「あはは!お前、元人間なんだって?人間が妖怪の真似事をした半妖じゃ、正当なる妖怪には勝てやしないんだよ!」



しかし半妖と言えど、美猴王様や他の魔王を圧倒する強者なんだぞ?

それとも、アイツがそれ以上に強いって意味なのか??


そこに、黄風魔王が虎先鋒を庇うように現れたんだっち。



「ようやく現れたね?お前を殺して、僕が愛しのあの方を救う時が来たよ!」



えっ?あの方って?



「あの残虐かつ強く勇ましい美猴王様に、僕はお前の首を捧げるのさ!」



なんだって?美猴王様に?


アイツ…


何を言って?



「だからお前が証人となって、僕の美しく可憐な戦いを目に焼き付けておくんだよ?そこに隠れて見ているお前!」




えっ?俺ッチに気付いているんだッチか?



「お前はそこで僕の武勲を伝えるんだよ。そうすれば生かしてあげるからさ」




俺ッチは立ち上がり、意味も解らないまま、取り敢えず頷いた。



「さ~て、僕の炎術は身も心も焼き焦がすよ!」



一方、



「黄風魔王様…ここは私が!」


「お前もまだ回復しておらんだろ?心配するな?私が出る!」




だが、何故か二人からは余裕が無く見えた。




「残念だったね?僕は羽根を通して、ずっとお前達を見ていたんだよ!お前達の弱点をさ」



弱点だって??



「弱点一つ目!~お前達半妖怪は僕達生粋の妖怪に比べて再生力が遅い!確かに妖怪以上の力を持っているみたいだけど、基盤となる肉体が追い付いてないんだろ?脆い生き物だよ。人間ってのは!」




だから、傷付き、回復していない今を狙って襲撃して来たんだっちか?

ズルいが、確実に仕留める好機なのは確かかもしれない。



「どうやら見透かされているなら隠していて仕方ない。確かに再生力は劣ろうが、お前に負けると決めてかかるのは愚かだな?」


「人間にとって妖怪は天敵なんだよ?分をわきまえろよ!に・ん・げ・ん!」




黄風魔王が気流に乗って宙に浮かぶ。


「ふふん」



二人は俺っちが見上げる中で、空中戦を繰り広げたのだ。

黄風魔王の掌から気流が渦を巻いて、麗鵬に迫る。



「お前が僕に勝てない理由~その弐!」



すると麗鵬の身体が真っ赤に変色し、麗鵬を中心に業火が黄風魔王に放たれたのだ。

黄風魔王の気流とぶつかり合う中、


「!!」


業火が更に威力を増して黄風魔王を飲み込む。



「弱点その弐!それは属性さ!お前の風の力が僕の炎を更に威力を高めてくれるんだよ」



風属性の弱点は炎属性?

すると、黄風魔王が炎の渦の中から脱出して来る。



「属性の優劣か?確かに私の風属性にお前の炎属性は厄介のようだ?ならば戦い方を変えるだけの事!」



直後、黄風魔王は麗鵬に向かって行くと、打撃戦へと切り替えたんだッチ。

一発一発の連打が麗鵬の身体に食い込まれるが、麗鵬の姿は炎と化して消えた。


炎分身?



「そこだぁー!」



真空の玉が現れた麗鵬の腕に命中し弾け飛んだ。


「うっ…」


「真空の状態の中では炎もまた無効」


「ふふん…やるね?でも、それで僕は狩れないよ?」



驚く事に麗鵬の失った腕が炎の中から瞬時に再生したんだッチ!



「鵬魔一族は再生力が半端ないんだよ」



麗鵬は炎の翼を広げ黄風魔王に襲い掛かる。

その手に炎がほとばしり、炎の剣が出現したのだ。



「あはは!斬りさいてやるよ~!」


「風の防御壁」



黄風魔王の前に真空の防御壁が現れると、麗鵬の炎の剣は真空の防御壁の前に打ち消された。


「!!」


油断する暇なく、黄風魔王の周りには無数の羽根が宙に浮かんでいた。

自在に動き、黄風魔王目掛けて飛んでくる羽根を躱しつつ、黄風魔王は拳と蹴りで羽根を消滅させていく。



「やるねぇ~でも、お前は僕の術中だから!」


「あんまり調子に乗ると…」



黄風魔王が構えを取る。


あの構えは間違いないッチ!



『黄砂強風の拳!』



あれは美猴王様を苦しめている呪毒の拳!?


「!!」


黄風魔王の呪毒の突き出した手刀が麗鵬の胸に突き刺さる。

みるみるうちに麗鵬の身体が猛毒に侵され変色していくのが分かる。



「今度は分身じゃないようだな?お前はもう終わりだ!」


「お前がな?」


「何だと?」



麗鵬は黄風魔王の突き刺さした腕を掴んで離さないでいたのだ。



「つ・か・ま・え・た!」


「!!」



黄風魔王は腕を引き抜こうとするが動かないとみて、更に腕を突き刺さして呪毒を送り込む。



「直ぐにお前は毒に犯され、その身が消え散ろう」



麗鵬は口から血を流しながら、その口元は笑みを見せていたんだッチ。



「何が可笑しい?気でも狂ったか?」


「めでたいと思ってね?もう勝ったつもりかい?この僕に?」



麗鵬の胸に突き刺した黄風魔王の腕が高熱で焼けるような痛みを感じる。



「これは?」


「弱て~ん、その惨!お前にとっての天敵が僕なんだよ!」


「何だと?」


「お前のコレ?呪毒だよね?僕の身体の中では今、極限に炎気を高めている。それはお前の毒が侵食するより先に浄火する。そしてお前の呪いは…」



『既に呪われた僕の身体には意味をなさない!この不死の呪いの前にはね』



麗鵬は妖しく笑みを見せると両手をゆっくり黄風魔王の首に手をやり締め付ける。



「このまま締め付けてあ・げ・る!」


「ば…化け物が…だが、この程度で私は負ける訳にはいかないのだ!私にはこの世の全ての妖怪を消し去ってやる!」



黄風魔王は首を絞められながらも力任せに麗鵬に頭突きをし、強引に腕を引き抜く。

黄風魔王の腕は持ち上がらないほどの重度の火傷を負い、

その首筋には締め付けられた痣が残った。



「…圧倒的じゃないか?力の差?違うッチ!確かに化け物染みた強さだけど、黄風魔王の奴も化け物なんだ…そうかぁ!」



麗鵬は美猴王様が黄風魔王と戦った後を見越しての襲撃だった。

美猴王様との戦いで既に体力を失った黄風魔王は半妖怪であるために回復が遅く、その隙をついたこと。

完全状態の黄風魔王と戦う事を避けたのだ。更に属性だけでなく、毒と呪いに耐性のある廉鵬には、うってつけの獲物だったに違いないッチ!


全てが計算??



「さ~て、もう終わりにしようか?」



麗鵬が黄風魔王に迫る…


その時!!



「黄風魔王様ぁ!危ない!」



叫んだのは虎先鋒だった。

だが、麗鵬は黄風魔王に……


えっ?


他に誰か他にいる?


「!!」



その事態に麗鵬も気付いた。


「お前ら誰?」



そこには黄風魔王の背後に三人の男がいたんだっチ。


まさか黄風魔王の仲間?


しかし黄風魔王もまた戸惑っていた。



「お前達はまさか!?」



現れた侵入者は背負った刀を手にする。

三人の侵入者達は各々の額に宝石が埋め込まれていた。

一人の瞳の色が黄色に染まると、その剣に力が注ぎ込まれていき、

ただならぬ妖気が立ち込めたのだ。


『魔剣』


その剣が振り払われると同時に黄風魔王の腕が斬られ消滅したのだ。


何が起きたっち??


その速度は俺っちにも捉えられなかった。

そこに虎先鋒が救おうと飛び出す。



「黄風魔王様には手を出させんぞぉー!!」



虎先鋒の道を塞ぐのは、もう一人の侵入者だった。

その瞳は青く染まり、同じく背負った剣を振り払う。

本能的に危機を感じた虎先鋒は、風気を凝縮させて放つ『虎穴』を打ちこんだ。


「!!」


が、虎穴は侵入者の剣に嵌め込まれた青い石に吸い込まれていく。

そして振り払われた剣から放たれたのは虎先鋒の技である虎穴だったんだッチ。

虎穴に貫かれた虎先鋒が血まみれで床に飛ばされる。



「虎先鋒!くぅ…お前達…金剛魔王の差し金か?」



金剛魔王?


すると三人の侵入者は黄風魔王に返す言葉もなく、剣を振り上げる。



「ちょっと待ってよ~」



そこに麗鵬が苛々しながら遮った。



「お前達は誰?僕の獲物を横取りなんて、舐めてるのかい?あはは…馬鹿にされた気分だよ!」



麗鵬は両手から炎を噴き出させると、二人の侵入者を炎の壁で囲んだのだ。



「邪魔するなら、殺すからね?死にな!」




炎が二人を飲み込んでいく。

飲み込んで?

いや?逆に青の侵入者の持つ魔剣に炎の壁が飲み込まれたんだッチ?


「何ぃ?」



すると黄色の侵入者が廉鵬に襲い掛かる。

廉鵬は羽根をばら蒔き、操りながら侵入者に四方八方から攻めるが、その魔剣にて落とされた。


「!!」


麗鵬は一刀両断に斬り裂かれるが、それは炎の身代わりだった。

本体は更に上空から巨大な業火弾を造り上げていた。



「全て燃やし尽くしてやるよーー!」



って、俺ッチも?


「待て待て待て!!」



麗鵬は炎の業火弾を躊躇なく打ち落としたのだ。

城が揺れ、熱で浄火していく中、その業火さえも青の侵入者の剣が吸い込む。


「うっそ?」



そこにまた何者かが入って来た者がいた。


「お父さん?」




それはガキだった。

以前、俺っちが見付けた例のガキは確か黄風魔王のガキだと聞いた。


「玉風様!」



そのガキに向かって青の侵入者が虎先鋒から奪った虎穴を放つ。


「させるかぁー!」



虎先鋒は飛び出すとガキを抱き抱え身を挺して盾となる。


衝撃が来ない?


「!!」


が、その虎穴は更に庇った黄風魔王によって止められていた。



「黄風魔王様!」




黄風魔王は胸に風穴が出来た状態で、背後にいる虎先鋒と玉風に言う。




「逃げよ…お前達は生きて…力を付けて…我が願いを叶え…てくれ」




すると黄風魔王は己の額にある角をへし折ると、虎先鋒に投げたのだ。



「黄風魔王様…解りました。今は生きて…この怒りを胸に…いつの日か必ず!」




虎先鋒は玉風を抱き抱え、壁際にあった隠し通路を通りその場から駆け出すと、


「生きよ……」



赤の侵入者が迫る中、黄風魔王は最期の力を振り絞り、城を破壊するほどの竜巻を発生させたのだ。



「邪魔はさせぬぞ!妖怪どもよ!」



虎先鋒と玉風の姿は完全に見えなくなった。

その直後、


「!!」


赤の侵入者の降り下ろした剣が黄風魔王を斬った。

黄風魔王はまるで石化したように動かなくなり、城を覆った竜巻が消えた。

気付くと仕事を終えた他の二人の侵入者も消えていた。



「チッ!逃げられたか…」



麗鵬は石化して動かない黄風魔王の頭を手刀で落とすと、それを手土産にと持ち帰り出て行く。


取り残されたのは俺ッチのみとなった。


何か…


凄い事が起きた後の沈黙、これはこれから起きる嵐の前の静けさだった。

次回予告


話はまた戻り、別同隊の牛角魔王達も苦戦していたのだ。

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