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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
376/424

潜入!黄風魔王の城!!

三大仙の活躍で難を逃れた危機


そして、美猴王は一人、錬体魔王を追って黄風魔王の居城へと侵入していた。


だが?


俺様は美猴王。




俺様は逃げた錬体魔王を追っていた。崖下の魔王の城を抜けた先に、崖から抜け出せる長い階段があった。俺様は階段を駆け上がっていた。


決して錬体魔王の野郎を許しはしねぇ!


必ず俺様の手で冥土送りにしてやるぜ!



階段を登り終えると、そこは黄風魔王の城と繋がっていた。

俺様は城の中へと入り込む。


恐らく敵の配下がわんさか現れるに違いない…


が、一向に敵が現れなかったのだ。


もぬけの殻?廃墟?



「どうなってやがる?ここからは何の妖気も感じねぇぞ?マジに誰もいないのか?それとも気配を隠しているのか?」



その時、俺様は城の最上階にて何者かの妖気を感じたのだ。

俺様は急ぎ気配のする方へと向かう。


この妖気は間違いない!


俺様は最上階の扉を開けると、そこには…


「お前らぁ!」



仲間達がいたのだ。

仲間とは六耳、怪力魔王と剛力魔王…それに?


俺様はもう一人の見慣れない野郎に向かって殴りかかる。

そいつからは並外れた妖気を感じたから。

恐らく、六耳達はそいつと交戦中に違いない。

俺様が拳を奮うと、敵は背中に背負った刀剣を抜いて俺様の拳を受け止める。


俺様の拳を受け止めるとは手強そうだな?

拳は妖気を纏い、更なる破壊力で相手の刀剣を弾いた。


そして…


「俺様の本気を見せて…」


が、


「待ってくださ~い!美猴王様ぁ~!」



俺様を六耳が止めたのだ。

六耳は刀剣を持った野郎に剣を降ろすように言うと、そいつは素直に剣をしまう。


ん?はて?


「突然の攻撃のために我も仕方なく刀剣を抜いた事を許して貰おう。ゆえあって水廉洞闘賊団に加入した刀剣魔王だ。宜しく願う美猴王殿」


はて?何?えっ?


状況を掴めない俺様に六耳が説明してくれた。


つまり…


そういう事なのだな?


六耳達は城の内部に詳しい刀剣魔王に案内され少数精鋭でここまで来たらしいのだ。



「この城には男爵魔王と呼ばれる魔王と配下が二万いるはずなのだが…忽然と消えておる。何処に行ったのだろうか?我と木霊魔王、妖仙魔王が出陣した時には城にいたはずなのだが?」


「お前嘘じゃないだろうな?二万の兵が忽然と消えるはずないだろ?」


「我が刀剣にかけて嘘は言わんぞ!ここの男爵魔王は我とは窮地の仲だ。我が説得すれば黄風魔王からこちらに寝返ると思い案内したのだが…全く状況が解らん!」



嘘は言っていないようだな?


だが、この城からは何やら異様な気を感じる。


この気配は…まさか?


少しずつ何かの足音が近付いて来たのだ。


それは、涎を垂れ流し、牙を剥いて入り口から入って来た。


「!!」


額に角が生えた三つの頭を持つ獣が五体現れたのだ。



「何だ?こいつは?妖気を感じないきゃ?妖怪じゃないのきゃ??」


「こいつらは…」



コイツらはキメラ。


人間を使った人体実験の他にも、獣から化け物を造り上げる実験もしていたようだな?


あの廉体魔王!!


人工の化け物からは妖気は感じないが、驚異的な力を持っている。

俺様は六耳、怪力魔王に剛力魔王、刀剣魔王に合図する。



「お前達!用意は良いか?」


「ウッキ!」


「力で負ける俺じゃない!」


「………」


「承知!」



襲い掛かるキメラ獣に俺様達が迎え撃つ。

強力な爪を持ち襲い掛かるキメラ獣の攻撃を身軽に躱す六尾、更に受け止める怪力魔王。

刀剣魔王は刀剣にて受け流し、斬りかかる。


「………」


剛力魔王の背後から迫るキメラ獣に、剛力魔王は手にした大斧を振り回すとキメラ獣は真っ二つに両断したのだ。


「ふんぬ!」


「斬!!」


怪力魔王は受け止めたキメラ獣の腕を掴み上げると、刀剣魔王が戦っているキメラ獣に衝突する。その隙に刀剣魔王が刀剣を振り払うと、キメラ獣の二体が一刀両断になった。



「スッゲ!俺ッチもやらいでかぁ!」



六耳の両手から雷の爪が伸びて、投げるとキメラ獣の目に突き刺さる。悲鳴をあげるキメラ獣に六耳が間合いに入って心臓に向けて雷の爪を突き刺したのだ。


「最後は俺様!」



俺様は拳が発火すると向かって来るキメラ獣の額に向かって殴る。木っ端微塵になる頭に、他の頭にも妖気の弾玉を放ってやった。

俺様達五人は圧倒的強さを見せてキメラ獣五体を撃破したのだ。



「ふぅ~今のキメラ獣が暴れて男爵魔王の配下を全て始末したのか?」


「いや?配下なら解るが、男爵魔王は我と変わらぬ強者だ!キメラ獣如きに易々と負けるはずない」


「なら、俺ッチ達に恐れをなしたか?」


「男爵魔王が城を残して逃げるはずはない!アイツは男気ある奴だ!」




なら、このもぬけの城で何が起きたと言うのだ?


その時、六耳が何かに気付いて黙って目を綴じる。


「どうした?」


「ちょっと待ってくださぃ?うーん」



六尾が耳を澄ますと、この城から俺様達以外の生き物の存在に気付く。



「奥に誰かいます!」


「マジか?何処だ?取り敢えず行ってみる。何か知っているかもしれないしな」


「案内します!」



それにしても六耳の耳は役に立つよな?六耳を先頭に向かった場所は行き止まり?ん?いや?何か違和感があるぞ?



「この壁の向こうから音がしますです!」


「どうやら隠し通路のようだな?」



すると刀剣魔王が刀剣を手に念を籠める。



「斬り裂く!」



刀剣魔王が気合いで振り降ろした刀剣が前方の壁を粉々にし、その先に新たな道が開かれたのだ。



「知っていたのか?」


「否!このような場所に隠し通路があったとは…我にも聞かされてなかったぞ」


「どうやら仲間内に何かあるのか?」


「うむむ…」


「お前が仕えていた黄風魔王とはどんな奴なんだ?」


「我の知る黄風魔王様は…」




刀剣魔王の口より黄風魔王について語られる。


黄風魔王は寿命の短い老妖怪であった。

かつてはこの地を支配し、縄張りとする事で他の魔王の侵略を阻止していた。

魔王としては温厚で配下からだけでなく人間達にも慕われていた。


しかし…


寿命より己の死を悟った黄風魔王は、生への執着から変貌し始める。

不老不死を求め、他の地の不老不死に関する魔王の秘宝を奪うように命じたのだ。

黄風魔王に仕えていた魔王には刀剣魔王、男爵魔王、妖仙魔王に木霊魔王のみであったが、そこに不老不死の実験をしていると噂の錬体魔王を招いた。


黄風魔王は錬体魔王の不老不死の研究に多大な信頼を得た。

失われていたかつての力を取り戻しただけでなく、その老いを食い止め、みるみる若返っていく。まさに全盛期の力を取り戻した黄風魔王は目的を果たし満足し、褒美として錬体魔王に己の全権を与えたのだ。


錬体魔王は己の研究欲求にのみにしか興味を示さなかった。

だが、その研究には獣や人間。

それに配下の妖怪を使う。

まさに悪魔の所業であった。

しかしそんな行為も黄風魔王から信頼されている為、誰も文句は言えなかった。



「………」


「実質、黄風魔王様の軍は錬体魔王の支配下だ。だから錬体魔王さえ始末すれば戦争は終わるだろう」


「やけに簡単にこっち側に寝返ったと思えば、そんな思惑があったとはな?」


「我が主君は黄風魔王様のみ!憎きは錬体魔王のみ!そのためにお前達に手を貸しているのだ!」


その話を聞いていた怪力魔王が刀剣魔王の視線から剛力魔王を隠しながら、



「俺はてっきり姉様に横恋慕したかと思って心配していた」


「それとこれとは別だ!剛力様は我が愛しのマドンナだ!」


「何だと?お前なんかに姉様はやらん!」



と、互いの顔を引っ張りあっていた。


何か複雑な事になっているようだな?


そこに六耳が俺様達を呼ぶ。



「美猴王様!こっちに来てくださいよ~!」


「どうした?」



俺様達が六耳の呼ぶ先に向かった先に、柱に縄で腕を縛られた人間のガキがいた。



「こいつも錬体魔王の実験に使われるために連れて来られたのだろうな」


「どうします?置いて行きますか?それとも食いますか?」



するとガキは奮えて怯えていた。



「助けてやれ?」


「えっ?人間をですか?足手まといですよ!」


「助けてやれ?」


「は…はい」



六耳は俺様に言われて承諾すると、人間のガキを縛っていた縄を爪で切る。そして怪力魔王がガキを背負う。



「お前、運が良かったな?」



ガキは奮えて黙っていた。

確かに足手まといだが、こんな場所に残すわけにも、安全な場所まで誰か一人を戦線離脱させる余裕も暇もない。一緒に連れて行くしかないかな?やっぱ?

俺様達は見付けたガキを連れながら先を進む事にしたのだ。


先は真っ暗な道が続いた。


敵が待ち構えるわけでもなく、罠がある訳でもなかった。



「この先には?」


「恐らく方角的に黄風魔王様の部屋へ続くと思う」



暗闇の通路を出た先には確かに部屋があった。



「どうやら最終決戦のようだな?」






場所は変わる。


ここは黄風魔王の城の中。


黄風魔王は黙して外を見ていた。

そこに慌てて錬体魔王が扉を開けて入って来たのだ。



「はぁ…はぁ…奴等が来る!私のキメラはもういないのか?役立たずが!」



錬体魔王はゆっくりと黄風魔王に近付く。



「黄風魔王!敵が城に入って来る!後はお前が何とかしろ」



黄風魔王は黙っていた。



「何を黙っている?早く向かえ?」


「………」


「お前?私に逆らうつもりか?お前は私に恩があるだろ?」



すると黙っていた錬体魔王が口を開く。



「村を捨てたのか?」


「村?ち…違う!村は私のせいじゃないぞ?奴等が村を滅ぼしたのだ!あの美猴王と呼ばれる魔王によって!」


「そうか…」


「村は残念な事をしたと思う。だからお前は村を滅ぼした憎き美猴王を始末すれば良い?だろ?」



すると黄風魔王が錬体魔王の胸を、その手刀で突き刺したのだ。



「な…何を?」


「私が何も知らぬと思っていたのか?お前が村の人間達を実験に使っていた事はお見通しだ!」


「馬鹿な…人間如きのために…お前は…恩人である私に…逆ら…」




錬体魔王の突き刺された身体が見る見る黒くどす黒く変色していく。

そして猛毒が全身に広がると、粉々になって消滅したのだ。




「お前に恩だと?私をこのような穢らわしい身体にして…だが、この呪われた力を持って…」


『この地上に生きる全ての妖怪を消し去ってやろう!』



黄風魔王が動き出す。


次回予告


宿敵である錬体魔王を殺した黄風魔王。


その事を知らない美猴王の前に現れたのは?

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