妖仙襲撃!獅駝王の危機?
六耳達は怪力魔王と剛力魔王の力を得て、黄風魔王の配下である霊木魔王を倒し、刀剣魔王を仲間にしたのだったが・・・
そこに新たな危機が迫っていた。
俺様は美猴王。
六耳達は怪力魔王と剛力魔王の力を得て、黄風魔王の配下である霊木魔王を倒し、刀剣魔王を仲間にしていた。
だが、この戦いはまだ終わってはいなかった。
妖仙魔王が水廉洞闘賊団の本拠地へと向かっていたのだ。
本拠地には今、傷付いた仲間達と雷我との一騎討ちにて未だ意識が戻らない獅駝王がいた。
「ふふふ他愛もない…」
妖仙魔王は水廉洞闘賊団の本拠地の中を誰にも発見されずに侵入していた。気配なく忍び込み、霧が立ち込め、警備をしていた者達は声を立てる事なく霧に飲まれて消えていく。
「この先にいる獅駄王なる魔王は厄介だ。あの暴食の雷我を仕留めたのだからな…目覚めぬうちに仕留めるが得策」
妖仙魔王の霧がじわじわと、ついに眠っている獅駝王の寝室にまで迫って来ていた。
「私の身体から噴き出す霧は狙った相手の妖気を吸収し、そのまま衰弱させる事が出来るのだ。何もしなくてもあの世逝きだよ」
妖仙魔王の霧は獅駝王の眠っている部屋の中を充満させていく。
物音一つ無かった。
暫くした後、妖仙魔王は部屋の中に入る。
「さて、獅駝王の屍を拝見しましょうかね」
が、妖仙魔王は立ち止まる。
そして気付いたのだ。
眠っているはずの獅駝王が消えて、背後から気配を感じたから。
「まさか私の霧の中で生存出来る者がいるとは!しかも三人も?お前達が獅駝王を先に脱出させたのか?」
すると背後にいた三人の妖怪は妖仙魔王に言葉を返す。
「気配を消していたようだが俺達に妖術は効かんよ?」
「侵入者が近付いて来ているのには直ぐに解った。ですが…」
「私達がいる限り獅駄王様に近付く事は許しません」
その三人は獅駝王直属の獣妖怪だった。
名を…
羊力、虎力、鹿力と言った。
「私の妖術に対抗するだと?身の程知らずの獣風情が!」
その直後、妖仙魔王の身体が霧になり、目の前から消えたのだ。
「消えましたね?」
「消えたな」
「でも、」
三人の妖怪は慌てる事無く状況を会話していたのだ。
その直後、縄に縛られた妖仙魔王が姿を表して落下した。
「なっ?何?どうなって?いや?いつの間に私の身体に縄を??」
身体を縛られ、身動きの取れない状態で床に転がった妖仙魔王は、
何が起きたか理解出来ずに慌てふためいていた。
「お前が入って来た時に入り口に仕掛けておいたのです」
「用意周到が私達の流儀でしてね~」
「まんまとお前は罠にかかったのだ」
妖仙魔王は縄解きの術を行おうとするが術が発動しない。
「馬鹿な?こんな雑魚にこの妖仙魔王が手玉にされるなんて??」
「その縄にはお前の霧と同じく妖気を吸収するのだ!逃げられんぞ?」
「馬鹿な?馬鹿な?馬鹿な?一方的じゃないか?何なんだ?こんな連中が水廉洞闘賊団にいるなんて情報はなかったぞ」
確かに彼らの実力は仲間内でもあまり知られていなかった。
「私達…目立たないから…」
「陰薄いから…」
「出番ないから…」
落ち込む三人だった。
だが、その時に妖仙魔王は噂を思い出す。
仙術を使う妖怪は数多くいる。
だが、その中でも恐るべし妖仙の噂があった。
その者達は妖怪でありながら神仙を学び、不死に近い肉体を得て、更に自然を意のままに操る法術の五行[雷・風・土・炎・水]を極め五雷法の術を会得した三人の妖仙の話。
その者達は数多くの弟子の妖仙達を従え互いに競いあっていた。
実力は現在魔王クラスでも上位に位置するとも言われていたが、ある日を境に消息が途絶えた。
「まさか…お前…いや、貴方達は…あの噂の三大仙でしょうか?」
「ほぉ?私達を知っているのか?」
「そこそこ有名だったからな!俺達~」
「しかし今は裏方ですけどね?」
威張る事もなく当たり前のように素性を明かした三大仙に、妖仙魔王はチビりだす。
この妖仙魔王もまた門下生だったから。
「まさか…あの噂の三大仙が水廉洞闘賊団にいるなんて…無理だ…私なんか敵うはずない…」
突然妖仙魔王は僅かに残った妖力を使い、壁に穴を開けて外に逃げ出すと、縛られたまま呼び出した自らの雲に乗って飛び去ったのだ。
「これは黄風魔王様に報告せねば!戦略的撤退だぁー!」
飛んで行く妖仙魔王を見ていた三大仙は、
「逃がすわけないでしょう」
三仙の周りに気流が発生する。
そして指を交差させながら印を結ぶと
『自然を操る我等三大仙の秘奥技!五雷法の術!』
三大仙の五雷法の術が発動したのだ。
突如豪雨が逃げ行く妖仙魔王に降りかかる。
それは次第に濁流のように妖仙魔王を雲から弾き飛ばし、
突風が吹き荒れ妖仙魔王の身体を拘束しながら巻き上げたのだ。
「うあああ!」
閃光が走った。
上空が曇り出して雷が妖仙魔王に落ちたのだ!
力無く落下する妖仙魔王は、
「…殺される…殺される…逃げ…ねば」
だが、妖仙魔王の頭上に太陽が落下して来る。
いや!巨大な炎の玉が落下して来たのだ。
「うぎゃああああ!」
炎の玉は妖仙魔王を飲み込んで消滅させたのだった。
まさかのダークホースの三大仙の活躍により獅駄王の危機は救われたのだ。
かつて…
三大仙は互いの覇権をかけて、仙山山頂にて睨み合っていた。
「ついにこの日が来ましたね?」
「私がお前達を倒し妖仙最高の座を手にしてやる!」
「それは俺の台詞だ!決着を付けるぞ!」
三大仙は三十日近く山頂にて戦い続けた。
お互いの力量は拮抗していた。
そんな時、三大仙の落とした雷が眠っていた妖怪に直撃し起こしてしまったのだ。
その妖怪は山頂にて飛び回る三大仙にいる所まで飛び上がると、
「えっ?」
「誰?」
「何?」
三大仙を殴って黙らせたのだった。
その日以降、三大仙は自分を倒した妖怪の下僕として仕える事になったのだ。
えっ?
その妖怪が誰かだって?
話の流れで解るよな?
まぁ、一件落着だぜ!
次回予告
まさかの活躍の三大仙は第一部の転生記にて登場しています。
そして、物語は黄風魔王の城へと突入する!




