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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
353/424

猿はどうなった?過去の夢?聖天大聖の称号!

戦場で放たれた矢は、美猿王に向けて飛んで行く


その生死は?


あっ…


突然、話の割り込みスンマセンです。

俺、独角鬼王ッス!


今回は俺の昔話を語らせていただきますぜ?


俺はそもそも魔王成り立てのルーキーだったのを、美猴王様に敗北して魔王の座を譲渡したのはご存知だと思うが、同時に『聖天大聖』なる称号をも譲渡したのを覚えてますかい?


『聖天大聖』



この称号はある武神から譲渡された由緒ある[?]称号なのだが、美猴王様は…


『なぁんだぁと~~!』



美猴王様は激怒し憤慨し、俺を呼び付けるなり殴りつける。



「痛いっすよ~!何をすんですかい?」


「てめぇ~!知っていて俺様を馬鹿にしてたのかぁ!?」


「はっ?」



聞くに、美猴王様が新しい魔王になった事で、天界からの使いである武神が魔王昇格の儀式の使者として現れた時の話。

そこで美猴王様は武神に向かって己の名を自慢気に紹介したのです。



『俺様は聖天大聖・美猴王様であるぞぉ!』



それを聞いて、使者の武神達は顔を見合せて笑いながら噂話をしたのだそうだ。



「なぁ?聖天大聖ってあれだろ?特に役職もなく、いつもブラブラダラダラと遊んでいるだけの?まさに窓際族ってやつ?」



それを聞いた美猴王様は怒りに怒り、天界からの使者をボコボコにし、更に俺の頭を殴りつけ、聖天大聖の称号を返上したんす。


はぁ~~

聖天大聖の称号かぁ…



俺は殴られて目を回しながら気絶し、その時に過去の夢を見たのでした。

俺が聖天大聖の称号を手に入れたのは、まだ俺が魔王になる前。

つまり親父が前魔王だった頃の話。


いや、親父は…

俺の親父は殺された…



相手は当時、最強の大王と呼ばれていた野郎だった。

俺は一人父親の仇を取るためにと、そいつを追っていたんす。



「親父の仇だ!絶対に俺の手で…」



魔王を倒した大王は代わりに魔王になるのだが、それは前魔王を倒してから三日後に天界からの使者に魔王譲渡を認めて貰うと決められていた。そいつが魔王の称号を手に入れたら、新たな土地だけでなく部下がわんさか募って来て簡単には手出し出来なくなる。

その前にソイツを始末しなければ…


俺は物陰に隠れ、奴のアジト[豪華な屋敷]の前にて偵察をしていた。

どうやら部下は一人もいないようだった。

好都合だ!


ちなみに当時の俺は独角鬼と呼ばれていたんす。

俺は情報収集をしながらチャンスを窺がっていた。

そんな時、俺はあの男と出会ったのだ…。


「ヒィイ!」


覗き込んでいた俺を目撃した何者かが悲鳴をあげる。

無理もあるまい。

一本角の三メートル近くある俺を見て恐怖したのだろう。

俺はヤバいと男に掴み掛かり口を塞いだ。


「!!」


「ムガムガ」



そいつは身なりとオーラから天界の武神?らしき男だった。そもそも下界の妖怪は天界の住人には逆らわないのが鉄則。下手に殺しては自分が天界から討伐されてしまうのだ。



「お前何者だ?何をしにここへ?」


そこで俺は気付いた。

まさか親父を殺した野郎に魔王の称号を与えるために現れた天界からの使者なのか?


ヤバい…

間に合わなかったのか?


だが、男は言った。

天界より地上の妖怪を一人討伐に来たのだと…


その相手は最近天界より神堕ちした妖怪で、その際に『タリムア』なる天の禁薬を持ち出し地上へとやって来たのだと言う。

どうもそいつが俺の親父を殺した大王と同一なる輩なのだと理解した。



「俺はそいつを始末しに来た!悪いが邪魔はしないでくれないか?」



すると天界の男は言った。


「いやぁ~私にもお仕事しなきゃいけない訳で~いや?楽するのは決して不満じゃないのですが…貴方だけに任せてしまうのも申し訳なく…ねぇ~?」



天界男はヘラヘラとした口調で説明しながら俺を見ていた。まるで俺では返り討ちにあうから無理だと言っているようにも思えた。

正直、この軟弱そうな天界男に何が出来る?と思えたが、下手に逆らわない方が良いと判断し、仕方なく天界の討伐者と共に行動する事にした。



「どうやら中にいる妖怪は禁薬を飲み、特殊な力を使えるようになったようなんですよ~」


「あ~ん?特殊な力だぁ?」



その特殊な力とは『気』を自在に使うのらしい。


「はっ?気を使うなんて、そこそこ妖気を使えれば出来て当たり前だろ?俺だって気を使えるぞ?」


「気を使えるってのは他者から気を奪い、己の力にする能力。私達が近付いた地点で力を奪われ戦闘不能になるのです」



そもそもタリムアなる薬は人格を崩壊させて、一時的に強靭なる力を手に入れる禁薬らしいのだが、その者はこれまた特殊な体質で意識を保ったまま能力を手に入れたのらしい。



「そんな奴相手にどうやって戦うと言うんだ?」


「相手に近付き倒すのが不可能なら策を持ってして倒します」



天界男は言った。


取って置きの策を…


その策とは?


待ち構え、落とし穴に落ちた所を、石をぶつけて倒すのだと!!


『ばぁかかぁ~!』



近付き、『気』を奪われないように倒すにはこれしかないと自信満々に説明する天界男の頭を俺は勢いあまり殴ってしまった。(つまり、ツッコミ?)


「ふにゃ~」


俺は脳震盪を起こして気絶した天界男を岩陰に寝かせ、一人でアジト[屋敷]にいる妖怪のもとへと向かう事にした。


近付けないなら遠距離から攻めるだけだ。

俺は屋敷内に忍び込み、目的の大王を探した。


何処だ?何処にいる?

相手に見付かる前に仕留めるしかない!

俺は手にした斧を握りしめていた。

手に汗握り、緊張が走る。


離れた場所から斧を投げつけて首を落としてやる!


チャンスは一度限り!

失敗は許されねぇ!


俺は部屋の中を次々と覗き込み、居場所を探した。


そして寝室らしき部屋の中から明かりが見え、物音がした事から、そこに間違いなく誰かがいると確信し近付いていく。


俺はゆっくりと部屋の中を覗き見た…そこには!

俺より図体のデカイ妖怪と身奇麗な若者がいた。

見た目の偏見から俺はデカイ奴が例の大王かと思ったが、

直ぐに違っていたのだと気付く事になる。

大柄妖怪の奴は目の前の若者を見て恐怖で震えていたのだ。


身奇麗な若者がデカイ妖怪のゴツい身体に手を触れると、そのゴツい身体が見る見るうちに鄙びれ枯木のようになって息絶えていく。


『!!』


俺は今見た惨劇に震えながら、出そうになった声を押し殺したのだ。

だが、直ぐに後悔した。

今、あの時に斧を投げ付けていたら殺れたのでは?

クソォ~!俺は一世一代のチャンスを逃したのかぁ??

いや?まだチャンスはある!


俺は直ぐに体制を整えて斧を構える。

が、遅かった。



『貴方は何者ですかね?』



背後からの声?俺の額から冷や汗がこぼれ落ちた。

気付かれていた?

そいつは俺が目を離した瞬間に俺に気付き、背後に移動して来ていたのだ。

俺はゆっくりと振り返ると、そこに奴はいた。


「うわぁあああ!」



そいつは俺を上から下まで見た後、


「貴方の殺気が大分前から近付いていた事には気付いていましたから…」



やばい…殺される!?



「今、食事が済んだ後だったのですが…お代わりいたしましょうかねぇ?」



そいつが俺に手を翳して近付いて来る。


こぉ…殺されるぅ!!!


その瞬間、俺のいた近くの壁が砕け飛び、目の前の大王野郎がその壁に押し潰されたのだ。

俺は腰を抜かさんばかりに、その場から逃げようとすると、

後方から凄まじい妖気が噴き出し、屋敷全体を揺らして…爆発したのだ!



俺は駆け出し逃げ延び、後ろを振り返ると…



『何処のドイツダァーッ!私に!私に!私に傷をつけやがったなぁー!』



凄まじい妖気を纏った大王野郎が、その凄まじい妖気に包まれて宙に浮き、自分に傷をつけた者を探す。既に俺は眼中にない感じだった。


奴が怒っていたのは傷を付けられたからではない。何故なら傷は既に再生していたからである。奴が怒っていたのは、自分に接近する気を感知させなかった事。

つまりプライドを傷つけられたからなのだ。


俺は腰を抜かして座り込んでいると…



「そんな場所にいると怪我しちゃいますよ?」



その声の主は例の貧弱な天界の討伐者だった。



「おっ…お前こそ逃げろ!奴は正真正銘の化け物だぁ!」



だが、天界男は俺の知る情けない感じはなく、凛とした気高い雰囲気だった。

それは正しく天界の武神の姿そのものであった。


そして天界男は名乗ったのだ……ん?

そういえば名前をまだ聞いてなかったな?




『私は聖天大聖・捲簾』


「タリムアなる禁薬を奪いし霊感大王!お前を天の命令により討伐します!」



次回予告


突然始まった独角鬼の過去編


そこに現れた聖天大聖・捲簾?


あれ?このキャラは?



※詳しくは、第三部 唯我蓮華~破壊神と呼ばれた少年~にて登場してます。

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