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聖輪奇聞・転生記!~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
天上天下・美猴王伝説!
348/424

猿の出番ないですか?蚩尤の進行!!

美猴王が戦いの休息を取っていた時、先陣隊は眼力魔王の軍と交戦の中にあった。


そこには、あの男もいた。


話は遡る…


美猴王達が霊力三大王と激戦の末、眼力魔王の軍に勝利した後へと。




美猴王達三魔王は水簾洞闘賊団が手に入れた領地にて療養をとっていた。

その間も眼力魔王の配下との小競り合いが続いていたのである。

そんな中、刀を手に先陣きって荒々しく闘う者がいた。

その姿を見た者達は自分の目を疑る。

なぜなら、その者が今しがた療養しているはずの魔王にうりふたつだったから。


牛角魔王?


いや?その姿は漆黒の鎧を纏う牛角魔王とは違い、純白の鎧を纏う者であった。

しかも冷静沈着にて強固なる強さで敵を圧倒する牛角魔王とは違い、その純白の鎧を鮮血に染め荒々しく死に物狂いに闘う様は似て非なる存在。


牛角魔王の黒い二本角と相反する白い二本角を持つ…


名を蚩尤と言った。



「ハァハァ…さぁっ!かかって来いやぁーー!」



蚩尤は己を囲む敵兵に向かって吠える。


数時間後、


蚩尤達先陣隊は眼力魔王の軍勢を撃退していた。

蚩尤を含む水簾洞闘賊団の先陣隊は、本隊より先に眼力魔王の城塞陣地へと突き進んでいた。

魔王達が回復した後に直ぐにでも眼力魔王の城塞へと進行出来るように、それまでに戦局を有利に進めるために。


既に敵陣地の本拠地まで進撃し眼力魔王の軍に勝利した先陣隊は休息をとっていた。そこに蚩尤は一人大剣を地面に突き刺し、岩に腰掛けていたのだ。


蚩尤は仲間内でも馴染めずにいた。

残虐な戦い方に脅える仲間達、牛角魔王の弟である事で贔屓される嫉妬。

何より蚩尤は仲間を寄り付けずオーラを醸し出していたから。


そんな蚩尤の前に…


(チッ!うぜぇ…)


二人の獣妖怪が近寄り声をかけて来たのだ。



「おぃ?お前が蚩尤だろ?あの牛角魔王の腰ぎんちゃくなんだってな?」


「最近でしゃばっているようだが、あんまり調子こいてんじゃねぇぞ!」



その二人は炎と氷の人狼族の兄弟であった。

蚩尤に匹敵する残虐な戦い方と乱暴な行動から、蚩尤と同じく周りの仲間達からもつまはじきにされていたのである。

その二人が蚩尤に目を付け、喧嘩を吹っ掛けて来たのだ。


数分後…

二人の獣妖怪は蚩尤の前にボコボコにされて平伏していた。



「さっきはデカイ口をきいてすまねぇ~蚩尤の兄貴!俺は獄狼!炎の術を得意としてますぜ」


「俺は弟の銅角言います。俺は氷の術を得意とします」



蚩尤に対して媚びを売る二人を、蚩尤は仕方なく舎弟にしてやった。


(まぁ…パシリには使えるか…)



そして蚩尤は二人を従えて再び戦場で暴れ回る。

三人は敵軍との交戦の中、敵軍を指揮していた魔王と対峙する事になった。



「こいつ何なんだ?」


「殺しても殺しても再生しやがるなんて!」



蚩尤達は苦戦していた。

相手は魂喰魔王コンクイマオウと呼ばれる魔王であった。

魔王ナンバーは三十二だった。


蚩尤と二人の実力はかなりの猛者で、今まで下級の魔王クラスをも撃退して来ていた。


だが、


「ぐふふ!魔王相手にはしゃぐな!愚か者めが!ボリボリボリボリ…」



魂喰魔王は剣技こそ大したことはないが、蚩尤達がいくら致命的攻撃を与えても直ぐに再生して甦って来るのである。しかも懐から怪しげなる袋を手に取り、中から何やらを食いながら戦っているのだ。



「くっそ!戦闘中に飯を食うなんてナメやがって!!」



蚩尤と獄狼・銅角は大剣を構えながら、この無気味な魔王相手になす術を失いつつあったのだ。

だが、蚩尤だけは…



「負けられねぇ…俺は絶対に負けられねぇ!」



蚩尤は獄狼と銅角に指示を与え、一人魂喰魔王に向かっていく。


「無駄だぁ!」


「無駄じゃねぇ!」



蚩尤の猛攻に魂喰魔王は体中傷付けられても、やはり直ぐに再生していく。

が、そこに獄狼が大技を発動させ叫んだのだ。



『炎狼遥罵流獄狼散!』

※エンロハルバルゴクロウサン



獄狼の身体から炎の狼の形をした妖気弾が魂喰魔王に向けて放たれる。


「小賢しい!」



炎の狼の牙が魂喰魔王に噛み付くと発火し、燃えながら身体が消滅して……いかない?

やはり見る見るうちに身体が再生していく。


そこに銅角が続けて追い撃ちをかける。



『凍氷息無殺!』

※トウヒョウイキナサイ!



銅角の冷気の息吹が魂喰魔王の顔面にかかると、その口元が凍結する。



「えっ?あっ…モゴモゴモゴモゴ!!」



そこに蚩尤が飛び上がり、大剣を振り下ろしていた。

魂喰魔王が蚩尤に気付いた時には…



(銅角の野郎!あの馬鹿!魂喰魔王の足元を凍らせて身動きを止めるように命令したのに!だが、)


『もう止められねぇ!』



蚩尤の振り下ろした大剣は魂喰魔王の首を見事に斬り落としたのだ。

着地した蚩尤は直ぐさま振り返り、大剣を構え直す。



「おめぇら!こいつは直ぐに再生するはずだ!油断するなよ!」


「おぅ!」



三人は剣を構えたまま十分が過ぎた。



「あれ?甦って来ませんね?」

「死んだ…のかな?」


「いやいや油断はいけねぇ!首を斬り落としたぐらいで死ぬなら苦労しねぇぞ!これは奴の作戦に違いねぇ!緊張を解くな!」



また、十分が過ぎた…


「……………」


(死んだようだな?理由は解らんが、とにかく勝ったようだ…)



蚩尤達は見事に強敵!魂喰魔王を撃破したのだ。


「ん?」



すると蚩尤は足元に落ちていた袋に気付く。

それは魂喰魔王が食っていた菓子を入れていた袋であった。


「ふん!戦利品として貰っていくか!」



蚩尤は魂喰魔王の遺品である小袋を手に入れたのだ。

魂喰魔王を倒した後の戦局は、蚩尤率いる先陣隊が勢いに任せ勝利を勝ち得て行く。

更に蚩尤達は眼力魔王の本拠地へと突き進む。

戦局は次第に激しく過酷になっていたが、不思議と蚩尤は調子良かったのだ。



「不思議と身体の調子が良いぜ!それに力が漲るようだ…」



蚩尤は小袋の中から小さな飴玉を手に取ると、口の中に放り込む。


「不思議と言えば、この魂喰魔王から手に入れた小袋だな?」



魂喰魔王の小袋の中には飴玉らしき菓子が入っていて、その飴玉は戦後には必ず幾つか増えて入っていた。


「増える菓子袋だったのか?まぁ、良いか!」




そんな快進撃中の蚩尤達は眼力魔王の城塞間近まで進撃していた。

戦局は悪くなかった。

突然の蚩尤率いる先陣隊の襲撃に眼力魔王軍は追い込まれていく。



「後少しだ!俺達の勝利もく…」



目前かに思われた。


そこに現れたのだ!

眼力魔王軍が誇る最強の精鋭が!

その者達は魔王の称号を持つ五人の魔王達であった。


しかも、十一番ナンバーから三十番ナンバーの称号を持つ第二完全魔王と呼ばれる者達。第二完全魔王とは一桁の称号を持つ最強最悪なる第一完全魔王の予備軍であり、牛角魔王と蛟魔王と同格と扱われているのである。三十番以降の魔王とは格が違うのだ。


蚩尤達は愕然としていた。

今まで優勢かに思われていた戦局が、この魔王達の登場で完全にひっくり返されたのだから。

魂喰魔王が三十二番で、それでも何とかなった。

しかし!!



「ありえねぇ…いや?これが本当の魔王クラスの力なのか?牛角の兄者と同等の、魔王と呼ばれる連中の本来の実力なのか?」



が、直ぐに蚩尤は考え直したのである。



(いや!違う!牛角の兄者はもっと強い!遥かに強いのだ!こんな奴達なんかと同格であってたまるものかぁ!)



蚩尤は剣を握りしめ五人の魔王達に向かって行った。


「蚩尤兄貴!無茶だぁ!止めとけ~」


「おぃ!俺達もやべぇ~ぞ!」




既に魔王の一人が自軍に向かって来ていた。

その後、蚩尤率いる先陣隊は魔王一人の参入であっけなく全滅したのだ。



が、蚩尤達は生きていた。

捕らえて拷問を受けた挙げ句、牢屋に入れられていたのである。



「アググッ…」



蚩尤は両腕と両足を拘束されて転がされていた。


(…ん?)



そこで蚩尤は気付いたのである。

自分の懐に入ってい小袋の存在に…

中には飴玉が入っていた。



(確か中身は空だったはず?ありがてぇ…)



蚩尤は身体をくねらせ地面に擦らせながら懐の袋から飴を取り出して、口の中に入れた。




(不思議だぁ…身体の痛みが…消えていくようだ…

それに…俺は拷問には慣れている…

幼少より俺は拷問を受け続けていたのだからな。

俺の…俺と牛角兄者の父と母に…

あの最初の魔王と言われし最強の魔王…違う!

あれは魔王以上の存在…神をも越える神!

そう!魔神によって…)


次回予告


蚩尤の過去、それは忌まわしき運命の予言からであった。



※今回出番の多い蚩尤は、第一部の転生記と、第二部の神を導きし救世主!にも登場する因縁キャラです。もし興味があればそちらも読まれると時系列が繋がります。

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