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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
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猿の本音?これは秘密だぜ?

仲間を救いたければ美猴王を差し出せ?


美猴王の選択は?


俺様は美猴王だぁ!

俺様は今、他の魔王達と共に作戦会議をしている。


それは先に眼力魔王の城塞に攻め込んでいた先陣隊の全滅の知らせ…

いや?先攻陣達は生きて眼力魔王の配下に捕らえられているのだ。

しかも、こんな手紙を送り付けて来て!




【眼力魔王様より水簾洞闘賊団に命じる。捕らえし仲間達を解放して欲しければ直ちに戦いを放棄し、我が軍に投降せよ!眼力魔王様は温情より命までは取らないと仰せだ!万が一命令に背くのであれば捕らえた仲間を処刑し、お前達の軍に全面攻撃を仕掛けると思え!】



牛角魔王は腕組みしてテーブルの前で座っている。


「罠だな…」


「間違いなくな」



蛟魔王が答えると、獅駝王が問う。


「で、どうするよ?見捨てるのか?」



そこに作戦会議に参加している独角鬼王が問題提起した。



「しかし魔王様方!お言葉ですが捕らえられた者達を見捨てれば今いる配下達が疑心暗鬼に陥りますぜ?」


「だがな…」



牛角魔王は黙り込む俺様を見て、リーダーである俺様の考えを待つ。


「……………」


眼力魔王の手紙にはまだ続きがあったのだ。




【眼力魔王様より、この戦争の首謀者である美猴王なる者を差し出す事を命じる!さすれば他の者達の処罰は皆無とする】


と……



「やはり罠だな…」


「しかしよぉ?牛角兄貴よ?あんたの弟[蚩尤]も捕われているんだろ?良いのかよぉ?」


「…………」



蛟魔王は牛角魔王に現実に起きる事を告げる。



「どちみち殺されるだろうね?ただ、美猴王が無視すれば残っている部下達からの信頼を失い、反感を抱かれるだろう。当然、今後の戦いに支障が出るだろうな?」


「この申し出が出ている事は、配下全員に伝わるように既に出回っていやがった。仲間割れの内乱が奴達の目的とみて良いだろう。計算高い事だ」


「しかし素直に美猴王を行かせたら確実に首をはねられるよ?それを踏まえた上でお前はどうするつもりなのさ?美猴王!」



俺様は話を全て聞いた上で答えた。


「無視すれば良いんじゃねぇ?」



簡単に答える俺様は、更に続け言い放つ。



「俺様はこの軍のリーダー!つまり王だ!王がやられたら、そこで戦いは負け戦!王は最後まで生き残る事が勝利の鉄則なのだ!つまり王あっての軍!王あっての部下なのだ!そもそも戦場に出た以上死ぬも生きるも下っ端は己の運と力量次第!部下は王のために戦い、死ぬもんだ!」



『王さえ残ればそれで良いのだ!』



俺様の表情は冷酷にて何の迷いもなかった。

俺様の言葉に周りの連中は静まり返る。

無慈悲だと思われるが、戦争とはそういうものなのだ。

誰も反論はしない。

当たり前だ!皆が内心思っている事を先だって言葉にしただけなのだ。



「と、言っても捕まった奴達には悪いとは思うぜ?俺様達は奴達の死を無駄にしないように戦に勝利出来るよう考えていこう!」



よし!我ながらナイスフォロー!


その後、他に良い案が出る事もないまま夜がふけた。

俺様が無言で出て行こうとすると、牛角が俺様に向かって一言言い放つ。



「美猴王!一つ聞くぜ?俺や蛟、獅駝が捕われても同じ答えか?」



俺様は立ち止まり、振り返って笑顔で返した。



「アハハ!お前達は特別だよ!何てったって義兄弟だからな?それに、お前達は相手に捕まるようなヘマはしないだろ?」



そう返答し会議部屋を出て行ったのだ。

そして俺様は、誰もいない場所で一人になっていた。




………………。





正直、疲れる。


もう良いかな?


俺様は辺りに誰もいない事を確認した後、溜息をついた。


やれやれだぜ~


ほんの少し、俺様の本音を聞かせてやろうか?


誰にも話すよ?オフレコってやつだぞ?


話したら、殴るからな?


って、誰に言っているんだ俺様は?


俺様は頭を掻きながら独り言を始める。



「正直、面倒臭いのだよなぁ~」



俺様は唾を吐き捨てると思い起こしていた。



「どうして俺様が捕まった馬鹿な連中の事まで考えなきゃいけないんだよ!」



だって、そうだろ?


そもそも…


手駒が一つ二つ失ったからと言って、馬鹿みたいに騒ぐ必要ないんじゃないか?


戦争には勝てば良いんだ!


勝つためには犠牲は付き物であり、そのために使えるもんは使う。使えないもんは切り捨てる!そうしなければ自分の足を引っ張られるのだ。それは至極当然の話!当然、部下も…


『手駒は手駒!』


そうさ割り切りが肝心なんだよ!割り切りが!

ここだけの話俺様が義兄弟と抜かしている牛角や蛟、獅駝の奴も手駒に代わりないのだ!


そうさ!奴達は使える手駒だよ!



「義兄弟?いやいや偽兄弟ですから~アハハ!全くチョロイ奴達だぜ!煽てあげ、情に訴え褒め殺す!そうすれば自分の手足以上の働きをする。兵法にもあるように強い駒があればあるだけ有利なのだ。全く本当に使える奴達だぜ!」




俺様は鼻をほじくりながらベッドに横になって饅頭を手に取り食らう。



「しかし、あいつ達は真面目過ぎる所が少々面倒臭い訳だが…いや?獅駝の奴は馬鹿だな!うんうん。とにかく今回のような事で俺様を煩わせるなって!お前達は俺様に言われた通りに働けば良いんだよ!ケッ!」



俺様は饅頭をたいらげると欠伸をした。



「しかし…ここまで順調に事が進んでる事に関しては感謝しなきゃな?普通、戦争始めるにしても楽には出来ない訳だし~まぁ、何だかんだで奴達を手なずけた俺様が策士だった訳か?アハハハハ!」



そして俺様はぶっちゃけ話をかました後、スッキリしてそのまま眠ったのだ。

まさか、その会話が聞かれていようとは知らずに…





(あわわ~!最低だ!あの方は最低だ!最低の最悪外道だぁ~!)



それは俺様のパシリをやらせていた混ちゃんであった。

混ちゃんはたまたま饅頭を運んだ後に、その後片付けに来た所で居合わせ、息を潜め隠れながら俺様の独り言を聞いてしまったのだ。



「何てこった…あわわ!しかしどうする?こんな事を知ったからには…私…殺されてしまうかも…逃げなきゃ…逃げ…」




直後、突然背後から身体を拘束させられて口を抑えつけられたのだ。


(ひゃああ~殺される~殺される~)



混を抑えつけ見た相手は独角鬼王だった。



「今、聞いた見た事は忘れろ?さもなくばお前を絞め殺す!良いな?」



混は涙目で頷くと独角鬼王は抑え付けた混を放してやった。



「し…しかし…あの方は!あの方は貴方も駒にしか感じてないのですよ!それなのに…何故?」



独角鬼王は背中越しに言ったのだ。



「一度主君と決めたからには!例え悪行を重ねようと!例え裏切られ切り捨てられようと!付き従うのみ!何故ならそれが俺の夢へと繋がると信じてるからな!」


「!!」





と、更に…



「さて、どうするよ?美猴兄貴の奴?ぶん殴るか?俺俺の事を馬鹿言ってたしよ?」



それは先程会議をしていた部屋であった。

俺様が出て行き、他の連中も部屋を出て行こうとした所を蛟魔王の奴が牛角と獅駝を引き止めたのだ。そして蛟魔王は水晶玉を真ん中に置くと、そこには出て行った俺様の姿が鮮明に写し出されていた。当然、先程の俺様のぶっちゃけ独り言もつつぬけだった訳だ。




「さて、これが美猴王の本音と正体だった訳だけど、あたい達をコケにして無事に済ませるつもりはないよ?」


「あの馬鹿がぁ!」



と、とんでもないピンチが何も知らない俺様に降り懸かろうとしていた。


そんな俺様はというと?


ぐぅ~ぐぅ~ぐぅ~


気持ち良く眠っていた訳なのだ。


が、


「ガバッ!」


ハッ!俺様はとてつもなく嫌な夢を見て目を覚ましたのだ。



「変な夢を見た!ね…寝付けない…」




俺様は部屋を抜け出すともう少し起きる事にした。

外に出て、仕方なく星空を眺め眠くなるまでと散歩を始めたのだ。


ふぅ~嫌な夢見た…


てか、意味深な意味解らないような?不思議な夢だったなぁ…


と、夜な夜な徘徊し歩き回っているうちにお日様がのぼり、朝になっていた。



結局、眠れなかったか…


てか、何処まで散歩してんだよ?俺様は?アハハ…


それにしても絶景な眺めだなぁ~


うんうん。






俺様が歩き着いた所は眼力魔王の城塞の前?


目の前には数万?数十万?いやいや数えきれねぇ~


とにかく!眼力魔王の武装した軍勢が、突如単身来訪した俺様を取り囲んでいたのだ。


次回予告


俺様、何故にこんな場所にいるのだ??


それもこれも、全てあの夢に出て来たあいつのせいだ~!!

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