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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
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激闘!獣神変化!!

雷我と獅駝王の一騎打ち


勝つのはどっちだ!!



俺様は美猴王!


獅駝王と雷我の壮絶バトルを見ていた俺様は信じられない言葉を耳にした。

今までだけでも脅威的な力を見せていた雷我が、まだ力を隠していたなんて。

嘘だろ??


しかも奴は唱えた…


『獣神変化唯我独尊』


雷我の身体が白く発光すると、奴の身体から何かが抜け出したのだ。

それは大虎と獅子の魂だった。二匹の獣は雷我の身体から一度抜け出すと、再び雷我の肉体へと戻ったのだ。何が起きたのだ?


「!!」



雷我から今までよりも数十倍以上の力を感じる??

雷我の姿は獅子と大虎を合わせ、模したような鎧が纏われていた。



獣神変化…


獣王変化とは違う?

獣王変化よりも更に上の変化だと言うのか?



「冥土の土産に教えてやろう?俺の獣神変化は獣王変化を更に極めた究極変化だ!」



それは獣王変化の過程で獣の力のみ限界にまで引き上げた後、その膨大な力を掌握して自らの力とする変化。だが、それは簡単な事ではなかった。

野生の力に飲み込まれれば俺様のように意識を奪われ、力尽きるまで暴れ回る獣と化してしまうのだ。更に獣王変化でもそうだったが、肉体への負荷が激しい。きっと獣王変化の数十倍?下手をすれば肉体が力に付いて来れずに木端微塵になるかもしれないのだ。そのためには耐えられるだけの研ぎ澄まされた精神力と強靭的な肉体が必要なのだ。




大虎と獅子の鎧を纏った雷牙は、既に別次元の強さだった。

この俺様が立っている事も出来ずに膝を付かされるなんて、もう次元が違う。

だが、そんな化け物と戦っている張本人の獅駝王は益々楽しそうにしているじゃんか?


馬鹿だから?


馬鹿だから?


だが、今はその馬鹿が頼もしく思えるぜ!



「ウォオオオオオ!俺俺!こんな嬉しい気分は初めてだぁああ!」


「嬉しいだと?」


「お前を倒して俺俺が最強!俺俺最強伝説の始まりだぁおおおお!」


「ならば向かって来るが良い。この姿の俺は今までとは別物だと教えてやろう?」



獅駝王は無鉄砲に雷我に襲い掛かって行った。

が、その直後、凄まじい轟音と閃光が走る。

雷我の身体から放たれた雷が獅駝王の身体を貫いたのだ。

獅駝王は雷の衝撃のショックで痙攣しつつ動けないでいた。

しかも雷は生き物のように獅駝王の身体を貫いたまま上空に吊し上げていく。



「これまでのようだな?だが、俺に僅かでも本気を見させただけでも褒めてやろう。さぁ?俺の手でこの宴の如き戦いに終止符をつけてやろう!」



雷我の両掌に雷気が集まっていく。

そして両手を組むと雷我の前に巨大な雷の玉が出来上がったのだ。

そして口を開くと、耳が裂ける程の咆哮が放たれた。

雷我の咆哮は雷の玉を貫きながら雷を帯びた雷の槍となって宙吊りの獅駝王へと一直線に向かっていく。放たれた雷の槍は空中に宙吊りにされた獅駝王の身体を貫き、その雷の槍は天にまで飛んでいき雲を裂いて轟音と閃光が一帯を覆ったのだ。


「獅駝王ー!!」


胸に風穴を開け丸焦げになった獅駝王が落下し地面に落ちた。

そして雷我が勝利の雄叫びをあげたのだ。



「ウゴォオオオオ!」



雄叫びの振動は大地を震わせた。


そして俺様をも奮えさせた…


恐怖?


違う!怒りだぁ!



「俺様の義弟によくもやってくれたなぁー!」



俺様の叫びに気付いた雷我が振り向く。

それは今まで眼中になかったような顔付きだった。



「今まで震えて動けないでいた弱者が吠えるか?ならばお前も俺に向かって来れば良い?そしたらお前も直ぐに八つ裂きにしてやろう!」


「やれるもんならやってみやがれぇー!」



俺様は恐怖で動かぬ足を強引に動かし、拳を握る。


大丈夫…


何とか動かせる!


傷付いた俺様の腕は半分程度再生していたが、まだ本調子じゃなかった。


殴れて二発か?


勝算?なかった。


だが、義弟を殺されて黙っている程、俺様は行儀良い猿じゃねぇんだよ!



「今度の相手はこの俺様ぁ…」



言い終える前に、俺様の肩に何者かが腕を乗せたのだ。


重くて力強い手だった。


この手は?まさか?



「そいつは俺俺が相手するって言っただろ?なぁ?美猴兄貴よ?」




俺様が振り向いた先には敗れたはずの獅駝王が血だらけの姿で立っていたのだ。

獅駝王は俺様を押し退けて、雷我に向かって行く。



「おぃ!ま…」


待て!と言いたかったが、俺様は止まった。

獅駄王はまだこの戦いを楽しんでいやがる。

この狂気にも似た獅駝王に俺様は悔しくも…憧れてしまったのだ。


だが、獅駝王の身体はもう限界のはず?

むしろ死ぬレベルだぞ?

生きている事にすら奇跡なのに動いて戦えるはずないのだ。


それなのに…それなのに…


どうして?


こんなに期待するほど、

お前の妖気が異常なまでに高まっているんだよ!!

獅駝王の溢れる程の妖気が傷付いた身体をみるみる再生していく。

焼け焦げた身体が?貫かれた胸が消えていく。


こいつは…


「不死身か!?」


不死身の化け物の戦闘オタクの獅駝王に、優先的だったはずの雷我の方が焦りを感じ始めていたのだ。だが、それだけではなかったのだ。驚かされたのは!



「もっと強さを…もっと戦える力を…もっともっと!俺俺に強さをぉおおおおおお!」



雄叫びと同時に獅駝王の身体が光り輝いたのだ。

しかもそれは…同じだった!

獅駝王の身体から白光りする巨大な獅子が抜け出して、再び獅駝王の身体へと戻った。

強烈な閃光に視界を奪われ、再び見た獅駝王の姿は…



『獣神変化唯我独尊!』



金色の獅子の鎧を纏った獅駝王の姿だった。

間違いない!獅駝王は雷我と同じく獣神変化をやってくれちゃったのだ!




「何処までも俺を楽しませるのだ?良かろう!俺はお前を戦士として認め、命をかけて戦おうぞ!」


「それでも俺俺が勝つ!俺俺最強だから!」



お互いが同時に消えた?

俺様の動体視力ではもう捉えきれない速さで戦っている。

拳と拳がぶつかり合う音が響き渡り、蹴りと蹴りに、雷が大地を削り、覇気が震わせた。

完全に俺様の出る幕はなかった。

むしろ足手まといに違いない。

だが、そんな事よりも俺様は獅駝王と雷牙の戦いから目を離せないでいた。


獣神変化と獣神変化の戦いは俺様の心を揺さぶった…


いつか必ず俺様もあの境地に追い付き、追い越してやるぜ!


「!!」


雷我は驚きつつ獅駝王との戦いを楽しんでいた。

獣神変化の事だけじゃない。受け身防戦で、攻撃を受ける度に傷を負っていた獅駝王が、戦いの最中で更に強くなっているのだ。


「ウグゥワアア!」



拳の衝突が互いを弾き、繰り出す連打に全てが互角になっていた。


「雷の獣撃!」



獅子と大虎の雷が獅駝王に襲い掛かる。

獅子の雷が獅駝王の首に噛み付き、左足を雷の大虎が噛み付いた。

雷の衝撃が獅駝王を襲うが、構わず雷我に向かって一歩一歩近付いて来る。


「ウグルルル」



獅駝王の妖気は更に上がっていく。

目の前の強敵主に引っ張られるかのように…


『雷撃の拳』



雷我の雷を纏った拳が向かって来る獅駄王の身体に直撃するが、ふらつきはするものの獅駝王の足は止まらなかった。


そして、


「俺俺最強うぐるぁああ!」



獅駝王の妖気の拳が雷牙の腹部に直撃した。

受けた衝撃に息が出来ずに後退する雷我に獅駝王の追撃が迫る。

雷我の顔面を掴み、そのまま地面に叩き付けたのだ。


「もう一発!」


だが、獅駝王の振り上げた拳に向かって雷我の雷の咆哮が放たれる。

黒焦げになる獅駝王の腕…


「!!」


のまま、雷我の顔面を殴り付けたのだ。

次第に戦局が獅駝王へと傾きはじめていた。



「お…お前は痛みを感じないのか?」


「あぅ?痛み?」



獅駝王は痛みよりも強者との戦いに酔いしれ、痛みが麻痺していた。



「もっともっと俺俺と楽しもうぞぉおおお!」


「とんだ化け物だ…こんな奴がいたなんて…こんな奴が…」



雷我は殴られながら獅駝王を見る。

雷我は寒気を感じる。

それに冷や汗?

己の野生の本能が目の前の獅駝王に感じた事のない感情が湧き上がる。


「ありえん!」



雷我は己の身に起きてる感情を振り払うように頭を振る。



「たとえ不死身のお前でも首を落とせば立ってはいられまい」



雷我は獅駝王を蹴り上げた後、再び雷気を高める。

次の一撃で決めるつもりなのだ。



「俺俺はお前を倒して最強伝説作るぞ!」



獅駝王もまた限界を超えて妖気が高まっていく。

俺様は唾を飲み込んだ。

たとえどちらが勝とうとも俺様は最後まで見届けるからな!


二人は同時に動いた。


雷気と妖気がぶつかり合う中、互いに相手を目指して妖気の渦で突進する。

そして、ぶつかり合った。


雷我の突き出した雷の爪が獅駝王の喉元に触れると、


『オゥギャアア!』


獅駝王の拳が雷我の爪を払いのけ、その勢いのまま雷我の胸を貫く。

雷我の鎧が砕かれ、中から血が噴き出した。

同時に獣神変化が解けた状態で、獅駝王の胸にもたれるように倒れたのだ。



「ぐはぁ…」


雷我は獅駝王の胸の中で震えていた。



「俺俺の勝ちだな?俺俺、最強だな?」


「お前の…勝ちだ…文句は…ない」




か…勝った…のか?


あの獅駝王の奴が雷我を倒しやがったぁあああ!!


すると雷我は突然笑い始めたのだ。


負けて、死を前にして気でも狂ったか?


だが、雷我は獅駝王に言った。



「俺は嬉しいぞ?お前みたいな…強者と戦えた事を!俺は…嬉しい…」


「負けて嬉しいのか?変な奴だな?」


「ふふふ…なぁ?俺に勝ったお前に…頼みたい事が…あるんだが」


「はぁ?俺俺に何かくれるのか?くれるなら貰うぞ?俺俺?」


「それを聞いて安心したぞ!」



すると突然、雷我の身体が発光し始める。


一体、何が??


まだ、何か仕掛けるつもりなのか?


雷我の身体は宙に浮かぶと、自らの身体に雷が落ちる。すると雷我の身体は雷に打たれて消滅し、白いモヤモヤ[魂]が抜け出して来て、獅駝王の身体の中へと入って行ったのだ??



「な…何だ?おっ?おっ?おっ?お…」



雷我の魂が獅駝王の身体に入ったと同時に、今度は獅駝王が白目を向いてぶっ倒れたのだ。


「獅駝ぁあああ!」


一体、何が起きたと言うのだ?

獅駝王の身に何が?

雷我は最期に何をしたのだ?



俺様の声は、荒れ果て静まり返った戦場に響いたのだ。


次回予告


雷獣王・暴食の雷我を倒した水廉洞闘賊団は、更なる戦いの地へと侵攻した。


新たな戦いが美猴王を待ち構える!

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