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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
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一本勝負?剣と拳!

美猴王と蓮華が出会ったその頃、


水蓮洞闘賊団は?



俺様美猴が崖から落下し行方を眩ました後、水蓮洞闘賊団はどうなったかと言うと?



霧に包まれ、動く大木に襲われ次々に仲間達が霧に飲まれて消えていく。


そんな状況下で、



「どうする?どうしたら良い?美猴王様がいない状況で、どうしたら?」



仲間達が大木の弦に身体を持ち上げられ、引き裂かれて消えていく。

六耳は残されたメンバーを引き連れながら、なんとか持ち堪えていた。



「先ず…逃げなきゃ!先ずは立て直さなきゃ!」



六耳は目を綴じて集中すると風の音が聞こえる。



「右前方に抜け道がある?ならば!」



六耳は掌に雷気を籠めると右前方に向けて放つと道が開いていく。


「右方だ!皆ぁ!右に向かって走るんだぁ!!」



その後は、ただやみくもに走った。

一人一人霧に飲まれる中、少数ながら六耳達は逃げ延びた後、生き残った者達で陣地を作り休養を取っていたのだ。

そこで気火猿、水猿、岩猿が反省していた。



「俺達が罠を見落としたから…」


「後悔しても遅いきゃよ」


「美猴王様…」


「美猴王様は生きてるきゃ!」


「何処に?」


「僕らの心のな…」



言い終える前に気火猿が水猿の頭を殴る。



「これからどうする?やはり牛角魔王様が戻るのを待って立て直すキャか?」



そこに六耳が入って来た。



「六耳?もう立って大丈夫なのか?」


「大丈夫!それより先ずは美猴王様を探し出す!」


「何処に?やっぱり崖下キャか?」


「いや、美猴王様はきっと必ず先に向かうはずだ!だから俺っち達は先を進む!」



そして六耳と三猿、それに残った水蓮洞闘賊団達は先を進む事にした。

だが、あの霧に再び道を塞がれたらどうしようもない。


どうするつもりなのだ?


「何とかなる!」



が、何とかならなかった。


六耳達は再び霧に道を塞がれ身動き出来なくなったのだ。

泣きそうな六耳に他の三猿達も慌てるだけだった。

霧が深くなり、とうとう前後に誰がいるか解らなくなる程視界を奪われたその時だった。

突如、後方から凄まじい暴風が巻き起こり、霧を巻き上げ消し去ったのだ。


「美猴王様?」


違う。背後に見える人影は二つ。

その一人が拳から放った拳圧で風を巻き起こし、霧を消し去ったのだ。

そこにいたのは剛力魔王と怪力魔王の二人だった。

二人は雷我との戦いで傷を負っていたのだが、その驚異的な再生力で戦線復帰したのだ。



「剛力魔王に怪力魔王!」


「…様を付けろよな?」



これは六耳達にとっては強力な救援だった。

窮地を逃れた六耳達を霧の中から見ていたのは黄風魔王の配下である霊木魔王、刀剣魔王、幻仙魔王の三魔王であった。



「残党がまだ残っているようだぞ?」


「小細工は必要ない!雑魚は我が直接始末すれば良い」


「なら、ここはお前達に任せるとしよう。私は奴等の後方部隊を全滅させて来ようぞ」




すると幻仙魔王は二人の魔王の前から姿が消えたのだ。



「ならば我等は目の前の敵を殲滅する!」


「先ずは私の傀儡人形に働いて貰いましょうかね」




すると六耳達を囲んでいた森の木が形を変えて、化け物となって襲い掛かって来たのだ。


「ウッ木ぃー??」



弦が伸び足に絡み付き、枝先が鋭利な槍と化して伸びて来る。


「発火炎上」



気化猿の口から吐き出された炎が枝の槍を消滅させていく。



「ナイス!今度は俺ッチも!」



六耳が雷の爪を出して、足下のつるを切り裂く。

仲間達も襲撃に対して自らの力で脱出していった。



「そろそろ俺の出番だな」



怪力魔王は襲い掛かる大木に抱き付くと、一気に引っこ抜く。そして力任せに振り回す。

次々と倒れていく大木、そして最後に残っていたのは頭が木の妖怪だった。



「私の森をよくも見すぼらしくしてくれたな。だが、まだお前達は籠の中だぞ!」


「何だと!?」



すると大地が揺れだし、足下から根が盛り上がってきて六耳達を閉じ込めたのだ。六耳達は抜け出そうとするがびくともしなかった。



「無駄だ!私の妖気を練った大木樹林の檻は絶対に抜け出せはしないぞ?」


「フン!」



が、怪力魔王は檻を力任せに壊していた。

抜け穴からぞろぞろと仲間達が檻から抜け出て行く六耳達を見て、


「お邪魔しました~」


「馬鹿な?馬鹿な?馬鹿な?何て馬鹿力なんだ?」



そして怪力魔王のみが残り、


「さて、お前が道を塞ぐ元凶だったようだな?」



怪力魔王は拳を鳴らしていた。



「この馬鹿力野郎!」



再び怪力魔王の身体に弦や根が巻き付いて来るが、怪力魔王は構わずに霊木魔王に一歩一歩近付いて行く。そして霊木魔王の顔面を掴むと、メリメリと握力で握り潰したのだ。


「うぎゃああ…あぁぁ」



霊木魔王は身体から妖気を噴き出しながら生き絶えたのだ。



「さてと先に向かうか」


「えっ?あ…はい」




六耳は怪力魔王の強さにビビっていた。



「…こんな奴を倒した美猴王様はやはり凄いキャ!」



が、突如周りから悲鳴が聞こえて来たのだ。


「今度は何だよ!」



見ると、仲間達が何者かに一刀両断にされて、消滅していたのだ。



「動きが速すぎて解らないキャ!」



そこに岩猿の頭上から剣が降って来たのだ。


「ふぎゃあああ!」


「危ないキャアー!」



咄嗟に動いた六耳は岩猿を抱えながら助ける。



「ほぉ?よく我の剣を躱したな?褒めてやろう」


「当たり前だ!そんな動……」



しかし岩猿と助けた六耳の身体から血が噴き出して、膝をつき倒れる。



「躱したと思ったのに?斬られていたのキャ?くぅそー!!」



六耳は足と腕の腱を斬られて動けなかったのだ。

そしてその前に新たな魔王が姿を現した。



「我の名は刀剣魔王!我が剣に死角無し!」



斬られた岩猿と六耳を庇うように気化猿と水猿が震えながら守る。



「水廉洞闘賊団は全て滅する。覚悟せよ?」



が、猿達の後ろから妖気の拳圧が飛んで来て、刀剣魔王の足下を粉々にしたのだ。



「お前の相手はこの怪力魔王が相手になってやるよ」


「怪力魔王?確か眼力魔王配下の魔王だったよな?それが何故、我の邪魔立てする?」


「俺はここのボスに恩義がある!恩義のためにお前と戦う。それが理由!」


「仁義か?成る程。ならばお前を我の戦う敵と見なそう」




刀剣魔王と怪力魔王の妖気が膨れ上がり、大地が揺れ始める。

この場にいる者達は、改めて魔王同士の戦いに震えていた。



「すげぇ…これが魔王と魔王の闘いきゃ…」




怪力魔王は己の両拳をぶつけ、己の胸を叩き出すと妖気が攻撃的になる。

そして拳に妖気を凝縮させた黒い手甲が出来上がった。


「拳闘手甲・手動拳!」



刀剣魔王もまた己の剣に妖気を籠めると剣が十刀に分かれて宙に浮く。



「剣技・散巧分剣!」

※サンコウブンケン



刀剣魔王の降り下ろす剣に従うように宙に浮いた九本の剣が動き出して、怪力魔王に向かっていく。


「うおぅりゃ!」



怪力魔王は飛んで来た剣の側面を狙って殴り一本一本落として行く。そして刀剣魔王に向かって駆け出すと、渾身の拳で殴りつけたのだ。


「惜しかったな?」




だが、怪力魔王は止まっていた。

殴り落としたはずの剣が再び浮かび上がり、背後から怪力魔王の背中を貫いたのだ。そして瞬く間に他の剣も怪力魔王の身体を串刺しにした。


「怪力魔王ー!!」



六耳の声も虚しく怪力魔王は動かなかった。



王「拳では剣には及ばん。それが道理!お前は戦う前にして負けていたのだ!」



が、刀剣魔王は一瞬寒気が走り、直ぐにその場から背後に飛び上がる。


「!!」



直後、刀剣魔王のいた場所がめり込むように沈んだのだ。


「貴様…ただでは死なんと見える」



刀剣魔王の視線の先には怪力魔王が剣に串刺しにされながら大量の血を流しつつも、戦う眼光で睨み付けていた。



「俺は…負けん…美猴王の奴が来るまでは…この水廉洞闘賊団を…守りきってみせるぞ」


「凄まじい執念だ!だが、我もまた最強の剣豪を試みる身。負ける事は許さん!」



刀剣魔王は再び幾つも剣を出現させると、怪力魔王に向かって降り下ろす。


「そんな鈍らの剣で俺は殺せん!」



怪力魔王の筋肉が盛り上がり、串刺した剣が一本一本落ちていく。そして筋肉が傷を塞いだのだ。同時に身体が真っ黒く変色していく。


「剛理羅ぁー!」



今度は怪力魔王の拳の覇気が刀剣魔王の飛ばした剣を弾き、その拳圧が刀剣魔王に直撃して胸に拳の痕がめり込む。


「うごっ!」


刀剣魔王は口から血を吐き膝をつき、よろめく。


「馬鹿な…拳で我の剣を打ち落としただけでなく、我に傷を負わせるなんて…」



怪力魔王が刀剣魔王に向かって言った。



「本気の戦いに幾つもの剣に頼るお前に、俺の魂の籠った拳は負けはせん!」


「!!」



その言葉に刀剣魔王の口元が笑むと、



「なるほど…なら、今度は我の魂を籠めた一刀にて貴殿にお相手しよう」


「どうやら…お前も本気のようだな?ならば俺も俺の出せる全てをもって相手しよう」




怪力魔王も刀剣魔王も相手を認め合っていた。


そして最期になるかもしれない好敵手を前にして…


互いの拳と剣に全力の覇気を籠める。



「カッ!」


二人は同時に動いた。



「剛利羅拳」

※ごりらけん


「一使定通高剣」

※いちしていこうつうけん


お互いの覇気の籠めた最大奥義がぶつかり…


「あっ…」



怪力魔王と刀剣魔王が衝突する寸前、その二人の間に割って入る者がいたのだ。

そいつは怪力魔王の拳を片手で受け止め、刀剣魔王の剣をもう片手で掴んで止めたのだ。

そんで二人を地面に叩き付け戦いを納めた。


ソイツとは剛力魔王!!



頭を擦りながら怪力が剛力魔王に、


「姉様?何で止めるの??」


「………」


「えっ?無駄死には許さないって?」



剛力魔王は頷く。


って、何故に会話が通じるのか不思議である。



「しかしですね~決着付けないとお互いに引くに引けないと言うか…えっと…」



怪力魔王は剛力魔王には逆らえないらしい。



「あっ!ほら?刀剣魔王の方もやる気になっている事ですし~」



すると、目を丸くしていた刀剣魔王は言った。



「その者は何者だ?我の渾身の一撃を片手で??」


「ん?あ…俺の姉様の剛力魔王だ!」


「剛力魔王?剛力魔王って…あの眼力魔王の配下のか?」


「あぁ!」



そう言えば剛力魔王は眼力魔王の所にいた時は大柄な鎧を纏っていたっけ?

刀剣魔王が今の姿を知らないのも無理はなかった。



「とにかく!姉様!俺と刀剣魔王は決着を付けないといけないのです!だから止めないでください!だろ?刀剣魔王?」



すると…


「何を言っているのだね?怪力君?剛力魔王さんが止めろと言ったら止めなきゃいかんだろ?」


「はい?」



怪力君?剛力魔王さん?

茫然とする怪力魔王は目が点になっていた。

意味が分からない。

何より、先ほどまで命の取り合いしていたはずなのに?



「あはは!まさかこんな美しくお強い方がこの世にいるなんて!いや?世の中狭いですな?もしかしたら、これもご縁ですかね?剛力魔王さん?」



怪力魔王は察した。


刀剣魔王は剛力魔王に一目惚れしやがったのだと…




「今より我、刀剣魔王は黄風魔王の軍を脱退し、水廉洞闘賊団に入団します!以後、お見知りおきお願いします!」



その場にいた全員が目が点になった…


そして水廉洞闘賊団に新たに刀剣魔王が加わったのだった。

次回予告


さらに同時刻、幻仙魔王の手が、


未だに目覚めぬ獅駝王に迫っていた。

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