雷獣紅蓮団の襲撃!最凶最悪の牙!?
水廉洞闘族団の戦力の増加!
新たな魔王軍の地への進軍!
だが、既に動いている者が?
おぅ!俺様は美猴王だ!
軍を去った蛟魔王の手紙に従い、更なる軍の戦力アップのために新たな仲間の魔王を仲間に引き入れる事にした。その魔王を率いるために牛角魔王、蚩尤、炎狼、氷狼は別動隊として、その魔王の住まう地へと向かう事になったのだ。
「じゃあ、頼むな?牛角」
「おう!お前も軍を任せるぞ」
「任せろやい!」
俺様と牛角魔王は握手すると、先に牛角魔王は旅立って行ったのだ。
さて、俺様率いる本隊はと言うと?
俺様達本隊は次に進軍する魔王の地である八百里黄風嶺山へ向かう準備をしていた。
そこには一桁魔王ナンバーの一角であり、五行魔王の一人である黄風魔王の支配する地。
さて、牛角魔王と戻って来る迄に、黄風魔王の城を落としておいてやるからな?
それに離脱した蛟魔王…
お前も必ず戻って来いよ!
大所帯となった水廉洞闘族団は眼力魔王の軍をも取り込み、今や数十万の大軍だった。怖い者などありはしない。絶景とも言える仲間達の大移動が始まれば、草木も残るまい。
俺様達は牛角魔王から遅れて明朝とともに出発する事にしたのだ。
その1日の遅れが、この後の厄災いを待ってしまう事になろうとは思いもよらなかった。
明朝、騒がしい物音で俺様は目を覚ます。
「騒がしいな?何事だ?」
俺様がテントを出ると、仲間達が既に外に集まっていたのだ。俺様は何が起きているか知るために声のする場所に出向くと…
「何が起きてる?」
すると、俺様を呼びに来た六耳が俺様に状況を伝える。
「美猴王様!大変だっち!今朝に突然、奇襲があったんですよ!」
「奇襲だと?」
馬鹿な…
この数十万の水廉洞闘族団に奇襲をかけるなんて、馬鹿げてやがる!
「どんな馬鹿野郎だ?数は?」
俺様は大軍を予想したが、
「恐らく…百人ほどの盗賊団です…」
はっ?そんな馬鹿な?
そして六耳は震えながら答えたのだ。
「間違いないっす…あいつらは」
『雷獣紅蓮団です!』
雷獣紅蓮団?
確か、百人ほどの雷属性の連中で組織された闘賊団だったよな?
だが、それよりも脅威なのは…
その闘族団のボスが五行四魔王の一角なのだ。
雷獣王・暴食の雷我なのだ!
それを聞いた俺様は慌てて戦場から見える奴らの姿を見た。
そこには既に何万とも解らない仲間達が血を流し倒れていたのだ。
「そんな?僅か百人でマジに喧嘩を吹っ掛けて来たのかよ?」
だが、更に俺様は驚く事になる。
奴らの真ん中に、剛力魔王と怪力魔王が血を流し、奴らのボスであろう者の足下で倒れていた。…既に尋常じゃない妖気で解る。野郎が雷獣王雷我だな!
「剛力魔王と怪力魔王は先に戦いを挑んだのですが…あの野郎!化け物ですよ?兄貴ぃ!強すぎますよ!」
一桁ナンバーの魔王は他の魔王とは次元が違うとは聞いていたが、あの剛力魔王と怪力魔王が傷一つ付けられなかったと言うのか?
俺様は身震いした。
が、仲間達を目の前でやられて黙っているほど俺様も優しくねぇぜ?
「てめぇ?俺様の仲間によくも手を出してくれたな?こっち来て俺様と戦えやぁ!」
すると、雷獣王雷我は現れた首領の俺様を見て言った。
「お前がここのボスか?」
「いかにも、俺様がボスだぜ!」
「チッ!この程度か?腕に自信があると言うから試しに足下に転がってる連中と遊んでみたが、くそ弱かったぜ?つまらんな!お前も口だけのようだな?」
カチン!と、来た。
「だったら、俺様がお前をぶちのめしてやんよ?そんで、今度は俺様が俺様を足下に転がせてやるぜ!」
雷獣王雷我はつまらなそうに、顎で合図をする。
すると、雷獣紅蓮団の配下が二人前に出て、俺様に攻撃を仕掛けて来たのだ。
「速い!!」
二人は雷の気を纏っていた。
その動きは一瞬で俺様の間合いに入り込み、刃を突き付けてきた。
しかし俺様の拳が目の前の奴の顔面にカウンターを決め、更に背後に現れた奴を同じ拳を戻しつつ裏拳を当てたのだ。俺様の足下に倒れる雷獣紅蓮団の部下。
「ほぉ~?少しはやるようだな?なら、今度は…」
すると、今度は狼の毛皮を被った野郎が前に出て来たのだ。
「つまらない雑魚なんか出さずに、親玉が出て来いよ?なぁ?」
だが、雷我は見下ろすように無視をし、狼の毛皮を被った奴が答える。
「俺の名は雷狼!ここの副隊長だ。ボスはお前に興味はないんだとよ?だからお前の首は俺が貰ってやるよ!」
「はぁ~?雑魚が俺様を?ナメるなよ?コラァ!」
そこに俺様の前に割って入る者がいた。
「こんな野郎は俺ッチに任せてくだせぃ?美猴王様はそこで高みの見物してくれッチ!」
「六耳?任せて大丈夫か?」
「もちろん!」
六耳…
この数日でかなりレベルを上げているのは解るが、あの雷狼って野郎も自分で雑魚とは言ったものの、かなり出来るぞ?
だが、俺様は六耳にかけてみたくなったのだ。
「雑魚がしゃしゃり出て早死にしたいか?馬鹿め!お前は俺の姿を見る事もなくお陀仏だ!」
雷狼の身体が雷を帯びて、その身体が宙に浮いたと同時に目の前から消えた。
その動きは俺様の動体視力からも捕らえられなかったのだ。
六耳!!
その瞬間、蹴り飛ばされ吹っ飛ばされたのだ…
雷狼の方が??
見ると、蹴ったのは六耳の方だった。
その身体は雷を帯びて、その動きは雷狼を捕らえた。
「美猴王様の一番弟子の六耳!今こそ美猴王様の目の前でカッコいい所をお見せしますッチ!」
話には聞いていた。
あの首狩魔王を倒したのが六耳だと。
そして雷の力を覚醒させ、仲間達を救ったのだと。
あはは…
六耳!よし!やってみろ!
俺様にお前のカッコいい晴れ姿を見せてみろよ。
蹴り飛ばされた雷狼は状況が解らないでいたが、自分が雑魚だと見下した六耳に蹴り飛ばされたと気付き逆上し怒りをみせる。
「許さねぇー!」
直後、雷狼と六耳が視界から消えた。
二人は超スピードで攻撃をしあっていたのだ。
この状況を見ていられるのは、雷獣王雷我とこの俺様だけかもしれない。
俺様もまた次第に二人の動きに動体視力が追い付いて来ていた。
俺様はやれば出来る猿だからな?
それにしても六耳の奴、強くなったなぁ~
なんか嬉しく感じるぜ~
俺様、父親気分だ。
二人の力は拮抗していた。
正に一瞬の油断が勝敗を決めるに違いない。
六耳の晴れ姿!この戦いは俺様が目に焼き付けてやるからな。
だが、その時大地が揺れたのだ。
凄まじい覇気が辺り一帯を覆い、その雷の咆哮が戦っている六耳だけでなく、雷狼を直撃した。二人は身体中に火傷を負って落下していた。
「六耳ィー!」
俺様は直ぐ様、六耳に駆け寄り抱き起こす。
「大丈夫か?」
「俺ッチ…」
「何も言うな!お前は滅茶苦茶、格好よかった!だから、今は休め」
六耳は涙を流して気を失った。
俺様は直ぐ様、仲間に六耳を頼み治療を施すように命令した。
今のは…そう。
雷獣王雷我が二人の戦いの最中、二人目掛け仲間の雷狼ごと六耳に雷の咆哮を放ったのだ。
「てめぇ?何のつもりだぁ?コラァ!男と男の決闘に何してんだ」
「つまらんな?そんな弱々しい物を見せ付けられたら欠伸しか出んわ」
俺様は怒り、雷獣王雷我に向かって飛び掛かる。俺様は雷我に向かって無数の拳を放つが、雷我は上半身のみで俺様の攻撃を躱す。
当たらない?
「欠伸が出るわ!」
再び雷我の雷の咆哮が俺様に放たれる。それは直撃かと思われた…が、俺様は両手に妖気を籠めて交差させガードした。それでも俺様は吹き飛ばされてしまった。
「ほぉ~?今ので死ななかったか?」
俺様はガードした状態で立っていたのだ。
「当たり前だ!本当の勝負は…これから…だぜ!」
が、今の攻撃で仕留められなかった事に、多少なりとプライドを傷付けられた雷我が間合いに入り込み、目の前にまで迫って来た。
その指先は雷の剣のように鋭く、引き裂かれれば人たまりもないだろう。
俺様は微動だに出来ない状態で身動き一つしていない。
それは雷我の動きに動体視力が付いていっても身体が反応が追い付けていなかったから。
更に、先程の攻撃が予想以上に俺様の身体にダメージを与えていたから。
(ヤバッ…ヤられる!)
しかし、雷我の爪が俺様の眼前で止まった。
何が起きた?
そして雷我もまた目の前の状況に驚きを隠せないようであった。
「!!」
俺様はそこで気付く。
雷我の爪が俺様に触れるよりも先に、何者かによって腕を掴まれて止められている事に。
そして、声が?
「なぁ?美猴の兄貴よ?こいつ強そうだな?兄貴の代わりに俺俺が相手しても良いか?なぁ?」
それは今の今まで寝ていやがった獅駝王だった。
次回予告
最凶最悪の妖魔王
雷獣王・暴食の雷我の前に、獅駄王が挑む!
その圧倒的な力はまさに暴力!




